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豊橋技術科学大学グローバル工学教育推進機構
(第2号 平成26年9月7日)
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主要活動報告
7月31(木)、ペナン日本人学校を訪問し、浦江辰美校長、加藤和弘教頭先生に表敬訪問し、
黒田着任の挨拶とともに、当面のTUTの事業活動予定を説明。ペナン日本人学校は、昭和 49年10月5日に開校しており、今年が40周年に当たることから、本年、10月5日(日)
に記念式典を開催予定であり招待を受ける(参加者は要検討の旨応対)。
※ペナン日本人学校は、ペナン日本人会が設置母体となっており、小学生 113 名、中学生 26名、派遣教員・現地採用教職員27名が勤務している。マレーシアでは本校の他に3校 の日本人学校が設置されている(KL、コタキナバル、ジョホール)。
8月7日(木)、井上理事・副学長及びLim国際教育センター准教授とともに、マレーシア 科学大学前副学長であり、現在同大学の名誉教授であるLim Koon Ong 氏を訪問し、マレ ーシアでの外国大学の活動展開の現状と方策、TUTの今後の教育プログラムの現地展開な どについて意見交換を行った。
8月8日(金)、井上理事・副学長及びLim国際教育センター准教授とともに、Wawasan Open Universityを訪問し、同大学Pro-Chancellor であるTan Sri Dr. Koh Tsu Koon氏 (現マレーシア上院議員、前ペナン州知事、元首相府大臣)、学長Prof.Dato’ Dr. Ho Sinh Chye 氏他7名の同大学関係者と意見交換を行った。本訪問は、ペナン地元財界有力者であるDato’
Seri Kelvin Kiew, Mini-Circuits Technologies (Malaysia) 会長・社長のアレンジにより、
ペナンにおける本学の教育活動への協力として、訪問に至ったものである。今回の訪問で は、本学としては初めての訪問ということもあり、双方大学概要のプレゼン、Wawasan
Open Universityの学務関係事項の確認等を中心とした意交換となった。今後、遠隔・IT
手段を活用したペナンでの教育プログラム実施における協力の可能性について担当を決め て意見交換を継続していくこととなった。
前列左端からDato’ Seri Kelvin氏、Dato’ Seri Stephen Yeap(創立者 YeapChongEe氏の孫)、Tan Sri Dr. Koh(Pro-Chancellor・上院議員、
井 上 理 事 、Prof.Dato’ Dr.Ho 学 長 、 後 列 WOU 大 学 関 係 者 及 び Lim准教授
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※Wawasan Open Universityは、ペナンの中華系富豪で、教育等の分野の慈善事業にも貢
献したYeap Chor Ee氏親族の遺産寄附により設立されたThe Gerakan 教育財団(後に
Wawasan 教育財団(WEF)と改称)が母体となる設置された大学(2006年に大学レベ
ルの私学として認可)。公開(open)入学、遠隔教育(Open Distance Leaning)とキャ ンパスでの教育(On-Campus Leaning) を 同時に行っている大学で、準 学士(Sub- Degree)、学士、Post-Graduate Diploma、修士(Master)、博士(Ph.D)のレベルで、
社会人向け、中等教育修了者対象の教育プログラムを提供している。学生数は、学生登録 時期により上下するが約4,500名で、フルタイムアカデミックスタッフは約40名、その 他パートタイムtutorが約400名を擁する。なお、「Wawasan」とは、vision、insightを 意味するマレー語。
8月18日(月)、Mini-Circuits Technologies Malaysia社を訪問し、UMAP International
Conference (9 月4日、大阪商業大学)で使用する本学発表用プレゼン素材ビデオ撮りを行
った。内容は、本年1-2月にペナンで実施した海外実務訓練受入れに関する企業側意見を伺 うことを目的としたインタビュー形式で、先方は、Dr. Yee-Ping Teoh, R&D Section Manager (Test & Characterization) に対応していただいた。同じ目的で9月2日(火)、 Ambu 社を訪問し、先方は、Mr. Joshua Chong, Senior HR Manager に応対していただ いた。インタビューでは、受け入れた本学学生は、勤勉で、技術知識も高く、当初は語学面 で苦労していたが、職場での適応能力は高かった等のコメントがなされた。また、インター ンシップの期間 2 か月より長期が望ましいが、次回以降の受入れも可能である旨の意見も 出された。
8月31日(日)~9月5日(金)、TUT特別推薦入学者等海外研修が当地で開催され、TUT 学生14名(学部4年生)が当地で研修を行い、大門国際教育センター長・教授、蒲原同セ ンター特任助教、福村国際課主任、萩原同職員の 4 名の教職員が研修指導・実施援に当た った。研修初日に、ペナン校と本校をGIネットで接続して、井上理事・副学長との遠隔セ ッション等の開講・オリエンテーションを行った後、ジョージタウン市内の異文化遺産・歴 史学習、マレーシア科学大学工学部・物理学部ラボ訪問、マレーシア科学大学(USM学生) との‘Environmental Issues Surrounding our Societies’ をテーマにしたグループワーク・
プレゼン、企業視察(National Instruments, Panasonic)、そして、地元マレーシア人家族 宅でのホームステイ等、様々な一連の研修活動を行った。今回の研修は、マレーシア科学大 学工学部、同物理学部、International Office他の協力を得て行われ、学生のグループワー ク活動では、同大学物理学部大学院学生14名と教職員が参加して行われた。
ペナン校での開講式(TUT 井上理事との遠隔セッ ション) 9月1日
グループワーク後のUSM、TUTの学生・教職員 9月3日
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当地での教育関連等情報(地元紙等から)
・科学技術イノベーション省(MOSTI)は、技術発明成果の商業化を通じた国家の収入の増大 を目的に、2014年をMosti Commercialization Year 2014(MCY2014)とした。この施策とも 関連するのが、マレーシアの大学による研究成果の商業化(commercialization)強化施策であ る。しかしながら、大学ガバナンス、インセンティブ、報酬、起業家教育、商業化市場の不足 等の課題が多くあり、また、こうした施策は、大学の基本的な役割を危うくするものだとの声 もある。各大学がそれぞれの大学の必要に応じて産学連携を通じて取り組んでいく課題であ るとしている。(New Straits Times 7月14日)
※マレーシア国家高等教育計画(National Higher Education Strategic Plan (NHESP) 、
2006〜2020 年までの長期計画)によれば、同計画中の主要施策の一つとして、「研究及
びイノベーションの向上」が取り上げられ、研究成果の 10%が商業化されることを目標 に掲げている。
・8 月 15 日に発表された上海交通大学高等教育研究院による Academic Ranking of World Universities (ARWU)によれば、マレーシアの大学では、マラヤ大学が301-400位にランクさ れ前年・前々年度のランク401-500位から順位を上げ、また、マレーシア科学大学が401-500 位にランキングされた。(New Straits Times、ARWUウェッブページ)
※ARWUでは、卒業生及び大学教員のノーベル賞・フィールズ賞受賞数、ネイチャー・サ イエンス誌での掲載論文数、Science Citation Index/Social Science Index収録論文数及 びそれらの指標の教員一人当りスコアの各指標に比重をつけてランク付けしている。
QS(Quacquarelli Symonds)社及びTHE(Times Higher Education)による指標・比重内 容とは異なり、留学生比率、外国人教員比率、国際共著論文等の国際関係の指標は取り入 れられていない。
マレーシア国立大学(Public Universities)への受験者のうち女性受験者のほうが男性受験 者より圧倒的に多く、2013/2014 年学年暦では、46,481 人の女性志願者に対し、男性は 22,221人に志願者であり、2014/2015年学年暦では、約51,000人の女性志願者に対し、男
性は 23,000 人の志願者であり、男性受験者が減少している。本記事を掲載している New
Strait Times誌では、(教育省)入学課幹部の話として、男子学生の受験希望者が少ない理
由として、中等教育修了後に直ぐに収入を得たいとの希望が強く、女子学生より冒険心があ り、1〜2年の猶予期間を希望する学生が多いことや生活の糧を得る収入を得ることに楽観 的であること等を挙げている。(News Straight Times 8月15日)
※少し前の統計となるが(2010,Statistics of Higher Education of Malaysia)、マレーシア の国立大学(21校)の2010年の在籍学生数は、462,780名でそのうち女子学生278,323 人(60.1%)で、男子学生168,183人(39.9%)となっており、在籍者数でみても、女子学 生のほうが多くなっている。私立高等教育機関(大学(23校)、ユニバーシティ・カレッ ジ(21校)、カレッジ(403校)他))に関しては、学生総数542,629名が在学し、その うち女子学生 290,641 人(53.7%)、男子学生 250,988 人(46.4%)となっている。
Engineering/Manufacturing/Constructionの学問分野で見てみると、国立大学で女子学 生数108,428/45,372(41.8%) で、私立高等教育機関での同分野の女子学生/全体学生数は、
20,802/78,113(26.6%)となり、男子学生比率が多くなっている。
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※(参考)同統計では、国私立高等教育機関で受入れている外国人留学生は、80,750人で、
派遣元国別では、イランからの学生が一番多く(10,932人)次いで、インドネシア(9,812 人)、中国(9,177人)、ナイジェリア(5,969人)、イエメン(4,931)他となっている。日 本人留学生は181人。全体の留学生のうち、国立大学では10,024人を受入れており、一 番多い派遣国は、イラン(4,814人)、インドネシア(3,769人)、中国(2,168人)と続 く。
一方で、マレーシアからの海外への留学する学生総数は、同統計では、79,254人で、留 学先で一番多いのは、オーストラリア(20,493人)で、英国(13,796人)、エジプト(8,611 人)、米国(6,100人)、インドネシア(5,588人)と続いている。日本への留学は、1,526 人で、中国(2,792人)、ロシア(2,621人)、ニュージーランド(2,305人)、インド(2,175 人)に次ぐ。
上 述 の マ レ ー シ ア 国 家 高 等 教 育 計 画 (National Higher Education Strategic Plan
(NHESP) 、2006〜2020年までの長期計画)によれば、「大学の国際化」も主要施策とし
て位置づけられ、大学生総数の約 10%を留学生が占めることを目標に掲げ、私立高等教 育機関での本施策を実現するとしている。
後 記 :
前回報告から1か月余りの間、日本では夏休みのシーズンで、お盆、夏祭り、海・山での行楽 といった時期だったと思います。当地では、7月末にイスラム教徒の人々が断食明けを祝う、ハ ラリヤ・アイドゥルフィトリ(ハラリヤ・プアサ)の祭り、それに華人の人々の間で信じられて いるようですが、飢えた幽霊(ハングリーゴースト)が一か月にわたりこの世を彷徨するのをな だめるためのお祭りが催される時期でした。今年は、これらのお祭りが同時期に重なったもので すから、道々で見かけた人々の祝い事の慣習がどちらの祭りに関係するものか、理解するのに時 間がかかりました(今年は、マレーシア航空の惨事があったこともあり、祝いの行事も控え目だ ったようです)。ジョージタウンの町中は、そんなに広くはないのですが、仏教寺院、モスク、
ヒンズー寺院、タイ・ビルマ寺院が近接して建てられていることが多く、「異文化情緒」とでも 表現したくなるのですが、日本人だからそう感じるだけで、地元の人はそれが日常であり、特段
「異文化」とは考えていないのでは、との思いを巡らせた月でした。
黒 田 清 彦(国際課国際教育支援室長)
マレーシア教育拠点(ペナン校)
No3. Cantonment Road, 10350 Penang, Malaysia Tel:+60-4-226-6242,6252
Mobile: 012-496-7559