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「水泳・水中運動」の授業概要およびその成果

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「水泳・水中運動」の授業概要およびその成果

1 .はじめに

体育・スポーツ系大学における水泳教育の果 たすべき役割は大きいのではないかとその可能 性について検討した(稲垣2007)。水という媒 体を通じその専門性を極めること,人と向き合 いコーチング能力を高めること,事故防止やレ スキューから命の尊厳を学ぶことを通じて,学 生は泳げるようになり,セルフレスキューから 仲間をレスキューという段階を踏まえながら学 習が進むことで,水泳教育が救命,つまり命の 尊厳をコアに内在できる可能性を秘め,スポー ツ専門家として社会から求められ,社会を支え ることのできる水泳教育の 1 つの可能性を論じ た。そこで本研究では,水泳・水中運動を 1 つ の授業事例として取り上げ,その成果を検討す ることとする。

2 .授業概要

2 - 1 .履修学生

履修学生は26名(男子13名,女子13名)で,

所属学年は 1 年生16名, 2 年生 7 名, 3 年生 3 名であった。この科目は, 1 年次以降から履修 が可能で,選択必修科目のスポーツ実技として 開設されていた。

2 - 2 .授業期間および場所

授業期間は2011年 4 月27日から 7 月20日で,

毎週水曜日の 4 限に行われた。当初は 4 月上旬 からの授業開始予定であったが,直前の 3 月に 発生した東日本大震災のため,授業スケジュー ルが変更となった。実技授業に加え,課題学 習を取り入れながら,授業は展開された。授 業実施場所は,25m× 6 コースの室内プールで,

気温は30度,水温は28度に概ね保たれていた。

プールの水深は1.2m〜2.0mであった。

《論 文》

「水泳・水中運動」の授業概要およびその成果

稲垣 裕美

The outline and the effects of“swimming”class

Yuumi INAGAKI キーワード:水泳,指導,ウォーターセーフティー Key Words: swimming, coaching, teaching, water safety

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2 - 3 .授業のねらい

学生は,クロール,平泳ぎ,背泳ぎ,バタフ ライの 4 泳法の技術確認や習得とその指導法に ついて学んだ。また,子どもから高齢者を対象 にした多様な水中運動を体験し,その指導ポイ ントを明確にするとともに,指導力を養成した。

なお,水中で活動を行うため,安全への配慮に ついても合わせて触れた。

2 - 4 .授業内容

水泳・水中運動の主な内容は表 1 の通りで あった。最初に 4 泳法を取り上げ,自分が泳げ るから,仲間を泳げるようにさせることを基本 テーマに,二人組のペアとなり,ペア(相手)

に教えるという指導者視点での学習活動を行っ た。その後は,水中運動を題材にしたが,そ こでも,指導者視点での学習は継続した。水 中運動では,リズム水泳,水中歩行,アクアビ クス,水中ストレッチや浮力体を用いたリラク セーション法,水中ビーチバレーなどを取り上 げた。また,授業において,毎回,準備体操の 後にウォームアップを兼ねて最初に10分間泳を 行った。学生は,泳ぐ前と後に触診で心拍数を 10秒間測定し,実際に泳いだ泳距離とともに心 拍数を記録に残した。10分間泳とは,泳法を問 わず10分間止まらず持続的に泳ぐことで,有酸 素能力の維持向上,水泳運動効率の向上,水泳 運動の自己認識をねらいとして,古くから高橋

(1983)らが授業内容に取り入れその成果を研 究してきたものである。10分間泳での泳ぎの感 覚が,泳能力向上の有用なパラメーターになっ ていると本間(2004)も報告している。

3 .授業の評価

3 - 1 .対象の学生

履修学生は26名であったが,その中から,出 席率が2/3以上で,かつ,調査日のすべてを欠 席しなかった学生19名(男子11名,女子 8 名)

を対象とした。対象となった学生の所属学年は,

1 年生が14名(73.7%), 2 年生が 3 名(15.8%),

3 年生が 2 名(10.5%), 4 年生 0 名(0%)で,

1 年生が多く履修する授業であった。この学 生の授業への参加状況は,図 1 の通り,欠席 0 回が 7 名,欠席 1 回が11名,欠席 2 回が 1 名で,

高い出席状況にあった。

3 - 2 .泳力測定

泳力の測定日は,初回, 1 ヶ月後(中間),

最終回(約 2 ヶ月後)を目安に,2011年 5 月11 日, 6 月15日, 7 月20日の計 3 回,授業時間内 に行った。より正確なデータを得るために学生 同士で 2 人組になり,お互いが交互に泳者と記 録者になって実施した。学生は,泳ぐ 1 分前と 運動終了後20秒後に触診で心拍数を10秒間測定

表 1  水泳・水中運動の主な内容

授業 内容

1 オリエンテーション

2 水慣れ

3 背泳ぎ

4 クロール 5 バタフライ

6 平泳ぎ

7 リズム水泳

8 水中運動 1 (基本動作)

9 水中運動 2 (アクアビクス)

10 水中運動 3 (リラクセーション)

11 水中運動 4 (多様な運動)

12 実技試験

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3

「水泳・水中運動」の授業概要およびその成果

し記録者に申告し記入してもらった。また,実 際に泳いだ10分間の泳距離については測定者の 目視でプールにある 5 m間隔の目印を参考に算 出し記録した。

3 - 3 .学生によるアンケート調査

学生によるアンケート調査は,初回,最終回 を目安に,2011年 5 月11日, 7 月20日の計 2 回 行った。配布されたアンケート用紙に各自で回 答し提出した。回収率は100%であった。

3 - 4 .振り返りのレポート課題

学生による授業を振り返るレポート課題を最 終回の2011年 7 月20日に行った。配布された用 紙に各自で自由に記述して提出した。

4 .授業の成果

4 - 1 .泳力測定の結果と考察

泳力測定として行った10分間泳の泳距離の結 果は図 2 の通りである。値は他学生19名の平均 値で,学生はクロールまたは平泳ぎを選択し て泳いでいる。授業開始前の状態は383.8mで あるが,授業が進み約 1 ヶ月後には435.9mに

距離が52.1m増え,その 1 ヶ月後の最終回(最 初からみて約 2 ヶ月後)には447.6mに距離が 11.7m増えている。初回からみると最終回は 63.8m伸びているが,これは,授業の度毎に行 われた10分間泳や授業での指導実習で泳技術が 習得されたことによるものでることが推測され る。また,初回, 1 ヶ月後,最終回で得られた 数値に関して統計処理を行うと,初回と 1 ヶ月 後, 1 ヶ月後と最終回,初回と最終回,すべて の間に有意な差が認められた。泳距離の変化に ついては,授業を開始してから約 1 ヶ月後にそ の泳距離が伸びていることから,泳技術が向上 していると言える。また,その向上は,授業が 行われている 2 ヶ月以上の期間においても,継 続していると言える。

次に,10分間泳を始める 1 分前と運動終了後 20秒後に測定した平均心拍数の結果は図 3 の通 りである。運動開始前の平均心拍数は,初回 76.2回/分, 1 ヶ月後68.5回/分,最終回65.1回/分 であり,運動終了後の平均心拍数は,初回122.9 回/分, 1 ヶ月後120.9回/分,最終回126.3回/分 である。運動前後で差があることは,当然のこ とでだが,運動開始前の初回と 1 ヶ月後, 1 ヶ 月後と最終回,初回と最終回,すべての間に有 図 1  授業の欠席回数

- 3 - 3.授業の評価

3-1.対象の学生

履修学生は 26 名であったが、その中から、出席率が 2/3 以上で、かつ、調査 日のすべてを欠席しなかった学生 19 名(男子 11 名、女子 8 名)を対象とした。

対象となった学生の所属学年は、 1 年生が 14 名 (73.7%)、 2 年生が 3 名 (15.8%)、

3 年生が 2 名(10.5%)、4 年生 0 名(0%)で、1 年生が多く履修する授業であ った。この学生の授業への参加状況は、図 1 の通り、欠席 0 回が 7 名、欠席 1 回が 11 名、欠席 2 回が 1 名で、高い出席状況にあった。

図 1 授業の欠席回数

3-2.泳力測定

泳力の測定日は、初回、1 ヶ月後(中間)、最終回(約2ヶ月後)を目安に、

2011 年 5 月 11 日、6 月 15 日、7 月 20 日の計3回、授業時間内に行った。より 正確なデータを得るために学生同士で 2 人組になり、お互いが交互に泳者と記 録者になって実施した。学生は、泳ぐ 1 分前と運動終了後 20 秒後に触診で心拍 数を 10 秒間測定し記録者に申告し記入してもらった。また、実際に泳いだ 10 分間の泳距離については測定者の目視でプールにある 5m 間隔の目印を参考に算 出し記録した。

3-3.学生によるアンケート調査

学生によるアンケート調査は、初回、最終回を目安に、2011 年 5 月 11 日、7 月 20 日の計 2 回行った。配布されたアンケート用紙に各自で回答し提出した。

7

11

1 01

23 45 67 89 1011 12

0回 1回 2回

(人)

(人)

(4)

4

意な差がなく,また,運動開始後についても,

同様に有意な差はない。これは,心拍数からみ て,毎回,学生が同じ運動強度でスイム運動が できていたと言える。

また,10分間泳そのものの運動強度を考えて みてみると,高橋(1983)らは,男子学生は 160〜200回/分の範囲に分布し,最頻値は180〜

190回/分,女子学生は150〜190回/分の範囲に

分布し,最頻値は180〜190回/分,加えて160 回/分で安定している女子学生も多いと報告し ており,その報告と比較すると,本研究は120 回/分程度の運動であることから,運動強度は 自覚的運動強度(小野寺ら1976)のややきつい から楽に感じる間のレベルで行われており,学 生は比較的楽なレベルで泳いでいることがわか る。

図 2  10分間泳における泳距離の変化

- 4 - 回収率は 100%であった。

3-4.振り返りのレポート課題

学生による授業を振り返るレポート課題を最終回の 2011 年 7 月 20 日に行っ た。配布された用紙に各自で自由に記述して提出した。

4.授業の成果

4-1.泳力測定の結果と考察

泳力測定として行った 10 分間泳の泳距離の結果は図 2 の通りである。値は他 学生 19 名の平均値で、学生はクロールまたは平泳ぎを選択して泳いでいる。授 業開始前の状態は 383.8m であるが、授業が進み約 1 ヶ月後には 435.9m に距離 が 52.1m 増え、その 1 ヶ月後の最終回(最初からみて約 2 ヶ月後)には 447.6m に距離が 11.7m 増えている。初回からみると最終回は 63.8m伸びているが、こ れは、授業の度毎に行われた 10 分間泳や授業での指導実習で泳技術が習得され たことによるものでることが推測される。また、初回、1 ヶ月後、最終回で得ら れた数値に関して統計処理を行うと、初回と 1 ヶ月後、1 ヶ月後と最終回、初回 と最終回、すべての間に有意な差が認められた。泳距離の変化については、授 業を開始してから約1ヶ月後にその泳距離が伸びていることから、泳技術が向 上していると言える。また、その向上は、授業が行われている 2 ヶ月以上の期 間においても、継続していると言える。

図 2 10 分間泳における泳距離の変化

383.8

435.9 447.6

350 400 450 500 550

初回 1ヶ月後 最終回

(m)

***

*** *

***p<0.001 *p<0.05

図 3  10分間泳の運動前後における心拍数の変化

- 5 -

次に、10 分間泳を始める 1 分前と運動終了後 20 秒後に測定した平均心拍数の 結果は図 3 の通りである。運動開始前の平均心拍数は、初回 76.2 回/分、1 ヶ月 後 68.5 回/分、最終回 65.1 回/分であり、運動終了後の平均心拍数は、初回 122.9 回/分、1 ヶ月後 120.9 回/分、最終回 126.3 回/分である。運動前後で差がある ことは、当然のことでだが、運動開始前の初回と 1 ヶ月後、1 ヶ月後と最終回、

初回と最終回、すべての間に有意な差がなく、また、運動開始後についても、

同様に有意な差はない。これは、心拍数からみて、毎回、学生が同じ運動強度 でスイム運動ができていたと言える。

図 3 10 分間泳の運動前後における心拍数の変化

また、10 分間泳そのものの運動強度を考えてみてみると、高橋(1983)らは、

男子学生は 160〜200 回/分の範囲に分布し、最頻値は 180〜190 回/分、女子学 生は 150〜190 回/分の範囲に分布し、最頻値は 180〜190 回/分、加えて 160 回/

分で安定している女子学生も多いと報告しており、その報告と比較すると、本 研究は 120 回/分程度の運動であることから、運動強度は自覚的運動強度(小野 寺ら 1976)のややきついから楽に感じる間のレベルで行われており、学生は比 較的楽なレベルで泳いでいることがわかる。

4-2.アンケート調査の結果と考察

学生によるアンケート調査の結果は図 4〜12 の通りである。授業開始前の泳 法別に関する泳技能の自己評価(図 4 )では、泳げる泳法は、クロールと平泳ぎ

76.2 68.5 65.1

122.9 120.9 126.3

0 20 40 60 80 100 120 140

初回 1ヶ月後 最終回

運動前の心拍数 運動後の心拍数

(回)

(5)

5

「水泳・水中運動」の授業概要およびその成果

4 - 2 .アンケート調査の結果と考察 学生によるアンケート調査の結果は図 4 〜12 の通りである。授業開始前の泳法別に関する泳 技能の自己評価(図 4 )では,泳げる泳法は,

クロールと平泳ぎが多く,泳げない泳法は背泳 ぎとバタフライと答えている。小学校や中学校 での水泳授業は,クロールと平泳ぎを中心に行 われていることから,その教育を受けたであろ う大学生の持つ技能としてはごく自然な結果で ある。

授業の前後におけるクロール泳に関する泳技 能の自己評価を図 5 に示す。授業の前後での大 おきな変化はなく,クロールが泳げなかった学 生 2 名が泳げるように成長していったことがわ かる。

授業の前後における平泳ぎに関する泳技能の 自己評価を図 6 に示す。授業の前後での大きな 変化はなく,クロールと同様に,平泳ぎの泳げ なかった学生 3 名が泳げるように成長していっ

たことがわかる。

授業の前後における背泳ぎに関する泳技能の 自己評価を図 7 に示す。授業の前後での大きな 変化がみられる。背泳ぎができなかった学生は 6 名で,どちらかと言えば泳げないという学生 2 名を含めるとおよそ全体の半数近くが背泳ぎ をうまく泳ぐことができない状態であったが授 業最終回には, 1 名以外の18名が泳げるまたは どちらかと言えば泳げると回答しており,ほぼ 全員が泳げるように成長していることがわかる。

授業の前後におけるバタフライに関する泳技 能の自己評価を図 8 に示す。授業の前後での変 化がみられる。バタフライのできなかった学生 は 8 名から 3 名に減っており,数名ではあるが 泳げるように成長していることがわかる。

授業開始前における泳法別の指導に関する自 己評価を図 9 に示す。クロールと平泳ぎでは,

指導することができると答えた者は 3 名いるが,

自身が泳げない泳法である背泳ぎとバタフライ

図 4  授業開始前の泳法別に関する泳技能の自己評価

- 6 -

が多く、泳げない泳法は背泳ぎとバタフライと答えている。小学校や中学校で の水泳授業は、クロールと平泳ぎを中心に行われていることから、その教育を 受けたであろう大学生の持つ技能としてはごく自然な結果である。

図 4 授業開始前の泳法別に関する泳技能の自己評価

授業の前後におけるクロール泳に関する泳技能の自己評価を図 5 に示す。授 業の前後での大おきな変化はなく、クロールが泳げなかった学生 2 名が泳げる ように成長していったことがわかる。

泳げる どちらかと言 えば泳げる

どちらかと言

えば泳げない 泳げない

クロール 12 4 1 2

平泳ぎ 11 3 2 3

背泳ぎ 7 4 2 6

バタフライ 5 1 5 8

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

(人)

(6)

6

については,教えることができないと答える学 生が多い。

しかし,授業を受けてその指導法を学び,仲 間に実践指導することで,授業終了時には,多

くの学生がそれぞれの泳法の指導ができるよ うになったと回答している(図10)。まだまだ,

指導実践の時間は短く,自分の指導に自信が持 てないのかもしれないが,実際に泳げない仲間

- 7 -

図 5 授業の前後におけるクロール泳に関する泳技能の自己評価

授業の前後における平泳ぎに関する泳技能の自己評価を図 6 に示す。授業の 前後での大おきな変化はなく、クロールと同様に、平泳ぎの泳げなかった学生 3 名が泳げるように成長していったことがわかる。

図 6 授業の前後における平泳ぎに関する泳技能の自己評価

泳げる どちらかと言え ば泳げる

どちらかと言え

ば泳げない 泳げない

前 12 4 1 2

後 14 4 1 0

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

泳げる どちらかと言え ば泳げる

どちらかと言え

ば泳げない 泳げない

前 11 3 2 3

後 14 4 1 0

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

図 5  授業の前後におけるクロール泳に関する泳技能の自己評価

(人)

- 7 -

図 5 授業の前後におけるクロール泳に関する泳技能の自己評価

授業の前後における平泳ぎに関する泳技能の自己評価を図 6 に示す。授業の 前後での大おきな変化はなく、クロールと同様に、平泳ぎの泳げなかった学生 3 名が泳げるように成長していったことがわかる。

図 6 授業の前後における平泳ぎに関する泳技能の自己評価

泳げる どちらかと言え ば泳げる

どちらかと言え

ば泳げない 泳げない

前 12 4 1 2

後 14 4 1 0

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

泳げる どちらかと言え ば泳げる

どちらかと言え

ば泳げない 泳げない

前 11 3 2 3

後 14 4 1 0

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

図 6  授業の前後における平泳ぎに関する泳技能の自己評価

(人)

(7)

7

「水泳・水中運動」の授業概要およびその成果

に対し,簡単な技能取得から徐々に難しくする 段階を踏む教え方をすることで,教えたり教 わったりする関係が何度も繰り返され,その成 功体験が蓄積でき,または,失敗経験となって

も気の置ける仲間とのコミュニケーションから 修正して再度実践でき,一様の成長につながっ たことが推測できる。この様な過程から,各泳 法の指導ポイントが明確になり,指導力が養わ

- 8 -

授業の前後における背泳ぎに関する泳技能の自己評価を図 7 に示す。授業の 前後での大きな変化がみられる。背泳ぎができなかった学生は 6 名で、どちら かと言えば泳げないという学生 2 名を含めるとおよそ全体の半数近くが背泳ぎ をうまく泳ぐことができない状態であったが授業最終回には、 1 名以外の 18 名 が泳げるまたはどちらかと言えば泳げると回答しており、ほぼ全員が泳げるよ うに成長していることがわかる。

図 7 授業の前後における背泳ぎに関する泳技能の自己評価

授業の前後におけるバタフライに関する泳技能の自己評価を図 8 に示す。授 業の前後での変化がみられる。バタフライのできなかった学生は 8 名から 3 名 に減っており、数名ではあるが泳げるように成長していることがわかる。

泳げる どちらかと言え ば泳げる

どちらかと言え

ば泳げない 泳げない

前 7 4 2 6

後 12 5 2 0

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

図 7  授業の前後における背泳ぎに関する泳技能の自己評価

(人)

- 9 -

図 8 授業の前後におけるバタフライ泳に関する泳技能の自己評価

授業開始前における泳法別の指導に関する自己評価を図 9 に示す。クロール と平泳ぎでは、指導することができると答えた者は 3 名いるが、自身が泳げな い泳法である背泳ぎとバタフライについては、教えることができないと答える 学生が多い。

図 9 授業前における泳法別の指導に関する自己評価

泳げる どちらかと言え ば泳げる

どちらかと言え

ば泳げない 泳げない

前 5 1 5 8

後 6 5 5 3

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

できる どちらかと言 えばできる

どちらかと言

えばできない できない

クロール 3 5 6 5

平泳ぎ 3 5 6 5

背泳ぎ 2 5 4 8

バタフライ 1 3 5 10

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

図 8  授業の前後におけるバタフライ泳に関する泳技能の自己評価

(人)

(8)

8

れたものと言える。

授業開始前における安全面に関する自己評価 を図11に示す。自分の安全は守れるが,他人の 安全までは難しいと考えている学生が多いこと

が読み取れる。

授業終了時における安全面に関する自己評価 を図12に示す。自分の安全は守れるが,他人の 安全までは難しいと考えていた学生たちが,自

- 9 -

図 8 授業の前後におけるバタフライ泳に関する泳技能の自己評価

授業開始前における泳法別の指導に関する自己評価を図 9 に示す。クロール と平泳ぎでは、指導することができると答えた者は 3 名いるが、自身が泳げな い泳法である背泳ぎとバタフライについては、教えることができないと答える 学生が多い。

図 9 授業前における泳法別の指導に関する自己評価

泳げる どちらかと言え ば泳げる

どちらかと言え

ば泳げない 泳げない

前 5 1 5 8

後 6 5 5 3

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

できる どちらかと言 えばできる

どちらかと言

えばできない できない

クロール 3 5 6 5

平泳ぎ 3 5 6 5

背泳ぎ 2 5 4 8

バタフライ 1 3 5 10

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

図 9  授業前における泳法別の指導に関する自己評価

(人)

図10 授業後における泳法別の指導に関する自己評価

- 10 -

しかし、授業を受けてその指導法を学び、仲間に実践指導することで、授業 終了時には、多くの学生がそれぞれの泳法の指導ができるようになったと回答 している(図 10 ) 。まだまだ、指導実践の時間は短く、自分の指導に自信が持て ないのかもしれないが、実際に泳げない仲間に対し、簡単な技能取得から徐々 に難しくする段階を踏む教え方をすることで、教えたり教わったりする関係が 何度も繰り返しされ、その成功体験が蓄積でき、または、失敗経験となっても 気の置ける仲間とのコミュニケーションから修正して再度実践でき、一様の成 長につながったことが推測できる。各泳法の指導ポイントが明確になり、指導 力が養われたものと言える。

図 10 授業後における泳法別の指導に関する自己評価

授業開始前における安全面に関する自己評価を図 11 に示す。自分の安全は守 れるが、他人の安全までは難しいと考えている学生が多いよう読み取れる。

できる どちらかと言 えばできる

どちらかと言

えばできない できない

クロール 9 9 1 0

平泳ぎ 8 7 4 0

背泳ぎ 8 8 2 1

バタフライ 3 6 8 2

0 2 4 6 8 10 12 14 16

(人)

(人)

(9)

9

「水泳・水中運動」の授業概要およびその成果

分や仲間の安全に対して,守れる,どちらかと 言えば守れると答えている。自分や他人を守れ ない,一次救命処置ができないと答えた学生は いない。どちらかと言えばできないと答えてい るものが 1 名いるのみで,あとは,できる,ど

ちらかと言えばできると答えている。授業を通 じ,プールでの水中活動を具体的にイメージす ることができ,仲間を指導する際に,具体的な 安全面の配慮について理解できるようになった ことが推測される。

図11 授業前における安全面に関する自己評価

- 11 -

図 11 授業前における安全面に関する自己評価

授業終了時における安全面に関する自己評価を図 12 に示す。自分の安全は守 れるが、他人の安全までは難しいと考えていた学生たちが、自分や仲間の安全 に対して、守れる、どちらかと言えば守れると答えている。自分や他人を守れ ない、一次救命処置ができないと答えた学生はいない。どちらかと言えばでき ないと答えているものが1名いるのみで、あとは、できる、どちらかと言えば できると答えている。授業を通じ、プールでの水中活動を具体的にイメージす ることができ、仲間を指導する際に、具体的な安全面の配慮について理解でき るようになったことが推測される。

できる どちらかと言 えばできる

どちらかと言

えばできない できない

自分の安全を守ること 8 10 0 1

他人の安全を守ること 4 4 9 2

一次救命処置 6 6 4 3

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

(人)

(人)

図12 授業後における安全面に関する自己評価

- 12 -

図 12 授業後における安全面に関する自己評価

5.まとめ

泳力技術に関しては、泳距離の変化から、授業を開始して約1ヶ月後には泳技 術の向上がみられ、授業が行われている2ヶ月以上の間、継続していた。

クロールや平泳ぎは、学生がもともと泳げる泳ぎだったこともあり、泳技能の 獲得を読み取ることはできないが、背泳ぎについては、ほぼ全員の学生が泳げる ようになったと自己評価しており、その成果は大きかった。

指導に関しては背泳ぎとバタフライについては、教えることができないと答え る学生が多かったが、実際に泳げない仲間を泳げるようにさせた(させられた)

という成功体験から、泳法の指導ポイントが明確になり、学生の指導力が養われ た。

安全面に関しては、自分の安全は守れても、他人の安全までは難しいと考えて いたが、授業を通じ、仲間を指導する実技実習の中で、具体的な安全面の配慮に ついて考えながら指導していたことで、他人の安全を守れるようになった。

6.参考文献

・ 稲垣 裕美(2007)体育・スポーツ系大学における水泳教育の果たすべき役 割.流通経済大学スポーツ健康科学部開校記念論文集.113-122.

・ 高橋 伍郎,坂田 勇夫, 椿本 昇三(1983)正課体育受講学生の 10 分間水泳 時における心拍数の変動.大学体育研究 5:25-36.

できる どちらかと言 えばできる

どちらかと言

えばできない できない

自分の安全を守ること 18 1 0 0

他人の安全を守ること 9 9 1 0

一次救命処置 10 8 1 0

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

(人)

(人)

(10)

10

5 .まとめ

泳力技術に関しては,泳距離の変化から,授 業を開始して約 1 ヶ月後には泳技術の向上がみ られ,授業が行われている 2 ヶ月以上の間,継 続していた。

クロールや平泳ぎは,学生がもともと泳げる 泳ぎだったこともあり,泳技能の獲得を読み取 ることはできないが,背泳ぎについては,ほぼ 全員の学生が泳げるようになったと自己評価し ており,その成果は大きかった。

指導に関しては背泳ぎとバタフライについて は,教えることができないと答える学生が多 かったが,実際に泳げない仲間を泳げるように させた(させられた)という成功体験から,泳 法の指導ポイントが明確になり,学生の指導力

が養われた。

安全面に関しては,自分の安全は守れても,

他人の安全までは難しいと考えていたが,授業 を通じ,仲間を指導する実技実習の中で,具体 的な安全面の配慮について考えながら指導して いたことで,他人の安全を守れるだろうと考え るようになった。

参考文献

稲垣 裕美(2007)体育・スポーツ系大学における水泳 教育の果たすべき役割.流通経済大学スポーツ健 康科学部開校記念論文集.113-122.

高橋 伍郎,坂田 勇夫, 椿本 昇三(1983)正課体育受講 学生の10分間水泳時における心拍数の変動.大学 体育研究 5:25-36.

本間 三和子(2004)大学体育としての「アクアエクサ サイズ」授業の可能性.大学体育研究.26:37-48.

小野寺孝一,宮下充正(1976)全身持久性運動におけ る主観的強度と客観的強度の対応性.体育学研究.

21:191-203.

Referensi

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