• Tidak ada hasil yang ditemukan

論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2024

Membagikan "論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ"

Copied!
3
0
0

Teks penuh

(1)

氏 名 宇井 EA A EたかしE 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第 441 号

学 位 授 与 年 月 日 平成 26年 3月 19日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当 学 位 論 文 名 食道扁平上皮癌における抗癌剤抵抗性の克服 論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 前 田 貢 作

(委 員) 准教授 西 野 宏 准教授 金 井 信 行

論文内容の要旨

1 研究目的

食道癌は消化管における最も悪性度の高い癌の一つである。手術・化学療法・放射線療法・

化学放射線療法などの集学的治療が行われているが、治療成績は未だ満足できるものではな く、更なる成績の改善が期待される。術前化学療法でdocetaxel, cisplatin, 5fluorouracil の3剤併用により治療成績の改善が得られたことを報告したが未だ治療無効例が37%に存在 している。抗癌剤抵抗性の克服は癌治療におけるブレイクスルーになると期待される。本研 究では食道扁平上皮癌細胞株を用いて薬剤耐性癌細胞株の遺伝子発現を網羅的に解析し、従 来では用いられていない分子標的治療のターゲットの発見と、既存薬剤との併用による食道 扁平上皮癌の新たな治療戦略への応用を目指した。

2 研究方法

食道扁平上皮癌細胞株 22 株を用いた。これら食道扁平上皮癌細胞株に関しては癌の

heterogeneity を考慮し、セルバンクより購入可能な全ての細胞株を取得した。阻害剤は

cisplatin (CDDP), docetaxel, 5-fluorouracil (5-FU), heat shock protein 90 (HSP90)阻 害剤である17-N-allylamino-17-demethoxy geldanamycin (17-AAG), proteasome阻害剤であ るBortezomibと MG-132, Akt阻害剤のMK-2206を用いた。薬剤感受性試験は96wellプレー トを用いて行い、water-soluble tetrazolium salt を用いてマイクロプレート吸光度で測定 した。遺伝子発現解析は oligonucleotide microarray (GeneChip Human Genome U133A)を使 用し、Genome Imbalance Map algorithmにてmRNA解析しGene Set Enrichment Analysis (GSEA) を用いて遺伝子群の解析を行った。薬剤併用の効果は Combination Index を算出して検討し た。薬物併用による細胞毒性の経時変化を観察した。また癌の増殖・アポトーシスの様式を タイムラプス撮影した。タンパク質発現をウエスタンブロット解析した。RNA 干渉には XIAP に対するsiRNAを用いてnegative controlとタンパク質発現や細胞数の変化を比較した。

3 研究成果

食道扁平上皮癌細胞株のdocetaxel, CDDP, 5-FUの感受性試験を行い、IC50を決定した。

docetaxelのIC50は0.547nMから4.39nM、CDDPのIC50は 0.983μM から 14.9μM、5-FUの

(2)

IC50は 2.10μM から 42.4μM だった。このIC50に基づきクラスター解析を行い、3薬剤の低 感受性群(耐性株群)をTE4, KYSE30, EC-GI-10, TE6, TE14の5株とし、高感受性群をTT, TTN, KYSE140, TE11, KYSE270, KYSE220, KYSE150, KYSE180の8株とした。低感受性群と高感受性 群の特異的遺伝子発現を検出するためGSEAを用いた。低感受性群で高発現の遺伝子セットと し て 、 KEGG_RIBOSOME, KEGG_PROTEASOME, KEGG_LINOLEIC_ACID_METABOLISM,

KEGG_PARKINSON_DISEASE を得た。この結果からタンパクの恒常性が重要と考えられた。プロ

テアソーム阻害剤と 3 薬剤の相互作用を検討したが相乗効果は得られなかった。次に HSP90 阻害剤である17-AAGと3薬剤の相互作用を検討したところ、KYSE30およびKYSE150において CDDPと17-AAGの相乗作用を認めた。docetaxelと5-FUは相乗作用を認めなかった。タイム ラプス撮影ではKYSE30においてCDDPと17-AAGの併用は単剤投与に比較しアポトーシス誘導 を認めた。KYSE30およびKYSE150においてタンパク質発現を検討するとCDDPと17-AAGの併 用により単剤投与に比べ PARP の活性化は経時的増加を呈した。これは phosphorylated Akt およびXIAPの発現抑制に伴うアポトーシス誘導を示していた。XIAPをsiRNAで発現抑制する と細胞減少が誘導された。

4 考察

本研究はCDDP耐性食道扁平上皮癌において、CDDPと17-AAGの相乗効果を初めて示した。

単剤では殆ど細胞毒性を生じない低濃度の17-AAGが存在することで、CDDPの細胞毒性が増し、

強い抗腫瘍効果を得ることが出来た。この細胞毒性はPARPとcaspase 3/7の活性化を介して 起こるアポトーシスによって生じていた。この機序としては、CDDPと17-AAGの併用により先 ずphosphorylated Aktが減少し、その後にXIAPが低下、それと同時にPARPが活性化され始 め、時間経過とともにPARPの活性化はより高度になり、アポトーシスが強力に誘導されると 考えられた。一方、Akt阻害剤を用いてphosphorylated Aktを阻害するとXIAPの発現も抑制 され、また、XIAPをsiRNAで発現抑制すると細胞死を導くことができることから、XIAPの活

性化がKYSE30およびKYSE150の生存・増殖に重要な役割を持つことが示された。これらの結

果から、CDDP と 17-AAG の併用により、phosphorylated Akt が抑制され、XIAP が減少して

Caspase-9, -3, -7 の活性が亢進し、PARP が活性化してアポトーシスを誘導し、強い抗腫瘍

効果が得られたと考えられる。

5 結論

本研究は低濃度CDDPと低濃度HSP90阻害剤(17-AAG)の組み合わせで、CDDP耐性食道扁平上 皮癌細胞株における相乗効果を示した。この機序はAkt/XIAP の downregulation によりアポ トーシスを誘導していた。

論文審査の結果の要旨

食道癌は消化管における最も悪性度の高い癌の一つである。集学的治療の進歩により治療 成績の向上が得られてはいるものの、未だ満足できるものではなく、更なる改善が期待され

(3)

る。

本研究は、従来用いられていない分子標的治療のターゲットの発見と、既存薬剤との併用 による抗癌剤抵抗性の克服の可能性を示唆する、極めて臨床的意義の高い研究と判断した。

低濃度の cisplatin(CDDP)と低濃度の HSP90阻害剤(17-AAG)の組み合わせにより、CDDP耐 性食道扁平上皮癌細胞株のアポトーシス誘導に成功し、強い抗腫瘍効果が得られる事を明ら かにした。

今後in vivoからin vitroへ研究を展開していく事で臨床応用が期待される、優れた研究

であると評価された。論文に関しては、使用されている用語にやや不適切なものが有るとの 指摘を受けたが、申請者はこれらに適切な対応を示し、論文に改訂を加えた。最終的に、審 査委員全員により博士学位論文に値するものと判断された。

最終試験の結果の要旨

申請者は、研究の背景、目的、方法、結果、考察について論理的にかつ明確に発表を行い、

質問に対しても概ね適切に回答した。

本研究は悪性度の高い食道癌に対して、治療成績の向上のために術前化学療法の新たな展 開を目指した研究である。中心となる抗癌剤抵抗性の克服は癌治療におけるブレイクスルー となる内容として評価でき、臨床的意義は極めて高い。

申請者は指摘された問題点についても適切に応答できた。研究態度は真摯であり、周辺分 野に関する知識も豊富で、申請者は博士の学位を授与するにふさわしいと、全員一致で判断 した。

Referensi

Dokumen terkait

い、炎症性サイトカインIL-1βのmRNA発現を比較した。 WTマウスとASC-/-マウスの脊髄損傷後42日間の運動機能の測定と脊髄損傷42日後の脊髄の組織 学的解析を行い、ASCの欠損が脊髄損傷後の二次損傷に与える影響について検証した。 最後に、WTマウスとASC-/-マウスを用いた骨髄移植(BMT)実験を行い、骨髄由来細胞が脊髄損

列を導入し、メジャーサテライト転写産物(major satellite transcripts : mSAT)の過剰発現細 胞を作成した。 mSAT 過剰発現の影響を検討するため、細胞の増殖能や足場非依存性増殖能を確認し、染色体 不安定性との関連を評価するため、染色体分配異常と DNA 細胞障害と免疫細胞化学によって確

射が確定的影響の低減に有効であると予想される。 5 結論 本研究の結果から、寡分割照射の有効性が示された。また、放射線障害は、今後再生医療 の重要な対象疾患になることが示唆された。 論文審査の結果の要旨 培養ヒト脂肪由来幹細胞細胞(ASC)とマウス皮膚組織に対する放射線照射の影響を検討し、 下記の結果を得た。 1.2Gy~10Gy

5 結論 M2 型マクロファージは心筋梗塞の際に線維芽細胞の活性化を制御することで、心筋梗塞領域 の組織修復に重要な役割を果たす。またInterleukin-4投与は心筋梗塞の新たな治療法開発につな がる可能性がある。 論文審査の結果の要旨 心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患は、食生活や生活スタイルの欧米化に伴って増加して

5 結論 本研究は、実行機能課題(抑制機能課題)に社会性に関与する刺激(視線刺激)を加えた時に 起こる脳機能変化について検証した。これにより、実行機能と社会性の機能が、前頭前野を介し て相互に関連することが示された。さらに、両機能に障害のあるASDにおいて、特異的な脳活動 変化を認めたことから、右前頭前野が中枢病変の一つであると考えられた。 論文審査の結果の要旨

理を要するリスクが高まると思われる。 5 結論 本研究で GAが妊娠中の血糖コントロール指標として有用であること、糖尿病母体児の各合併 症について母体妊娠後期の GA値のカットオフ値を算出し、糖尿病母体児の合併症発生数と母体 GA値の間には正の相関があることを示した。さらなる研究が必要ではあるが、今後従来のHbA1c による管理に加え、GA

法はOSやPFSに影響を与えなかったが、治療関連毒性で下痢に関してはMEL1群の発生頻度が明 らかに高かった。これは、1 日での投与のためメルファランの血中濃度がより高くなり消化管の 粘膜障害が増悪するためと考えられた。 本研究は、後方視的研究であり、不均一な少数集団を対象としているため、結果の解釈には限 界がある。本研究で得られた結果をふまえ、MCNU-BEAM

バイオインフォマティクスの解析手法を用いた。 4CRIPR-Cas9システムでの解析については、まずレンチウイルスベクターを用いてCas9導入 ANKL細胞を作成した。さらにレンチウイルスベクターを用いてsingle-guide RNA sgRNAを導入 することで、目的遺伝子の改変を行った。