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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2024

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氏 名 大竹おおたけ はるか 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 831号

学 位 授 与 年 月 日 令和 4年 8月 18日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 抗TNFα抗体製剤を用いたクローン病治療の長期的治療成績についての 検討

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 佐 藤 浩 二 郎

(委 員) 教 授 山 本 博 徳 准教授 長 嶋 孝 夫

論文内容の要旨

1 研究目的

クローン病は原因不明な難治性の炎症性腸疾患であり、臨床症状がなくても腸管の炎症が持続 し、潰瘍、狭窄、瘻孔などの腸管の合併症を引き起こすため、進行性の疾患とみなされている。

罹病期間が長くなるにつれて狭窄などの合併症および外科的治療が増えるため、早期に治療介入 することが望ましい。クローン病治療において、抗TNFα抗体製剤が重要な役割を果たす。日本 では2002年にインフリキシマブがクローン病の治療薬として承認され、2010年にはアダリムマ ブが2番目の生物学的製剤として認可された。これらの生物学的製剤は高い寛解導入効果および 維持効果を示すだけでなく、粘膜治癒効果を有する。一方で、二次的に生物学的製剤の効果が減 弱する症例の出現が問題となっている。クローン病患者の 23~46%の症例において抗 TNFα抗 体製剤に対する効果減弱が発生し、インフリキシマブとアダリムマブの効果減弱率はそれぞれ年

率13%/人年、年率20%/人年と報告されている。抗TNFα抗体製剤の用量強化は一部の効果減弱

症例において有効であり、日本では抗TNFα抗体製剤の標準治療に対する反応が低下したクロー ン病患者に対して、インフリキシマブの増量または期間短縮投与が、アダリムマブでは増量が承 認されている。抗TNFα抗体製剤の血中トラフレベルが低いと効果減弱をきたし、抗薬物抗体の 産生や生物学的製剤の非継続性に関連するとの報告もある。一方で、日本の実臨床では抗TNFα 抗体製剤の血中濃度や抗薬物抗体を測定することができないため、抗TNFα抗体製剤の効果減弱 の因子を予測することは重要な問題である。また、抗TNFα抗体製剤はクローン病において重要 な治療薬であるが、長期的な効果の持続については報告が少ない。今回我々は、クローン病患者 に対する抗TNFα抗体製剤の長期的な有効性と効果減弱の評価を目的とした。

2 研究方法

インフリキシマブまたはアダリムマブのいずれかを導入されたクローン病患者を対象とした。

(1)過去に生物学的製剤での治療歴がある患者、(2)腸管切除後に術後維持療法として生物学的製剤

を導入された症例、は除外した。臨床症状はCrohn’s disease activity index(CDAI)を用いて スコア化した。レトロスペクティブに累積イベント回避率、累積寛解維持率、累積用量増加回避

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率、累積手術回避率について解析を行った。イベントは、生物学的製剤の増量、他の生物学的製 剤への切り替え、プレドニゾロンやチオプリン製剤による追加治療、クローン病の増悪による入 院、外科的治療、生物学的製剤の副作用や合併症および併発疾患による生物学的製剤の中止と定 義した。次に二次無効について解析を行った。二次無効は、生物学的製剤導入後にステロイドフ リーの臨床的寛解を達成したが、その後の維持療法中に生物学的製剤の増量、他の生物学的製剤 への切り替え、プレドニゾロンやチオプリン製剤による追加治療、クローン病増悪による入院、

外科的治療のいずれかを必要とした再燃と定義した。次に、Cox 比例ハザードモデルを用いて二 次無効の予測因子を解析した。また、生物学的製剤増量後の有効性についても評価を行った。

3 研究成果

生物学的製剤導入1、2、5、10年後の累積イベント回避率は、それぞれ83.3%、75.1%、37.4%、

23.3%であった。生物学的製剤導入1、2、5、10年後の累積寛解維持率は、それぞれ97.4%、94.7%、

78.3%、60.1%であった。インフリキシマブ群とアダリムマブ群で、累積イベント回避率、累積 寛解維持率、累積用量増加回避率、累積手術回避率に有意差はみられなかった。有害事象は3.7%

で生じ、全てインフリキシマブ群の症例であった。いずれの症例も重篤な症状はみられず、有害 事象が生じた時点で生物学的製剤の投与を中断した。生物学的製剤導入後の二次無効は 10.6%/

人年であった。クローン病関連上部病変は二次無効群38.7%、非二次無効群12.8%と二次無効群 で有意に多く(P = 0.013)、生物学的製剤導入時のCDAIは二次無効群227±97に対して非二次 無効群187±114と、二次無効群で高い傾向にあった(P = 0.114)。また、ROC曲線を用いて生 物学的製剤導入後12~14週におけるCRP(mg/L)/アルブミン(g/dL)比を解析した。CRP/ア ルブミン比 = 0.18をカットオフ値とすることで感度87.1%、特異度55.3%で二次無効を予測す ることができた。生物学的製剤導入後12~14週におけるCRP/アルブミン比≧ 0.18は、二次無 効群で有意に高かった(P = 0.0001)。多変量解析ではCRP/アルブミン比≧ 0.18 (HR 5.86, 95%

CI 1.56−22.0; P = 0.009) 、上部消化管病変(HR 3.00, 95%CI 1.26−7.13; P = 0.013)が二次無効の 予測因子として同定された。生物学的製剤増量後の二次無効の発生率は20.8%/人年だった。生物 学的製剤増量から1、2、5年後の累積イベント回避率は、それぞれ71.0%、58.4%、46.7%であ った。インフリキシマブ増量から1、2、5年後の累積イベント回避率は、それぞれ78.0%、72.0%、

61.7%であり、アダリムマブ増量から1、2年後の累積イベント回避率は、それぞれ63.0%、43.2%

であった。インフリキシマブ群において増量後のイベント発生が有意に低かった(P = 0.039)。

4 考察

本研究では、生物学的製剤導入後の二次無効は10.6%/人年で、既報と同等であった。二次無効 となった症例で、抗TNFα抗体製剤の増量によって臨床的効果が再度得られるメカニズムは明ら かにはなっていないが、その要因として血中の薬剤トラフレベルが上昇することが考えられてい る。血中濃度を上昇させることに加え、期間短縮投与により、免疫原性や抗薬物抗体の産生を促 す原因となる至適濃度以下のトラフレベルの頻度を下げると報告されている。クローン病では腸 管障害への進行を未然に防ぐために、効果減弱の予測およびバイオマーカーでの適切なモニタリ ングが重要となるが、本研究では、生物学的製剤導入12~14週時点のCRP/アルブミン比、上部 消化管病変が二次無効の予測因子として同定された。高いCRPの値は、生物学的製剤のトラフレ

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ベル低下や抗薬物抗体の存在を示すマーカーにもなりうる。生物学的製剤の導入段階でより高い 疾患活動性があると、より大量の抗薬物抗体の産生につながる可能性がある。また、本研究では、

CRP/アルブミン比に着目して解析したが、生物学的製剤開始3か月後のCRP/アルブミン比が長

期経過の二次無効予測因子となった。これは、生物学的製剤開始 3 か月の時点で高い CRP/アル ブミン比を示す症例で、臨床的寛解を達成した時点でも内視鏡的にまたは組織学的に炎症が持続 している可能性、つまり疾患活動性の高い症例であることが推測される。これらのことから、CRP/

アルブミン比が二次無効を予測する重要なバイオマーカーとなりうると考える。

5 結果

抗TNFα抗体製剤はクローン病の長期的な臨床的寛解に寄与するものの、二次無効の発生が年

率10.6%でみられた。生物学的製剤導入後3か月時のCRP/アルブミン比、上部消化管病変が二

次無効の予測因子として同定された。

論文審査の結果の要旨

本学位論文においては、インフリキシマブあるいはアダリムマブを導入されたクローン病患者 を対象としてレトロスペクティブな解析を行い、累積イベント回避率、寛解維持率、用量増加回 避率、手術回避率などが比較されている。2剤の間に有意な差は認められなかった。また年率約

10%で認められる二次無効について、その予測因子を解析した結果、「上部消化管病変の有無」お

よび「生物学的製剤導入後3ヶ月の時点の血清CRP/アルブミン比」が予測に有用であることが示 された。生物学的製剤を増量した症例についての検討では、インフリキシマブ増量群はアダリム マブ増量群に比べて累積二次無効回避率が有意に低いことが示された。

本論文の審査において最も議論となった点は、本研究で観察された「二次無効」は薬剤の効果 減弱よりもむしろ初期の治療が不十分であり腸管の炎症を抑え切れていなかったことを反映して いるのではないか、という点である。これは「二次無効」という言葉の定義の問題でもあり、こ の語が「薬剤の効果減弱」を想起させるために違和感を抱かせている可能性がある。薬剤の効果 減弱を示すには血中の抗薬物抗体の濃度や、血中薬物濃度の低下のデータが必要である。また、

初期の治療が十分であったかどうかについては粘膜治癒が達成されていることの確認が必要であ る。本論文にはそのいずれのデータも無いため、それらの点を limitationとして考察で議論して もらうこととした。炎症性腸疾患は患者の生活の質を顕著に低下させる難治性疾患であり、それ を適切に治療することは非常に重要な医学的課題である。従って本論文は学位論文として適当で あると判断された。

(4)

試問の結果の要旨

・前述のように「二次無効」の定義をめぐる質問があり、論文に追記する形で回答された。

・先行論文では血清CRP濃度が二次無効予測の指標として報告されている。今回の血清CRP/ア ルブミン比の方がより優れているとする根拠について質問があり、CRP/アルブミン比はより感度 の高い指標であるとの回答・論文への追記があった。なお、CRPの方が特異度が高い結果であっ たとのこと。

・上部消化管病変の有無とCRP/Alb比との間の交互作用について質問があり、上部消化管病変が ある群の方がCRP/Alb比の平均値はむしろ低い(有意差は無い)ことなどから交互作用は無いと 判断された旨説明があった。

・論文の本文と図表で数値が合わない点や表記についての質問があり、論文がそれに沿って修正 された。

・IL-23シグナルの下流でIL-17が誘導されると考えられているにも関わらず、L-23阻害薬はク ローン病の治療薬として臨床応用されており IL-17阻害薬がクローン病を増悪させることが報告 されているが、そのメカニズムについて質問があり、後日「IL-23は炎症のトリガーとなり、IL-17 のみならず IFN-αやγを刺激して炎症反応を惹起させるのに対して、IL-17 は好中球を動員し、

微生物を阻害する蛋白を発現させて腸管バリアを維持するなどの働きがあること」が引用文献と 共に回答として示された。なお、この質問は論文とは直接的な関連は乏しいことから、この質問 に関して論文の変更はない。

以上のように各々の質問に適切に回答がなされたと判断し、合格に相応しいと判定された。

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