工学院大学Ⅰ部文化会 自然科学研究部
昆虫標本
山本 光雄 2009/08/27
昆虫標本についての研究結果です。内容は目的、使用道具、標本方法、結論、感想、参考 文献となっています。
・目的
標本の作成方法を知り、虫の生態について理解を深める。
・使用する道具
捕虫網 タッパ
100円のルアー入れ 三角紙
殺虫管 除光液 カット綿 展翅板 展足板 展翅テープ 標本針 まち針 ピンセット 防虫剤 乾燥剤
・標本方法
捕虫
↓
殺虫
↓
固定
↓ 乾燥 ↓ 仕上げ ↓ 完成
1、捕虫
虫によって捕まえ方は様々ですが、蝶やトンボは捕虫網を使用し、カブトムシやカナブ ンはその辺にいたら手で捕まえたり、手で取れない高い木にいる場合は捕虫網を使ったり 木を蹴って落とすなどして捕まえます。
捕まえたら、蝶・トンボの場合は三角紙にいれ、それをタッパなどに入れると良いでし ょう。ほかの甲虫類などは100円ショップに売っているルアー入れに生きたままいれと きます。
2、殺虫
虫は生きている状態から殺して標本にしたほうが色々と利点があります。
利点としては既に死んでいる虫は腐っていて、それを食べる虫が付いている場合があり ます。また、殺すのに酢酸エチルを使用するのですが、これには防腐の役割と虫の体・関 節を柔らかくする役割があります。
殺虫方法は蝶の場合捕虫網の中で網の上から胸を潰れない程度に胸を押します。その後 は三角紙にいれときます。トンボはまず三角紙にいれてフンをさせます。その後はそのま まに置いとくか、冷凍庫に入れます。その他の虫は除光液がしみたカット綿が入った殺虫 管に入れとくと死にます。
3、固定
蝶・トンボなど翅だけを固定して乾燥させることを展翅と言います。またカブトムシな どの甲虫類、セミ、バッタ脚だけを固定して乾燥させることを展足と言います。
まず、虫に標本針を刺します。展翅する虫やバッタ・カマキリは胸の真ん中に、甲虫類 やセミは右胸部分に刺します。展脚する虫は平均台を使い高さを一定にすると標本すると きに全ての虫の高さが均一になり、標本がきれいになります。
また、昆虫は死んでから時間がたつと硬くなるので、硬くなったら軟化させます。
標本は左右対称になるように作りますので、左右が同じようになるように固定します。
固定した虫には名前や捕虫場所のわかるもの貼っときます。
-展翅-
展翅は展翅板を使うのですが展翅板には真ん中が空いているのでそこの両側に1本ずつ 展翅テープを張ります。展翅テープは粘着力が無いので展翅板の上の部分で留めておきま す。
展翅板の空いているところに蝶・トンボの体を入れ翅と展翅板の板の高さを合わせます。
展翅板は空間に合わせてスポンジがあるのでそこに標本針の先を刺します。
次に翅をきれいに固定しますが右利きの人は左の翅から固定します。左利きの人は逆に 右から固定します。マチ針やピンセットで翅が傷つかないようにそーっと動かし展翅テー プを上に被せて、マチ針で翅に刺さらないように展翅テープを固定します。次に逆の翅を 固定します。翅が展翅テープよりはみ出るならば、また展翅テープを一本目の展翅テープ の隣に張ります。
翅が固定し終わったら、お尻の部分と触角を固定します。
蝶や蛾は翅に鱗粉があるので取らないように気を付けてください。取れると、翅の色が 落ちてきたなくなります。
-展足-
展足は展翅より簡単です。
まず、脚をある程度ピンセットで開いときます。また関節がどの様に動くか確認すると 展足しやすいです。
そして、脚が左右同じなるようにマチ針で固定します。最後に触角を固定します。これ らの作業はピンセットを使うとやりやすいです。
虫の翅を出して固定して標本にする方法もあります。
4、乾燥
展翅・展足した虫は乾燥します。乾燥時間は大体一ヵ月乾燥させます。
乾燥するときは日光が当たらない涼しい場所に置いときます。また、虫に食べられない ように防虫剤を2個ぐらい板に貼っときます。
5、仕上げ
虫を展足板・展翅板から外し、虫の情報が書かれたラベルを標本針に刺し、平均台で高 さを均一にします。
6、完成
最後に標本箱に刺し、防虫剤と乾燥剤を針で固定してフタをして完成です。
・結論
昆虫標本は昆虫によって作り方が異なり、専門道具も多い。しかし、工夫すれば100 円ショップで売られている物で代用でき、手軽にやることも可能。
標本を作れば、虫の生態系およびその地域の環境が知る手がかりとなる。
・感想
今回初めて昆虫標本というものを作りましたが難しかったです。一応最後まで作り上げ ましたが、やはりボロボロでした。蝶の標本を作りましたが翅が破れたりして綺麗に出来 ませんでした。もっと綺麗になるように研究したいと思います。
また、標本を作る目的には2つあります。コレクターとして作るため。そして、研究の ため作るためと2つあります。
種類にもよりますが虫はたくさんの子孫を残すので標本にしても数が減りません。しか し、昆虫にも命があります。その命を奪ってまで標本作るには学術研究のためにやりたい と思います。残念ながら今回はそこまでは出来ませんでしたが、もっと生物学知識を身に つけてその域まで研究できたら良いと思います。
・参考文献と参考にしたサイト
1、「日本昆虫協会」 http://nikkonkyo.org/index.html
2、「昆虫標本を作ろう」 http://www.bidders.co.jp/pet/hyohon/01.html
3、「昆虫採集から標本製作・標本保存までをムービーで解説! 『楽しい虫さがし体験』」 http://www.nawakon.jp/tanomushi/home/index.html
4、「昆虫採集・昆虫標本用品【昆虫販売館-insectech.com-】」 http://insectech.com/
5、海野和男、筒井学「虫の飼いかた・観察のしかた② 虫を採る・虫を飼う・標本をつく る」(偕成社)