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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 宮み やEA AEう ちEA AEあ きEA AEひ こE 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第574号

学 位 授 与 年 月 日 平成31年3月20日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 ミトコンドリア病患者の皮膚線維芽細胞を用いた中枢神経薬剤ライブラ リのスクリーニングと新規候補治療薬の探索

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 遠 藤 仁 司

(委 員) 教 授 松 浦 徹 准教授 相 澤 健 一

論文内容の要旨

1 研究目的

ミトコンドリア病は、ミトコンドリア電子伝達系やミトコンドリア遺伝子の転写・複製あるい は複製・維持・分裂等の機能不全から生じる疾患の総称で、小児では最も多い遺伝性代謝性疾患 であり500人に1人の頻度で発症する。ミトコンドリア病の臨床病型は多様であるが、その中で もLeigh脳症(Leigh syndrome; LS)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作 症候群(myopathy encephalopathy lactic acidosis and stroke-like episodes; MELAS)は小児 ミトコンドリア病の約60%を占め、小児領域における二大病型とみなされている。しかしながら、

LS、MELASをはじめとするミトコンドリア病では、いずれも根本的な治療方法が確立していない。

ミトコンドリアの治療薬として承認されている薬剤としては、補酵素Q10の類縁体であるイデベ ノンが、レーベル遺伝性視神経症に対する治療薬として欧州において認可されているのみである。

我々はLSとMELAS患者の皮膚線維芽細胞を用いて、既存の中枢神経薬剤ライブラリからの新規ミ

トコンドリア病治療薬を探索し、作用機序を検討した。

2 研究方法

本研究では4例のミトコンドリア病患者を対象として、ミトコンドリア遺伝子変異によるLS患 者の症例1(LSND3、m.10158 T>C (p.S34P)、ND3)、核遺伝子変異によるLS患者の症例2(LSNDUFA1、 c.55 C>T (p.P19S) 、NDUFA1)、ミトコンドリア遺伝子変異による MELAS 患者 2 例の症例 3

(MELAStRNA-Leu、m.3243 A>G、tRNA-Leu)と症例 4(MELAStRNA-Trp、m.5541 C>T、tRNA-Trp)から同 意を得たのちに、それぞれ樹立した皮膚線維芽細胞を使用した。また、対照として健常皮膚線維 芽細胞を使用した。ミトコンドリアの機能障害を有する個体では、酸化ストレスに対して脆弱で あることが報告されていることから、我々は、各患者の皮膚線維芽細胞に酸化ストレスを付与し てアポトーシスを誘導した条件下で、各細胞に薬剤ライブラリの対象薬剤を投与する酸化ストレ ス負荷試験を一次スクリーニングとして実施した。続いて、見いだされた治療薬候補薬を用いて、

ミトコンドリア機能の評価試験による二次スクリーニングを実施した。ミトコンドリア機能の評 価試験は、細胞外フラックスアナライザーであるSeahorse XFe96を使用して実施した。さらに有 望な候補薬に関しては、細胞内の代謝物質やミトコンドリア病のバイオマーカーであるGDF-15の

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in vitro 評価試験および候補薬により発現が変化した分子検索のためマイクロアレーを用いた RNA発現解析等を行った。

3 研究成果

一次スクリーニングでは酸化ストレス負荷条件下で細胞保護効果を示す有望な薬剤として 4つ の薬剤(#5: Apomorphine, #38: Olanzapine, #49: Phenothiazine, #226: Ethopropazine)が見 いだされた。4 系統の線維芽細胞のいずれに対してもほぼ完全に細胞死からの保護を示したが、

EC50は Apomorphine が最も有効と考えられた(〜100nM)。二次スクリーニングとして、これらの 候補薬で処置を行ったLS患者の線維芽細胞(LSND3)を使用してミトコンドリア機能を調べた。そ の中で、#5: Apomorphine のみが細胞外フラックスアナライザーで測定した全4 種の評価指標の OCR 値の有意な改善を認めた。これらの結果は Apomorphine が酸化ストレスに対する細胞保護効 果とともに、細胞内ミトコンドリア呼吸鎖活性を改善することを示唆する。さらにミトコンドリ ア病のバイオマーカーであるGDF-15がApomorphineの投与により有意に減少し、ミトコンドリア 病に対する有効性が示唆された。また、Apomorphine が BSO による酸化ストレスの有無にかかわ らず、患者細胞の GSH レベルにほとんど影響を与えなかったことから、Apomorphine が示す細胞 保護効果は GSHレベルの改善や維持によるものではないことを示した。続いて、マイクロアレー RNA 発現解析では、多くの炎症性ケモカインとサイトカインが Apomorphine 投与により下方制御 されることが示され、mTOR シグナル経路における遺伝子の発現で mTOR 活性を抑制する方向への 変化が確認された。ウエスタンブロット法でも、Apomorphine投与によりmTOR活性を標的とした S6Kのリン酸化が抑制され、マイクロアレー発現分析の結果を支持する内容を示した。

4 考察

Apomorphineは特にドパミンD2受容体に親和性を有するドパミンアゴニストとして知られてお

り、主にパーキンソン病(PD)に対して使用されている治療薬である。通常、進行したPD患者の オフ現象に対するレスキュー薬として単回投与で追加される。我々の酸化ストレス負荷試験では、

薬剤ライブラリに含まれる他のドパミンアゴニストである #192: Ropinirole hydrochloride お よび #243: Pramipexole dihydrochlorideは細胞保護効果を示さなかったことから、Apomorphine の酸化ストレスに対する細胞保護効果はドパミンアゴニスト作用とは独立した効果と推測された。

また近年、Apomorphine の持続皮下投与がパーキンソン病の脳グルコース代謝や非運動症状(認 知機能、実行機能やApathy)をも改善させることが報告されたが、詳細な作用機序については明 らかになっていない。一方、ミトコンドリア機能障害はパーキンソン病においても主要な病態の 一つである。こうした背景から、ミトコンドリア病患者の皮膚線維芽細胞に対してみられた細胞 保護作用が、PD患者で報告されている有効性に寄与している可能性がある。また、mTORは細胞の 増殖分化、代謝、生存など多彩な機能を担い、mTOR複合体1の下流のタンパク質は代謝酵素の活 性や発現を制御することでミトコンドリアの形態や活性にも影響を及ぼしている。さらにmTOR経 路の特異的阻害剤であるラパマイシンはLSのモデルマウスであるNdufs4-/-マウスにおいて、生 存期間と疾患進行を改善することが報告され、mTOR抑制はミトコンドリア病患者に治療的な有益 性があることが示されている。このことから、mTOR活性に対する抑制効果は、Apomorphineの作 用を説明しうるが、今後より詳細な分子機構の解明を行いたい。また Ndufs4-/-マウスでは、全

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身性に炎症が惹起され、神経病変の形成にも炎症が関与することが予想されており、炎症性サイ トカインや自然免疫に対する抑制効果が、BSO下の細胞死抑制に関わる可能性がある。

5 結論

今回の研究により、有望な薬剤として Apomorphineを見出した。酸化ストレス負荷試験および ミトコンドリア機能の評価試験の結果から、Apomorphine は酸化ストレスに対する細胞保護効果 を有するとともに、ミトコンドリア機能を改善しうる薬剤であると考えられた。さらにマイクロ アレーおよびウエスタンブロット法の結果から Apomorphine の添加によって有意な発現変化を示 したmTORシグナル、炎症免疫経路に関与する遺伝子が、薬剤の有効性に関連している可能性が示 唆された。この薬剤はすでに他の目的で中枢神経治療薬として用いられているため、迅速に治験 実施につなげることが可能である。

論文審査の結果の要旨

本論文では、ミトコンドリア病の新規治療薬の探索を、既存の中枢神経薬剤ライブラリーを用 いて行い、さらにその作用機序を解析した。探索で得られた薬剤は、現在パーキンソン病(PD)の 治療薬として使用される薬剤であるが、従来の作用とは別の作用機序を解明し別の疾患治療薬と して用いるdrug repositioningの成功例であり、極めて新規性の高い研究である。

薬剤スクリーニングの方法は、ミトコンドリア病の線維芽細胞に酸化ストレスを付与して細胞 死を生じさせ、薬剤を添加することにより生細胞率の回復を検討する系であり、これを用いて複 数の候補薬剤を選択した。二次スクリーニングとして細胞外フラックスアナライザーを用いて酸 素消費速度(OCR)を測定し、電子伝達鎖の機能を回復させた一つの薬剤 (Apomorphine) を選択 した。本剤は抗酸化作用を示し、ミトコンドリア病のバイオマーカーである GDF15 の濃度を低 下させた。さらに遺伝子発現解析により mTORC1 の活性を低下させることにより細胞死の抑制 作用を示すことを示唆した。

論文においては、各患者細胞を用いた薬剤スクリーニング系の作成の際の条件の違いを明示す ることの指導がなされた。また、mTORC1の系を測定する際のリン酸化S6Kを、誤表記にてS6 と表記したことへの訂正が指導された。

全般として、本論文は学位論文として全く相応しいと全員一致で認められた。

最終試験の結果の要旨

申請者は、学位論文の内容の通りにスムースに発表を行った。内容の骨子は「論文審査の結果」

にまとめた通りである。各審査委員から、実験方法、データ解釈、考察等について多くの質問が なされた。いずれの質問についても適切な返答がなされ、全体として有意義な質疑応答が行われ た。以下に質疑応答の抜粋を示す。

• Apomorphine の構造と機能の相関についての質問があったが、現在のところ不明であるとの

回答があった。学位論文中の図7を明瞭にするように指導した。

• 一次スクリーニングにおける各患者細胞を用いた酸化ストレス負荷による実験系で、各患者の

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原因が異なるにも関わらず細胞死のベースラインが揃っていることについての疑問について は、ベースラインを整えるために酸化剤BSOの濃度を別々に設定しているとの回答があった。

各々の条件については、学位論文に記載するよう指導した。

• ミトコンドリア病の疾患マーカーであるGDF15の他にFGF21などを測定しなかったのか、

また、薬剤投与により GDF15 が減少する機序についての質問があったが、GDF15 以外測定 しておらず、その変化する機序については現在のところ不明であることを回答した。また、ミ トコンドリアの機能障害が示されているパーキンソン病ではGDF15の増加は報告されていな いとの回答であった。

• 当該薬剤の電子伝達系やmTORCなどでの詳細な機序の質問があったが、今後の課題であり、

一部は現在行っていることを回答した。

• 今後の当該薬剤の機能改変については、安定性の向上やドパミン受容体作用の減弱などを目標 としていることを回答した。

以上、申請者の発表および質疑応答から、審査員全員が最終試験に優れて合格と判断した。

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