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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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氏 名 小山こ や ま 大輔だいすけ 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 686号

学 位 授 与 年 月 日 平成 26年 8月 11日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 T 細胞性急性リンパ性白血病に対する bortezomib の有効性に関する前臨 床研究

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 室 井 一 男

(委 員) 教 授 川 上 潔 講 師 木 村 博 昭

論文内容の要旨

1 研究目的

T 細胞性急性リンパ性白血病 (T-cell acute lymphoblastic leukemia ; T-ALL) は、T 前 駆細胞を起源とする高悪性度の造血器悪性腫瘍である。近年、集学的化学療法の進歩により、

以前に比べて治療成績は改善しつつあるが、初回完解導入療法不応例や再発例では依然とし て予後不良である。

2004 年に T-ALL 症例の 50〜60%において Notch1 受容体の活性型変異が見出されることが報 告されて以来、Notch シグナルは T-ALL の病態生理において最も重要な経路の一つとして認識 され、この経路を制御する分子標的治療薬の開発が急務と考えられている。Notch シグナルの 制御薬として、これまでにγ-secretase 阻害剤と Notch 受容体阻害抗体が開発され、臨床試 験が行われているが、治療成績・有害事象いずれの面からも満足の行く成績は得られていな い。

またプロテアソーム阻害剤である bortezomib は、2004 年に多発性骨髄腫 (multiple myeloma ; MM) の治療に対する適応が、FDA で承認された。その後、実臨床において有効性、

安全性が十分に検証されてきており、今や MM の治療に不可欠な薬剤となっている。我々は種々 の造血器悪性腫瘍の細胞株に対するプロテアソーム阻害剤の有効性をスクリーニングし、

T-ALL 細胞株に対し MM 細胞株以上の高い殺細胞効果を示すことを見いだした。

本研究はプロテアソーム阻害剤、特に広く用いられている bortezomib の T-ALL に対する有 効性のメカニズムを明らかにし、臨床応用への可能性を検証するために行った。

2 研究方法

まず種々の造血器悪性腫瘍細胞株に対し、2 種類のプロテアソーム阻害剤 (bortezomib、

K-7174)の IC50を細胞増殖分析で決定した。Notch1 受容体を含む T-ALL 細胞の生存に重要な分 子の発現変化をウエスタンブロットにより評価した。Notch1 受容体の転写レベルでの発現変 化と Notch シグナルの下流の分子に及ぼす影響をリアルタイム RT-PCR (qRT-PCR) で調べた。

Notch1 受容体が転写レベルで抑制されている機序を明らかにするために、プロモーター解析、

クロマチン免疫沈降法を行った。また Notch1 受容体が bortezomib の重要な治療標的分子で

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あることを確認するため、Notch1 の活性型である NICD (Notch intracellular domain)を T-ALL 細胞株に強発現させ、感受性の変化を観察した。他の抗がん剤との併用効果を combination index にてin vitroで定量解析し、T-ALL 細胞株を移植した免疫不全マウスを用いてin vivo の効果を検証した。

3 研究成果

まず種々の造血器悪性腫瘍の細胞株においてプロテアソーム阻害剤の有効性をスクリーニ ングしたところ、T-ALL 細胞株は MM 細胞株以上の高い感受性を示した。すなわち、プロテア ソーム阻害剤は T-ALL の生存に重要な分子に作用していると考えられた。そこで T-ALL 細胞 株に bortezomib を作用させたときの Notch1 タンパク質の発現を調べてみると、NICD のみな らず full length の Notch1 自体の発現が抑制されていた。このことから、Notch1 の発現抑制 は転写レベルで起こっていると推定し、qRT-PCR で Notch1 mRNA の発現を確認すると、予想通 りに低下していた。さらに転写抑制のメカニズムを同定するため、Notch1 プロモーターのレ ポーター活性を調べたところ、転写開始点から-392~-342 bp の領域への Sp1 の結合がプロモ ーター活性の維持に重要であることが判明した。そこでクロマチン免疫沈降法を行い、

bortezomib によって Sp1 の結合が有意に低下することを確認した。

また、bortezomib が T-ALL において抗がん剤抵抗性などに重要な役割を果たしている canonical NF-κB シグナルを抑制することを発見した。抑制のメカニズムとして、NF-κB 経 路の活性化最終分子である p65・p50 の発現を低下させることを明らかにした。また、T-ALL 細胞株に一過性に NICD を強発現させると、bortezomib によるアポトーシスが抑制された。NICD を強発現した T-ALL 細胞の stable transformant を作成し、bortezomib による NICD 発現低下 が rescue されるのに伴い、p65 の発現および活性も rescue されることを示した。以上の結果 より、bortezomib が Notch1 を標的分子として、アポトーシスと NF-κB 抑制を誘導すること が証明された。

また、実臨床での応用を想定し、bortezomib と他の抗がん剤との併用効果を、combination index で解析したところ、特に dexamethasone (DEX)、doxorubicin との併用が相乗的である ことが判明した。さらに T-ALL 細胞株を免疫不全マウスに移植したモデルを用いて、in vivo でも bortezomib と DEX の併用療法が有効であることを証明した。

4 考察

今回、bortezomib が T-ALL の病態生理に重要な分子である Notch1 を転写レベルで抑制する という新たな抗腫瘍作用機序を明らかにした。しかしながら転写後レベルでの抑制の関与を 否定するものではない。そこでカスパーゼやオートファジー経路によるタンパク質分解の可 能性を考え、特異的阻害剤による抑制を試みたが、それらの関与は証明できなかった。Sp1 の 分解に関しても、完全には明らかになっていない。申請者の属する研究室では、bortezomib が MM において caspase-8 依存性に Sp1 の分解を引き起こすことを報告しているが、T-ALL で 同一のメカニズムが働いているかどうかは不明である。また Notch シグナルと NF-κB シグナ ルは密接な関係にある。bortezomib により NICD の発現が低下すると、p65 や p50 の安定性が 失われ、発現が低下すると考えられる。その結果、canonical NF-κB シグナルを抑制してい

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ると考えられた。これまで試みられてきた Notch1 のターゲティング戦略は、翻訳後修飾の抑 制(γ-secretase 阻害剤)やリガンド結合部位に対する中和抗体などで、充分な効果が得ら れず、予想外の副作用も見られた。今回の発見は、より直接的に Notch1 を抑制すると同時に、

すでに安全性の確立している薬剤を利用した点に優位性があり、今後の T-ALL の治療成績向 上に大きく貢献すると期待される。

5 結論

T-ALL において、bortezomib の標的分子は Notch1 であり、Notch1 発現抑制を介して抗腫瘍 効果を呈すること、および他の抗がん剤への感受性を増強させることを示した。この作用が 臨床試験で確認されれば、T-ALL の治療成績向上に貢献することが期待される。

論文審査の結果の要旨

本論文は、プロテアソーム阻害剤である bortezomib の T 細胞性リンパ性(T-ALL)白血病 細胞への殺細胞効果とその作用機序を詳細に解析した論文である。(1)bortezomib は、骨髄 腫細胞に対する濃度より低い濃度で T-ALL 細胞に殺細胞効果を示した。(2)bortezomib は、

Notch1 の活性型である intracellular domain of Notch1(NICD)のみならず full length の Notch1 タンパク質発現を低下させたが、それは主として Notch1 の転写が抑制されたためと考 えられた。その結果、下流のシグナルである HES1、GATA3、RUNX3 の発現を低下させたと考え られた。(3)bortezomib による Notch1 の転写抑制は、Notch1 プロモーターの Sp1 結合部位 を含む領域を介しており、Sp1 の結合量は低下していた。(4)bortezomib は、抗がん剤の抵 抗性等に重要な役割を果たしている canonical NF-κB pathway の活性を抑制したが、それは p65・p50 の発現抑制によるものであった。T-ALL 細胞に一過性に NICD を強発現させると、

bortezomib による T-ALL 細胞へのアポトーシスが抑制された。NICD を強発現した T-ALL 細胞 の stable transformant でも、bortezomib によるアポトーシスが抑制された。(5)bortezomib の T-ALL 細胞に対する殺細胞は、dexamethasone と相乗的効果を示した。T-ALL 細胞を移植し た免疫不全マウスに対し、bortezomib と dexamethasone を併用して投与すると、強い腫瘍の 増殖抑制を呈した。以上から、bortezomib は、Notch1 を標的分子とし、アポトーシスと NF- κB 活性を抑制すること、bortezomib と dexamethasone の併用療法は、実際の臨床への応用 が可能であることを示した。

本論文で示された bortezomib の T-ALL 細胞に対する殺細胞効果とその機序の解明は、T-ALL に対する新たな治療手段として大変意義のある結果である。bortezomib は、多発性骨髄腫へ の標準的治療として広く使われており、本論文の結果をもとに T-ALL への臨床試験の実施が 可能と判断される。

審査の結果、本論文の学術的価値は高く、学位論文として相応しい内容を備えているが、

実験方法の記述や実験デザインの論理的な解説が不足している事が指摘され、図および記述 の追加と改変を求めた。論文の改訂は迅速になされ、改訂後の論文が合格レベルに到達して いることを、審査委員全員一致で確認した。

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試問の結果の要旨

申請論文の内容に従い、本研究の背景、目的、方法、結果、考察について、丁寧な説明が なされた。方法と結果の解釈について、多数の質問がなされたが、各々の質問に対し的確に 返答された。様々な質問に対する返答から、実験上の諸問題について良く理解していると判 断された。本研究の臨床試験を実施する当たり、考慮すべき問題についても、深い知識を有 していた。

以上より、申請者は医学博士に相応しい資質を有することから、審査委員全員一致で合格 と判定した。

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