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PRESS RELEASE

令和 5 年 11 月 7 日

Frontiers in Neurology (2023 年 11 月 2 日)

くも膜下出血後に発生する遅発性脳血管攣縮※1の予防や治療のための使用薬剤や管理方法は全国で統 一されておらず、各施設で様々である。そこで、全国の日本脳卒中の外科学会技術指導医、技術認定 医の在籍する施設に対してアンケート調査を実施し、2021 年時点でのくも膜下出血に対する施設の 治療方針、術後管理方法、脳血管攣縮に対する予防的薬剤の使用方法、発生時の対処方法に関する実 態を明らかにした。9種類の脳血管攣縮に対する薬剤中では、シロスタゾールの単剤もしくは併用投 与が脳血管攣による脳梗塞を減らしていることを確認した。

研究成果の概要

本研究は、名古屋市立大学 脳神経外科学講座 間瀬光人教授が研究代表、西川祐介助教が主とな り、SAH/スパズム・シンポジウム学会と日本脳卒中の外科学会の協力を得て、日本脳卒中の外科学会 技術指導医もしくは技術認定医に対して 2022 年 11 月にアンケート調査を実施した。2021 年 1 月 から 12 月の一年間に、全国の病院で治療を受けたくも膜下出血患者のうち、破裂脳動脈瘤に対して 発症から 72 時間以内に急性期治療が行われた患者を対象とし、急性期治療の詳細を質問した。

158施設におけるくも膜下出血患者3093人のうち、遅発性脳血管攣縮による脳梗塞は281人

(9.1%)であった。開頭クリッピング術※2を受けた 1401 人中では 165 人(11.7%)であったのに 対して、脳血管内治療※3を受けた 1692 人中では 116 人(6.8%)と遅発性脳血管攣縮による脳梗塞 の発生頻度が有意に低いことが明らかとなった。

また、脳血管攣縮に対する薬剤の中では、シロスタゾールと塩酸ファスジルとスタチンの 3 剤併用 療法が最も遅発性脳血管攣縮による脳梗塞の発症率が低いことを初めて明らかにした。

本研究成果は、2023 年 3 月 16 日にパシフィコ横浜で開催された第 39 回 SAH/スパズム・シンポ ジウム(会長:間瀬光人)と 2023 年 10 月 26 日にパシフィコ横浜で開催された日本脳神経外科学会 第 82 回学術総会において、西川祐介がシンポジウムで講演発表するとともに、『Frontiers in

Neurology』に掲載された。

【背景】

くも膜下出血は、死亡率が高く、意識障害や片麻痺、失語症など重症の後遺症を来しやすい疾患であ る。破裂脳動脈瘤に対する再破裂予防の急性期治療が上手くいっても、その後 2 週間以内に発生する

シロスタゾールに、くも膜下出血後の遅発性脳血管攣縮による脳梗塞を減少させる 効果!~全国アンケート調査~

文部科学記者会、科学記者会、厚生労働記者会他

名古屋教育医療記者会と同時発表 公立大学法人 名古屋市立大学

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遅発性脳血管攣縮によって新たに脳梗塞を発症して、重症な後遺症を来すことがあるため、各施設で 様々な術後の管理・治療が行われている。脳卒中治療ガイドラインでは、様々な治療方法、脳血管攣 縮に対する薬剤が推奨されており、標準化されていない。遅発性脳血管攣縮による脳梗塞の発症率 や、予防的治療方法や使用薬剤の地域格差についての全国調査はこれまで行われていなかったため、

SAH/スパズム・シンポジウム学会と日本脳卒中の外科学会の協力を得て、全国の日本脳卒中の外科学 会技術指導医、技術認定医の在籍する施設に対してアンケート調査を実施した。

【研究の方法】

対象は、日本脳卒中の外科学会技術指導医、技術認定医の在籍施設(病院)とし、2021 年 1 月 1 日 から 2021 年 12 月 31 日までの期間で発症から 72 時間以内に破裂脳動脈瘤に対して再破裂予防の治 療を行ったくも膜下出血の患者について、治療内容の詳細を質問するアンケート調査を Google form を用いて実施した。個々の患者の年齢や性別、くも膜下出血の重症度や治療内容などの個人情報は収 集しなかった。また、個人が特定される可能性を考慮して回答された病院名も収集せず、代わりに病 院の所属する地域を質問した。遅発性脳血管攣縮に対する予防的に使用した薬剤については、塩酸フ ァスジル、オザグレルナトリウム、シロスタゾール、エダラボン、スタチン、ステロイド、ニカルジ ピン、クラゾセンタン、EPA 製剤の 9 種類(複数回答可)の使用状況を質問した。

【研究の成果】

日本脳卒中の外科学会技術指導医、技術認定医が在籍する553施設にアンケート調査を依頼し、

162施設(29%)から回答を得た。不十分な回答であった4施設を除外し、158施設のくも膜下出血 患者3093人を解析対象とした。3093人中、遅発性脳血管攣縮による脳梗塞は281人であり、発生率 は9.1%であった。破裂脳動脈瘤に対して再破裂予防目的に開頭クリッピング術を受けた 1401 人中 では 165 人(11.7%)、脳血管内治療(コイル塞栓術)を受けた 1692 人中では 116 人(6.8%)が 遅発性脳血管攣縮による脳梗塞を発症し、脳血管内治療(コイル塞栓術)の方が有意に少なかった。

また、約 8 割の施設で、くも膜下出血に対して何らかの髄液ドレナージが行われていたが、脳血管内 治療(コイル塞栓術)選択時は、約 8 割が腰部くも膜下腔ドレナージが行われていた。

遅発性脳血管攣縮に対する予防的に使用した薬剤については、塩酸ファスジルが回答した全ての施 設で使用されており、次いでシロスタゾール(57%)、オザグレルナトリウム(55%)、スタチン

(33%)で、その他は 3 割以下の使用率であった。地域差では、近畿地方と中国四国地方で遅発性脳 血管攣縮による脳梗塞の頻度が高く、関東地方がシロスタゾールの使用率が低く、オザグレルナトリ ウムの使用率が高かった。9 種類の薬剤の中では、シロスタゾールのみが単独投与での有効性が示さ れ、シロスタゾール以外の予防薬を使用した群と比較して遅発性脳血管攣縮による脳梗塞の発症率が 50%以下であった(オッズ比:0.48, p値:0.026)。さらに、シロスタゾールと塩酸ファスジルとス タチンの 3 剤併用が最も遅発性脳血管攣縮による脳梗塞の発症率が低かった(オッズ比:0.38, p 値:0.005)。

【研究のポイント】

・全国アンケート調査で、2021 年の一年間のくも膜下出血後の遅発性脳血管攣縮による脳梗塞の発 症状況、予防的治療方法、使用薬剤等について調査を行った。

・破裂脳動脈瘤に対する脳血管内治療(コイル塞栓術)が、開頭クリッピング術よりも遅発性脳血管 攣縮による脳梗塞の発症率が有意に低かった。

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・遅発性脳血管攣縮による脳梗塞に対して、様々な治療薬が全国で使用されているが、シロスタゾー ルが唯一、有効な薬剤であった。

【研究の意義と今後の展開や社会的意義など】

くも膜下出血後に発症する遅発性脳血管攣縮は、大きな後遺症を来す可能性が高く、その克服に向 けて、長年多くの研究が行われ、多くの薬剤の有効性が報告されてきた。脳卒中治療ガイドライン 2021[改訂 2023]においても、様々な治療方法、脳血管攣縮に対する薬剤が推奨されており、未だ 標準化されておらず、全国で様々な治療が行われている。これまで、くも膜下出血後の遅発性脳血管 攣縮に対する治療、使用薬剤の地域性や発症率等を調査する全国アンケート調査は実施されたことは なく、本調査研究により 2021 年時点での実態が明らかとなった。9 種類の薬剤の中で、シロスタゾ ールと塩酸ファスジルとスタチンの 3 剤併用が遅発性脳血管攣縮による脳梗塞に対して最も有効性が 高いことが示された。2022 年に新たにクラゾセンタンが保険収載され、使用頻度が高まっている が、他の遅発性脳血管攣縮に対する予防薬との併用については未知である。今回の全国アンケート調 査の結果は、最適な予防薬の組み合わせを検討していく上で参考になると考えられる。

【用語解説】

※1 遅発性脳血管攣縮:くも膜下出血をおこしてから3日目から 2~3 週間までの間に起こる現象 で、脳の血管が収縮して血液の流れが悪くなり脳梗塞を起こす。攣縮とは、血管が縮んで細くな ることでスパズムとも呼ばれる。

※2 開頭クリッピング術:脳動脈瘤の破裂を予防するための開頭手術。動脈瘤の頸部にクリップをか けて血流を遮断し破裂しないようにする。

※3 脳血管内治療:脳血管障害に対して行うカテーテル治療の総称。くも膜下出血を起こした脳動脈 瘤に対する脳血管内治療は、カテーテルを介して動脈瘤内部にコイル(プラチナでできた柔らか い糸)を充填させ血流が入らないようにするコイル塞栓術という。

【研究助成】

なし

【論文タイトル】

Japanese nationwide questionnaire survey on delayed cerebral infarction due to vasospasm after subarachnoid hemorrhage

【著者】西川 祐介1)*、山田 茂樹1,2)、内田 充1)、山中 智康1)、林 裕樹1)、片野 広之1)、 谷川 元紀1)、岩間 亨3)、飯原 弘二4)、森岡 基浩5)、間瀬 光人1)

所属 1;名古屋市立大学 脳神経外科学講座

2;東京大学大学院 情報学環 生産技術研究所 3;岐阜市民病院 脳神経外科

4;国立循環器病研究センター 脳神経外科 5;久留米大学 脳神経外科

(*:Corresponding Author)

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【掲載学術誌】

学術誌名:Frontiers in Neurology

DOI 番号:10.3389/fneur.2023.1296995.

【研究に関する問い合わせ】

名古屋市立大学 大学院医学研究科 脳神経外科学 助教 西川 祐介 住所:〒467-0001 愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1

【報道に関する問い合わせ】

名古屋市立大学 病院管理部経営課 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄 1

TEL:052-858-7113 FAX:052-858-7537 E-mail:[email protected]

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