卒業論文
集客力のある EC ショップ
はじめに
第1章 ECの現状
第2章 何が集客力を高めるのか 第3章 オンラインショッピングモ−ル 第4章 集客力の高いオンライショップ作り 関連資料
おわりに
今やインタ−ネットと言うものは私たちの生活の中に深く浸透してきている。しかしその 利便性、情報量のために生じたマイナス面を私は感じた。それはネット上での迷子である。
何らかの情報をより簡単に手に入れようと思いネットで探すのだけれども本当にその目的 地にたどり着くには一苦労である。まず検索サイトに行きカテゴリ−を探し、キ−ワ−ド を入れる。そしてその結果出てきた何十と言うものの中からしらみつぶしに探していく。
ネットではすでにある程度の知識がある特定の何かを探すには便利であるが、漠然とした イメ−ジを頼りに目的を果たす事は今や困難に近い。そのような状況の中で、リアルワ−
ルドで顧客にあまり認知されていないにもかかわらず多くの顧客を集めるものがある。な ぜこのような事が起こりうるのであろうか。集客力が非常に重要であるオンラインショッ プを調べる事を通じてこの疑問に答えを出していこうと思う。
現在、サイバ−スペ−ス上での売買であるECは様々な問題を含みながらも徐々に一般 化してきている。そしてそれに伴いオンライショップと言うものがネット上に溢れ検索サ イトに行ってもどこに行こうか迷子になるほどである。そしてそれら個々のオンラインシ ョップの集合体であるオンラインモ−ルもヤフ−に登録してあるものだけでも437件あ る。このように増加の一途をたどるオンラインショップではあるが実際どのような人がど のようにしてECを利用しているのか、また利用しないのか、さらにどのようなオンライ ンショップが存在しているのかその現状について述べていきたい。
最初にECを利用するユ−ザ−について述べていきたい。図1から、現在インタ−ネッ トユ−ザ−の多くがECを利用し、また購入回数からもこれから利用したいと考えている 事が分かる。そして多くのユ−ザ−が1回あたり1万円から5万円の商品を購入する(図 2)。次に購入する商品である。図3から書籍、パソコン(周辺機器も含む)、健康器具、
健康食品、ソフトウェア(パッケ−ジ配送)、ソフトウェア(ダウンロ−ド)などが上位 に来ている事が分かる。私はこの購入品目の結果に非常に驚いた。ECで扱われる商品に はビット型のものとアトム型のものがある。ビット型の商品とは音楽など商品の基本単位 が情報であるもので、アトム型の商品とは車など商品の単位が原子であるものである。ビ ット型の商品は情報であるためサイバ−スペ−ス上で購入に関するすべてが完了する。一 方アトム型の商品は発注、発注確認がサイバ−スペ−ス上で行われても、商品の発送、受 け取りはリアルスペ−スで行わざるをえない。したがってECにはビット型の商品の方が アトム型の商品よりも向いていると考えていた。しかしいざ結果を見てみるとアトム型の 商品が上位にランクインしている。なぜこのような現象が生じるのか後で述べていきたい。
次にECを利用しないユ−ザ−についてである(図4)。様々な理由があるが全て減少 している。特に実際の店で購入した方がいいと言う理由で始めからECを利用しようとし ないユ−ザ-の減少や品目数を理由に利用しないユ−ザ-の減少はECのこれからにとって 明るい材料である。ただセキュリ−ティ−の問題は非常に重要である。これをクリアしな い限り本当にECが普及したとは言えないからだ。しかしこれは技術的な問題であり解決 は時間と共になされるであろう。セキュリティ−の技術的な問題にこだわるよりむしろE Cが一つのサ−ビスとしてユ−ザ−に理解され始めていると言う事が重要であり、ユ−ザ
−を取り込むサ−ビスを仕掛けていく事が重要なのではないだろうか。いずれにしてもE
Cを利用しないユ−ザ−にとってもリアルワ−ルドの店舗との比較で利用しない訳ではな いと言う事は何よりもECの普及を意味するのではないだろうか。
以上ユ−ザ−、顧客サイドからECを見てみた。次にショップ側から見ていきたい。ま ずショップを2つに分類したい。1つはリアルワ−ルドで顧客に広く認知されているもの、
もう1つはリアルワ−ルドにショップはあるがあまり認知されていないもの、もしくは純 粋にサイバ−スペ−ス上だけに存在しているものだ。リアルワ−ルドですでに顧客に広く 認知されているものはネット上での集客という点ではそんなに苦労しないであろう。しか しビジネスとして上手く行くかというとそれは別の話だ。リアルワ−ルドでのビジネスと 共存していく必要があり、このバランスは非常に微妙である。この例に紀伊国屋書店を挙 げたい。ECに早くから参加し、当初顧客からも高く評価されていた。しかし、現在他の オンラインショップと比較するとサ−ビスという点では疑問があり、顧客からの支持も落 ちてきている。サイ−バ−スペ−ス上では先手必勝という傾向があるがもはやECはその ような段階ではない。例え顧客に認知されていてもサイバ−スペ−ス上でのサ−ビスが充 実していないならば顧客はすぐに他のショップに行く事ができる。ECは新規顧客の獲得、
顧客の囲い込みに大きな役割を果たしていく事は明らかであり、新しいサ−ビスの中心と してECを利用していかなければ顧客は離れていくであろう。一方でユ−ザ−や顧客にあ まり認知されていないショップはどうであろうか。いかに優れたコンテンツを持っていた としても顧客の目に止まらなければ意味がない。ではいかにして集客力を高めるていくの か、それについて次章で述べていきたい。
インタ−ネットユ−ザ−はECについて以上のような意識を持ち利用している。それで は一体あの迷路のようなインタ−ネットの中でどのようにして目的の店舗にたどり着くの だろうか。ECにおいて一般的にユ−ザ−は特定の商品を念頭においてショッピングを始 める訳ではない(図5)。漠然とした商品のイメ−ジを持って行っている。ましてやそれ をどの店で購入するか決定しているはずがない。それでは一体どのように行っているのだ ろうか。いくつかのシナリオを考えてみたい。
ユ−ザ−は検索サイトでの絞り込みやメ−リングリストなどのニュ−ス配信サ−ビスな どで商品を認知したり、ホ−ムペ−ジを探し出す。そして検索サイトの中でもyahoo、
gooを利用する(図6)。そしてその検索結果から気に入った商品を手に入れる事が可 能な場合もある。これをル−ト1とする。これがユ−ザ−にとって最もポピュラ−な方法 なのだろうがいくら絞り込んでも無数に出てくるものの中から目的物を探し当てる事は非
常に労力がかかるし、ショップを経営する側からすればこれに頼っていてはユ−ザ−が集 まってくる可能性は低く、ただ手をこまねいているに等しい。そこで次に示すル−ト2、
ル−ト3はユ−ザ−のこのような手間を省くと同時に、ショップオ−ナ−が自らユ−ザ−
を集めるために作り出した必然性の高いル−トである。1つはバナ−広告である(ル−ト 2)。バナ−広告は商品認知において日本では全体の2%で取るに足らないものである。
しかしこれは利用の仕方によって非常に有効な集客手段となり、その結果がアメリカでの 調査で明らかになっている(図7)。さらにバナ−広告を上手く利用した企業として例に amazon.comがある。amazonは自社を訪れる可能性の高いペ−ジにバナ−
広告をはったり、顧客がバナ−広告から自社のホ−ムペ−ジを訪れ商品を購入した際、そ のバナ−広告のあるホ−ムペ−ジのオ−ナ−にいくらかフィ−を与える事で効果的にバナ
−広告を増やし顧客を集めた。ではユ−ザ−はバナ−広告をどのように捉えているだろう か。ユ−ザ−はバナ−広告に対してある程度の知識を持っている(図8)。効果について は広告として効果を認めている(図9)。また、懸賞付きのものや製品名がはっきり書か れているものに目を引かれている(図10)。これらからバナ−広告が商品認知や顧客集 客のために何らかの形で役に立っている事が分かる。そして懸賞や製品を明記したものを、
顧客のショップまでのル−ト上に張り出す事で顧客の集まる可能性が高まる事が分かる。
しかし、バナ−広告の効果はこれだけではないと私は思う。顧客が何らかの形で自社ショ ップのバナ−広告に目を引かれた経験を持つとする。もしこの際、商品名あるいはショッ プ名を記憶していたならば次からその知識でル−ト1を利用しショップを訪れるかもしれ ない。これは単に自社ショップへのル−トが2つになっただけではない。例えバナ−広告 をクリックしなくても見るだけでユ−ザ−はブランドを認知する。膨大な情報が存在する インタ−ナット上でブランドを認知させる事は非常に困難な事で、何より重要な事はこれ により潜在的な顧客を獲得した事である。従来のル−ト1は多くの場合リアルワ−ルドで のショップ、製品認知を頼りに行われていたかもしれない。しかし、ネット上で初めて認 知され、自社ショップを訪れた場合、もはやリアルワ−ルドでの認知には関係なく純粋に サイバ−スペ−ス上でビジネスを行う事ができる。つまり1章で述べたリアルワ−ルドで の顧客への認知が低いショップであってもチャンスが出てくる。サイバ−スペ−ス上での ビジネスの利点は規模と関係なく自社の持つコンテンツを安価で安く顧客一人一人にサ−
ビスしていく事ができる事である。それを可能にすると意味でバナ−広告によりネット上 で潜在的な顧客を持つという事は非常に意味がある事ではないだろうか。
しかし、以上の述べたル−トには共通してある欠点を持つ。それはリアルワ−ルドでの 規模、認知がサイバ−スペ−ス上でのビジネスに少なからず影響するという事である。ル
−ト1で顧客を獲得できるショップの多くはすでにリアルワ−ルドで顧客からの信用を獲 得したショップであり、ル−ト2を採択し効果が上がる程バナ−広告をはるにはかなりの 広告料金がかり多くのECショップオ−ナ−にとって現実的な事ではない。したがってリ アルワ−ルドで規模が小さく、顧客に認知されていない企業がル−ト1,2を選択し顧客
を獲得していく事は難しい。そこでそのようなショップオ−ナ−が集客力を高めていくた めに考えられるものがル−ト3である。ル−ト3とははショッピングモ−ルでショップを 運営する事である。なぜ手数料も取られるショッピングモ−ルでショップを持つ事に意味 があるのか。それは何より集客できる可能性が高くなるからである。サイバ−スペ−スで もリアルワ−ルド同様、店舗が点在しているのと集中しているのでは集客力は後者の方が 優れている。なぜ優れているのか。リアルワ−ルドで顧客が百貨店で買い物しようと思っ た場合新宿に行くだろう。ショッピングモ−ルはサイバ−スペ−ス上での巨大な商店街の ようなものだ。先に述べた通り顧客の多くは具体的にどこで何を買うかは決定してはいな い。そのような場合リアルワ−ルドで顧客が新宿を訪れるのと同様、サイバ−スペ−ス上 でル−ト1を経由して店舗の集中するモ−ルに来る可能性は高い事が予想される。モ−ル が信用、認知されていれば自社ショップも顧客の目に止まりやすいし、何より顧客がya hooなどから自社ショップをヒットするよりも可能性は高くなる。そして顧客が購買目 的でショップを訪れる可能性はもっと高くなる。このように多くのショップが存在するシ ョッピングモ−ルなのだがそれはどのように運営されているのだろうか。現在オンライン ショッピングモ−ルと言っても数多く存在する。その中で最も集客力の高いモ−ルの1つ であり、ショップオ−ナ−にとっても集客力を高めていく上で一助となる楽天市場がどの ようにマネジメントされているのかについて次章で述べていきたい。
集客について今までは顧客のル−トに重点を置きショップの広告、プロモ−ションにつ いて述べてきた。しかしこれらには限界がある。そこでこの章ではオンラインショッピン グの街、オンラインショッピングモ−ルの楽天市場を例に集客力を高めるマネジメントに ついて述べていきたい。
楽天市場は1997年5月1日に13店舗で開設された。それ以来ショップ数は増加し、
現在は約700店舗が存在し、ヒット数は1日5万から6万件である。単に集積の経済が 働いたからこのような結果となっているのだろうか。それならばどこのモ−ルも楽天と同 じような状況のはずだ。しかし現在オンラインショップイングモ−ルというカテゴリの中 で楽天は一人勝ちしている。その理由は楽天をマネジメントしているMDMの戦略にある。
楽天市場の出店者はMDMがつくったRMS(Rakuten Marchant Ser ver)を利用する事ができる。RMSは5つの機能に分類する事ができる。①R−St orefront②R−Backoffice③R−Transact④R−Mail⑤ R−Auctionである。①は専用の編集画面で出店主がHTML,CGIなどの知識 がなくとも一般的なプラウザ−を使って最新の情報(店舗の構築、商品ジャンル、商品説
明、価格など)を遠隔操作で随時盛り込む事を可能にした。②はバックオフィス面で受注、
発送管理、顧客別および商品別の購入者履歴の検索などを行う。③は②に基づきマ−ケテ ィング分析を行う。④は顧客とのコミュニケ−ションツ−ルである。⑤はオ−クションを 行うためのツ−ルである。楽天市場にこれだけ多くのショップが集積した最大の理由はこ のシステムにあると私は思う。①を利用する事でHTMLなどの知識がなくてもサイバ−
スペ−ス上にショップを持つ事ができ、その上操作が簡単なため情報の更新が早く顧客を 引きつける品揃えが可能である。②、③はショップによってその利用の仕方が異なる。オ ンラインシィップの経営支援として活用するショップもあれば、リアルワ−ルドに巨大な 店舗を持つ東急百貨店などはリアルワ−ルド、サイバ−スペ−ス関係なくこのシステムを バックオフィス用として利用し、顧客管理、マ−ケティング分析に使っている。そして④ を使い顔が見えないオンライン上でより親密なコミュニケ−ションを顧客ととっていく。
⑤にはこれからのネット集客の上で重要な機能がある。それはオ−クション機能である。
これを使い大手電気量販店はパソコンの値段を決定し販売している。オ−クションは楽天 市場だけが行っているのではない。e−オ−クション、e−ベイ、ヤフ−オ−クションな ど様々ある。中でもe−オ−クションは口コミで拡大し、今や登録会員数3000人(9 7年10月)、1日500アクセスを記録するほど大きなものとなった。また、運営主は 取り引きの仲買に徹し取引金額の5パ−セントを受け取り、売り手の負担は登録量の10 万円とした。ヤフ−オ−クションは 2 ヶ月で常時約 10 万店が出店し、アクセス数も 1 日 1 万件に上り8000点が落札される。また、ヤフ−側は手数料を一切受け取らず広告収 入だけで運営する。オ−クションは今やネット上で最も混雑するサイトかもしれない。楽 天市場は集積したショップを利用しその機能を最大限に活用している。楽天市場の戦略は これだけではない。コスト面においても他のモ−ル、あるいは独自にサ−バ−スペ−スに 出店する際、平均で50から200万円かかると言う。その中で楽天市場は無料である。
さらに月の固定費用に関しても他のモ−ル、ショップでは30から100万円かかるが楽 天市場では25品目まで5万円、100品目まで10万円、1000品目までで25万円 であり、更新に伴う費用も0円である。顧客へのケアも充実している。楽々注文に登録す れば次回から登録の必要はなくなり、ギフトリマインダ−で過去の購入品のリストを見る 事ができる。また、ショップごとに決済していくのではなく、ス−パ−マ−ケットのレジ の様にショッピングバスケット(インタ−フェイスにお買い物カゴがある)を利用し、一 括購入する事ができる。インタ−フェイスもショップ、商品ディレクトリがありそれぞれ カテゴリ別に分類されており容易に検索できるよう設計してある。他にもモ−ルメイン、
個人情報登録、注文情報確認、楽天ニュ−スコミュニティ−サ−ビス、店舗リストなどが ある。これだけ様々な情報を載せながらハデさ(動画など)はなくその分ファイル転送が 早く快適である。このように様々な機能を持つ楽天市場であるが他と比較して最も優れて いる点はサ−ビスであると私は思う。楽天市場はショップオア−ナ−とその顧客に対して 他にはないサ−ビスを行ってきた。オンライン上でショップを開くにはホ−ムペ−ジ作成
→プロバイダと契約→商品の調達ル−トの確保→代金決済方法の決定→商品配送方法の決 定という手順を踏まなければならない。楽天市場はRMSによりこの手順をより簡略なも のにする事でショップオ−ナ−のニ−ズに応えた。さらにその後のショップ運営に関して もRMSがサポ−トを行う。顧客に対しては、様々なコミュニケ−ションツ−ル、見やす く買い物しやすいインタ−フェイスなどのサ−ビスを行ってきた。楽天市場経営者のは語 る。「購買には商品の認知、情報の獲得、商品の評価、購買決定という4つのプロセスを 経る。ECは今評価の段階にあり、RMSは顧客に商品を 評価 してもらうためのツ−
ルである。」と。このような考えがショップオ−ナ−、顧客のニ−ズを探し出し、それに 応えるという品質の高いサ−ビスを生み出しそれがショップオ−ナ−、顧客を集め続けて いる理由なのではないだろうか。ここにインタ−ネット上での集客に関する1つの答えが あると私は考える。
ここまでインタ−ネット上で集客力のあるオンラインショップについて色々と調べ、述 べてきた。そしてそれを通じて1つの結論を私は出した。インタ−ネット上にECを行う 自社ショップを持つという事は、インタ−ネットという新しい媒体を仲介とした新しい小 売りの形態である。しかし、これにばかり重点を置いていては落とし穴に陥る。例えば大 企業が作ったオンラインショッピングモ−ルである。ここでは統計から出てきた結果をう のみにし、セキュリティ−を重視した形式的でいかにも最先端ですというモ−ルを作った。
当然の事多くは失敗に終わった。私が何を言おうとしているかというと形態が変化しよう とその本質はサ−ビスであり、これを重視する事こそが重要なのである、という事だ。先 に延べた楽天市場もRMSという優れたサ−ビスシステムがあり、これがネット上で強み となるコンテンツとなった。何も顧客に提案できる他と異なる、もしくは革新的な商品を 持つ事だけが魅力的なコンテンツを持つ事ではない。膨大な量の情報が溢れるインタ−ネ ット上であるからこそ顧客のニ−ズに応えられるサ−ビスを持つ事は顧客を引き付けるコ ンテンツを持つ事である。先に1章でビット型、アトム型商品のネット上での売り上げに ついての調査で予想外の結果が出たが答えはここで述べた通りである。購入に関する全て がサイバ−スペ−スで完結しなくても、それを超えるサ−ビスを提案していく事ができる ならばリアルワ−ルドを経由する事は顧客にとって問題にならないのではないのである。
サイバ−スペ−ス上でもリアルワ−ルド同様、自分の顧客が集まり易そうなところにショ ップを作り、品質の高いサ−ビス(Ⅰ広告宣伝、Ⅱ店舗設計、Ⅲ品揃え、Ⅳアフタ−ケア など)によってロックインしていく。それを絶えず行っていく事が集客力を高める一番の 方法なのではないだろうか。ではオンライン上でのサ−ビスとは具体的には何に当たるだ ろうか。それは①基本設計②サポ−ト体制③商品力④サイト設計に当たると私は考える。
①はⅡに、②はⅣに、③はⅢに、④はⅠに相当する。①はトップペ−ジの情報量、商品検 索力、ポップ広告に当たると思う。多くのオンラインショップはこの点からするとほとん どが顧客のニ−ズに応えているとは言えない。トップペ−ジは主に派手なショップの看板 や現在力を入れている商品の画像とその情報である。重要である商品検索については商品 ディレクトリが細かく分類されておらず検索しにくい。その結果、ファイル転送は遅く、
顧客は長時間ショップを訪れ商品を見る事ができない。ポップ広告も商品に関する情報を 提供するというよりも画像を掲載するだけで終わっている。②は主に購入と購入後の配送 に関する体制であると思う。ECに関して不安を抱いている顧客が存在している以上、こ れを充実させなければ顧客の購買行動に結びつかない。③はオンライン上で顧客に他のシ ョップと比較してもらうため、また検索した結果ヒットする可能性が高くなるという点で 重要である。しかしこれはどのショップでも可能な事ではない。どのショップにも可能で あるはずなのにされていない事は商品の更新である。そして商品調査は単に商品に関する 情報だけでなく、自社ショップを訪れる顧客に関する情報も提供する。どのような顧客が 多く訪れるのか、どのような商品が売れるのか、それについて何の知識も持たず、全ての 商品を同じように同じ期間陳列しているのでは商売にならない。④は2章で述べたプロモ
−ションに当たると私は考える。しかし多くのショップはyahooなどの検索サイトに 登録するだけにとどまり、現在顧客の来店ル−トの把握、新規顧客ル−トの開拓に努めて いるとは言えない。本来ECはリアルワ−ルドでできなかった新しい小売りを提案する場 である。しかし多くのオンラインショップはリアルワ−ルドで現在当然とされているサ−
ビスを顧客に行っていない。①に関しては顧客にショップを快適に見てもらうためにファ イルを軽くすべきであるし商品検索力を充実すべきだ。②は顧客からよく寄せられる質問 をリストアップし掲載したり、特別なコ−ナ−を設けるべきだ。③は何よりも商品別の売 り上げ結果に対する調査とそれによる商品回転率の向上が不可欠である。④は顧客ル−ト の理解のため調査を行ったり、リンク拡大などでショップのネットワ−クを拡大すべきだ。
このようなサ−ビスを行うのと行わないのとでは決定的に異なる事が1つあると私は考え る。それは購買率とリピ−ト率だ。ショップを経営している以上、顧客に購入してもらわ なければショップを存続していく事はできない。また、ECに対して不安を抱いているイ ンタ−ネットユ−ザ−、つまり潜在的な顧客を自社ショップの顧客にして行く上でも購買 を促す充実したサ−ビス体制は必要である。リピ−ト率は顧客の新しいル−トを生み出す という点で重要である。1つは2章で述べた通りショップブランド、商品ブランドを顧客 が認知し検索サイトを利用して来店する新しいル−ト1である。もう1つはいわゆる口コ ミである。口コミの効果はインタ−ネット上でこれから重要性を増すのではないだろうか。
なぜなら、インタ−ネットによって顧客には今までにはない顧客自身のネットワ−クが存 在する。そしてこのネットワ−クの多くが同じ趣味、好みを持つ顧客同志によってできて いる。リアルワ−ルドでの点在する潜在的な顧客を引き込むのとは異なりサイバ−スペ−
ス上ではより効果的に潜在的な顧客を引き込む事が可能なのである。ECの目的はインタ
−ネットという売り手、買い手にとって便利な媒体と利用して双方が商品購買に深く関わ っていく事である。重要な事はショップが技術で優れているという一方的な事(派手な動 画、厳密なセキュリティ−など)よりも顧客を知り、その顧客を引き付けるサ−ビスを提 案していくという事であると私は考える。
オンライン上でいかに集客力を高めていく事ができるか、その答えはリアルワ−ルで顧 客に支持されているショップに多くのヒントがあるのではないだろうか。そしてそれらを 踏まえ、インタ−ネット上でその利便性を生かした新しいサ−ビスを行う時、そこには他 にはない付加価値が生まれ顧客が何度も訪れ、多くの顧客が集まるオンラインショップが できるのだと私は考える。
今回は卒業論文として集客力の高いオンラインショップについて述べてきた。コンピュ
−タに関する非常に詳しい知識を持っている訳ではないので結論もこれだというものを導 き出せる事ができず、書く事自体非常に苦戦した。現時点ではこのような結論であるがこ れから自分でオンライン上でなにかしらの活動を行っていき、そこから新しいアイディア を探してマイ卒論を書いていきたい。こんな稚拙な卒論ではあるがこれからの一歩として 前向きに捉えたい今日このごろである。
岡屋 創一
図1
図2
ECに対する意識と経験
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既に買い物したことが あり、今後も利用した い
既に買い物したことが あるが、二度と利用す る気になれない まだ利用したことがな いが、今後買い物をし てみたい
買い物したいと思わな い
1回あたりの購入金額 回答 5000円未満
5000円以上1万円未満 1万円以上2万円未満 2万円以上5万円未満
図3
購入商品
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96年12月** 97年6月** 97年12月 98年6月 1998年12月
パソコン(周辺機器含む)
書籍、雑誌
ソフトウエア(パッケージ配送)
食料品
ソフトウエア(ダウンロードの形態 で)
衣料品
CD、ビデオ・ソフト、ゲーム・ソフト 生活雑貨(家具、カーテン、傘、台所 用品、小物類など)
航空券、鉄道の切符、ホテルなどのオ ンライン予約
家電
健康器具、健康食品 花、観葉植物など
コンサートなどのイベントのチケット コンテンツ・サービス(ニュース提供 サービス、マッチング・サービス)
デジタル・データ(文献、MIDIデー タ、画像データなど)
貴金属類、宝飾類
地域の民芸品、特産品(食料品を除 く)
自動車 その他
図4
ECを利用した事がない理由
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97年6月 97年12月 1998年6月 1998年12月
セキュリティ面などで 不安を感じる
実際の店で買い物した 方がよい
ほしい商品が売られて いない
最初からインターネッ トで買い物しようと思 わない
決済の方法が面倒であ る
安く買い物できず不経 済だ
まだインターネットを 始めたばかりなので買 い物をしたことがない 買い物する商品に比べ て送料が高い
買い物できる商品が少 なすぎる
買い物できるショップ が少なすぎる
図5
図6
購入に関して
理由
何を購入するか決 めている
アイディアのみ決 めている
よく利用する検索サイト
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97年12月 98年6月 1998年12月
Yahoo! JAPAN goo
infoseek Japan NTT DIRECTORY Lycos Japan あちゃらNAVI Excite Japan InfoNavigator CSJインデックス フレッシュアイ AltaVista NETPLAZA Hole-in-ONE Netcenter DRAGON HotBot OpenText その他
図7
図8
オンラインショップに誘導された媒体
バナ−広告 新聞
TVコマ−シャル ラジオのスポット 看板
バナ−広告に対する意識
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バナー広告を見たことがあり、
クリックして広告の中身を見た こともある
バナー広告を見たことがある が、クリックして広告の中身を 見たことはない
バナー広告の存在を意識したこ とはない
バナー広告が専用の広告ページ にリンクしているとは知らな かった
その他
図9
図10
バナ−の広告としての効果
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97年12月 98年6月 1998年12月
アイコンを目にする 程度の広告価値は認 める
リンクしているため 一般の広告以上の価 値がある
広告がホームページ にあると邪魔に感じ る
あってもなくてもど うでもよい
広告としてあまり意 味がない
目を引くバナ−広告
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60.00%
70.00%
プレゼントなどの懸 賞が書かれているバ ナー広告
製品名がハッキリと 書かれているバナー 広告
企業名がハッキリと 書かれているバナー 広告
アニメーションなど で目を引くバナー広 告
その他