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温泉の化学 「硫黄七変化」 1. 2.

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温泉の化学 「硫黄七変化」

1.

硫黄泉、石膏泉、芒硝泉、明礬泉など、硫黄がからむ温泉は多いのですが、みんな同じ硫黄な んでしょうか?今回はそれについて化学的に考えてみましょう。

まず、硫黄の酸化状態について考察してみましょう。

酸化状態、といきなり難しい言葉が出てきましたが、これは、ある元素が金属なのか、酸化物 などの化合物なのか、ということに関連しています。たとえば、鉄は溶鉱炉でできますが、原 料は、ヘマタイトα-Fe2O3という酸化鉄です。これを石炭で還元(金属にすること)して、鉄 を作っています。この場合、ヘマタイト中に含まれる鉄Feは、3+(電子が3つ少ない状態とい います)で、作った鉄は金属で 0 価となります。つまり、各原子の中の陽子と電子の数が合っ たとき、金属状態の 0 価、電子の数が不足した場合は、1+, 2+, 3+のようになり、電子の数が 多いと、1-, 2-, 3-のようになります。

#厳密には価数は、+1, +2, +3, -1, -2, -3のように表記します。

たとえば、食塩は水中で、Na^+とCl^-になってイオンの状態にいますが、ナトリウムは、+1、

塩素は -1の状態なのです。

話を元に戻して、硫黄は、下記のように酸化されて、酸化数が増えます ()内は酸化数です S(2-) -> S(0) -> S(2+) -> S(4+) -> S(6+)

それぞれ該当する化合物は、

S(2-) = H2S(硫化水素), FeS(硫化鉄), CuS(硫化銅)など

S(0) = 単体硫黄<元素硫黄> (黄色)

S(2+) = Na2S2O3(次亜硫酸ナトリウム)

S(4+) = SO2(亜硫酸ガス)、Na2SO3(亜硫酸ナトリウム)など

S(6+) = H2SO4(硫酸)、Na2SO4(硫酸ナトリウム、芒硝)、石膏、明礬 など、です

鉱物では通常は、硫黄はS(0),(2-)の状態にあります。

空気に触れるとか、高温下で水に接触すると、硫黄は徐々に酸化され、S(4+), S(6+)になります。

硫化物鉱物が固体状態でアルカリ水溶液にふれると、徐々に鉱物中の硫黄が酸化される、とい うことも知られています。地下でアルカリ性の高温水が鉱物、たとえば CuS(硫化銅)に作用 すると、Sが酸化されて溶けだしてきます。同時にCuもCu^{2+}となって溶けだします。

このように、硫黄は、硫化水素から硫酸イオンまで、いろんな酸化状態をとりますので、いわ ば、七変化と言えるでしょう。

2.

温泉というと、色、感触などの他に、重要な要素として、臭い(におい)っていうのがありま す。

臭いがするしない、は、温泉のpHに大きく依存しますが、どんなにpHを変えても臭いのしな

い温泉といえば、芒硝泉(芒硝=硫酸ナトリウム以外は存在しない場合)でしょう。

逆に、硫化水素泉の臭いはすごいですし、火山の近くの通称、地獄、と呼ばれるところでは、

その臭いが立ちこめています。

一般に、臭さの順も

S(2-) > S(0) > S(2+) > S(4+) > S(6+) と言えるのでは、と、思います。

つまり、

硫化水素 > 単体硫黄 > .. > 亜硫酸ガス > ..

と。亜硫酸ガスも相当に臭いですが、臭いよりも酸化性気体独特の、目にしみる、っていうの があります。

さて、このうち、水に溶けるのは、単体硫黄(Sは0価)以外ですので、工業用硫黄を買ってき ても、家の風呂釜を壊すだけで、何の得にもならないものと思われます。

天然の湯ノ花は、その点、硫黄以外の硫黄化合物をたくさん含んでいますので、温泉と同じ効 果は得られないものの、風呂でお湯に溶けて、効果を発することが期待できますね。

注意したいのは、風呂釜です。硫黄は、水に溶けず、かつ、疎水性ですので、大抵は表面に浮 かぶのですが、小さい粒子はコロイドとなって、風呂水中に分散します。湯ノ花風呂をやった あとは、すぐに釜を水ですすぎましょう!

さらに、風呂水の温度が下がると、沈殿する傾向にもあります。風呂桶の底にざらざらと硫黄 が残ってしまいます。

さて、このうち、硫化水素に着目しますと、硫化水素は水に溶けますので、下記のようなイオ ンの解離反応を起こします。

イオンの解離反応とは、食塩が水に溶けて、NaCl -> Na+ + Cl- となるような反応を指します。

H2S   =   HS-   +  H+

硫化水素 硫化水素イオン 水素イオン さらに、硫化水素イオンは

HS- = S2-     +   H+   硫黄イオン

のように水中で解離反応を起こします。

水素イオン濃度が高い(=pHが低い)と、反応式の右辺のイオン量が多くなりますので、上の 反応は左の方向に向かいます。

一方、硫化水素は水に溶けることのできる量(溶解度)が温度で決まっていますので、温度が 上がると、硫化水素は出やすいのです。

結局、硫化水素が含まれている温泉では、酸性が強く、温度が高い温泉ほど、臭い、というこ とになります。また、療養泉として、硫黄イオン S^{2-}の効果を得るためには、アルカリ性泉 の方がいい、ということもわかります。

なお、鉱泉分析法指針における、総硫黄は、硫化水素イオン(HS-、S2-)と次亜硫酸イオン(チ オ硫酸イオンが実は正しい、S2O32-、S2+)と、硫化水素(H2S、S2-)の総和を指し、温泉水 1 kg 中に、2 mg以上含有されていると、硫黄泉と言います。

(2)

3.

硫化水素の発生は、温度とpHに依存しますが、亜硫酸ガスSO2はどうかってことが、主題で す。

温泉分析表(分析表の見方は別稿参照)をよく見ると、チオ硫酸イオン S2O32-が明示されてい ることがあります。

このチオ硫酸イオンは、硫黄イオンS2-が酸化されてできたものですが、これは下記のように分 解する性質があります。

S2O32- -> S + SO32-

チオ硫酸イオン 硫黄 亜硫酸イオン

温泉の総硫黄にチオ硫酸イオンを含めるのはこの分解反応を想定しているわけで、チオ硫酸イ オンは単体硫黄を生成する元とも言えるからです。もう一方の亜硫酸イオンはどうなるのでし ょうか。

水中では

S2O32- + H+ -> HSO3-

亜硫酸イオン   水素イオン   亜硫酸水素イオン HSO3- + H+ -> H2SO3

亜硫酸水素イオン   水素イオン   亜硫酸 という反応を起こしています。さらに、

H2SO3 -> SO2 + H2O 亜硫酸 亜硫酸ガス 水

という反応で、亜硫酸ガスを発生させます。

硫化水素と同じように、亜硫酸ガスは温度が高いと溶解できずに、外に出てきます。また、酸 性が強い(=pHが低い)と亜硫酸ガスが発生しやすいこともわかると思います。

亜硫酸ガスは四日市喘息などの原因ともなったもので、ちまたには結構あふれているもので、

酸性雨の原因の一つにもなっており、特に中国では深刻です。石炭中には多くの硫黄を含むの ですが、燃やすときに亜硫酸ガスが発生するわけです。

ただ、温泉の場合は地上に出てくるときに、出るべき亜硫酸ガスは出尽くしているので、大丈 夫でしょうし、水中ではそれほど安定ではないです。

また、チオ硫酸イオンが含まれている温泉水はpHが高いので、それが分解することもあまりな いですが、これに酸を入れると結構面白い現象が見られるものと思います。つまり、硫黄の析 出と亜硫酸ガスの発生です。

しかし、強い酸(pHが1程度)になると、

H2O + S2O32- -> H2S + SO42-

水 チオ硫酸イオン 硫化水素 硫酸イオン

となる反応も進行し、研究者の中には、硫酸イオンの生成はこの反応によるものと考える人も 多いです。

4.

前回までに、硫黄の酸化数の変化についてお話ししましたが、今回は、酸性泉に多く含まれる、

硫酸のお話です。

秋田の玉川温泉は強酸性で知られていますが、温泉の化学・玉川温泉のところでもお話しした

ように、その特徴の一つとして、溶存す

る塩化物イオン(Cl-)濃度と硫酸イオン(SO42-)濃度の関係があります。日本の大多数の温泉は、

硫酸イオン濃度(モル濃度ベース)の方が、塩化物イオン濃度よりも多いのですが、玉川は逆 に、塩化物イオン濃度が高いことを特徴としています。これは火山型温泉(別の項でお話しし ます)でも、新しい火山活動に影響されていることを反映しており、いわば"新鮮で若い"温泉で ある、と言えます。その硫酸の起源とは何か、が今回お話しする内容です。

硫黄島の火山ガスの成分を調べると、1リットル中に980mlの水蒸気を含み、残りは二酸 化炭素3〜5ml、二酸化硫黄6〜9ml、硫化水素0.5〜2ml、塩化水素5〜7ml、

フッ化水素0.2〜0.4ml、水素その他〜1mlからなっているそうです。

(S. Matsuo et al., Geochem.8, 165 (1975)) 

二酸化硫黄はマグマに含まれる硫化水素等の硫黄成分が高温水蒸気と地下の高圧下で、酸化さ れてできたもので、これが地下の水面で水脈と接触し、硫酸泉となったと考えられています。

以前お話ししたグリーンタフ系の温泉の硫酸イオンが海水に起源していたのに対し、こうした 火山性の温泉の硫酸イオンは、マグマから直接上がってきた硫化水素等の硫黄成分のものであ って、まさしく地球のエネルギーをまざまざと感じさせる、若い温泉と言えましょう。

こうした酸性泉で多く、硫黄が見られるのは、前にお話ししたように、硫化水素が地上に噴出 した際に酸化されてできたものであって、お湯に含まれる硫酸イオンと同じ起源なのです。

じゃあ、なぜ酸性になるのでしょうか。簡単のため、酸素による酸化反応を見て下さい。

2O2 + H2S -> H2SO4

のように酸素と硫化水素が反応して硫酸になるからです。

「温泉の化学」から「硫黄の七変化」だけ抽出 http://www.onsen.or.jp/kagaku/index.html

温泉法 2条 (温泉・温泉源の意義)

この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス[炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。]で、別表に掲げる 温度又は物質を有するものをいう。

別表

1.温度(温泉源から採取されるときの温度とする。摂氏25度以上 

2.物質(左に掲げるもののうち,いずれか1)

物質名 含有量(1キログラム中)

溶存物質(ガス性のものを除く。総量1,000ミリグラム以上 遊離炭酸 250ミリグラム以上

リチウムイオン 1ミリグラム以上 ストロンチウムイオン 10ミリグラム以上 バリウムイオン 5ミリグラム

フェロ又はフェリイオン 10ミリグラム以上 第1マンガンイオン 10ミリグラム以上 水素イオン 1ミリグラム以上 臭素イオン 5ミリグラム以上 沃素イオン 1ミリグラム以上 ふっ素イオン 2ミリグラム以上 ヒドロひ酸イオン 1.3ミリグラム以上 メタ亜ひ酸 1ミリグラム以上 総硫黄 1ミリグラム以上 メタほう酸 5ミリグラム以上 メタけい酸 50ミリグラム以上 重炭酸そうだ 340ミリグラム以上 ラドン 20(百億分の1キューリー単位)以上 ラジウム塩 1億分の1ミリグラム以上

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