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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 深田ふ か だEA AE一平い っ ぺ いE 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 746号

学 位 授 与 年 月 日 平成 30年 2月 15日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 低異型度ER陽性HER2陰性乳がんにおける術前化学療法による腫瘍縮 小様式と予後解析に関する研究

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教授 田 中 亨

(委 員) 教授 山 口 博 紀 准教授 藤 田 崇 史

論文内容の要旨

1 研究目的

原発性乳がんに対する術前化学療法(Neoadjuvant Chemotherapy; NAC)は、主に手術不能の局 所進行乳がんや炎症性乳がんを対象として施行され、化学療法によりdown stagingを図ることが 目的である。現在、乳房温存率の向上、化学療法の効果判定が容易であるため薬剤感受性を判定 する目的においても、NACは一般臨床で広く施行されている。さらに、NACにより病理学的完 全奏効(pCR)が得られた症例では、非 pCR 症例と比較して DFS(disease free survival)、OS

(overall survival)ともに良好であることが明らかになり、新規抗悪性腫瘍剤の承認において

pCR 率の向上が重要視されるようになり、今後も pCRを目指す薬物療法の開発が急務である。

NAC の効果予測因子としてエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、

HER2(human epidermal growth factor receptor 2)が一般的に使用されているが、ER陽性乳が んに対するNACの効果が乏しいことは数多く報告されており、ER/PgR陽性HER2陰性、かつ 核異型度が1または2の、低異型度ルミナール乳がんにおけるpCR率は低く、さらにpCRが予 後予測因子とならない事が報告されている。

NAC による pCR が予後予測因子とならないとされる低異型度ルミナール乳がんにおいて、

MRIを用いてNACよる腫瘍縮小様式を解析し、その生物学的特徴と予後関連因子を同定するこ とにより、有効な治療方法の構築を検討することを目的とした。

2 研究方法

2000年1月から2009年12月までにがん研究会有明病院でNACを施行した853人のうち、

アンスラサイクリン系抗がん剤およびタキサン系抗がん剤を含む標準的化学療法を施行し、NAC 前の針生検検体が保管され本検討で再評価が可能であった523人において、ERおよびPgR陽性、

HER2陰性、かつ核異型度が1もしくは2の低異型度ルミナール乳がん183人をDevelopment set として検討した。さらに、Validation setとして、2010年1月から2012年12月までにNACを 施行した292人のうち、標準的化学療法を施行し、NAC前後における乳房原発巣のMRI画像評 価を行った、低異型度ルミナール乳がん121人において検証を行った。

(2)

3 研究成果

Development setにおける観察期間の中央値は67.9ヶ月、再発は31例(6.9%)、乳がん死は 16例(8.7%)に認められ、5年DFSおよびOSは、それぞれ84.7%と94.3%であった。NACに よる求心性縮小様式は104例(56.8%)に認められ、非求心性縮小様式は79例(43.2%)であっ た。NACによる組織学的治療効果に関しては、3例(1.6%)にpCRを認めたのみであり、180 例

(98.4%)でpCRに至らなかった。腫瘍縮小様式による予後の解析において、求心性縮小群では、

非求心性縮小群と比較してDFSの有意な延長を認めた(ハザード比[HR],0.13; 95% CI, 0.05 to 0.35; p<0.001)。また、OSにおいても、求心性縮小群では、非求心性縮小群と比較して有意な延 長が認められた(HR,0.12; 95% CI, 0.03 to 0.50; p<0.001)。単変量解析ではDFSとOSにおい て、リンパ節転移4個以上(p<0.001、p=0.012)と大きい腫瘍径(p=0.003、p=0.002)が有意な予 後不良因子であり、求心性縮小様式(p<0.001、p<0.001)が有意な予後良好因子であった。多変 量解析では、DFSにおいてリンパ節転移4個以上(p=0.021)が予後不良因子であり、単純求心 性縮小様式 (p=0.001)、組織型(P=0.042)が有意な予後良好因子であった。OSにおいては、求 心性縮小様式が唯一の予後良好因子(p=0.009)であった。

腫瘍縮小様式と予後の相関について検証するために、Validation setとして用意した121例の 低異型度ルミナール乳がんにおける観察期間中央値は56.9カ月であり、再発20例(16.5%)、乳 がん死8例(6.6%)を認めた。5年DFSおよびOSは、それぞれ82.4%と93.2%であった。NAC による求心性縮小様式は74 例(61.2%)に認められ、非求心性縮小様式は 47例(38.8%)であ った。腫瘍縮小様式による予後の解析において、求心性縮小群では、非求心性縮小群と比較して 有意なDFSの延長を認めた(HR,0.18; 95% CI, 0.07 to 0.50; p<0.001)。またOSにおいても、

求心性縮小群では、非求心性縮小群と比較して有意な延長が認められた(HR,0.09; 95% CI, 0.01 to 0.71; p=0.004)。多変量解析において、求心性縮小様式がDFSおよびOSと関連する因子であ った (p=0.007, p=0.037) 。

4 考察

本論文は、熟練した画像診断医および同一の病理診断医により、MRI画像評価、術前針生検検 体の評価、組織学的治療効果判定を行ない、低異型度ルミナール乳がんの生物学的特性を捉えた 初めての報告である。我々の検討において、低異型度ルミナール乳がんに対する NAC により求 心性の腫瘍縮小様式が得られる頻度は約半数あり、その求心性縮小様式が予後関連因子であるこ とが明らかになった。ルミナール乳がんでは腫瘍増殖の速度が遅いため、その内部に非常に高い 不均一性が生じ、腫瘍細胞が転移能を獲得すると報告されている。非求心性縮小様式が予後不良 に関与している原因として、そのルミナール乳がん特有の腫瘍増殖様式が関与している可能性が あると考えられる。

今回の我々の検討において、非求心性縮小様式が予後不良関連因子であることが明らかとなり、

散在性の残存腫瘍細胞が治療耐性に関与している可能性が示唆されたことにより、内部不均一性 の高い乳がんにおいて、より高いpCR率を追究するためには現在の標準治療であるアンスラサイ

(3)

クリン系抗がん剤およびタキサン系抗がん剤の逐次療法では治療効果に限界がある可能性が示さ れる。近年の臨床試験において、NACにおける画像評価にて標準治療の効果が不十分であった場 合に、別の薬剤を逐次併用することで治療効果の改善を期待できることが報告されている。

さらに、StageII/IIIの高リスク乳がんに対する標準的な術前化学療法と併用する新薬候補の有

効性をバイオマーカーで評価する多施設共同第II相臨床試験において、NAC中のMRI画像検査 と分子解析により治療反応を予測する一連の探索研究という新しい試みが開始されている。NAC に対する乳房原発巣の反応を定量的に評価する新たな試みも行われており、このような新しい画 像での評価方法による治療評価を、臨床試験のデザインに組み合わせることにより、画像検査と 分子解析により治療反応を予測する一連の探索研究を推し進め、新規のバイオマーカーならびに 治療薬の開発に寄与できる可能性がある。今後、手術時検体において残存した腫瘍組織を用いた 更なるバイオマーカーの検索、また、サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬等の有望 な新規分子標的薬を用いた新規臨床試験の立案等を通じて、低異型度ルミナール乳がんに対する 新たな治療戦略構築を目指した取組みを推進したい。

5 結論

低異型度ルミナール乳がんにおいて、術前化学療法中のMRIを用いたモニタリングが有用であ り、求心性縮小様式は重要な予後関連因子である。

論文審査の結果の要旨

本研究は、局所進行性の低異型度エストロゲン受容体陽性かつ Her2 遺伝子低発現乳癌の術前 化学療法の反応性を検討することで予後予測因子の抽出を試みたものである。乳癌の薬物治療の 進歩が著しいなかで上記のサブタイプは化学療法にて完全寛解に持ち込みにくいことが知られて いる。申請者は、臨床的に重要なこの問題に挑み、MRI画像での求心性縮小を示すグループが病 理学的完全寛解にはいたっていないものの多変量解析でも有意な予後マーカーであることを明確 にした。代表的な予後マーカーである局所の腫瘍径(T factor)やリンパ節転移(N factor)よりも優 れたマーカーとして示され、学問的な意義だけでなく治療戦略に与える影響は大きい。研究方法 も豊富な症例を用いて、developmental setだけでなくvalidation setでも統計的な有意さを示し ており、研究精度は非常に高い。質疑の中で、統計解析の内容や増殖マーカーであるKi-67の陽 性率が解析因子として含まれていないこと、あるいは、治療後に摘出された検体を用いての求心 性縮小を示す癌の特性の解析が十分でない点が指摘されたが、大きな問題となるレベルではない。

以上、研究の確実性および成果の影響の大きさから、学位論文としてふさわしいと、委員全員 の意見が一致した。

(4)

試問の結果の要旨

乳癌の一般的な特性や治療戦略を概説的に示され、その中で、局所進行乳癌の中で、エストロ ゲン受容体陽性、Her2遺伝子低発現乳癌の問題点を示した。このサブタイプは低悪性度の腫瘍で はあるが、薬物療法抵抗性を示す。この研究背景を明確に提示した上で、研究方法、結果を示し、

申請者がこの問題にどのようにアプローチし、精度の高い統計手法により、これまで知られてい ない予後因子の同定ができたことがロジカルに示される発表であった。また、他の類似研究との 比較や今後に与える影響を含めた関連論文の整理なども明快で、本研究の今後の展望も明瞭に示 された。論文審査の中でも触れたように統計解析の内容や増殖マーカーであるKi-67の陽性率が 解析因子として含まれていないこと、あるいは、治療後に摘出された検体で求心性縮小を示す癌 の特性の解析が十分でない点が指摘されたが、申請者も問題点を認識していることが十分に伝わ ってきた。一般的な乳癌の特性や治療戦略などの基礎知識の高さも、質疑の過程でさらに明確に なった。

以上、発表や応答のレベルは非常に高く、審査委員全員で合格と判定した。

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