15 TOSHIN TIMES 2022
講師特別インタビュー 教壇にいたるマイヒストリー
昨年末に『ビジネスに効く!英語の教養』(ビジネス社)という本を出版しました。この本を 書いた理由は、「予備校で学ぶ英語の知識は受験だけでなく、社会に出てからもずっと役立 つ」ことを多くの人に知ってほしいと願ったからです。僕は授業で英語の「教養」を重視して います。その理由は、英語でのコミュニケーションでは文法や単語の知識だけでなく、相手 の国の歴史や文化、ライフスタイルについての教養が欠かせないからです。またその理解に 基づき、適切に自己表現する力も必要となります。英語の教養が少ないために会話の最初の 一言に躓いてしまって、英語そのものに苦手意識を感じてしまう人は少なくありません。
本書は将来にわたって役立つ、英語の教養の基本が身につく一冊になっています。ぜひ東 進の皆さんにも手にとっていただけたら幸いです。
将来にわたって役立つ 英語の教養を学べる一冊
「大学受験生だけでなく、日本人全体の英語力の向上 に貢献したい」という思いから、執筆した土岐田先生の 著書です。英語の魅力が詰まった一冊、高校生もぜひ読 んでみてください!
土岐田先生執筆!
大学対策講座
Q 教えることで自分自身の理解が深まることがわかりました。
ほかにおススメの英語勉強法はありますか?
A おススメは「1分思考トレーニング」です。
例えば、ライティングで何かを書く際に、その分野の内容のインプットを 十分に行ってから、1分以内に三つの論点を出す練習をします。これは資 格試験などでも効果を発揮して、アイデアを浮かべるのが早くなります。
僕自身はスピーキングでこのトレーニングをしているのですが、受験生に も有効です。
講座のココがポイント!
▶早慶上智大合格者の登竜門といっても過言ではありません。早慶の合格 者によく感謝の言葉をいただく講座で、力がつく授業をしています。
▶英文の読み方と内容一致問題の解き方をバランスよく扱っているので、
英文読解で高得点や満点を取りたい人におススメです。
▶扱う英文も手加減はなく、抽象度が高いですが、骨太な英語力がつきま す。英語の論理や文化背景などの話もしているので、英語文化への興味 や関心も深められる内容です。
講座 紹介
授業のぞき見!
英文読解 ︱内容一致 ︱
けた英検5級の試験で満点を取ったんです。この「成功体験」を得たことで、「このまま英語の勉強を続けて、学年で一番を取り続けよう」と思うようになりました。
都立九段高校(現在の千代田区立九段中等教育学校)に進学したのは、「異文化理解」という科目があり、英語圏の国の文化をネイティブから学べるのが魅力だったからです。僕の英語に対する基本的な考え方は、この九段高校時代に作られたと思います。例えば教科書では“How are you?”と聞かれたら“I'm fine,thank you.”と返すのがお約束です。でも僕は「本当は元 気じゃないのにFine と返すのっておかしくない?」と疑問を感じていました。それでネイティブの先生に質問すると、「How are you?はそもそも会話のきっかけだから、どう答えてもいい」と教えてくれました。「言葉ってただ暗記するのではなく、背景にある思いを理解することが大切なんだ」と気づきました。
同級生に英語を 授業する
感できました。 く成長できる」ことを体 はなく、自分自身も大き たのですが、あるとき廊に知識を提供するだけで 思ったことをメモしてい「教えることは、ほかの人 には必ず教科書で疑問に践だったと思いますが、 高校時代です。授業の前クティブラーニングの実 ろさ」を知ったのも九段いま思うと、いわゆるア 「教えることのおもした」と言ってくれました。 で英語の文法がわかっ は笑顔で「土岐田の授業 顔が明るくなり、最後に が、授業が進むにつれて イトも戸惑っていました は始めのうちはクラスメ 準備をしました。本番で 任せてくれ、僕も必死で 授業一コマすべてを僕に の先生は、本当に英語の か」と言われたのです。そ わりに授業をやってみる でいるな。今度、先生の代 命準備をして授業に臨ん 生に、「君はいつも一生懸 下ですれ違った英語の先
上智大学に進学した僕は、英文科でシェイクスピアを専門的に研究することに決めます。シェイクスピアの文章は今でも理想の英語の一つとして知識層に度々引用されています。例えば「わけがわからない」という意味の“It's Greek to me.”はシェイクスピアが残した現在でもメジャーな比喩です。直訳すれば「それは私にとってギリシャ語だ」になりますが、実は当時シェイクスピアがギリシャ語の学校に通っていたらしく、ギリシャ語の難しさに参っていたようなのです。 全世代の日本人に 英語の魅力を伝えたい
また『ハムレット』に出てくる名台詞“To be or not to be”は一般に日本で「生か死か、それが問題だ」と訳されてきました。この訳からは人生に死ぬほど悩むハムレットの暗い姿が浮かびます。その逆にto不定詞を「未来志向」に解釈し「そうあるべきか、否か」と訳せば、未来に向かって前向きな道を選択しようとする、英雄的なハムレット像がイメージできます。そんなふうに一つの言葉の解釈にも、非常に奥深い世界があり、英語の広がりを大学で学べたことが、後の大きな財産になりました。
大学を卒業後、僕は英語教師となります。慶應義塾の附属高校で3年間教え、「よりたくさんの生徒に英語の魅力を伝えたい」と考えたことから、予備校講師となりました。昨年末には一般の社会人に向けた英語がテーマのビジネス書も執筆しました。その動機は「大学受験生だけでなく、日本人全体の英語力の向上に貢献したい」という思いです。
世界の「共通言語」となりつつある英語を、日本人全員が使いこなせるようになれば、この国はさらに元気になるはずです。そのためにも僕が学んだ英語の魅力を、授業や本を通じて全世代へと伝えていきたいと考えています。 親の仕事の関係で、幼少期に岩手、横浜、浦和、岡山など日本のさまざまな地域で過ごしました。幼い自分を驚かせたのが、その土地土地の言葉の違いです。例えば岩手県は寒いせいか喋る言葉も省エネで「どこへ行くの?」を「どさ?」と短く言います。また岡山県に引っ越したら友だちがみんな語尾に「じゃけえ」とつけているのもおもしろく感じました。「日本の中でも話し方が違う」と気づいたことが、言葉に対する関心の芽生えでした。 英語との出会いは、小学6年生のときにゲーム仲間の友人に誘われて通い始めた英語塾です。 一番下のクラスからスタートしたのですが、次第に英語がおもしろくなっていき、たまたま受
1987年岩手生まれ。東京都立九段高校、上智 大学英文科卒業。上智大学大学院文学研究科英 米文学専攻博士前期課程修了。専攻はシェイク スピア。「実用英語」と英語文化の「教養」の橋渡 しをする。英語圏の文化背景から英語を捉え直 す講義スタイルは、これまでの英語観を大きく 変え、将来にわたり通用する圧倒的な英語力を 習得できる。高校生だけでなく、社会人対象の
資格講座や教養講座も担当。
「知的なおもしろさ」を追求し 続ける講義が人気。
第 11 回
土
と岐田 健
き た け ん太
た先生
英語
〝方言 の 違 い に 気 づ く 言語 へ の 関心 の 芽生 え 〟
受験生のみならず
「日本人全員」の英語能力 向上が究極の目標
ここでは、東進の実力講師陣の素顔に迫るエピソードを紹介。
10 代の頃はどんなふうに過ごしていた? 何で教える仕事を選んだの?
どんな授業をしているの? 知られざる講師の一面に迫ります!
『英語の教養』(ビジネス社/ 1,760 円)土岐田 健太/著