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海水の多元素プロファイリングアナリシス

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海水の多元素プロファイリングアナリシス 一生物海洋化学的側面から一

原 口 紘 庶 、 薮 谷 智 規 、 紀 杉 、 稲 垣 和 三 *

1. はじめに 層圏オゾン層を形成したのである。そ 海洋は地球の表面積の約70%を占 の結果、地球は初期の嫌気性(還元的)

め、平均水深は約4,000mである。地球 雰囲気から、好気性(酸化的)雰囲気と の半径は約6,400 k mであるので、海洋 なった。この間の劇的環境変化におけ は地球全体から見れば約0.063%の厚さ る生物進化も、今日の生物多様性とも の薄い皮にすぎない。しかし、地球が 関連して、解明されなければならない 水の惑星と呼ばれ、恐らく宇宙で唯 一 重要な課題である。

生物が存在する惑星であるのは、この このような海洋は、我々人間を含む 海洋の存在によるものである。すなわ 生物の存在にとって大きな因子となる ち、常温の液体が地球の表面に存在す 地球気候も 支配している。すなわち、

ることが、生命を誕生させ、そして化 「海洋と生命」は我々研究者にとって、

学進化、生物進化を経て、現在の地球 終わることのない科学ロマンの研究対 生物を育んできたと考えられる[l]。 象である。

未だ解明されたとは言えないが、海洋 1920年代ロシ アの科学者Vernadskii は約43億年前には誕生し、約40億年前 は「生物圏 (biosphere)」の存在を提唱 に生命誕生の場となり、オゾン層が形 し、生物地球化学の先駆者としてその 成されて生物が上陸を始める約5億年 後の進歩に大きな影響を与えた [2]。 前までは、生物は海で多様な進化を遂 著者がここで提唱する「生物海洋化学 げてきた [2]。そして、現在でも海洋 (bio‑marine chemistry)」は、これまでの 生物資源は、我々人間にとって重要な 海洋化学が主に元素組成、元素分布、

食糧源となっている。 及び元素循環に関する研究であったの よく知られるように、約27億年前に に加えて、生物活動と元素分布の相関 ス トロマトライトによる光 合成が始ま とゆらぎ(変動)を加えた学問の体系化 り、酸素が供給され始められたのも海 をめざすものである。勿論、このよう 洋である。この光合成による酸素の供 な生物海洋化学的な内容をもつ研究は、

給は、海洋からの鉄の除去を行った後、 これまでにも多数行われているが、意 地球大気を酸素雰囲気に変え、そして 識的な整理と研究の方向づけは十分に 生物が上陸を始めた約5億年前頃に成 なされていないように思われる。

*名古屋大学大学院 工学研究科応用化学専攻 〒464‑8603 名古屋 市千種区不老町

(2)

最近急速に進歩した原子ス ペク トル [7‑10]、ガリウム共沈法 [11‑14]、アル 分析法である誘導結合プラズマ発光分 ミニウム共沈法 [15] を検討してきた。

析法 (ICP‑AES) と誘導結合プラズマ質 これらの方法は、いずれも多元素分析

量分析法 (ICP‑MS) は、主成分元素か を念頭においているので、非選択的多

ら超微量元素までの多元素(同時)分析 元素濃縮を効率的に行うことを目的と を可能にする[4,5]。ゆえに、著者らの した方法である。その中で、キレート 研究室では、 ICP‑AES及びICP‑MS に 樹脂濃縮法を併用したICP‑MSによる よって得られる多元素データを用いて 測定は、現在では250 mlの試料量で約 地球化学、生物化学、環境化学に関連 3 0 元 素 の 定 量 が 可 能 と な っ て い る する試料を解析する手法として原口が [6]。キレート樹脂濃縮の操作は次の通 提唱している「多元素プロフ ァイリン

グアナリシス (multielement profiling  analysis)」[6] をもとに海水分析の研究

を進めている 。本稿では、このような 海水の多元素分析の例を紹介するとと もに、生物との関連で、著者らが行っ

りである 。

海水試料250 ml をビーカーに採取

し、酢酸とアンモニア水を用いてp H 6   に調整した後、キレート樹脂 (Chelex‑

100)  0.2g (乾燥重量)を加える 。2時間 攪拌した後、ガラスフィルターに樹脂 ているヒト血清中の多元素分析データ を捕集する 。この樹脂を純水10ml, 1  M   を海水のデータと比較し、生物海洋化 酢酸アンモニウム溶液 (pH 6.0)  8  ml、 学的考察の試みとしたい。 純水 10 mlで洗浄し、最後に 2 M硝酸

6 m lで樹脂に捕集された微量元素を溶

2.  ICP‑AES/ICP‑MSによる海水の 出する 。これによ って、計算上約42倍

分析 の濃縮が可能となる。なお、 1 M 酢酸 海水の特徴は、約3%のNaClが主成 アンモニウム溶液による洗浄操作はキ 分として含まれることであるが、この レート樹脂に 一部捕集されたM g , C aを ほか K, Mg, Ca,及び塩化物イオン,硫 溶出させるためである。 ICP‑MS測定で 酸イオンが多量に存在することである。 はM gとCaはマトリックス効果の原因 海水中の微量成分は極低濃度であるの となるので、最終の濃縮溶液中の M g で、上記のN a,K, Mg, Caは主成分(マ

トリ ックス )として、多くの場合分析 値に大きな影響を与えるため、誤差の 原因となる。ゆえに、海水中の微量元 素の分析では、脱塩(マトリックス除 去)と微量元素の濃縮を同時に考えな

ければならない。

著者らはICP‑AES、ICP‑MSによる海 水の分 析のための前処理法として、こ れまでキレート樹脂 (Chelex‑100) 法

Transactions  oT h e Research Institute  or  Oceanochemistry ¥'ol .13,  No. I.  April.21

(I 7 )  

とCaの合量が2 0 0 μg mド以下であるこ とが望ましい 。また、 ICP‑MS測定にお いて内標準法によるマトリックス効果 の補正を行うために、濃縮液中に内標 準元素としてGe, In, Re,  Tl をそれぞれ 10 ng m1‑1となるように添加した 。

上記のキレート樹脂濃縮/ICP‑M Sに よ って得られた海水中微量元素定量の 例を表lにまとめる [10]。表 1は、カ ナダのN R C (National Research Council 

(3)

表, . キレート樹脂濃縮/I C P ‑ M S法 に よ る 沿 岸 海 水 標 準 試 料 (CASS‑3) 及 び 伊 勢 湾 海 水 試 料 中 微 量 元 素 の 定 量 結 果 と 検 出 限 界

CASS‑3  伊 勢 湾 海 水 分 析 検 出 限 界

a) 推 奨 値 及 び 文 献 値 a )

ng ml‑l   n g m J・1   ngml1  n g m J・1  

Al  0.32  0.03  0  389 2.11  0.11  0  005 

Ti  (0.10  0.03)  (0.15  0.03)  0.04 

V   I  4 3   0  04  1.50 d ,  2.49 d )   1.39  0.2  0.0003  M n   2.71  0.17  2.51  0.36  4.35   1.09  0.0004 

Fe   (2 3   0.4)  1.26  0  17  (O 8   0.1)  0  1   C o   0.038  0.003  0.041  0.009  0  0 5 6   0.004  0.0001  Ni  0  39  0  01  0  386  0.062  1.32  0  11  0  0009  C u   0  48  0  01  0  517  0.062  0.62   0  01  0  0002  Z n   1.38  0.03  1  2 4   0.25  1.68  0.11  0  002 

Y   0  024  0.0004  0.034  0  002  0  00001 

M o   9.98  0.71  8.95  0.26  9.20  1  7 5   0  004  C d   0.032  0.002  0.030  0.005  0  012  0.0009  0.0001  La  0  014  0  0004  0. 00 5  1  0 e ) 0.0075  0.0004  0.00002  C e   0  0061  0.0003  000159 e l 0.0048  0.0003  0.00002  Pr  0.0021  0.00004  0.00052 e ) 0.0013  0.00009  0.000008  N d   0  0089  0.0001  0  00222 el   0.0057  0  0003  0.00002  S m   0.0069  0.0003  0  00191 e)   0.0013  0  00005  0.00003  Eu  0.00037 0.00002  0  00007 e ) 0.00027 0  00003  0  00001  G d   0  0021  0.0001  0.00046 el   0.0023  0  0002  0.00007  T b   0  0003  0  00002  0.00006 el   0.00035 0.00003  0.00001  D y   0.0020  0.00008  0.00050 e)  0.0028  0.0001  0.00002  H o   0.00051 0.00003  0.00015 el  0  00070 0.00006  0.000007 

Er  0.0016  0.00002  0.00040 el  0  0021 

± 

0.00012  0  00002  T m   0  00025 0  00002  0.00006 el  0.00032 0  00002  0  000008  Y b   0.0016  0.00009  0  00048 el   0  0022  0.00008  0.00003  Lu  0.00027 0.00001  0.00007 e ) 0  00037 0.00001  0.000009 

w  

(0.012  0.001)  (0.037  0  007)  0.0003 

Pb  0.0095  0.0007  0  012  0.004  0.032  0  0 0 6   0.0001 

u  

3.35  0.09  2.84  3.54   0.19  0  04 

a)  3回測定の平均値およびその標準偏差 (a)、また、かっこ付きのデータは回収率が50%以下あ

るいは多原子イオン干渉の補正割合が50%以上の元素の定量結果。b) C A S S‑2の文献値 [16]c) 文献[l刀 よ り引用 。d) 文献 [181 より引用 。e) C A S S‑2の文 献値 119]

13 1

(4)

of Canada) から領布されている標準海 のジグザグ型濃度分布を補正して滑ら

水試料CASS‑3 と愛知県常滑沖で採取 かな濃度分布パターンを得るために、

し た 伊 勢 湾 海 水 の 分 析 例 で あ る 。 岩石や鉱物などの地球化学試料では地

CASS‑3については、測定値とともに、 球の始原物質と考えられる隕石中の希

N R C から出されているMn, Fe, Co, Ni,  土類元素濃度で規格化することが行わ

Cu, Zn, Mo, Cd, Pb, U の推奨値、およ れる。このような規格化された希土類

びその他の元素の文献値[16‑19] を示 元 素 の 濃 度 分 布 パ タ ー ン は 「 希 土 パ す。また、表 lの最後の欄には分析検 ターン」と呼ばれ、試料の特徴、起源、

出限界(装置検出限界を濃縮倍率とキ 変質などを知る指標として多用される レート樹脂濃縮の回収率で補正した値) [21]。海水の場合には、その希土類元 を示す。 FeはICP‑MS測定における多 素 濃 度 を 海 水 起 源 堆 積 物 で あ る 頁 岩 原子イオン干渉 (ArOH+, C a O Hり の た (Post Australian Average Shale) 中の希土 め、またM o とU はキレート樹脂濃縮 類元素濃度で規格化した希土パターン における回収率が低い ( M o 5 7 . 1 % , U が用いられている [22]。伊勢湾海水の

81.1%)ために、推奨値よりずれた値と 希土パターンを図lに示す。また、外

なっているが、その他の元素について 洋海水の希土パターン [23] も図 lに は推奨値または文献値とよく一致した 示してある。隕石中の希土類元素濃度 値となっており、本法が信頼できる分 で規格化した場合には、海水の希士パ 析法であることが分かる。さらに、本 ターンではCe とEuで負の異常が見ら

法はppt (pgmlり〜サブpptの濃度レベ れることが知られているが、頁岩中の

ルにある希土類元素すべてを容易に定 希土類元素濃度で規格化した場合には 量できる特長を有している。 C e のみで明確な負の異常が認められ

る。

3. 海水とヒト血清の希土類元素分布 一方、著者らは最近ヒト血清中希土

パターン 類元素濃度を初めて定量することに成

表 lに示したように、キレート樹脂 功した [22]。分析法は、血清試料を硝

濃縮/ICP‑MSによる測定によって、海 酸と過塩素酸で分解した後、海水と同

水中の L a L u までのすべての希土類 じように、キレート樹脂濃縮を行って、

元素 (14元素)の分析値が得られてい ICP‑MSで定量する方法である。ヒト血 る。元素の分布として、原子番号が偶 清の場合にもOddo‑Harkins則が成立し 数である元素は、隣り合う原子番号が ているので、人体の中で希土類元素の 奇数である元素より濃度が大きいこと 特別な質量分離 (mass discrimination) は

はOddo‑Harkins則 [20] として知られ 起こってないことが示唆される。この

ているが、このOddo‑Harkins則は海水 ヒト血清中希土類元素濃度を頁岩中の 中の希土類元素の場合も成立している 希 土 類 元 素 濃 度 で 規 格 化 し た 希 土 パ

ことが表 lの分析値から分かる。 ターンを図 lに示す [24]。

また、 Oddo‑Harkins則による希土類 図lの希土パターンで特記すべきこ

Transactions of T h e  Res<●『ch Institute of  (J 9) 

Oceanochemislry Vol. lJ.  No. I,  April.21

(5)

lo•5

H

10・6 

10‑7 

10•8

ヘ 芯

M

L a   Pr  C e   N d  

S m   G d   D y   Er  Y b   E u   T h   H o   T m   L u  

図1. 海水及びヒト血清中の希土類元素濃 度分布パターン(希土パターン)

● :外洋海水、 〇 :沿岸海水、

■ 

:ヒト血清

とは、海水とヒト血清では濃度レベル は異なっているが、 V 字型のパターン が非常に類似していることである。ヒ 卜血清ではC e で正の異常が見られる のは 、血清は還元的条件であるためと 考えられる。このような海水とヒト血 清における希土パターンの類似性は、

ヒト血清中の微量元素の濃度分布が海 水中の分布と似ていることから、海洋 が生命の起源の場であるとされること と関連して非常に興味深いものである。

生物がその機能を維持するために元素

(またはタンパク質などの生体物質)の 濃度をほぼ一定に保つことは、「恒常性 (homeostasis)」として知られている。高 濃度塩類の存在とともに、ヒト血清中 の希土類元素に関する図 lの結果は、

海洋が生命誕生の場であることの 一つ の証拠であり、生命の起源の謎を解く

手がかりとなることが期待される。

4. 海水とヒト血清の元素濃度相関 前述のように、海水とヒト血清中の 元素濃度の類似性が、海洋は生命誕生 の場であることの証拠として語られる。

最近の分析技術の進歩は、海水とヒト 血清中の微量元素について、より正確 な分析値を得ることを可能にしている。

ゆえに、著者らのデータを含めて、海 水およびヒト血清中の元素濃度につい て最も信頼できるデータを集めて、そ の濃度相関を検討した結果を図2に示

す [6,25]。図2から、海水とヒト血清

においては、その元素濃度はかなりよ い相関があることが分かる。しかし、

これらの元素濃度は、元素の化学的性 質と生物学的機能を反映して異なって いることに注意しなければならない。

図2では、 Goldschmidtの「元素の地 球化学的分配則」に基づいて [26]、親 鉄元素 (0) 、親石元素(●) 、親銅元素

(口)に分類して元素をプロットしてあ る。この元素の地球化学的分配則では、

親鉄元素は地球の中心部に濃縮してい る元素 (Fe, Co, Niなど)、親石元素は地 球の岩石(ケイ酸塩)及び粘土の構成 元素 (0, アルカリ元素,アルカリ土類 元素, Si, Al, Ti, Feなど)、また親銅元 素は主に硫化物鉱物として産出される 元素 (S, Cu, Z n ,  Se, C d,  H g,  Pbなど)と して分類される。 一般に親鉄元素と親 石元素は酸素との親和性が大きく、ま た親銅元素はイオウと親和性が大きい。

この観点から図2の元素濃度分布を見 ると、親鉄元素と親石元素では、海水 とヒト血清中の元素はほぼ一致してい

(6)

︵寧 臼工 止

P.  

g  

•M

屯 称

Ti . 

5  

,5 IO UI nl lu )3 80 T 

Sc ● Pb 

A g

哨 ;

ロ Ce i a . T l   Th・ 

』 A8.B.

r

・  

r  

B

F   B .  

.  . 

Sr    Li 

  . .

‑10  ‑5 

Log C  ( C  =  μ mol g1  

海水)

図2 .海水及びヒト血清中の元素濃度の相関

るが、親銅元素ではヒト血清中の濃度 が海水に比較してかなり高いことが分 かる 。

一方、 図2の結果は、 Pearsonの「硬 い酸塩基・軟らかい酸塩基理論 (Hard and Soft Acids and Bases Theory)」に従っ た分布をしている [27]。すなわち、親 鉄元素や親石元素は酸素やフッ素など と大きい親和性をもつ硬い酸であり、

酸素やフッ素は硬い塩基である。また、

親銅元素はイオウやヨウ素と大きな親 和性をもつ軟らかい酸であり、イオウ ゃョウ素は軟らかい塩基である。ゆえ に、図2に示した海水とヒト血清中の 元素濃度の関係か ら、硬い酸に属する 元素は海水とヒト血清ではほぼ同じ濃

度であり、軟らかい酸に属する元素は ヒト血清中に多い、という傾向がある ことが分かる。

以上述べたようにように、海水とヒ 卜血清ではその元素の分布は、「元素の 地球化学的分配則」や「硬い酸塩基・

軟らかい酸塩基理論」に従っている 。 では、このような海水とヒト血清にお ける元素分布の差異は、生物との関連 ではどのような意味をもつのであろう か。周期表中の元素で H ,C ,  N ,  0 ,  P ,  S ,   N a,  K, M g,  Ca ,  C lは、人体中でその合

計が99.4% となり、生体の骨格や生体

物質(体液を含む)の構成元素である [28]。また、濃度も高い(主成分l 0 0 1% 少量成分l 0.1%)ことから「必須

Transactions of The Research Institute of 

Oceanochemistry Vol.13. N o.  I.  April.21MMI  (2 I) 

(7)

常量元素 」 と呼ばれる 。 これ らの常量 元素濃度の相関は、生命進化か ら生命 元素はす べて親石元 素である が、 P を 活動の維持に関して多くの示唆を与え 除くと海水中により多 く分布している 。 ると考え られる 。

図2で親銅元素 として 示 した元素のう ち、 Zn,C u ,  Se, A s,  Sn, Pbはヒトまたは 実験動物で!必須微量元素」であるこ とが知られている [28‑30]。一方、親鉄 元素、親石元素では、 Fe,M o,  V ,  Cr,  Mn, 

Ni,Coが必須微量元 素である 。さらに、

有害元素と考えられ、親銅 元素 に属す

5 . ろ過技術を利用する海水中元素の 化学形態別分布

海水中 の主成分であるアルカリ及び アルカリ 土類元素は、そのほとんどは 水和金属イオ ンとして存在している 。

しかし 、多く の元素は超微量レベルで るPb,Sn ,  Hg, C dもヒト血清中に非常に あり、 Cr(III) とCr(VI)、IーとIO[のよ 高い濃度で存在している 。 こうしてみ うに価数が違う化学種を除いては、そ ると、生物に対する元 素の 必須性や有 の溶存状態に ついてはほとんど解明さ 害性と、親鉄 ・親石元素や親銅元素の れて いない [31]。しかし、生物との関 間には必ずしも統 一的に議論できる区 連で微量元素を考察する場合には、そ 分はなさそうであ る。 しかし、ここで の化学形によ って生理活性や毒性も異 考えておかなければな らないの は、生

命は無酸素状態の嫌気的条件下で発生 し、現在でも生体内、と くに細胞内や 血球内は嫌気的である 。すなわち、生 体反応の中で重要な 生体物 質の合 成反 応は嫌気的条件で行われ るものが多い。

この嫌気的条件下におけ る生体反応

(核酸合成、タ ンパク 質合成、タ ンパ ク 質分解、細胞分裂、抗酸化作用など)

には、多くの場合親銅元 素である Zn, C u,  Seを含む金属酵素が関与している 。

なるので 、今後は微量元素についても 溶存状態に関する研究が重要となる 。

このよ うな微量元素の溶存化学形に関 す る 研 究 は 、 現 在 化 学 形 態 別 分 析 (chem ical speciation) と呼ばれ、世界的 に関心が持たれている [6,32 ]。

海水は約3.5%の塩類が含まれる濃厚 塩溶液であるので、微量成分を濃縮す る場合、脱塩が必ず必要となる。微量 金属イオ ンの場合、前述のようなキ

レート樹脂法や共沈法によ って5 0 これらの元素(または化合物)はタン 100倍の濃縮が可能であるが、化合物 パク 質中でイオウを 含むアミノ酸であ をそのままの存在形態を保ちつつ高倍 るシステイ ンと結合し、濃縮されてお 率の濃縮を行うことは、と くに有機物 り、酵 素反応の活性部位とな っている。 が関係している場合には困難である 。 ヒト血清 の本来の役割はタ ンパ ク質等 ゆえに、海水中微量成分の化学形態分 の生体物質や微量金属イオ ンの 貯蔵と 析はあま り進歩して いないのが現状で 運搬を行うことであるが、ヒト血清中 ある 。

の元 素濃度は生体反応 や病気 (疾患) 近年、膜を使 ったろ過技術が進歩し を反映することも知 られて いる。 ゆえ て、純水製造や食品加工をはじめ多く に、図2のよ うな海水とヒト血清中の の分野で利用されて いる。そこで、著

(22)  海 洋 化 学 研 究 第13巻第1号 平 成124

(8)

メンプランフィルター(孔径0 . 4 5 μm ) ろ過

フィルター上残さ

I >  

1粒子態成分 1

メンプランフィルターろ過海水

I >  

I溶存態成分 1

限外ろ過(分子量分画限界10,000Da)

限外ろ過海水

I >  

I低分子態成分 1

図3. ろ過による海水成分の分画操作

者らはこのようなろ過法を利用して海 のメンブランフィルター上の粒子、及 水中の元素の化学形態別分析を行って びメンブランフィルターろ過海水と限 いるので、その結果をここで紹介する 外ろ過海水の分析を行うことで、粒子

[33, 34]。 態成分、溶存態成分、低分子態成分の

この方法では、図3のよ うに、海水 元素濃度を定量し、さらに溶存態成分

(原海水)を採水後すぐに孔径0 . 4 5 μm と低分子態成分の差として高分子態成 メンブラ ンフィルターでろ過する。こ 分の元素濃度が求まる。

の時、メンブランフィルター上の残さ 実際の実験では、能登半島の石川県 を粒子態成分とし、ろ液であるメンブ 仁江海岸で沿岸海水を採取した。この ランフィルターろ過海水は溶存態成分 沿岸海水を250 ml単位で図3の操作に のみを含む海水となる。このメンブラ よってろ過し、フィルター上残さ(粒 ンフィルターろ過海水を、さらに分画 子)、メンブランフィルターろ過海水、

分子量 10 ,000 D aの限外ろ過膜を用い 限外ろ過海水を得た。フィルター上残

てろ過を行う 。 この場合のろ液を限外 さは、硝酸、フッ化水素酸及び過塩素 ろ過海水とすると、限外ろ過海水は分 酸を用いて、フィルターごと酸分解を

子量 10 ,000 D a以下の低分子態成分の 行って溶液化し、 ICP‑AESとICP‑MSに

みを含む。そして、メンブランフィル よって主成分元素から超微量元素の定 ターろ過海水中の元素濃度と限外ろ過 量を行 った [33,35]。分析結果を表2に 海 水 中 の 元 素 濃 度 と の 差 は 分 子 量 まとめた。

10,000 D a以上の成分となり、これを高 一方、メンブランフィルターろ過海

分子態成分とする 。実験的には、上記 水および限外ろ過海水については、前

Transactions or T h e  R esearch Institute or 

Oceanochemislr)' Vol .13. N o. I.  April.2lHHI  (23 )  

(9)

表2. I C P ‑ A E S、I C P ‑ M S に よ る 海 水 分 画 成 分 中 元 素 の 定 量 結 果 (ng m l

元素a ) 低分 子態成分hi 高分子態成分 ' 溶存態成分di

N a '   (9 75  0.11)  X  JOG  

9 7 5 X IO"   116 

K '   (3 .96  0.07)  X  10

3.95 X  10' , 24 6  

C a '   (3 56  0.07)  X  10 0  0 6   3  5 0  X  10i ; 61 3   M g '   (I 10  0  02)  X  101 ; 0  01  1  0 9  X  10i ; 4 0  1   Sr'  (9 0 2   0  30)  X  101  

8.94 X  103   0  885 

B a '   5  6 4   0  32  0  26  5.90  0  305 

Al  0  716  0  0 3   2.79  3  51  2 6  I  

M n   0.757  0  005  0  0 4 2   0  799  0.871 

V   I  5 6   0  0 7   0  0 4   I  6 0   n  d.0 

Fe   0  863  0  0 4   0  4 3 7   I  3 0   44 0  

C o   0  0 0 5   0  0001 

0.005  0.015 

C u   0  22  0  0 0 5   0  091  0  31  0.070 

Z n   0  92  0  0 2   0  0 6 6   0  9 9   0  233 

G a   0  005  0  00004 

0  0 0 5   0  021 

Y   0  0 2 2   0  0002  0  0 3   0  025  0  0 2 6  

M o   11 8   0  31  0  I   I  I  9   n  d.1)  

C d   0  0 1 9   0  0009 

0  0 1 9   0  005 

La  0  0 0 4   0  00006  0  0 0 2   0  0 0 6   0  018 

C e   0  0035  0  00004  0  0015  0.005  0  047 

Pr  0  0011  0  00003  0  0002  0  0013  0  0053 

N d   0 .005  0  0001  0  001  0  0 0 6   0.021 

S m   0  0010  0  00003  0  0003  0  0013  0  005 

Eu  0  0002  0.00006  0  0001  0.0003  0  0011 

G d   0  0016  0  00006  0  0003  0  0019  0  0049  T b   0  0003  0  00002  0  0001  0  0004  0  0012 

D y   0  0019  0  00006  0.0005  0  0024  0  0046 

H o   0  0005  0  00001  0.0001  0  0006  0  0009 

Er  0.0016  0  00001  0.0003  0.0019  0.0028 

T m   0.0002  0  000006  0.0001  0  0003  0.0004 

Y b   0  0015  0  00002  0  0002  0  0017  0  0028 

Lu  0.0002  0  000006  0.0001  0.0003  0  0004 

w  

0  0 2 6   0.002  0  001  0  0 2 7   0  0 0 2  

Pb  n.d  n   0.043  0  0 4 3   0  099 

u  

2  9 3   0  0 7 6   0.06  2  9 9   n  d  1)  

a)  tを付けた 元素 はICP‑A E Sによ って、またほかの元素はICP‑MSによって定量した 。 b) 限外ろ過(分 子量10.000 D a以 下)海水中 の元素の濃度 。

C)  海水中高分 子態成分 の元 素濃度はC,ii  tt鴫患 = C  溶 /i態 C  9),'

r‑

より算出 。Cが((屹はメ ンブランフィ ルターろ過海水中 元素の濃度、 C知り感は限外ろ過海水中の 元 素濃度 。

d)  メンブランフィ ル ター (孔径0 45 μm) ろ過した海水中の元素濃度。

e)  メンプラ ンフ ィルタ ー (孔径0.45μm) ろ過 の フィルター 上 に残存する粒 子 中の 元 素濃度。

f)  検出されず。

13 1 12

(10)

述のキレート樹脂濃縮法によって微量 例であるが、各成分における元素の存 元素の濃縮を行い、 ICP‑MSによって定 在割合は、海水中元素の溶存状態につ 量した [33]。なお、海水中の主成分元 いて興味ある知見を与える。

素は純水で10 100倍に適宜希釈して、 まず、アルカリおよびアルカリ土類 ICP‑AES によ って定量を行 った。以上 元素(N a,K, Mg. Ca,  Sr,  Ba) について の分析結果は、溶存態成分および低分 みると、いずれも低分子態成分がほぼ 子態成分として表2にまとめてある。

また、表2では溶存態成分と低分子態 成分の差として求めた値を、高分子態 成分として示してある。表2から分か

100%である。このことは、当然のこと ながら、これらの元素は水和イオンと して海水中に存在していることを示す。

このほか、図4で低分子態成分がほぼ るように、以上の実験によって、いず 100%である元素は、 V ,M o,W ,U であ れの成分についても、 3 3 3 4元素の定 る(V は粒子態成分濃度が定量できな 量値が得られた。 かったために図4に含まれていないが、

表2のデータをもとに、各元素の粒 ICP‑MS による検出限界から粒子態成 子態成分、高分子態成分 、および低分 分は0.01 ng mJ・1以下であるので、低分 子態成分の 合量 を100%として、各成 子態成分がほぼ 100%であると考えて 分の割合を計算して求めた結果を、図 よい)。これらの元素は好気的条件では 4に存在形態別割合として示す [34]。 化学的に安定なオキソ酸イオンとして 図4の結果は、海水中の元素を成分別 存在することが知られており、図4の に多元素データとして求めた初めての 結果は、海水中でもそのほとんどは低

100 

80 

l

0 0   4 2  

如 蚕

I

g

ヽ土 出 辻

60 

M g   K  ̲  M n ̲  C o   Z n   S r   M o   R a   C e   N d   E u  ̲ ̲  T h   H o   T m   L u   P h   N a   Al  C a   F e   C u   G a   Y   C d   L a   P r   S m   G d   D y   E r   Y b   W  ‑ ‑‑ U  

4 .沿岸海水中の元素の存在形態別分布割合

試料 :原料海水は石 川県仁江海岸で採取

低分子態成分、 移g 高分子態成分 、 ● 粒子態成分

Trnsactions or The Research Institute or   Oceanochemistry Vol.  13.  No. I. April.2t

(25) 

(11)

分子態のオキソ酸イオンとして存在し 低分子態成分のほかに、高分子態成分 て い る こ と を 示 唆 し て い る 。 海 水 中 が存在することである。とくに、生物 の微量元素の中で、 V, Mo, U は比較 にとって必須微量元素である親銅元素 的高濃度で溶存している元素であり、 のCu, Znにおいて高分子態成分が存在 その濃度はそれぞれ2 3 n g m l 1、約 することは、これらの元素が海水中の 10 n g m l  1、3,‑‑.., 5  ng mドである [35]。ま 生物起源高分子態有機物と結合して存

た、 V , M o , Uは海洋における鉛直濃度 在していることを示唆している。

分布がほぼ一定である保存型(または 海水ではまだ明らかにされていない 定 常 型 ) 元 素 と し て も 知 ら れ て い る が、著者らは琵琶湖などの淡水につい

[35]。V , M o , Uがこのように割合高濃 度の保存型元素であることは、かなり

て、分子量 10,000 D a以上の高分子態 成分を限外ろ過法によって分画し、サ 古くから海水中でオキソ酸イオンとし イズ排除クロマトグラフィーによる分 て安定化され、海洋循環によってほぼ 子量分画を行い、 ICP‑AESやI C P ‑ M S 均ーに混合されたことを示す結果であ による元素選択的検出を行うことによ り、極めて輿味深い。これらの元素が り、高分子態成分の化学形態を検討し オキソ酸イオンとして安定化され始め ている [28,40‑42]。その結果による たのは、海洋における光合成が始まっ と、 Cu, Znは分子量30,000...,50,000 D a   た27億年前頃からであろうが、海洋か の高分子態有機物と結合した高分子態

らの鉄イオンの除去がほぼ終わり、地 有機物一金属錯体として存在している 球大気中に酸素が供給され始めた20億 [40,  42]。これらの元素が海水や淡水

年前にはV , M o , Uはオキソ酸イオンと などの天然水中で生物起源の高分子態

してほぼ完全に安定化されていたとす 有機物と結合した溶存態として存在す る仮説はいかがなものであろうか。 ることは、水生微生物、プランクトン、

一方、海水中のAl. Fe, Mn. Co, Ga. Y,  その他水生生物がその有機成分を分泌 希土類元素, Pb は、 50%以上粒子態と 物または死骸分解物として水中に供給 して存在していることが図4から分か して、必須微量元素を保存していると る。これらの元素はケイ酸塩鉱物の主 考えると、深遠な自然一生物系におけ 成分であるので、このような粒子成分 る自己保存機構として典味深い。 C uと

は陸域から供給されたケイ酸塩鉱物の Zn以外に高分子態成分が存在する元素 風化微細粒子として海水(沿岸海水)中 については、次のような溶存状態であ に浮遊していると考えることができる。 ることが湖水や池水に関する研究結果 赤木と原口は多摩川河口域から東京湾 から推測されている[44,  42]。すなわ における浮遊粒子の分布と動態を詳細 ち、 Al とFe はほぼ 1 0 0 % が分子量 に調べ、同様の結論を得ている [36‑ 300,000 D a以上のコロイド状無機一有

39]。 機複合粒子として存在する。また、希

図4において注目すべきことは、 Cu, 土類元素は、分子量30,000..., 50,000 D a   Zn のほか多くの元素で、粒子態成分、 の高分子態有機物一金属錯体と、分子

(26)  海 洋 化 学 研 究 第 13 巻鋼 1 号 平 成 12 年 4

(12)

量300,000 D a以上のコロイド状無機ー 素の多くはヒト血清中にほぼ同濃度レ 有機複合粒子の両方の化学形態として ベルで含まれ、生命の維持に極めて重 溶存していると考えられる。

図4 に示したように、希土類元素は 粒子態成分の割合が大きいが、溶存態 成分についてみると、重希土類元素の 方が軽希土類元素よりも溶存態成分の 割合がやや大きい。希土類元素は化学 的性質が類似しているとされるが、天 然水中では重希土類元素は軽希士類元 素よりも溶存態の割合が大きい。この ことは、図 4に見られる低分子態成分

要な働きをしていることが、最近原子、

分子レベルで明らかになりつつある。

また、海洋では藻類などの植物プラン クトンによる光合成と有機物生産が行 われ、海洋生物の食物連鎖のシステム が成り立っている。このようなプラン クトンや海洋生物にも、我々人体と同 じように微量元素は必要である。その 意味で、海水中の微量元素データを生 物学的側面から見直してみることは大 と高分子態成分の割合が重希土類元素 いに意義あると考えられる。このよう で大きいことと 一致し、前述のように、 な学問体系として、「生物海洋化学」を 希士類元素が生物起源高分子態有機物 提案させていただいた次第である。

と結合した錯体としても存在すること

を示唆するものである。 参考文献

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態解析等を行う方法論を、著者は「多 元 素 プ ロ フ ァ リ ン グ ア ナ リ シ ス (multielement profiling analysis)」として 提唱している[6]。海洋は生命の故郷 であり、ヒト血清にはその痕跡が残さ れている。すなわち、海水中の微量元

Transclions of T h e  Reserch Institute of 

Oceanochemistry Vol .13.  N o. I.  April.2tMMI  (27) 

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Referensi

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