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硫化水素による細胞様高分子の非生物的合成

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(1)

硫化水素による細胞様高分子の非生物的合成

中 海 ( 島 根 県 北 緯

35° 30'

, 東 経

133 ゜ 10')

で の海底(水深

6 m )

観測結果から,硫化水素が発 生 している 貧酸素水塊 において急激な減少 と,そ れに伴う懸濁ペフ゜チド含有物質の増加現象を発見 した1)。硫化水素 は.最近発見された熱水噴出口 や火山噴泉などでの主要還元物質であり,そこに 生息する硫化水素を利用する硫黄細菌

(Sulfolo‑

bus など)がリポゾーム R N A の塩基配列測定に よる系統分類法の発達 により,始原生物 に近い古 細菌で ある ことが分かってきた 』).J)。 また,先カ ンプリア時代始生代

(25

億年以上前 )における堆 積岩として,原始海洋の組成を推定する上で重要 な証拠とされているアルゴマ型の縞状鉄鉱層には,

顕著な硫化物相が存在しており,多量の黄鉄鉱

(Pyrite ;   FeS

と) や 磁 硫 鉄 鉱

(Pyrrhotite Fe

。ふ

Fe

,s)

を含んで いる %

この様な観点から ,硫化水素は,現代の沿岸海 底 ・熱水噴出ロ ・火山噴泉などのキャラクタリー ゼーションのための主要化学成分のみならず,生 命の起原に対しても菫要な役割を担っている可能 性があると考え,モデル合成実験を行った 。

実験 は,各種の濃度の反応試薬混合物(反応液)

a).ギ酸,ホルムアルデヒト,ア ンモニア.塩化

マグネシウム;

b).

ギ酸. アセトアルデヒト,

アンモ ニア,塩化マグネシウム;

c).

ホルムア ルデヒト, ヒドロキシルア ミン,塩化マグネシウ ム;

d).

ホルムアルデヒト, シアン化カリウム,

アンモニア,塩化マグネシウムの

4

種類の組み

*紀本電子工業仰 * * 奈良教育大学

108 

紀 本 岳 志*

(72) 

合せについて行った。また,反応を促進する目的 で,各々 1 M の,鉄 (II) イオン,マンガン (II) イオ ン,銅(II )イオン ,モリプデ ン酸イオン ,コ バルト (II) イオン,亜鉛( II )イオンの遷移金属イ オン混合液を加えた 。

調整した反応液

(400ml)

を,

0 . 2 μm

ヌクレオ ポアーフィルターにて濾過し,

500ml

の丸型フラ スコに移して,テフロン製スタ ー ラーで撹拌しな がら,

1  

%硫化水素ガス/窒素バランスのガスを

50ml/min

の流速で通気し,反応させた 。 反応は

室温

(20

℃付近)で行った。通気時間は,いずれ も

24

時間とした 。(硫化水素の総通気量 として,

約0.03mol)

硫化水素ガス通気のかわりに,

0.01 ‑ 0.l mol

の硫化ナトリウム

( 9

水和物)を結晶のまま反応 液に加え,

15

分間窒素ガスにより脱気ののち反応 させると,硫化水素濃度が反応開始時に高濃度で あるため,ガス通気の場合より反応は促進される 。

(約

1

時間)。

反応開始後,数時間以内に,それまで透明であっ た反応液中に,突然,白色の沈殿が生成する 。

(反応促進触媒として,銅( II )イオン,モリプデ ン酸イオン,亜鉛( II )イオンのいずれか, もしく は全部を加えた場合には,褐色の沈殿が生成する 。 鉄

(II)

イオン,マンガン (II) イオン, コバルト

(II) イオンの場合は,白色沈殿)

この沈殿の光学顕微鏡写真(一例)を,図

1

に 示す。

海洋化学研究

2

2 (1987 )  

(2)

沈殿を,

0.2 μm

ヌクレオポアーフィルターに て濾過し,乾燥後, 重量測定,元素分析,加水分 解後(試料

1 m g r

に5.7N塩酸

1 m l

を加え, 真空 脱気後封入し

105

℃24時間加熱)アミノ酸分析を 行った 。

また,沈殿を空気 中450℃にて

1

時間加熱すれ ば,黒色の灰分状となり,その残査重量化は,沈 殿重量 の

8 1 9

%であった 。 この残査には,金属 イオンや炭化物が含 まれているものと推定される 。

1

に,合成および分析の手順を ,表

2

に,各 種反応液にて合成した際の沈殿収量

(Products

weight,   mgr),元素分析結果による沈殿中の窒

素/炭素含有比

( N/C ratio,

モル比),沈殿中の アミノ酸含有量

(Amino acid,  μg r/mgr)

をま とめたものを示す 。尚, 表

2

中アミノ酸含有量 の 中で,試料番号

91601 A

および

91701

については,

グリシリンのみが大量 に生成しているため, グリ

シ ンのみの重量を記載した 。 また,アミノ酸分析 については,

Moore ‑ Stein

囲 に よ る ア ミ ノ 酸 自動分析計 , および, オルトフタルアルデヒト

( O P T A)とN ‑

アセチル ーLー システイン(AcCys) を反応試薬とした,高速液体クロマトグラフィー 蛍光検出法により測定した6).7)。 尚,反応温度を

90

℃に上げ,表

2

の条件にて合成を行った場合,

いずれも反応液がただちに暗褐色となり沈殿の生 成は認められなかった 。

マグネシウムイオンの効果

反応液にマグネシウムイオンが含 まれていない 場合でも,反応に要する時間は増加するが, 含 ま れている場合と同様に沈殿が生じる 。 しかし , そ の中に 含 まれるアミノ酸濃度は,著しく減少する 。 表

3

に,

5 M

ギ酸アンモニウム,

0.1

ホルムアル

デヒト,

O.lM

塩化マグネシウムの反応 液 ( 表

2

図 1 細胞様有機高分子

海洋化学研究

2 ,  2   (1987)  (73) 

109 
(3)

1

合 成 手 順

反応液

(A) を調整 ( 4 0 0 m l ) l

p  H

測 定

0 . 2 μm   フィル ターで濾 過

に を も ム ゥ 定

‑ 2   z )  

/ 温 リ 測

‑ s

室 卜

H タ

2

︵ ナ

̀ P

n  

4

']

H

ク 製 ン ン

︶ の

nu 

ロ ー プ

f

ょ 燥

定 フ

バ 猿

成 乾 テ ら で

当 t

.

し ヵ

n

測 移 な

. m

" 生 曹

j

反 て 50 し を

析 素分

A )

反/応液

l. ホ ル ム ア ル デ ヒ ト , ア ン モ ニ ア ギ酸,塩化マグネシウム

2. アセトアルデヒト ,アンモニア ギ 酸 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム

3 .

ホルムアルデヒト,ヒドロキシル アミン, 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム

4. ホルムアルデヒト,シアン化水素 アンモニア,塩化マグネ シウム

B)

迎元剤

l .  I

%齢 化 水索 ガス 2.  l 流化ナトリウム

C)

触媒

(JO

' M 程度)

鉄 ( II )

イオ ン マンガン

( II)

イオ ン 銅

( II )

イオン モリプデン酸イオン コバ ルト

( II )

イオン 亜 鉛

( II )

イオ ン などの遷移金属イオン

5.7  N   HCI ,  

24 

H R  

ア ミ ノ 酸 分 析 j  

110  (74) 

海洋化学研究

2 ,  2   (1987) 

(4)

2

硫化水素を用いた合成実験結果

SANI l,E   PROIJUCTS  N/C  ,¥J‑IINO   b) 

CONCENTRATION OF THE  REACTANTS a)  IGHT RATIO  AC!IJ 

NU!UlER  ( m g )   (mol/mnl)  り1g/mg)

3 0 3 0 2   O O I M  H否O , O O I M  NH4CI,  O O I M H C O O H ,  

6 5   0  0 0 8 9   0  0 5   0.5 M  N a C l ,   0  0 5 M  M 9 C l 2 ,  p H  2  3  

40301  0  I M  H 2 C O ,  I M  NH4CI,  I M  H C O O H ,  

4 9 2   0 .217  0  J I   0 5 M  M 9 C l 2 ,  pHl.8 

83101  0 .001 M  H 2 C O ,  0.01 M  H C O O N H 4 ,  

10  0  112  0  3 8   0  5  M  N a C l ,  0  5 M  M 9 C l 2 ,  p H  5  3  

32401  0  0 8 M  H 2 C O ,  1 5 M  N H 4 C I ,  1 5 M  H C O O H ,  

5 8   0.178  0  5 2   I  5 M  M g C l 2 ,  p H  1.7 

52301  0  I M  H 2 C O ,  5 M  H C O O N H 4 ,  

O.JM M g C l 2 ,   p H 4  

8  

717  0  2 7 5   0  8 9  

5 2 3 0 2   0  I M  C H 3 C H O ,  5 M  H C O O N H 4 ,  

O I M  M 9 Cl2 ,  p H 4  

8  

8 7 6   0  0 5 1   I  1 4  

40201  0  I M  C H 3 C H O ,  I M  N H d C I ,   I M  H C O O H ,  

3 3 4   0.191  0  2 4   0  S M  M g C l 2 ,  p H  1.8 

0  I M  H 2 C O ,  0  I M  N H 20 H ,   C) 

91501  8 3   0  19 9   3  4 8  

0  5 M  N a C l ,  0  5 M  M g C I ,  pHl.8 

0  2  M  H 2 C O ,  0.1 M  N H 2 0 H ,   C) 

91501A  5 4 0   0  2 1 0   0  7 9  

0  5 M  N a C l ,   0  5 M  M g C l 2 ,  p H  I  0   CGlyJ 

0 . 2 M  H 2 C O ,  0  I M  K C N ,  O . I M N H 4 C I ,   C) 

91701  6 5 2   0.360  16 

8  

0 . 5 M  N a C l ,  0  5 M  M g C l 2 ,  p H  

8  

5   C G  ly) 

a) .  40010 1  r e a c t i o n  v o l u m e , . r o o m  t e m p e r a t u r e ,   1H 2 S/ N 2 <JaS  b u b b l i n g   b) .  M o o r e ‑ S t e i n  m e t h o d   ( N i n h y d r i n  m e h t o d )  

;; :  OPTA/A~Cys p r e ‑ c o l u n n  r e a c t i o n   a n d  r e v e r s e d ‑ p h a s e   l i q u i e d   chror1to‑

g r a p h y  f o r   s e p a r a t i o n  o f   t h e  e n a n t i me r s  

中,試料番号62301) で合成した沈殿中のアミノ 酸分析結果と,塩化マグネシウムを除いて合成し た場合のものとを示す 。

遷移金属イオンの効果

江上らは,原子海洋における化学進化は,現在 の原核生物を含めた生物一般に用いられている

6

種の遷移元素 ( M o , Zn, 

Fe, 

M n ,  C o ,   C u ) によ り促進されたとの仮説のもとに研究を行っている

8),9),10¥ 本 モデル合成実験においても,上記の

海洋化学研究 2 ,   2   (1987)  (75) 

元素を加えることにより(いずれも

10

' M )

, 反 応は著しく促進される。反応糸に,鉄( n ) イオン,

マンガン ( n ) イオン,コバルト ( n ) イオンのいず れか, もしくは全部を加え ,p H 4以下の条件で 反応させた場合には,加えない場合と同様の白色 沈殿を生成する 。一方,モリプデン酸イオン,銅 ( n )イオン,亜鉛 ( n ) イオンのいずれか, もしく は全部を加えた場合には,褐色の沈殿となる 。 こ の事は,後者の金属イオンでは,硫化物沈殿が安 定である事と関係するのではないかと推定される。

111 

(5)

表 3

アミノ酸収量に対するマグネシウムイオンの効果

Amino A ci d   Total  Asp  Thr  Ser  G lu   Gly  A la   C ys   Val  I   le  Leu  Lys  cngr/m g n  

with Mg2+  8 8 8   9 2   3 3   114  152  223  2 0   3 7   47  3 3   7 5   6 2  

w ithout M g

121  10  5 8   5 3  

S y n t h e s i s   c o n d i t i o n ;   S M   H C O O N H4,  0 . 1 M H 2 c o ,   1 %   b u b b l i n g   a t   24  h o u r s   w i t h   o r   w i t h o u t   0.1M  M g c 1 2   te m perature,  p H   ;  4.8.  A m i n o  acid  com position  w e r e   by m o o r e ‑ S t e i n  M e t h o d  a u t o m a t i c   a m i n o  a c i d  analyser  by ni n hydrin m e t ho d  aft e r  hyd rol y sis  o f  the  sam ples. 

H 2 S / N 2   a t   r o o m   anal y sed  detected 

tn 9, T   d s v 1  

tA 9   qk

I T  S T H '1 

n,n

'1  a 4d 1T   a

II 'T   1 OH I T   Te A1 T  

IA T Te VI T   b

"

T

as ,T

dsv

30  60  90  120  150  180 

TO

n1~ -a

n T9 1T  

c ,a s‑ a  

"

as

‑1  

tA 9   M

q' 1

  M q G ST

H 1 

a TI I O   a

TI IT  

;b

<

1T  

e TV IO   Te V IT  

3 aH I T   3 a HI Cl   l<' /1 Cl  1

  '{¥

1 T   KA

, 0

 

A

T

na 'l

' l  n a' l 0   qQJ d 'T   QJq d 1 0 

゜ L i q u i d   30  60  90 

am 1.no  acid.  .   ‑

O P T A / A c C y s   M o b i l e  

150  180 

a n d  

c h r o m a t o g r a m   e n a n t i o m e r s .  

G r a d i e n t   a c e t o n i t r i l e ,  

o f  

p h a s e , S O m M   0 %   o f   f r o m  

120 

d e r i v a t i v e s  o f  s t a n d a r d   a m m o n i u m  a c e t a t e   a c e t o n i t r i l e   t o  3 0 %   d u r i n g  

C o l u m n ,  

1 8 0  m i n .   E a c h   ー n m o l  o f   D e v e l o s i l ‑ O D S ‑ 5 ( 2 0 c m  x  

a m i n o   .  6 m m  

a c i d  w e r e  i n j e c t e d

。 I . D . )  

2 O P T A/ AcCys

法によるアミノ酸の光学異性体の液体クロマトグラフ

112  (76)  

海洋化学研 究

2 ,  2   (1987) 

(6)

液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ る 生 成 ア ミ ノ 酸 の 光 学 異

t

生体の分析

前述した

O P T A/AcCys

を反応試薬として用い

た液体クロマトグラフィーによるアミノ酸分析法6),7)  

ではアミノ酸の光学異性体の分析が可能である 。 この方法を参考にして,生成沈殿を加水分解後,

そのアミノ酸の光学異性について検討を行った 。

まず,

D . L

体アミノ酸または,

M

本アミノ酸を各々

反応後,アミノ酸注入量として各々

l n m o ]

にな る量を注入した時の液体クロマトグラフィーのパ ターンを図

2

に示す。 この条件では,アスパラギ

ン酸

(Asp)

D,L

分離せず,また, ヒスチジン

(His), トレオニン (Thr), については,かなり

分離能が悪く, リジン

(Lys)

についてはヒ°ーク が出て来ない 。以上の点については,今後の分析 法の改良が必要であるが,他のアミノ酸について は,光学異性体の分析が可能であり,図

2

に示し た条件で分析を行った 。図

3

に,各種の条件で生 成した沈殿のアミノ酸分析の代表的なクロマトグ

ラムを示す 。

3

中,プランク

(Blank)

は,試料を加えず に,同様の手順(加水分解後,アミノ酸分析)で 行ったものであり,また, コンタミネーションテ スト

(Contamination test)

は,アンモニウムイ オンを含まない反応液により合成を行い,生成し

た沈殿を

20mgr

取り,同様の手順で分析したク

ロマトグラフである 。試料番号83101は, アミノ 酸濃度が低いため,試料20mgrを加水分解した 。

また,試料番号91601は,

2mgr

を加水分解し分 析した 。

いずれの試料についても,グルタミン酸,セリ ン,アラニンについて,

L

体濃度が,

D

体に比べ かなり大きい事を示すビークが得られている。ま た,その他にアミン類であると推定される,アミ 海洋化学研究

2,  2  (1987)  (77) 

ノ酸以外のピークが得られている 。

この分析結果については,クロマトグラフによ る保持時間のみの測定であるため,今後,物質の 単離・同定,施光度測定などにより光学収率の定 量的な確認が必要であり,また,一連の合成・分 析手順中での微生物などの汚染についての厳密な 検討を必要とするが, この新しく発見した硫化水 素による合成反応が,生命の起原におけるアミノ 酸の左施性についての疑問を解く可能性を示唆し ている。

生 命 の 起 原 に つ い て

以上,本合成法について述べてきたが,生命起 源との関連について,推論をまじえて述べてみた

オパーリンの先駆的研究II )

(1927年)以来, ミラー

・ユーレイの還元型大気からのアミノ酸合成12),1" )

(1953年)など数多くの化学進化(原始無生物環

境から生物への進化)の仮説・実験がなされてい るがM )15),が現在,その種々の仮説に対して,以 下の様な疑問点が掲げられている16),17 )O  

1) ミラー・ユーレイの実験ではメタン・アンモ ニア・水などの還元型大気において,大気中 でアミノ酸が合成されたとされているが,最 近の地球物理学の理論では原始大気は,二酸 化炭素・窒素・水などよりなる酸化型の大気 であったのではないかと推定されている 。

2 )

還元原始大気中で生成したアミノ酸が,海洋

中で重合し細胞様高分子となるためには,高 温・高圧下の様な大きなエネルギーを必要 と する事が実証されている 。従って,海洋の様 な緩やかな条件下で生命が誕生するためには,

上記と異なる機構を経る必要がある 。

3 )

また,従来のモデル実験では,生成したアミ

ノ酸や糖はすべてラセミ体(光学活性を持た ない)であるとされている 。(生物を構成する

113 

(7)

S O O m V  

S a m p l e  No. 91601  0 .5 M  NaCl  0 .5 M  MgCl2  0 .1  M  NI方O H 0  I M  H 2C O   Hycl r  uly s,s  :  2m g  

' 1' .

as ,1  

1

5 0 0 m V  

3 0   6 0   9 0   120  150 

S a m p l e  No. 83101  0.5 M  NaCl  0 5  M  M 9 C l 2   0 .0  I M  H CO ON H 4   I0 ‑ 3 M出 C O

H y d ro lysis ;  2 0 m g   A

3  

nk ), '

d s y 

t V'

1

as

1

゜ soornv 

Contamination te st  3 0   6 0   9 0   120  15 0   0 . 5 M  NaCl 

O . S M  M9Cl2  O.IM H 2 C O   Hydrolysis  ;  2 0 m g  

5 0 0 m V  

3 0   6 0   9 0   120  15 0  

Blank 

3 0   6 0   '30  120  150 

Retention  time  C   min .)  

3 114 

O P T A / A c C y s

法による光学異性体の分析

(78)  

海洋化学研究

2,  2   (1987 )  

(8)

アミノ酸や糖は光学活性(アミノ酸:

L

体, 糖:

D

体)を持っている 。)

4 )

従来行なわれてきたモデル実験や模擬細胞に よる 実験の反応機構は,実際の生物とはか け はなれすぎている。初期反応は,今も原始的 なバクテリアの中で行なわれていると思われ る。

この様な疑問に対し,本合成法では,以下の推 定化学反応式に まとめられる 様に,海洋で普通に

アンモニア(N Hふ 硫 化 水 素(H,S) マグネシウム イオン

(Mg2

十)などから普通の条件

(20℃, 1

気 圧)で,細胞様高分子(有機高分子)が大量に合 成される 。

推定化学反応式

A ) .  

H C O O H + 2 比 C O + N H け 比 S 常温 ・常圧

M g 2 ,,遷移金属 酸化還元反応

+ c o ‑ C H ‑ NH‑+‑ +  S   +  3 H 心

̀  

i

イオウ

ポリペプチド

B). 

H C O O H  +  2   H,CO +  N H ,  ‑ 0  ‑ 2   H,O 

冨元 脱 水

— +CO - CH - 贔 NH‑‑t‑

H,S +  4   0   ̲ ,   H,SO, 

従って,従来の研究に比ぺて,次のような特徴 を持っている 。

1)

.現代の沿岸海洋においてごく 普通 に見られる 様な常温

(20℃付近),常圧 ( 1 a t m )

の自 然環境下で,細胞様高分子の合成を行ってい る。 その生成物は,すべての有機高分子 であ り,その内に

0.1 2

%重 量比のポリペプチ ドを含んでいる 。

2).生成物を加水分解し,アミノ酸分析を行った

ところ,グリシン,アスパラギン酸, グルタ ミン酸,セリン, トレオニン,アラリン,バ 海洋化学研究

2,  2   (1987)  (79) 

リン,イソロイシン, ロイ シン, リジンなど のアミノ酸を同定。その他は,アミン類,糖,

脂肪酸などと推定される 。

3).この合成のエネルギー源としては,硫化物イ

オン(硫化水素)が働いており,従来法に見 られる, 一般環境からみれば特殊な条件でし か存在しない様な エネルギー (火花放電,紫 外線,放射線,高温加熱)は必要としない 。

4)

.従来の多くの考え方では,原始地球環境では,

まずアミノ酸が合成され,そのアミノ酸が重 合し細胞様高分子(ポリペプチド)が出来た とされているが, この考えでは, 重合に大き なエネルギーを必要とする 。 しかし,本合成 法では,反応経路中にアミノ酸の生成を経ず,

直接高分子を合成しているため,重合に要す る特別なエネルギーを必要としない 。 (赤堀 らのいわゆる「ポリグリシン説」ではアミノ アセトニトリルより,ポリペプチドを合成し ている

8)) 1

5).本合成法において反応はすみやかに進行し,

ほぼ数時間以内に終了する 。 また,触媒とし て

Fez+, Mn2+,  Moo.'‑,   C u2+ ,  C o2+ ,  Zn

などを少量

(10

' M程度)加えることにより,

反応がきわめて早くなる。 (1 時間以内)

6)

.ミラー・ユーレイの実験に代表 される様に,

従来のアミノ酸合成では,反応初期条件の原 始大気として,メタン,アンモニア,水より なる還元大気を想定しているが,今日では,

原始大気は還元型ではなく 二酸 化 炭 素 窒 素 水よりなる酸化型の大気であったと 言われて

いる19),加)。 この様な酸化型の大気 で は , 紫 外 線による光化学反応などにより,ギ酸,ホル ムアルデヒト,アンモニアなどしか生成しな ぃ。本合成法では,酸化型の大気 より生成す るとされている上記の物質から細胞様高分子 が生成する 。

115 

(9)

7).  38

億年前の最古の推積岩であると 言われてい るグリーンランドイスア地帯の岩石中に多 量の硫化鉄鉱床が発見されている 事からも4)'

原始海洋には,大量の硫化物イオン(硫化水 素) や鉄,マンガン,モリプデ ンなどの遷移 金属が存在 していたものと推定される 。

8).現在でも海底の熱水噴出口や火山地帯の噴泉

付近では,硫化水素をエネルギ ー源と して生 体有機成分を化学合成している

Sulfolobus

属などの硫黄細菌が生存している 。 これらの バク テリアは,現在,原始地球で誕生 した地 球上最も古いバクテリアの仲間であると 言わ れており ;).3), その視点からも化学進化の初 期過程において,硫化水素が重要な役割を果

たしていたのではないかと推定される 。

9).液体ク ロマトグラフ 分析法によるアミノ酸の

光学異性体の分析結果から,生成したポリペ プチドを構成するアミノ酸は,

L

体である可 能性が強い 。 この事は,現在までの生物すべ てがL体のアミノ酸でできていることを証明 するものであるかも知れない 。今後の綿密 な 検討を要する 。

中海の連続観測結果に ヒントを得て見出したこの 合成反応は,以上の様な理由で,原始海洋におけ る化学反応や,現在の自然環境で起っている硫化 水素還元雰囲気環境のメカニズムを解くための重 要な役割を担っていると思われる 。今後, より詳 細に研究を進めて行きたい 。

終りにあたり ,御助言下さった, 京都大学化学 研究所 左右田健次教授,島根大学 理 学 部 橋 谷 博教授,京都大学理学部機器分析セ ンタ ー 中山 英一郎博士,アミノ酸分析を行 って下さった,同 センタ ー山本文子博士,元素分析を行 って下さっ た同志社大学 原正 教 授 実 験 を 手 伝 っ て い た だ いた茂村直樹氏に厚く御礼申し上げます 。

116  (80)  

引 用 文 献

1 )

紀本岳志,橋谷博,藤永太一郎, 海洋化学研 究第

2

巻 第

2

号,

102‑ 107, (1987 )   2 )  C.R.  Woese,  Microbial.  Rev.,  51,  221 

(1987) 

3 )

大島泰郎,化学,

42, 772 ‑ 773  (1 987)   4 )

梶原良道 「先カンプリ ア縞状鉄鉱層」立見辰

雄編「現代鉱康学の基礎 」

p215 ‑ 228,

東京 大学出版会

(1977)

5 )  S.  Moore,  D.H. Spackman and W . H .   Stein,  Anal. Chem.,  30,  1185 ‑ 1189  (1985 )   6 )   R.H. Buck and K .   K r u m men,  

J.  Chromatogr.,   315,   279 ‑ 285  (1984 )   7 )   N.  Nimura and T.  Kinoshita, 

J.  Chromatogr. ,   352,  169 ‑ 178 (1986 )   8 )  H.  Hatanaka and 

F .  

Egami,  Bull.  Chem. 

Soc.   Jpn .,   50,  1147  (1977 )  

9) Kamalnddin,  H. Yanagawa and 

F. 

Egami,  J.  Biochem.,  85,   1503  (1979) 

10)   H.  Yanagawa,   Y.  Kobayashi and  F .   E g a mi ,   J.  Biochem .,   87,   359  (1980 )   11 )   A .   I.  Oparin,  The Origin  of Life  (1924 );  

邦訳 「生命の起原 一生命の生成と初期の発展」

(岩波書店)

12)  S .L .   Miller,  Science,  117,   528‑529 (1953)  13 )   S .L.  Miller,  J.  A m .  Chem. Soc.,  77,   2351 

‑ 2361  (1955) 

14 )   S.L.  Miller and L.E.  Orgel,  "The   O rigins  of Life on   the Earth", Printice Hall,  Inc.,  (1974)

;邦訳「生命の起原」培風館

(1975) 15)   A. I.  Oparin,

邦訳 「物質 →生命→理性」岩

波書店

(1979)

16)

日本化学 会 編 化学総説 「物質 の進化」No.30 , 学会出版 セ ンタ ー

(1980 )

17 )   A.I.  Oparin ,   C.  P o n n a m perma,

今堀宏三 , 海洋化学研究

2 ,   2  (1987 )  

(10)

「生命の起原への挑戦」講談社

(1977) 18)  H.  Hanafusa and S.  Akabori, Bull.  C h e m  

Soc.  Japan,  32,  626‑630 (1959) 

19)  T.  Matsui and Y.  Abe, Nature, 319,  303‑

305  (1986) 

20) T.  Matsui and Y.  Abe, Nature, 322,  526‑

528 (1986) 

海洋化学研究

2.  2  (1987)  (81)  117 

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