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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 岸本きしもと 恵美め ぐ み 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 802号

学 位 授 与 年 月 日 令和 3年 6月 16日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 乾癬患者に対する生物学的製剤6剤のdrug survival~自治医科大学附属 病院皮膚科における315例の検討~

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教授 佐 藤 浩 二 郎

(委 員) 教授 興 梠 貴 英 准教授 長 嶋 孝 夫 教授 井 川 建

論文内容の要旨

1 研究目的

本邦における乾癬治療は、2010年の生物学的製剤の登場により飛躍的に進み、現在までに使用 可能な薬剤は10剤と増えている。本来、第一選択薬の効果と安全性が高く、長期間継続可能であ ることが理想的であるが、実際には選択された薬剤が種々の理由で中止、変更されることも少な くない。生物学的製剤の効果と安全性については数々の臨床試験で十分に検討されており、寛解 状態を維持した継続率も多くの薬剤で高く安定していることが報告されている。ただし、臨床試 験で長期の安定した継続率が報告されている薬剤であっても、実臨床における継続率は臨床試験 のそれとは一致していない。なぜならば、臨床試験の主な評価項目は効果と安全性であるが、実 臨床において薬剤の継続に影響を与える因子は、それらのみならず、利便性、コストパフォーマ ンス、患者満足度、患者の都合や医師の好みなど多岐にわたっているからである。

Drug survivalはリウマチ領域で生物学的製剤に対して使われ始めた語句で、ある薬剤の継続状

態について生存分析を用いて検討する方法である。コックス回帰分析を用いたハザード比の推定 により、drug survivalに影響を与える因子も検討できる。

国内において乾癬に対する生物学的製剤のdrug survival の報告は3例と少なく、また IL-17 阻害薬3剤を含めたdrug survivalの報告は海外からの報告を含めても少数であった。そのため、

自治医科大学附属病院皮膚科における300例を超える治療例について実臨床の継続状態を検討す ることは有意義であり、各薬剤の特徴をより明確にできると考えた。本研究では、当科において 乾癬患者に対して投与された生物学的製剤のうち、先行の6剤のdrug survivalを明らかにする ことを目的とした。

2 方法

自治医科大学附属病院皮膚科において、2010年1月1日から2018年11月21日までの間に生 物学的製剤6剤(TNF阻害薬のアダリムマブ、インフリキシマブ、IL-12/23阻害薬のウステキヌ マブ、IL-17 阻害薬のセクキヌマブ、ブロダルマブ、イキセキズマブ)を投与された中等症から

(2)

重症の乾癬患者について、年齢、性別、Body mass index(BMI)、乾癬の病型、治療歴、薬剤の 中止理由をそれぞれカルテから抽出した。この研究には期間中少なくも 1回の生物学的製剤の投 与を受け、かつ少なくとも1回のフォローアップに来院した日本人患者すべてを含んだ。

Drug survivalを検討するに当たって、薬剤開始日と中止日を抽出する必要があるが、薬剤を変

更した場合はその変更日を前薬剤の中止日とし、また患者の都合で通院が中断された場合は最終 来院日を中止日と定義した。

統計分析については、各薬剤の分類変数の群間比較はカイ二乗検定、連続変数の群間比較は一 元配置分散分析により行った。Drug survival はカプラン・マイヤー法で求め、薬剤間の drug

survival はログランク検定を用いて比較した。検定の多重性を考慮し、P値の補正にはチューキ

ー・クレーマー法を用いた。また治療中止の予測因子の検討にはコックス回帰分析を用いた。

3 研究成果

本研究では、2010年1月1日~2018年11月21日の間に自治医科大学附属病院皮膚科におい て日本人乾癬患者に対して投与された生物学的製剤6剤のdrug survivalを明らかにした。中等 症から重症の乾癬患者205名、315治療例(アダリムマブ103例、インフリキシマブ70例、ウ ステキヌマブ66例、セクキヌマブ38例、ブロダルマブ12例、イキセキズマブ26例)の情報を カルテより抽出し、後方視的に検討した。その結果として、drug survivalは、ウステキヌマブが 上記6剤の中で最も高い傾向にあった。ウステキヌマブは、インフリキシマブに比べ、全患者及 びバイオナイーブ患者(過去に生物学的製剤の投与歴のない患者)において有意にdrug survival rateが高かった。GPPを除いた290例における検討でもウステキヌマブのdrug survivalが最も 優れている傾向にあったが、いずれの薬剤とも統計学的な有意差は認められなかった。各製剤を バイオナイーブ患者と非ナイーブ患者(過去に1剤以上の生物学的製剤の治療歴がある患者)で 比較したところ、バイオナイーブ患者でdrug survival rateが高い傾向にはあったが、統計学的 には有意な差はなかった。

全患者中、13名25治療例が、乾癬の病型の中で重症型とされる汎発性膿疱性乾癬(Generalized

pustular psoriasis、以下GPP)の患者であり、GPPであることは生物学的製剤治療中止の予測

因子であった(ハザード比 1.81、95%信頼区間 1.11-2.94、 p=0.016)。一方で、性別、バイオ ナイーブ患者であること、乾癬性関節炎の合併、投与間隔が短い薬剤であることはdrug survival に影響を与える因子ではなかった。

4 考察

本研究においても、過去の報告同様にウステキヌマブがほかの薬剤に比べて優れた drug

survival を有していたことが示された。本研究においては、寛解による中止例は局面型乾癬では

1例のみ(0.3%、1/315)であったが、GPPにおいては5例(20%、5/25)と割合が高かったた め、GPPを除いたdrug survivalを別に求めたところ、その場合もウステキヌマブの優位性が示 された。GPP に関しては、25 治療例のうち、研究期間において何らかの生物学的製剤の投与を 続けていたのは5例のみであった。生物学的製剤治療を中止した割合はGPP80%(20/25)、局面

型乾癬48%(138/290)であり、中止例のうち効果不十分例は、GPP 55.0% (11/20)、局面型乾癬

61.6% (85/138)であった。乾癬の病型の中で唯一指定難病に含まれ、医療費助成が認められてい

(3)

る稀な疾患であるGPP患者に対する生物学的製剤の最適な使用については、さらなる症例の蓄積 と研究が必要であると考えられる。

観察期間が短く症例数も少ないが、ブロダルマブの最初の約2年間のdrug survivalはウステ キヌマブに匹敵するものであった。セクキヌマブの1年目のdrug survivalはアダリムマブ、イ ンフリキシマブ、ウステキヌマブと同等かまたは優れてさえいたが、セクキヌマブの3年目のdrug

survivalはそれら3剤と比較して最も劣っていた。興味深いことに、我々の研究で得たセクキヌ

マブのsurvival curveの形が海外の大規模研究のセクキヌマブのsurvival curveの形とよく似て おり、比較的早期にsurvival curveが下降していた。このことの理由として、セクキヌマブは導 入初期の頻回の投与により強力で迅速な効果が得られるため、導入初期に薬剤への期待が大きく なり、維持期における多少の再燃が実際以上に強く感じられてしまい早目の薬剤変更につながる のではないかと考察した。

5 結論

当科における生物学的製剤の drug survival は、過去の報告同様、ウステキヌマブが最も高い 傾向にあった。各薬剤の drug survivalをバイオナイーブ患者と非ナイーブ患者で比較したとこ ろ、全例が非ナイーブ患者であったブロダルマブを除く5剤において、バイオナイーブ患者でdrug

survival rateが高い傾向にはあったが、両者に統計学的な有意差はなかった。GPPであること

は、生物学的製剤中止の予測因子であった。

論文審査の結果の要旨

本学位論文では、乾癬に対して高い効果を示す生物学的製剤6種類のdrug survivalを調査し、

薬剤間に差異があるかどうかを検討している。それらの製剤は IL-17 阻害薬、IL-23 阻害薬、

IL-12/23阻害薬、TNF阻害薬の4種類に大別される。自治医科大学附属病院皮膚科における乾癬

患者(205 名)を対象に解析したところ、(1) IL-12/23 阻害薬であるウステキヌマブ群の drug

survival rateが高く、インフリキシマブと比較した場合有意であった。また、(2)薬剤中止リスク

としては汎発性膿疱性乾癬(GPP)例が有意に高いハザード比を示した。

(1)の結果の考察として、(a)ウステキヌマブは既報でもdrug survivalが優れていること (b)安全

性が高く、投与間隔が長いこと などが挙げられているが、原因にはまだ不明の点が多い。

(2)の考察としては、中止理由として、GPP では改善のため中止した例が他の疾患(局面型乾癬・

乾癬性関節炎)に比べて多かったことも原因となっている可能性が挙げられている。

論文の主な修正点としては、(1) 多重検定の問題 (2) GPPの特殊性(前述のように改善のため 中止する例が多いこと及び、ウステキヌマブの適応がないこと)から、GPP例を除いて再解析す ること などが提案され、それらの点が修正されている。論文の主張に大きな変更はない。乾癬 の治療は近年急速に進歩しており、今後さらなる病態解明が期待される。本研究には十分な意義 が認められると判断し、学位論文として適切であるという結論に至った。

(4)

試問の結果の要旨

申請者の発表は、提出した学位論文に沿って行われた。それに対する審査員の質疑としては、

具体的には

(1)GPPにおいて、改善による中止が含まれているため、drug survivalが短いことは、悪いこと

ではなく却って良いことと考え得るのではないか

(2)多重検定になっているため、何らかの補正が必要ではないか (3) 患者の満足度について評価されているのか

(4) 多施設間のデータを解析する必要があるのではないか

(5) 投与間隔が長い製剤のほうがdrug survivalが長いという報告、あるいは、drug survivalに 投与間隔が影響を与えている、というような論調のものがこれまであるのか

(6) 表皮角化細胞がTNF-αを産生するのか などである。

それぞれに対して申請者は学位論文の内容に沿った回答をした。(1)については GPP 症例を除 いた解析を追加することになった。また(2)についても多重検定の補正を行うことになった。(3) は後方視研究であるため解析が難しいということが結論であり、また(4)は今後の課題として記述 することになった。以上のように学位論文に追記が必要であるが、総合的に判断して、学位取得 に十分な内容であるという点で審査員全員の意見の一致をみた。

Referensi

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