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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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氏 名 佐野 EA AE文彦ふ み ひ こE 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第 449号

学 位 授 与 年 月 日 平成 26年 3月 19日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 アルコール摂取と心房細動発症の関連に関する前向き研究 論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 中 村 好 一

(委 員) 教 授 梶 井 英 二 講 師 上 西 祐一郎

(委 員) 教 授 萱 場 一 則

論文内容の要旨

1 研究目的

心房細動は洞調律に比較し、致死的脳梗塞を起こすリスクは3-5倍、心血管死においては2 倍のリスクをもたらす。したがって、心房細動の発症要因を解析し、それを制御することは、

心房細動による動悸等の症状を抑えるだけでなく、脳梗塞の罹患率、心血管死を減少するこ とにつながると考えられる。

欧米諸国からの報告では、高血圧、糖尿病、肥満、心不全、心臓弁膜症、アルコール過剰 摂取などが心房細動発症の危険因子になることが報告されている。

しかし、日本人を対象とした、アルコール摂取と心房細動発症の関連について検討した報 告はほとんどない。日本人は、欧米人と比べアルコール脱水素酵素やアルデヒド脱水素酵素 の活性が低いことが指摘されており、アルコール摂取が心房細動発症に及ぼす影響が強い可 能性がある。

そこで今回、我々は日本の地域住民を対象とした前向きコホート研究を計画し、アルコー ル摂取と心房細動発症の関連をみることにした。

2 研究方法

研究デザインおよび対象】

1991-1995 年に地域住民健診を受診した、30-80 歳の男女計8,602人を対象とした。初回 受診時に、高血圧症、高血糖症、高脂血症、肥満の有無やアルコール摂取量、喫煙習慣、心 電図診断、心筋梗塞の既往、心不全の既往などの既存の危険因子となる情報をベースライン として登録し、心房細動発症をエンドポイントとして 2000年 12 月末まで前向きにフォロー アップした。

【心房細動発症状況の把握】

8,602人の登録者のうち、ベースライン時に心電図で心房細動を有さず、また問診にて心房

細動の既往や治療歴のない 8,516 人を対象とした。フォローアップでの心房細動発症の有無 については、①健診受診ごとの心電図診断(ミネソタコード)、②心房細動の治療歴や既往歴 の問診、③本研究が同時調査している脳卒中発症調査、の3つより判断した。

(2)

【ベースラインデータの検討】

血圧は水銀血圧計を用い、収縮期および5段階拡張期血圧を記録した。収縮期血圧140mmHg 以上、拡張期血圧90mmHg以上、降圧剤の内服治療中のいずれかを満たすものを高血圧症と定 義した。血清総コレステロール値220mg/dl以上あるいは脂質低下療法をうけているものを高 脂血症と定義した。Body mass index(BMI)は体重(Kg)/身長(m)2 で計算し、30 以上を肥 満と定義した。高血糖症の定義は、空腹時血糖 110mg/dl 以上、随時血糖140mg/dl 以上、糖 尿病薬使用中のいずれかを満たすものとした。喫煙習慣および飲酒習慣については、詳細な インタビューにより情報収集した。飲酒量は、日本の伝統的飲酒量単位である合を用い、1合

=エタノール23gと換算した(日本酒180ml、ビール633ml、ウイスキー75ml、ワイン180ml 相当を1合換算とした)。また1 日1 本以上の喫煙ありを喫煙者と定義した。心筋梗塞既往、

心不全の既往の有無を問診で確認した。

【統計学的解析】

心房細動発症における危険因子を検討した先行研究をふまえ、本研究では年齢、性別、ア ルコール多量飲酒(エタノール量で69g/日以上)の有無、喫煙状態の有無、肥満の有無、高 血圧症の有無、高血糖症の有無、高脂血症の有無、心電図によるST-T変化の有無、陳旧性心 筋梗塞の有無、心不全の有無、の11つを危険因子として扱い、心房細動発症に及ぼす影響を 検討することにした。

性・年齢調整後の心房細動の罹患率は、1991-2000年までの心房細動新規発症者数296人を もとに計算した。Cox 比例ハザードモデルを用い、前述の危険因子のハザード比および 95%

信頼区間(95% CI)をもとめた。すべての統計解析には、両側検定を用い、P値は0.05未満 を統計学的有意とした。

3 研究成果

本対象を長期間にわたり前向きにフォローアップした。平均追跡期間は 6.4 年で、追跡率 は84.6%と非常に高かった。参加者の平均受診回数は5.2回であった(2回21.3%、3回20.7%、

4回11.3%、5回以上46.7%)。フォローアップ期間中の新規心房細動の発症は296人であっ た(心電図による診断 254人、問診による診断 36人、脳卒中発症調査による診断6人)。

男性においては、心房細動罹患者で平均エタノール摂取量と平均血糖値、アルコール過剰 摂取者の割合(1日3合以上)、高血糖者の割合が有意に高かった。女性では、平均BMI値、

平均血糖値、アルコール過剰摂取者の割合、肥満者の割合が心房細動罹患者で有意に高かっ た。喫煙者の割合、血圧値、血清総コレステロール値、心電図におけるST-T変化については、

心房細動罹患者、非罹患者の2群間で男女とも有意な差はなかった。

男性では、1日3合以上の多量飲酒者においては、非飲酒者に比較し有意に高い心房細動の 罹患率を示した。非飲酒者に比し、過去飲酒者、1日1合未満、1日1-2合、1日2-3合、1 日 3 合以上の群では、それぞれ 1.30倍 (95% CI, 0.68-2.49), 0.89 倍 (0.60-1.32), 1.19 倍 (0.73-1.95), 1.36倍 (0.79-2.35), 2.90倍 (1.61-5.23)であった。

心房細動発症の危険因子としては、アルコール過剰摂取(1日3合以上)のほか、年齢、肥 満(BMI30Kg/m2 以上)、高血糖症が認められた。それぞれのハザード比および 95%信頼区間 は、年齢1.02 (1.01-1.03) ,アルコール過剰摂取 2.61(1.55-4.39), 肥満2.24 (1.41-3.58) 、

(3)

高血糖症1.35(1.02-1.78) であった。

4 考察

本研究より、日本人においては 1日 3合以上のアルコール摂取は心房細動の罹患率を大き く上昇させた。一方、1日3合未満の軽度から中等度の飲酒では心房細動の発症リスクは有意 に高くはならなかったが、2合以上の飲酒で増加傾向がみられた。日本人においては、1日2 合から 3 合以上となる飲酒量が心房細動発症において重要な意味をもつことを示している。

この結果は、過去の欧米諸国からの検討と同様の結果であった。日本人は、アルコール脱水 素酵素やアルデヒド脱水素酵素の活性が欧米人に比較し少ないことが報告されているが、日 本人および欧米人における心房細動を惹起するアルコール摂取量については大きな差は認め られなかった。

本研究の特徴としては、①8,602人という大規模の地域住民集団を対象としたこと、②平均 6.4 年という長期間にわたるフォローアップがなされたこと、③フォローアップ率が 84.6%

と極めて高かったこと、④ベースラインデータの情報が正確であり信頼性が高いこと、があ げられる。

しかし、本研究の限界も存在する。発作性の心房細動で特に無症候性のものについては、

健診受診時の心電図でとらえることもできず、医療機関へ受診することも少ないと考えられ るため、その数を過小評価している可能性がある。また参加者全員が毎年健診を受けていな いため、無症候性の心房細動を過小評価している可能性がある。

5 結論

本研究では、日本人において、多量飲酒、特に 1日 3 合以上のエタノール摂取が心房細動 の罹患を高めることを明らかにした。またアルコール脱水素酵素の活性が低いとされてきた 日本人と欧米人との間で、心房細動を惹起するエタノール量が大きな差がないことも明らか となった。

1日2合以上の飲酒者は男性参加者の 25.6%、さらに1日3合以上の飲酒者は、男性参加

者の 7.2%もおり、飲酒量を控えることで心房細動そのものだけでなく、心房細動が誘引とな

る脳梗塞、心不全をも減らすことができる可能性があり、多量飲酒に対する介入の公衆衛生 学的な意味合いは大きいと考えられる。

論文審査の結果の要旨

1991~1995年の地域住民検診を受診した30~80歳の男女8千602名を対象とし、心房細動 発症をエンドポイントとした追跡調査の結果から、アルコール摂取と心房細動発症の関連を 明らかにした疫学研究である。平均追跡期間は6.4年、追跡率は84.6%と良好なコホート研 究であると判断した。新規の心房細動動発症者は296人(3.4%)で、男では1日3合以上の 多量飲酒者のリスクが非飲酒者と比較して統計学的に有意に上昇していた。

本邦における大規模コホート集団を用いてアルコール摂取と心房細動発症の関連を明らか

(4)

にした点は意義のある論文である。一方でその機序についての考察などについては踏み込み 不足の点が否めない。しかしながら詳細なデータ解析などについては充分に評価されるべき 内容であり、本学の学位(博士[医学])にふさわしいものと判断した。

な お、本論 文は日本 循環器学 会が刊行 す る Circulation Journal に「Heavy alcohol consumption and risk of atrial fibrillation: the Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS).」として掲載が決定している。

最終試験の結果の要旨

申請者の発表は,提出された学位論文研究の内容の概要について約30分間行われ、分かり やすく丁寧に説明された。審査員からは内容に関する質問が出たが、これらに対して適切に 回答した。

内容に対していくつかの問題点が指摘されたが、試問全体としては適切な回答が得られて おり、審査員全員一致で合格と判定した。

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