解析学 B 演習問題 (No. 1)
13/April/2005
1
z,w∈C とする。次を示せ。(1) z+z = 2<z, z−z = 2i=z (2) zw=z·w (3) (w
z )
= w
z (z 6= 0)
2
二つの複素数z =r1(cosθ1+isinθ1)とw=r2(cosθ2+isinθ2)の積を極形式で表示し、|zw|=|z| · |w| を示せ。
3
実行列の集合C = {(a −b b a
)
:a, b∈R }
を考える。写像F :C→C を
F(a+ib) = (
a −b b a
)
で定めたとき、F は全単射で
F(z+w) = F(z) +F(w), F(zw) =F(z)F(w), z, w ∈C が成り立つことを示せ。また、行列 F(i)の幾何学的な意味を述べよ。
板書用問題 (この演習では、特に断りがない限り、数はすべて複素数とする。)
1.
|a| < 1 とする。このとき、|b| < 1 ならば |a −b| < |1 −ab|, |b| = 1 ならば|a−b|=|1−ab|が成り立つことを示せ。
2.
z, w∈C とする。次の三角不等式示せ。||z| − |w|| ≤ |z±w| ≤ |z|+|w|
3.
c1, c2, . . . , cn ∈ R とし、F(z) = zn +c1zn−1 +· · ·+cn−1z+cn とおく。α ∈ C が F(α) = 0 を満たすならば、共役複素数 α もまた F(α) = 0 を満たすことを示せ。解析学 B 演習問題 (No. 1) 解答
13/April/2005
1
(1) z = x+iy とおくと、z = x−iy となるので、z +z = 2x = 2<z, z−z = 2iy= 2i=z.(2) z =x+iy, w=u+iv とおくと、zw= (xu−yv) +i(xv +yu), z·w= (xu−yv)−i(xv+yu) となるので、zw=z·w が成り立つ。
(3) (1
z )
= 1
z を示せば、(2)の結果と合わせて(3) が証明できる。z =x+iyとおくと、
1 z = z
zz = z
|z|2 = x−iy
x2+y2 = x
x2+y2 −i y x2+y2 1
z = z zz = z
|z|2 = x+iy
x2+y2 = x
x2+y2 +i y x2+y2
と書けるので、
(1 z
)
= 1
z が成立つ。
別解. (2) の結果より、w= (w/z)z = (w/z)z. これより、(w/z) =w/z が従う。
2
z =r(cosθ+isinθ),w=R(cosϕ+isinϕ)と極表示すると、zw=rR{(cosθcosϕ−sinθsinϕ) +i(cosθsinϕ+ sinθcosϕ)}
=rR(cos(θ+ϕ) +isin(θ+ϕ)).
これより、|zw|=rR=|z| · |w| を得る。
3
F(i) =( 0 −1 1 0
)
=
cosπ
2 − sinπ 2 sinπ
2 cosπ 2
と書ける。この行列は、原点 (0,0) を中心
として反時計周りに π/2回転させる変換を表している。
解説. 問題
3
の行列の集合として、複素数を構成することもできる。実数 a と行列 (
a 0 0 a
)
を同一視して、行列 (
a 0 0 a
)
を単に a で表すことにし、行列 (
0 −1 1 0
)
を記号iで表すことにする。
( a −b b a
)
= (
a 0 0 a
) +
( b 0 0 b
) ( 0−1 1 0
)
と変形できるこ
とに注意すれば、行列 (
a −b b a
)
はa+biと表す事が出来る。
( 0 −1 1 0
) ( 0 −1 1 0
)
=
(−1 0 0−1
) だから、i2 =−1となる。