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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 水み ずEA AEし なEA AEよ しEA AE E 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第510号

学 位 授 与 年 月 日 平成28年3月22日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 マウス高濃度酸素暴露急性肺傷害モデルにおけるNLRP3の役割の解明 論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 小 山 信一郎

(委 員) 教 授 長 田 太 助 講 師 早 川 盛 禎

論文内容の要旨

1 研究目的

酸素療法は、呼吸不全患者の治療に不可欠である。一方で一定時間以上の高濃度酸素吸入はそ れ自体が急性肺傷害を引き起こすことが知られており、高濃度酸素暴露急性肺傷害(hyperoxic acute lung injury:HALI)と呼ばれている。HALIの分子機序についてはいまだ不明な点が多いが、

近年、炎症の関与が指摘されている。

インフラマソームは、caspase-1の活性化を誘導することで IL-1β の分泌に関わる細胞質内蛋白 複合体で、特にNLRP3インフラマソーム(NLRP3、アダプター分子ASCとcaspase-1の複合体)

が無菌性炎症の惹起経路の1つとして注目されている。本研究では、HALIにおけるNLRP3イン フラマソームの役割を解明する目的で、マウスHALIモデルを作製して検証を行った。

2 研究方法

In vivoでは野生型(Wild-type:WT)マウス、NLRP欠損(NLRP3−/−)およびIL-1β欠損(IL-1β−/−

マウスを90 % 酸素チャンバー内で飼育し、生存解析を行った。また、90 % 酸素暴露72時間で

気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)および肺組織を採取し、BALF中の細胞 成分解析や上清中のサイトカイン測定、肺の組織学的検討、肺組織の遺伝子および蛋白発現解析 を行った。

In vitroではin vivoで得られた結果のメカニズムの解明を目的に、HALIの病態形成に関わる肺

胞上皮細胞・マクロファージおよび好中球の蛋白発現解析や、共培養実験による細胞間相互作用 の解析、炎症細胞遊走能の解析を行った。

3 研究成果

高濃度酸素環境下におけるマウスの生存分析では当初の予測に反し、NLRP3−/−マウスの生存 期間はWT マウスと比較して有意に短縮していた。一方、WT マウスと IL-1β−/−マウスの生存期 間に有意差を認めず、BALF中のIL-1βにも有意な変化を認めなかった。以上の結果からNLRP3 がIL-1β非依存的にHALIに作用している可能性を考え、WTマウスとNLRP3−/−マウスの相違に 着目して解析を進めた。

高濃度酸素暴露後の NLRP3−/−マウス肺組織では好中球・マクロファージの浸潤が抑制されて

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いたにもかかわらず、HALI 増悪因子である MMP-9 の発現が増加していた。加えて NLRP3−/−

マウスの肺組織では抗アポトーシス分子である Bcl-2 の発現が低下し、肺胞上皮細胞のアポトー シスも亢進していた。そこで、MMP-9およびBcl-2の共通の調節因子であるStat3 に着目して解 析を行ったところ、肺組織におけるStat3および活性化Stat3の発現は、NLRP3−/−マウスで有意に 低下していた。過去のマウスHALIモデルの報告で、肺胞上皮細胞にStat3を強制発現させること で、高濃度酸素環境下での生存期間が延長することが示されている。このことから、肺組織にお

けるStat3発現量の相違がNLRP3−/−マウスの生存期間短縮の要因になっていると推測された。

そこで、in vitroでStat3およびリン酸化Stat3の発現調節の機序を検証した。

HALIに関わる主要な肺組織の構成細胞である肺胞上皮細胞、肺胞マクロファージおよび好中球 のうち、肺胞上皮細胞のみNLRP3の発現を認めなかった。このことから、炎症細胞との相互作用 により肺胞上皮細胞のStat3の発現が変化すると考え、共培養実験を施行した。MLE 12細胞(肺 胞上皮細胞株)を MH-S 細胞(肺胞マクロファージ細胞株)または腹腔由来好中球と共培養を行 うと、MLE 12細胞のStat3の活性化は促進し、MH-S細胞あるいは腹腔由来好中球の培養上清を

MLE 12細胞に添加することでも同様の結果が得られた。このことから、浸潤してきた炎症細胞か

らの液性因子により肺胞上皮のStat3の活性化が促進し、HALIに保護的に作用すると考えられた。

以上の実験結果から、NLRP3−/−マウスでは、肺組織への炎症細胞浸潤が抑制されることにより、

肺胞上皮のStat3の活性化が抑制され、高濃度酸素環境下での生存期間が短縮することが示唆さ れた。

NLRP3−/−マウスで肺組織への炎症細胞浸潤が抑制されたメカニズムとしては、NLRP3−/−好中 球では遊走能の低下を認め、また、高濃度酸素暴露後の NLRP3−/−マクロファージではケモカイ ン発現の抑制が観察された。さらに、NLRP3−/−マウスに、WT好中球を adoptive transferする ことで高濃度酸素環境下での NLRP3−/−マウスの生存期間が改善した。このことから好中球にお

けるNLRP3がHALIにおいて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。

4 考察

HALIでは炎症細胞浸潤、血管透過性亢進、血管内皮細胞や肺胞上皮細胞の傷害が認められる。

一般に過剰な炎症反応は肺傷害を増悪させるが、HALIの病態は炎症反応以外にもアポトーシスや 保護因子等の複雑な要因から成立している。本研究では、炎症細胞浸潤の抑制が保護因子Stat3の 活性化を抑制して、マウスの生存期間を短縮させることを明らかとし、炎症反応の抑制が必ずし も高濃度酸素環境下でのマウスの生存を改善するわけではないことを示した。

近年、インフラマソーム非依存的なNLRP3の作用が注目されているが、本研究では、HALIの 病態における、IL-1βとは独立した炎症細胞におけるNLRP3の新たな役割を示すことができた。

本研究結果から想定されるメカニズムは以下の通りである。

高濃度酸素暴露により肺組織へ好中球およびマクロファージが浸潤し、浸潤した炎症細胞から の液性因子により肺胞上皮細胞のStat3 が活性化される。Stat3 の活性化は、MMP-9の発現抑制、

Bcl-2の発現増加と肺胞上皮細胞のアポトーシス抑制によりHALIに対して保護的に作用する。一

方、NLRP3が欠損していると、好中球の遊走能低下やマクロファージのケモカイン発現が抑制さ れることにより、高濃度酸素暴露後の肺組織への炎症細胞浸潤が抑制される。これにより肺胞上

皮細胞のStat3の活性化が抑制され、結果としてMMP-9の発現増加や肺胞上皮細胞のアポトーシ

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スが進行し、高濃度酸素環境下での生存期間が短縮すると考えられた。

5 結論

本研究は、NLRP3がIL-1β非依存的にStat3に作用し、HALIに保護的に作用することを明らか にした。また、HALIにおいて、好中球が炎症とは独立して組織傷害を軽減し、生存を改善すると いう新たな知見を示した。

論文審査の結果の要旨

本論文は、高濃度酸素曝露時の急性肺傷害におけるインフラマソームの関与について、特に無 菌性炎症に関与するNLRP3( Nucleotide-binding oligomerization domain-like receptor (NLR) family pyrin domain containing 3)インフラマソームに注目し、NLRP3ノックアウトマウスを用 いて種々検討した。その結果、高濃度酸素吸入により、肺組織での炎症細胞浸潤が起こり、肺胞 上皮細胞のStat3が活性化された。活性化されたStat3は、Bcl-2の発現を増加させることにより 肺胞上皮細胞のアポトーシスを減少させ、その結果肺傷害に保護的に作用した。このように本論 文は、非常に新規性のある知見を示した。

本研究については、すでに2015年にJournal of Biological Chemistryに論文として掲載され ており、また平成28 年2 月8日に開催された学位審査委員会において、学位論文に相応しいも のであることが評価された。

最終試験の結果の要旨

本論文は、高濃度酸素曝露時の急性肺傷害におけるインフラマソームの関与について、特に無 菌性炎症に関与するNLRP3( Nucleotide-binding oligomerization domain-like receptor (NLR) family pyrin domain containing 3)インフラマソームに注目し、NLRP3ノックアウトマウスを用 いて種々検討した。その結果、高濃度酸素吸入により、肺組織での炎症細胞浸潤が起こり、肺胞 上皮細胞のStat3が活性化された。活性化されたStat3は、Bcl-2の発現を増加させることにより 肺胞上皮細胞のアポトーシスを減少させ、その結果肺傷害に保護的に作用した。このように本論 文は、非常に新規性のある知見を示した。

本研究については、すでに2015年にJournal of Biological Chemistryに論文として掲載され ており、また平成28 年2 月8日に開催された学位審査委員会において、プレゼン・質疑応答の 内容について審議された結果、学位論文に相応しいものであることが評価された。

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