背景①
植物工場は、安全な食料の供給と食材の周年供給を目的としている
図1 食料自給率グラフ
1)
1)
平成23
年度食料自給率をめぐる事情http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/pdf/23slide.pdf
背景②
◇天候不順、異常気象による不安定供給
◇労働がきつく労働者が少ない
◇品質や形のバラつき
◇震災の影響による農地減少など
露地栽培
◇季節に左右されない
◇栽培環境をコントロールできる
◇計画的生産ができる
◇農薬などの汚染が少ない
◇自動化により作業が簡単
植物工場
背景③
■完全人工光型植物工場・・・閉鎖空間で人工光を利用(図
2
) 天候に左右されない、無農薬、場所を選ばない、LED
によ る高付加価値野菜の栽培が可能■太陽光利用型植物工場・・・半閉鎖空間で太陽光利用(図
3
) トマトなどの果菜類が栽培可能図
3
太陽光利用型植物工場(千葉大学)図
2
完全人工光型植物工場(千葉大学)背景④
2)東洋経済オンラインhttp://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/dc101c724d028c7da170521efcaa6896/page/1/
農水省と経産省が
2009
年に約150
億円の補助金 を出し第三次ブームが始まった(一次:80年代中頃~、二次:
90
年代前半~)企業が植物工場ビジネスに参入し始めている
2 )
例)大和ハウス工業が植物工場ユニット(
agri-cube
)を発売 サブウェイが植物工場を併設した野菜ラボ導入 日本GEやパナソニックが栽培の実証実験開始利点が多く異業種からも参入しやすい 完全人工光型に着目する
背景⑤
問題
◇設置コスト ◇生産コスト
◇運営コスト ◇エネルギーコスト
◇設置コスト・運営コストの低減
◇生産量の増加
◇省エネ化・自動化
◇高効率照明
課題
目的と研究方法
◇人工光型植物工場が経済的に自立するか検証
◇今後の植物工場のあり方の検討
目的
1.
見学2.
人工光型植物工場のモデル化3.
コストの推定4.
ディスカウントキャッシュフロー法(DCF
法)5.CO 2
排出量の推定6.
理想的な植物工場の提案研究方法
人工光型植物工場見学
図6 植物工場展(12.7.26) アルミス
図
8
植物工場展(12.7.26
) ホルティパートナー 図7
植物工場展(12.7.26
)INSUNG TEC CO,. LTD.
図4 千葉大学(12.718)
「低コスト未来型人工光利用植物工場」
コンソーシアム
図5 千葉大学(12.718)
「結球レタス安定生産」コンソーシアム
図
9 (
株)
キーストーンテクノロジー(12.11.12
)モデル化①
タイプ:完全人工光型 設置場所:東京都
23
区 設置面積:300m 2
栽培面積:
583.2m 2
壁の素材:発泡ウレタン 栽培室面積:
240m 2
育苗室面積:50m 2
作業室面積:10m 2
栽培棚数:30
台 育苗棚数:6
台エアーシャワー:
1
台エアコン:
6
台 図10
植物工場全体イメージ図20m
10m
5m 2m
3)荒井 智久;「植物生産におけるCO2排出量とコスト削減方法の検討」,(2009)
モデル化②
■内装設備費 ・栽培棚
積算資料
4)
より鋼板の価格から求めると295,500
円/
台横
2.7m
奥行き
1.26m
高さ
2.2m
栽培棚 パネル穴数
24
個 パネル数30
枚 育苗棚 パネル穴数120
個 パネル数30
枚表
1
栽培棚寸法規格図11 栽培棚
2.7m 2.2m
1.26m
4)
「月刊積算資料」,
一般財団法人,
経済調査団,
第1254
号,
(2012
)モデル化③
■年間生産量算出式 栽培棚数:
36
台36
台×30
枚/
台=1,080
枚栽培パネル数:
900
枚 育苗パネル数:180
枚育成期間(苗~収穫)を
20
日とする365
日/20
日×900
×24=394,200
株 歩留まり率90%
で生産量354,780
株/
年図
12
栽培パネル図
13
育苗パネル90cm 60cm
15cm 15cm
3cm
3cm
コスト推定①
・エアーシャワー:
1
回で1
分間稼働、6
回使用
0.8kw
×6
回×1h/60
×+0.02kw
×24h= 0.56kWh/
日0.56kWh/
日×365
日=204.4kWh/
年・エアコン:
24
時間稼働
2.92kWh/
日×6
台×24h
×365
日=153,475.2kWh/
年・蛍光灯:
16
時間稼働
40
×10 -3 kW
×2,160
本×16h/
日×365
日=504,576kWh/
年・エアーポンプ:
24
時間稼働
40
×10 -3 kW
×24h
×365
日×6
台=2,102.4kWh/
年・総消費電力
204.4kWh/
年+153,475.2kWh/
年+504,576kWh/
年+2,102.4kWh/
年=660,358 kWh/
年・電気料金
660,358kWh/
年×16.5
円=10,895,907
円/
年電気使用量と料金の計算
コスト推定②
表2 年間コスト一覧
設置費
建屋工事費 発泡ウレタン 300 m
2
12,612,600 91 坪
内装設備費
エアーシャワー PCJ-86 1 台 1,664,250 エアコン T40-H1 6 台 2,326,800
栽培棚
鋼板 36 棚 10,638,000
蛍光灯 2,160 本 432,000
エアーポンプ LP-50A 6 台 264,600
溶接工 72 人・日 2,066,400
合計 13,401,000
軽トラック 1 台 582,750 内装工事費
電工 2 人 112,630
配管工 2 人 162,800
設備機械工 2 人 47,800
合計 30,910,630
変動費
電気代
エアーシャワー 204 kWh
10,892,534 エアコン 153,475 kWh
蛍光灯 504,576 kWh エアーポンプ 2,102 kWh 総消費電力 660,154 kWh
水道代 770 m3 153,900
種苗費 リーフレタス 336,960 本 33,696
人件費 5 人 12,000,000
肥料費 2,213 円/坪 201,182
材料費 培地、ポット 336,960 本 353,808
包材費 336,960 本 3,097,895
消耗品費 蛍光灯 2,160 本/2年 216,000
廃棄物処理費 蛍光灯 2,160 本/2年 91,800
維持費 車検 50,890 年/2 25,445
合計 27,066,260
販売管理費 物流費 3,120 km
25,958 181 L
合計 25,958
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 販売量 335,340 354,780 354,780 354,780 354,780 354,780 354,780 354,780 354,780 354,780 販売単価 107 107 107 107 107 107 107 107 107 107 変動費 24,322,725 24,322,725 24,322,725 24,322,725 24,322,725 24,322,725 24,322,725 24,322,725 24,322,725 24,322,725 販売管理費 25,958 25,958 25,958 25,958 25,958 25,958 25,958 25,958 25,958 25,958 売上 35,881,380 37,961,460 37,961,460 37,961,460 37,961,460 37,961,460 37,961,460 37,961,460 37,961,460 37,961,460 利益 11,532,697 13,612,777 13,612,777 13,612,777 13,612,777 13,612,777 13,612,777 13,612,777 13,612,777 13,612,777 法人税 5,766,348 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 税引後利益 5,766,348 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 6,806,388 金利 1,545,887 1,545,887 1,545,887 1,545,887 1,545,887 1,545,887 1,545,887 1,545,887 1,545,887 1,545,887 設備投資費 30,917,740
CF 30,917,740 4,220,461 5,260,501 5,260,501 5,260,501 5,260,501 5,260,501 5,260,501 5,260,501 5,260,501 5,260,501 現在価値 30,917,740 3,836,783 4,347,522 3,952,293 3,592,993 3,266,358 2,969,416 2,699,469 2,454,063 2,230,966 2,028,151 累積現在価値 30,917,740 27,080,957 22,733,435 18,781,142 15,188,149 11,921,792 8,952,376 6,252,907 3,798,844 1,567,878 460,273
表3
DCF法(10年間運営すると想定)
DCF 法
レタスの販売価格比較
植物工場産
1,100~1,500
円/kg
露地物300~600
円/kg
5)
5)東洋経済オンラインhttp://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/dc101c724d028c7da170521efcaa6896/page/1/
補助金なしでも
1,338
円/kg
市販されている価格で販売10
年で回収(単位
:
円)エネルギー 使用量
CO 2
排出原単位CO 2
排出量電気
660,358kWh 0.464 kg-CO 2 /kWh 306,311 kg-CO 2 /
年 水道769.5m 3 0.36 kg-CO 2 /m 3 277 kg-CO 2 /
年 ガソリン181L 2.32 Kg-CO 2 /L 421 kg-CO 2 /
年 合計307,009 kg-CO 2 /
年表
4
各エネルギーの年間CO 2
排出量CO 2 排出量の推定
植物工場産リーフレタス
→13kg-CO 2 /kg
露地栽培産リーフレタス→0.4kg-CO 2 /kg 5)
6)荒井 智久;「植物生産におけるCO2排出量とコスト削減方法の検討」,(2009)
露地物と比較すると
27
倍もCO 2
排出量が多い理想的な植物工場①
蛍光灯
LED
蛍光灯LED
パネル 単位消費電力
40 20 17 w
単価
200 3,000 41,000
円設置数
2,160 2,160 180
イニシャルコスト
432,000 6,480,000 7,380,000
円 ランニングコスト8,325,504 4,162,752 294,862
円/
年廃棄
91,800 0 0
円交換
432,000 6,480,000 7,380,000
円寿命
2 6 6
年表5 各光源の使用時のデータ
上記のデータよりコストペイバックタイムを求める
理想的な植物工場②
0 10,000,000 20,000,000 30,000,000 40,000,000 50,000,000 60,000,000 70,000,000 80,000,000 90,000,000
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
コスト/円
使用期間/年
図14 各種光源のコストペイバックタイム
蛍光灯 LED蛍光灯 LEDパネル
理想的な植物工場③
・機能性成分
・薬用植物
・遺伝子組換え
(千葉大学植物工場研究センター)
・洗わずに食べられる
・無農薬
・ロスが少ない
(一般的な植物工場)
植物工場でしか作れない野菜
植物の生育に必要な波長 を作る事が出来る
図
15
植物生育に有効な波長域結果
LED
による低コスト生産が可能LED
による高品質野菜の生産が可能 補助金なしでの経営が可能CO 2
排出量は電気消費量に大きく起因結言
◇売る為の工夫などの検討
◇設備の検討
◇運営コストの内訳の検討
◇
LED
による栽培について検討今後の課題
◇補助金が無くても経済的に自立が可能
◇
LED
を用いれば理想的な植物工場も設立可能 植物工場のモデル化の結果