外国ジャーナリズムⅠ A:2016
アジア・オセアニアのマス・メディア
/
ジャーナリズム
第
6
回 韓国メディア・社会と日本
アジアにおける日本文化:韓国
大衆文化開放政策 1998 年、金大中(ギム デジュン)大統領の就任:日本文化に対する段階 的な開放施策。
2000 年 6 月:放送文化を除けば、ほぼ完全開放;教科書問題から日本の大 衆文化開放は一時保留となる。
中高校生の日本の大衆文化に対する関心高上
アニメ、ゲーム、大衆歌謡などの接触が多くなる。
高校における第 2 外国語選択校が急増(全国 80 万校以上)
大学: 100 以上の大学に日本関係の学科
•
歴史教科書、異質性だけを強調した日本文化論•
映画、アニメ、ゲーム、放送、歌謡、CD
などの 大衆文化の規制(暴力性、性的描写など)。
•
韓国内における日本文化に対する関心相互の文化に対する真の理解が必要
• 量的普及 , 増加;韓国内における日本文化に対す る理解度が深まっているとは言いがたい。
• 日韓の文化交流が本格化してからこそ、文化コ ミュニケションの理解をすべき。
→ 日本の歴史、伝統文化に対する理解に努めるこ と。
• 韓国への日本人観光客の増加→相互理解
•
訪日外国人旅行者については、第1位は中国、第2位は韓国、第3 位は台湾となっている。第4
位以下9
位までは、米国、香港、オーストラリア、タイ、英国、フランスで ある
参考文献:韓国
•
李虎栄「2002
年韓国大統領選挙とメディア:
民主党とハンナ ラ党のメディア広報戦略を中心に」SJS
no.0
•
李 錬「韓国におけるテレビ番組の輸出政策について:
韓国 における放送環境の変化と日本のテレビ番組輸入政策を中心 に」『コミュニケーション研究』no.35(2005)
•
李 錬「文化摩擦とメディア」武市・原責任編集、『グローバ ル社会とメディア』(ミネルヴァ書房、2001
)•
洪 垠姫(明知大学校)「日韓特派員報道の傾向『朝鮮日報』と『読売新聞』を中心に」
(2007
)•
李相哲(編)『 日中韓の戦後メディア史 』(朝倉書店、201 2
)•
鈴木雄雅・蔡 星慧 編著『韓国メディアの現在』(岩波書店、
2012
)日本大衆文化開放までの日韓文化交流の過程 -1
• 1965.06 日韓基本条約および付属協定の合意
• 1965.12 日韓文化財および文化協力に関する協定の発効
• 1983.12 第1回日韓文化交流の実務者会議で日本大衆文化開放の問題が提議 される
• 1990.03 第 4 回日韓文化交流の実務者会議で日本による開放の要求
• 1992.06 韓国文化通信使、訪日
• 1992.10 韓国の文化部長官、日本大衆文化開放の肯定的検討を示唆
• 1994.05 劇団「四季」、韓国国立劇場にて公演
• 1995.01 俳優アン・ソンギ、小栗康平監督の「眠る男」に出演契約
• 1995.02 公演倫理審査委員会、米映画「将軍前田」の韓国国内上映を不許可
• 1995.02 文化体育部、韓国系日本人歌手「都はるみ」の韓国内公演を不許可
• 1996.05 2002 年 W 杯日韓共同開催が決定
• 1996.09 釜山国際映画歳で「眠る男」など 15 編が初上映
•
日本大衆文化開放までの日韓文化交流の過程 -2
• 1998.02 金大中大統領、段階的日本大衆文化開放を発表
• 1998.05 文化観光部に日本文化開放に関する諮問委員会を設置
• 1998.10 日本大衆文化第 1
次開放• 1999.09 日本大衆文化第 2
次開放• 2000.06 日本大衆文化第
3 次開放• 2001.07 教科書問題で段階的大衆文化開放一時中断
• 2002.06 日韓 W
杯共同開催• 2003.06 日韓首脳会談の共同声明で日本大衆文化開放の拡大
を発表
日本関連 の問題での例 :
•
「閉鎖的な日本市場」の決まり文句•
「従軍慰安婦」;日本軍あるいは政府の関与の程度、規模 に歪曲と誇張•
「南京事件」-規模に誇張•
「太平洋戦争の原因」-意図に誤解•
「広島、長崎への原爆投下」-国際法違反•
「捕鯨問題」-科学的調査に基づく理性的議論を拒否•
「女性差別が特にひどい」ニュースフレームの例
■ エキゾチシズム:差異を誇張し、面白がらせるフレーム
■ ナショナリズム:民族主義、愛国心を刺激するフレーム
■ ステレオタイピング:単純化して理解しようとする「決 めつけ」のフレーム
■ 文化的・道徳的優越性の強調:読者に優越感を味わせる フレーム
■ オリエンタリズム:東洋または広く非西欧蔑視のフレー ム
自国の矛盾を他国に投射(差別、腐敗、堕落等、自国に もある問題が他国で はもっとひどいと強調する:他国に 比べれば自国はましだ」と思わせるフレーム
ステレオタイ プ: W. リップマン 『世 論』
「われわれはたいていの場合、見てから定義し ないで、定義してから見る。外界の、大きくて、
盛んで、騒がしい混沌状態の中から、すでにわれ われの文化がわれわれのために定義してくれてい るものを拾い上げる。そしてこうして拾い上げた ものを、われわれの文化によってステレオタイプ 化されたかたちのままで知覚しがちである」
「単純化による思
想の節約」
社会の 防御
• ステレオタイプのパターンは公平無私のもので はない。[中略]われわれの自尊心を保障する ものであり、自分自身の価値、地位、権利につ いてわれわれがどう感じているかを現実の世界 に投射したものである。
• したがってステレオタイプには、ステレオタイ プに付属する様々の感情がいっぱいにこめられ ている。それはわれわれの伝統を守る砦であり
、われわれはその防御のかげにあってこそ、自
分の占めている地位にあって安泰であるという
感じを持ち続けることができる
韓国における日本大衆文化の 禁止
• 日本大衆文化(「社会の多数をしめる一 般勤労階級・民衆」の文化を意味する)
• 1948 年 7 月 17 日:大韓民国憲法 101 条
•
「1945
年8
月15
日以前の悪質な反民族行為」• 「反民族行為処罰法」( 1948 年 9 月 22 日 )
•
適用対象は、日本の統治に追従・同調した警察官僚 や文学者が中心。日本への追従が「反民族行為」•
日本大衆文化の一掃は当然のこと韓国における日本大衆文化の 禁止 -2
• 1960 年代の朴正煕政権時代に制定された一 連の法律群
•
「反日感情」を理由に「民族の主体性涵養」や「民 族文化の創造的開発」に反する日本文化の導入を阻 止•
放送法、公演法、映画振興法、「音盤、ビデオおよ びゲーム物に関する法律」、外国刊行物輸入配布に 関する法律など。•
これらの法律のどこにも、特定の外国文化(もちろ ん日本文化も)に対する規制の条項は存在しない韓国における日本大衆文化の 禁止 -3
• 1965 年 11 月:歌謡審議規程と放送歌謡審議細則
-
日本の歌謡曲などに多い「都節(ミヤコブシ)音階」日本固有の音階で、「反民族的」であり、「低俗、退廃 的
この音階の曲は韓国の歌であっても禁止され、「リズム、
ムード、唱法などは事前に一律に規定しがたいため、その 都度聴取しながら判定する」とされた。
• 1966 年 :
•
「倭色歌謡」として19
曲が放送禁止• 1980 年代:全斗煥政権
•
「表現の自由を統制しすぎた」として「倭色歌謡」が解禁 されるまで、放送禁止曲は250
曲に達していたという。韓国における日本大衆文化開放
1998/10:
第1次開放 金大中大統領•
映画(四大国際映画祭の受賞作品)やビデオ(劇場公 開されたもの)、出版(日本語の漫画、漫画雑誌)が 対象となった。 1999/09:
第2次開放•
劇場用アニメを除く映画が大幅開放された。• 2000
席以下の室内公演場での歌謡公演も開放された(ただし、実況放送やビデオなどの販売は不可
2000/06: 第3次開放
• 18
歳未満不可のものを除いてすべての映画作品(劇 場用アニメを除く)、歌謡公演は全面開放•
レコードは日本語による歌以外(演奏のみ、翻訳)は開放
•
放送では、報道番組やドキュメンタリーが開放 2004/01 第4次開放
• 2004
年1
月:日本語の音楽CD
や日本製ゲームソフト の販売、日本映画(アニメを除く)上映が全面解禁•
映画はすべて開放、ビデオは国内公開がすべて開放•
日本語を含むすべてのレコード(CD
、テープ等)、ゲームソフトがすべて開放された。
• 2006
年 劇場用アニメ、全面開放の予定-
「 18 歳未満観覧不可」の作品以外は全て開放(劇場用アニメ除く)。-
国際映画祭で受賞した劇場用アニメを開放。-
ビデオは劇場で公開されたものにつき開放。-
歌謡公演は、室内外の区別なく全面開放。-
レコードは、日本語による歌以外(演奏のみ、第三国語・韓国語翻 訳による)を開放。- ゲーム機用テレビゲームソフト以外のゲームソフト(パソ コンゲーム、
オンラインゲーム、ゲームセンター用のゲーム等)を開放
。
-
全ての放送媒体によるスポーツ、ドキュメンタリー、報道番組の放 送を開放。-
映画のテレビ放映については、ケーブル・テレビ、衛星放送におい て第二次開放の基準を満たす劇場公開された作品を開放。101回目のプロポーズ フジテレビ(1991) 23.6% 101回目のプロポーズ SBS(2006) 8.3%
恋人よ フジテレビ(1995) 15.2% 恋人よ SBS(2007) 約10%
星の金貨 日本テレビ(1995) 14.4% 春の日 SBS(2005) 28.4%
やまとなでしこ フジテレビ(2000) 26.1% 窈窕淑女 SBS(2003) 16.6%
スタアの恋 フジテレビ(2001) 13.8% スターの恋人 SBS(2008) 7.1%
アンティーク フジテレビ(2001) 17.7% アンティーク 映画(2008) -
Pure Soul 日本テレビ(2001) 10.6% 私の頭の中の消しゴム 映画(2004) -
氷点 テレビ朝日(2001) 9.72% 氷点 MBC(2004) 15.5%
愛なんていらねぇよ、夏 TBS(2002) 7.8% 愛なんていらない 映画(2006) - アルジャーノンに花束を フジテレビ(2002) 11.1% こんにちは、神様 KBS(2006) 10.5%
きみはペット TBS(2003) 11.9% きみはペット 映画(2011) - 白い巨塔 フジテレビ(2003) 23.8% 白い巨塔 MBC(2007) 14.3%
人間の証明 フジテレビ(2004) 12.1% ロイヤルファミリー MBC(2011) 12.2%
花より男子 TBS(2005) 21.5% 花より男子 KBS(2009) 28.5%
ドラゴン桜 TBS(2005) 16.4% 勉強の神様 KBS(2010) 23.7%
結婚できない男 フジテレビ(2006) 16.9% 結婚できない男 KBS(2009) 8.65%
白夜行 TBS(2006) 12.8% 白夜行 映画(2009) -
花ざかりの君たちへ フジテレビ(2007) 18.8% 美しい君へ SBS(2012) 5.1%
プロポーズ大作戦 フジテレビ(2007) 17.3% プロポーズ大作戦 TV朝鮮(2012) 0.6%
佐々木夫妻の仁義なき戦い TBS(2008) 11.1% 負けてられない MBC(2011) 5.8%
JIN-仁 TBS(2008) 19.0% Dr.JIN MBC(2012) 12.8%
同窓会 テレビ朝日(2010) 14.5% ラブアゲイン JTBC(2012) 1.4%
日本大衆文化の 世代 別接触 経験
• (出所:韓国文化政策開発院
1997
『日本大衆文化の開放の波及効果及び追加開放対策の研 究』)世代 10代 20代 30代 40代 50代
接触率 83.70% 76.70% 59.10% 47.80% 29.30%
韓国
• 169
番組(1,340hr
)•
輸入はアニメ、NHKドキュメンタリー•
リメイク版•
輸出入バランス:輸出超•
輸出先:中国・韓国・台湾(50%
)・・韓流•
共同制作