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走{減価と経済成長
興 津 洋 一
経済成長の問題は苦くか羅済学運とつ藁味あるものであったが︑近年も多−の経済成長モデルが発表され
ているピれ亀奇して・均斉盛モデルとよば幾微視経済学︑あるいは線型経済学的な接近法によるもの
と︑巨羅済学製ハ︒ッドあるいは新古典派解接近法によるものがあるが︑いずれも恒常成長のための諸条
件蕪錘総総累損離離投資−の割 する現実経き問題 −.
って・理論経済学の分析対象としてとりあげられて亀しかし残念なことには︑これがまさに成長経連の膿で
あるにもかかわらず・まえにあげたよ−な経済全体の均衡分析のなか編入れられることはほとんどなくて︑むしろ
他とは独立撮腰繋金の蓄とそ髪出だけがとりあげられて莞.
この論峯はごの薯のひら葛少なくすることを希望して︑成長経済の新古典派モデルを︑減価償却をふくむ
形に書きかえて偵罠生産の盛率と純麗生産の成長率をわけて考え︑その桑一致の生ずる条件を分析す
る︒こ段減腰却建続的に誓なわれる場合と︑それを積立てて償却期間の終了とともに産取換える場合
にわけて考えているどれらの輩は・技術進歩を論ずるとき︑特に嚢な意味をもつものと思われる.最後に︑減 三九 1資本減価と経済成.長t
一論 文一 四〇
価償却期間と︑その変化が経済成長におよぼす影響を論ずることに宏魏︒
︵−︶をえば︑一・<︒・z︒ロ自国旨ロ・︑︑>竃︒量︒3§邑国§︒喜雨豊凶σ旨ヲ.︑§薯︒遠§ミ&ミ幅聲区員
μO剃㎝1①●OP一rO甲
︵2︶たとえば︑刃問ヒ餌﹃目︒α﹄︒ミ籍︑き曇ミ島§§誉二器罰ζ﹄︒専.︑卜︒︒登置︒三︒蓄ぎ貫
︒h国83三〇〇﹃︒葺F︑︑Oミ魯︑︑軸︑督智ミ言︑風守§︒ミβ<o一知O㍉08署﹄甲鐸ト国ζo呂︒・﹄>ぎ■9島影ミ
8浮8倦︒﹃肉8匙︒ミ︑qOこミき一〇〇一︑
︵3︶ヵ・霊ω昌︒﹃・︑︑u︒℃﹃︒n一節鉱︒p≧一︒垂目8の扇︒冨8屋・夷§一お日置ω如且03葺F︑.ぎミ魯§閏§§㌦島恥ミ塁
<︒一・×=一﹂翫Nもマ︒︒8−o︒ω一・国u・ooヨ貰︑︑uo胃︒︒葺一〇コ幻8一帥8ヨ︒旨m民90ミ葺=肉8ミミq﹄︒ミ§ト<or
一首江婁β一﹃舞これは︑身§〜﹄︑ぎ§§︒葛§§&こ〜§葛畢︵邦訳﹃経済盛の器﹄宇野健
■吾訳︶に再録されている︒
︵4︶全然ないわけではない.たとえば︑一ミm一﹃mω馬︑ぎ転醤〜恥・〜.量§§§§ミ鳥蕎文談﹃馨経肇箋﹄
手馨郎訳︶第煮︑資本化及び僑用の理論では︑粗収入から濡償却部分を控除すをとを述べずる・したがってど
のワルラス体系にもとづく均斉成長の理論は︑これが当然含まれているわけである・また︑ドマー前馨50頁以下をみ
よ︒
︵5︶奮えば︑この頁の︵3︶にあげられている論文︑わよび︑葛ま︒畢3鼻の第八章︑藩償却と擾投資・一
ドの.一の章は︑それ以前の諸車と全く独立である︒
︵6︶ この論文は︑東北大学における︑芳賀助教授および大学院の大槻氏との研究会に負うところが大である︒
一
︵−︶ ミ︑己まえにも述べたように最下の分析は︑主として・ードが麗した新古典派モデたもとづいて進められるカ︑︑︑︑・ へ ロ号の一部とその概念に若干の相違があることを断っておこう︒
まず・わ繁れは・資奎詣奎産が行なわれている︑塞撃下の封鎖経済憲定する.そこには︑資本家お
よび労働者とよばれる・それぞれ留な二つの集団があって︑しかもその二つに馨る.資本は︑たとえば︑鉄︵あ
るいはメカζセット︶のような︑同質でしかも適当に細分龍蘇よ晟り︑生産は︑この資歪労働を使用葛
ことによって行なわれる・生産物墜穰で︑消費財に春本財竃用いられるが︑ひとたび資本ス㌧ク叢った
ものを消費する罷鮭排除する.この財の奄位当りの価格壊変︵たとえば一︶で︑誓の藁は︑労働量等
を除いて・すべてお単座よる価蟹裏わされている.産出物は︑すべて︑経済の二つの集団に︑すなわち資本
家には︵粗︶利潤として︑労働者には賃金として︑帰属する︒
われわれは・淫鑑の塁叢扱うので︑栗の所有導あ盛本家は︑かれの受取る粗利潤のうちから︑資本
の減価償却のための費用を畜し誇れば弩ない.その額を粗利潤から差引いた残りが︑資本家の所得である純利
潤であるとしよう・お論塞は︑このように︑他の黒法とは丞違う場合がでてくるおそれはあるが︑減価償却
部分が入っているか否かによぞ︑粗と純の使いわけを行ない︑粗額を示す記号には*をつけることにしよう.文の
前後の関係から︑混乱の生ずるおそれがない時は︑この粗や純の文字を省略する︒
はじめに︑生産函数を次のように規定する︒
へ一︶ 頃苦u︑︵映一一丸<︸↓︶
ここ璽ぼ・年間粗麗生産︑Kは資本ストックを表わし︑いずれも価値量である.五糠用されている労働量︑
四一 −資本減価と経済成長i
一論 文一 四二
Nは生産に使用可能な土地および自然の資源を表わし︑Tは時間である︒粗国民生産は︑これら︑資本︑労働︑土地︑
時間に依存して決まる︒
この生産函数が︑純国民生産︵あるいは国民所得︶で規定されていないで︑粗国民生産︵あるいは粗国民所得︶で規
定されているのは︑減価償却の取扱いに便利であるということのほかに︑一定の技術状態で︑これらの生産要素が与
えられた時に決定されるものは︑純国民生産よりは︑むしろ︑粗国民生産であると考えるからである︒粗国民生産か
ら控除される減価償却部分が多かろうと少なかろうと︑生産そのものには変化がなくて︑純国民生産だけが変るであ・
ろう︒生産函数のなかでの資本ストックは︑減価した部分をも含むという意味での粗額は考慮されてないが︑これは︑
それに対応する減価償却基金が︑そのままの形では生産になんらの貢献もしないと考えるからである︒従って労働者
は︑この資本ストックを用いて︑消費財と︑新投資および置換投資のための資本財の生産に従事しているわけである︒
さらに︑資本ストックが零の状態から出発する場合に生ずる諸問題は考慮しないという意味で︑それは既に蓄積さ
れていると仮定する︒そして︑たとえば︑ある年度にその経済の資本が全部一せいに取換えられるというような場合
に生ずる混乱を避けるために︑κのなかには旧いものと新らしいものが︑適当にいりまじっているものと考える︒
議論を簡単にするため︑減価償却は︵米国のように︶資本の取得原価にたいする直線法で行なわれ︑さらにスクラ
ップにされるときの残存価値は︵たとえば取去るための費用なども考慮して︶︑無視し得るものとする︒また︑減価
償却基金の利子収益もないものと仮定しよう︒したがって︑原価跳︒の資本設備があって︑この耐用年数が﹃︒年であ
るとすれば︑これの毎年の償却費は償却率を鵠とするとミきであって↓入ぐミ︶年後には︑その減価償却積立金
はきとなり︑それでもって資本設備は更新されることになる︒しかし︑この償却の実施の仕方について︑二つの場
合にわけて考えることにしよう︒
第1の方法︑連続的な償却
これは盗本設備の驚をぞ紮告辞建ち毒つこと誇る.これは蒸発した募を補充すると考えても
よ(
bサのために・資本設繧・つねにそれが設馨れたままの状態羅讐れていて︑従.てその設備の橿奄
びに生産能力は一定と仮定される︒
このよう薔却方法は・驚償却を箆とりあげない場合に︑多くの経済学者が暗黙のうちに仮定してきたことで
ある︒あ場合最長率零の轟牽産の経蓼考え︑その資本設備の︵平均︶耐用年繁一\ミあれば︑毎年の
減価償却霞羅雰の補充のための費用に管−︑償却率︑或いは更新される率は霧る.すなわち︑このと
きの資本ストックが黛あれば羅投資と純薯はとも堤¶で︑粗投資は粗貯蓄に等しく桑.である.このよう
な仮定のもと霞実際蓄積される藩償繋金は存在せず︑資本設備の新旧の差はないが︑それでも一\ミ年経
てばごの簾は全饗新されたものとみなすこともぎよう.しかし︑このような仮定さえあれば︑成長経済にお
いても減価償却の問題集く無視ぎ熱というと︑そうとはかぎ寒い.これについてはあとでのべる.
いま経済で・現存資本スーツ灸のうち︑轟だけが︑今期霞その耐久期限誓て︑ただちに更新されるものと.
すれば・今期の罠墾電ぶら︑その分を差引いたものが︑純国民生産yである.すなわち︑
︵国︶ 憎日頃ーミ映
お関係はどの経葉純書が行なわれ︑ミだけ資本スーックが窮し︑﹂鴫.だけ組題所得が増加した一
とき窒そ鷲の増分の間筒様に成立する.すなわち︑あ増智た﹂券減価を捜するため︑﹂欄.のうち
四三 一資本減価と経済成長1 ■1論 文一 四四
から︑ミ﹂映だけを控除したものが︑純国民生産の増分﹂憎になる︒すなわち︑
︵OQ︶ ﹂憎﹂憎苦ーミ﹂歳
ここで︑﹂賓が負になる可能性は︑成長経済を考えるかぎり︑必要でない︒なぜならば︑そのような投資計画は実 パむロ行されないだろうからである︒
粗国里産と純麗生塵関する茱的装え方の説明は終・たので︑OO式にかえってどの経済が成長する場合
を考えよう︒
いま︑純投資が﹂映だけ行なわれ︑その紬果生ずる粗国民生産の増分がこ栄であるとしよう︒ここでのθは︑資本
の社会的限界生産力裏わしている.さらに︑雇用されている欝量が昌だけ増加し︑その結果生ずる粗国民生産
の増分は︑鳶﹂トであるとしよう.ここでの躍︑労働の社会的限界生産力裏わしている・土碧よび自然資源は・
不変であると仮定している.之のほかに︑時間丁の経過とともに︑生産技術が進歩してぞの賛生ずる粗毘生
産の増分が≒であるとしよう.この経済諜お粗罠所得の増分強は︑これらすべての生産要素の増加に
依存し︑又それに尽きると仮定されるから︑純国民生産の増分﹂賢は︑次のように表わすことができる︒
﹂憎ミ﹂魯十ミ﹂一十﹂憎︑ーミ﹂映
両辺をyで除し︑さらに︑
﹂憎 ﹂映 ﹂卜 映 ﹂層︑ ミト r特1進・馳鰹︐引目き︐圃!蒔偽・﹃憎−︑﹁割口O
とおくと︑次式が得られる︒
︵︶ 完hq︵曾ーミ︶神十〇〜十き
いうまでもなく︑yは国民所得の成長率︑々は資本ストックの成長率︑1は労働量の成長率︵これは人口の増加
率とも等しいと仮定しよう︶ドは資本係数︑Qは︑鶴者の受取る賃金がその限界生産力に等しい時に︑罠所得
のうち労働者に支払われる賃金総額の割合を示している︒
つぎに・粗麗生産の成長率>&峯藁・︶を求めよう.前の記号をそのまま使うために︑鴫.藁碧裏わ
すと︑ 一 ︵㎝︶ ヤ苦一−﹇Oミ知十〇︑十ユ ㌻
となる︒
このような蓮禽揺却が行なわれる経藝︑粗国民生産と純麗生産の成長率が議するための条件集めて
みよう︒ ㈲式から㈲式を引くと︑
︵O︶ 曾菅−量目Oミ鞭
が得られる︒この式を使って︑黛苦も﹄の間の関係を調べる︒
はじめに穎腱生産と純国民生産の成長率が管い場合を考える.このことは︑㈲式で紀.進を課するから︑
受苦4u昏壌一軸
が得られるどの関係は前の視点にたって高じである.すなわち︑葉係誉が憂であるよう蕪済竃え
四五 一資本減価と経済成長11論 文一 四六
ると︑そのためには︑
隻日葡が成立しなければならないから︑
尊 随月評 1 壕 一+馬副
となる︒さらに︑資本の生産能力が一定である︵特に断らなかったが︑資本は能力一ばいに操業されている︶経済を
考えると︑そのためには︑憎ぐ映が一定から︑桟け紺が成立していることを意味する︒したがって︑
一 発音口神ロー :1史 昏1q§
が得られる︒これら三つの式の右辺の係数は︑⑧式を使えばいずれも一であることがわかる︒したがって︑これまで
の仮定がすべて満たされているとすれば︑粗国民生産の成長率︑純国民生産の成長率︑および資本ストックの成長率
は︑これらのうちいずれかの二つが等しければ︑残る﹈つも等しいことになる︒いいかえれば︑資本係数︑あるいは
資本の生産性が一定であることを想定するかぎり︑連続的償却を考慮している経済の成長モデルでは︑粗国民生産の
成長率と純国民生産の成長率は等しい︒したがって︑資本の減価償却に関する問題は︑償却率が変化するような事態
を考えないかぎり︑全く無視できるといえる︒
これら三つの成長率のうち︑どの二つについても等号が成立しない場合︑三つの成長率はすべて相異なる︒したが
って︑貸qもまた変化するということになる︒
たとえば︑粗国民所得の成長が︑労働供給の増加︑あるいは労働生産性の増加に依存し︑資本ストックが全く増加
しなかった場合︑粗国民生産の増分は純国民生産の増分に等しく︑
電子u黛
となる・両成長逢違っ突馨であって︑これはさらに他の条件が満たされると︑国民所得の分配率の変化とも
なろう︒
このように差とえば技術の進歩薯えるような場合籔︑常に︑粗毘生産と縄墨生産の成長率が違うとい
う結果を生ずる可能性を考慮しなければならないであろう︒
︵︑︶葛一番§旨警§浩−<;よび︑同じ著者による.︑↓﹃・国︷h.・け.噛ω四<一コ磯ω.口︒.ロωロヨ.一一︒コ回目節ω一節什.
@︒一ω琶る︒義ぎ軌§達§藁ミ無く・一・星図︵ω喜・・.ρ一︒.N℃℃・NN﹃嘔図認.で鯖されているモデ
ルロ
︵2︶あ婁ξ絶対額笑峯で・比率は小峯で表わしている.ただし︑9は︑−−ドにならってそのままである.概
念については︑−きの籍が︑粗額になっているものがあ鷹
︵3︶一国蜜罠︒為蓑き§8受書ら軌トもふ︒︒・
︵4︶ ドマー︑前掲書の一九九頁を見よ︒ ︵5︶勿萱の馨がセなわれれば遥−弩含になろ−.したがって資本設備の遊休のない経済の収縮率ρ︷︑資本係
数が一定なかぎり︑償却率翅で下限が与えられよう︒
一一
第皿の方法︑一斉取換え
アの方法は・まえと違って議灌却窮覇︑粗生産物の空げ奮篠して︑それを茎として積立てて︑償
四七 −資本減価と経済成長11論 文一 ︑ 四ズ
却期間の終了とともに︑対象となる資本設備を一度に更新することである︒実物経済を考えているため︑この償却費
は︑貨幣の形態ではなくて︑財の形で︑償却期間の終了とともに新資本として使用するために︑ストックとして保有
されるものと想定しよう︒そうすると︑償却費と置換え支出の間の不一致等の︑多くの論文にとりあげられてきた主
題は一応姿をかくすことにはなるが︑それにしても資本減価等︑種々のやっかいな問題が生じてくるので︑まずそれ
から始めよう︒
ハユレ弄取換え︑または突然死〃の償却原理竃えることは︑当然︑葉価値の群変化をも考えることになる・生
産力の減退も資本価値の変動もない資本設備は︑更新する必要がないからである︒ ミードは︑粗利潤に変化がなく
ハ レて︑しかも資本が減価するものと仮定して分析を進めたが︑ これは奇妙なことである︒なぜならば︑粗利潤が一定
で︑な落本が濡する場合︑資杢単位当りの粗利潤は︑年とともに上昇せねばならないからである・われわれ
は︑逆に︑生産高の万から︑この問題を見ていこう︑
まず︑新しい資本設繧︑旧いものよりも︑高い生産力をもっていると考える.すなわち︑栗設備は薪らしく設
置された時の生産能力から︑時の経過とともに一定の率で︑その能力が減退していくとしよう︒この能力が零となっ
たとき︑資本はスクラップとなるわけであるが︑それ以前に︑すなわち︑その資本設備から得られる純利潤が零とな
ったとき︑この資本の価値は零となると考えるべきであろう︒生産技術によって︑一定の資本設備と新設した時の生
産能力が与えられているから︑この資本設備を運転するために雇用される労働者の賃金を︑産出額から差引いた部分
が︑資本家の粗利潤となる︒第一図でいえば︑ある資本設備の初期産出額が∫であって︑賃金が四であれば︑ ミ
く︑が粗利潤である︒しかし︑資本家はかれの所有する資本から得られる利潤が零となった時︑資本設備を更新しな
郭 ぜ
「
肺
第一図
し ロ !ぜ一 覧 V
立てられてきたわけである.すなわち図の四辺形曇ヌ︑評︑の面積は︑この資本設備の原価に等しい
これまでの説明が︑十分考えられる事態を述べているものとすると︑資本設備の価値も
もに低下することになろう︵たとえば︑利潤を資毒兀するような場合薯えればよい︶.資本の価値は︑↓旋至っ
てほとんど零になる︵生産力がまだ残っているから︑実際には零にならないだろう︶︒
今・落し義りの・資本の現奮値の集計が︑生産函数での純資本ストック︵の価値︶Kであるとすると︑われ
われの前節お裟等は使えなく馨.なぜならば︑償却費は︑純資本ではなくて︑粗資本に憂の係警乗じて得
られるからである・Eお粗資本は︑現存資本ストックの原価の集計を意味している.そしてこれは︑純資本スト ハ レ
ックの価値に誠橿却基霧加え奄の辱しいあと考え奮とがぎる.この粗資本ストッグの価値量を議*
四九 −資本減価と経済成長! ければならないから︑この粗利潤から︑一定の償却費を差引いておかねばならない︒この残り︑図ではミ評がしたがって初期の純利潤である︒われわれの仮定では︑時がたつにつれて︑この資本設備の生産能力は減退するから︑ヌ〜︑線は右下りになる︒また︑償却は︑資本原価に対する直線法によるため・ メ訴・とヌ〜︑は平行で︑その距離は︑各期の償却費に等しい︒この
資本設響動かすた翰雇用される労甦里がほ墜定で︑賃金率が響ない
パホロとすれば︑Wも一定と考えて良い︒したがって資本家が年々取得する利潤は減少し︑↓︒では遂に零になる︒すなわち↓︒で︑この設備を療棄して新資本設備にかえなければならず︑そのための資金は︑減価償却費としてそれまでに積 O ︑当然初期の値から年とと一論 文− 五〇
で表わすと︑前節の⑧式は︑
︵笛︑︶ 図苦ーミ歯舞日頃 ︵5︶となる︒この経済で︑今期の資本ストックの減価はミ民芸であるから︑それに等しい置換え投資が行なわれれば︑
純資本はKで変らない︒この純資本ストックの増加を意味する純投資が行なわれ︑そのために粗国民生産が﹂峯だ
け増加した場合︑それから控除されるのは︑資本の増分の一定割︑ミ﹂袋である︒しかし︑この今期の投資1は︑
純資本の増分そのものであるとともに︑それは粗資本の増分でもある︒期間分析的な説明を続けると︑この投資1
は︑それが行なわれた時1だけの純資本の増分であるが︑その期末には㌧1§︑に減価し︑そのために︑§㌧の償却
基金がつまれるわけであって︑期末の︵あるいは次の期首の︶粗投資は︑丁度1になっていることになる︒したが
って︑純投資すなわち純資本ストックの増分は︑ちょうど粗資本ストックの増分になる︒粗資本ストックの価値額
は︑償却費として払込まれる金額と置換えのための支出額が等しいかぎり変らない︒
したがってわれわれは︑前と同じ仕方で︑④式に対応する︑次式を導き出すことができる︒
︵︑︶ 発Hミ知十〇〜十︑1肢§奪
ただし︑q苦は器\憎を表わし︑隷菅は︑粗資本ストックの成長率を表わす︒前の⑤式は今度もそのまま使えるか
ら︑⑥式に対応して︑
︵O︑︶ 曾苦一短日︒甚§奪目qミ知
が得られる︒ここで︑壕もおよび隷苦の三つの成長率については︑前と同じく︑そのいずれかの二つが等しければ︑
合︑︶から︑残る一つも等しいことがわかる︒
ただ遽続叢換えの場合と違って︑弄種えの場合鏡乱が生ずるのは︑純資本ストックと粗資本ストックの
大きさが違い・またその成長率が違うためである.粗資本ストックが純資本スー.クよりも大きく︑さらに︑純資本
ストックの成長率が大きければ大きい程︑粗資本ストックのなかに占める純資本ス㌧クの割合臭きく馨あと
思われる・その彙・例えば・生産驚によって︑資本粗生産難憂であるような経済を考えると︑︵α︶式から︑
組長雀の成業は総毘生産の成長率より庇いというこ芝繋.これは︑資本係数歪の場合もそうであ
る・晃がつて・まえの連稿償却の場合に︑三つの成長逢関して成立し蘭係は︑この奢取換えの場合には成
立しなくなる・技術進歩の場合も︑異なった結論がでてくることは容易に想像馨よう.
このように雇叢長の分析繕いて︑資本藩の膿霧礎いれると︑それを票胞論接いで︑大まかに
想像していたこととは・だい舞っ蕪暑穿る可韓がある.これを技術進歩︑あるいは分配にとりいれた場
ム・︑さらに面臼い結果がでてくるであろうが︑それは残された問題である︒
︵−︶ード璽︑畳書置葺㌧.一壷さ区︒忌・h㍉〜も﹄ω・
︵2︶ きミ閣︒﹃鋤Poo・および︑︾O℃oβ田図H目・
︵3︶資本ストックの穏値が低下すれば︑雇用される労鍵姦少するとも考えられる.しかし︑ここでは︑分析の簡単化
と・勇の蟄を憂の蕩羅びつける猛に︑ほぼ髭と仮定している.そのため︑利潤零の状態でも資本は労募と
償却費の生産能力があるので・その点で資本橿馨と者んると︑実物と︑価値の喰い違いを当然考慮しなければならな
い︒しかし︑このような問題は︑ほぼ無視しうるものと仮定して議論を進めている︒
︵4︶あ比肇どのよ−髪っているかは︑過去の投資がどのよ−に行なわれていたかによって異なる.颪健︑成長経済
では︑成長しない経済よりも︑粗資本ストックの中に占める純資本ストックの割合が大きいであろう︒
五一 −資本減価と経済成長1
一論 文− 五二
︵5︶ 過去に︑資本ストックの増加を伴った成長を続けてきた経済においては︑資本設備の置換えにわれわれの仮定したような
方法をとるかぎり︑償却費の払込みと置換え支出の費用とが相違するという結果が生ずる︒これは︑これまで減価償却に関
する多くの著者と同じである︒
これまでの本文での説明につづけると︑粗資本ストック顕著が与えられているとき︑償却費および純資本ストックの減
価は︑ミ峯であるが︑この経済では旧い設備よりも新らしい設備が多いため︑取換えを必要とする資本ストックの価値額
はミ映蒼よりも少ない︒したがって︑償却費よりも置換投資が少なく︑純資本ストックは減小することになる︒この差額は
償却基金の増加となるが︑その大きさは︑過去の資本の成長率に依存している︒本文では︑過去の蓄積を論ずる適当な方法
がないため︑この不一致を無視して︑経済が急に成長をはじめるかのような説明をおこなっている︒したがって︑正確に
は︑これを考慮して︑もし置換え支出もミ民卦である場合に生ずる賃金率の上昇︑あるいは償却率の増加が︑常識的に無視
レうる程度のものであると考えるべきであろう︒
三
︵1︶ 前節のモデルは︑ロビンソンが考えたような︑資本の減価償却の高い経済と低い経済の成長率の比較に︑有効な分
析の手段を提供する︒
はじめに︑第一図のような︑資本設備の老朽化が︑粗生産物の減少をまねく場合についての資本の減価償却期間の
問題から考えよう︒
生産技術が一定であると仮定すれば︑それは︑新しい資本設備の産出力は一定であることを仮定することと同じに
なろう︒したがって︑いま敏の原価の資本設備があって︑それがyの初期生産高をあげるものとしよう︒そして︑
生産高の年年の減小率墜塞亀与えられている.賃金署憂蒼き︑この資本設備の最適の償語間は︑ζ
の彙から得られる利潤を最大にする点漠る暑えることが馨る.われわれの仮定にしたがえば︑償却期間串
に﹄定の率で§高麗馨塔驚償却費を積立てねば弩ない.したがって︑問題は︑賃金署パラメー
ターとして︑次式で与えられる利潤Pを最大にすることである︒
一 ︑一︵唄ーミ︶〜1き1圃&間
この渉に関する二次微分は負であるから︑一次微分が零のとき︑すなわちオが︑
思ーミ
︵﹃︶ 〜口tI
霞であるとき・利潤は最杏馨・おぎのあ値竃とすると︑償却務は︑あの逆数としてきまる.利潤を最
大にする資本の経済的耐久期間は︑このよう5て決定嚢るが︑それは賃金が肯向ければ短かく︑生産力の減小率が
小さければ長い︒
いまぎ︶式霜葉ストックの変化妻考んず︑さらに・も零で︑労働の生産性および賃金率︵労働の限界生
産力に等しい︶が一定であると考えると︑
︒︒︵㊤−芭 ︵oo︶ 完u−一﹁一◎1
となる・Eでsは薯窩裏むている.すなわち︑一定の成長率のもとでは︑貯蓄窩が高ければ︑︵.き︶
は小さい・この︵曽−芭は競模に関して騒不変の経済髪いて︵さ彪各市罎ついての適当な仮定謡馨れ
五三 −資本減価と経済成長ー1論 文一 五四
た場合に︶︑利潤率と考えることができる︒したがって︑もし貯蓄性向が一定であれば︑利潤率が高いほど︑国民所得
の成長率は大きい︒このことは︑㈹式でのむ︵粗利潤率︑あるいは資本の限界粗生産力︶が与えられている場合︑
資本の償却率が小さいほど夕が大きいことを意味している︒したがって︑ω式で決ったあが︑︵たとえば税法なご
で︶人為的に短縮されれば︑国民所得の成長率は︑それだけ小さくなることを意味している︒
さらに議論を簡単にするため︑労働の成長率が零の場合を考えよう︒そうすると⑧式は︑単に次のように表わさ
れる︒ ︵O︶ 梅月⇔︵曽ーミ︶
これを用いて︑賃金率の比較的高いアルファ国と︑比較的低いべーター国の経済成長を考えてみよう︒ω式からわ
かるように︑アルファの減価償却率ミ象は︑ベーターの減価償却率§︒よりも高い︒今︑両国の技術水準は同じで
あるとすると︑新資本設備の粗生産性は両国においてひとしい︒しかし︑同じ生産力の減小率をもつ機械を︑アルフ
ァではベーターよりも度々更新するため︑アルファの資本設備の平均粗生産性はベーターのそれより高い︒しかし︑
アルファ国での賃金率はベーターよりも高いため︑減価償却費の負担とともに︑アルファ国の利潤率を低下させる︒
このことはω式からもわかるが︑ゆ式の右辺の︵篭ーミ︶の値は︑ アルファ国の方が低い︒したがって︑両国の貯
蓄性向が一定であれば︑国民所得の成長率は︑べーター国の方が高いということができる︒
このような結果は︑アルファ国がべーター国に比して高い賓本の平均生直性をもっているにもかかわらず︑そのう
ち減価償却に回される部分がべーター国に比して大きいために︑純国民生産は低いという結果になるわけである︒こ
れは︑資本ストックの純生産性だけを考えてもでてくるかどうか疑わしい︒しかし︑この分析に示されたように︑賃
@ @
@ @ @︑それに伴って 犠却率の上昇まで考慮毒賃金率の上昇焼締資本スト.ク
金の上昇からだけでなく ︒
蝿睡蓮騒職鷺畿ザー§馨︐︐旨︐畢
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−資本減価と経済成長ー