ウガンダでの協力活動
樋 口 孝
15年度1次隊 派遣国:ウガンダ 職種:理数科教師
私は、15年度1次隊でアフリカのウガンダ共和国に理数科教師として派遣されました。
派遣先はカリロNTCという中・高の教員養成大学でした。生徒数は約 1200 人。そこ で物理を週2時間、コンピュータを週10時間教えていました。
上の写真は物理の授業風景です。教室には机がなく生徒はひざの上で板書を移してい ます。右の写真のように教卓がある教室では、そこでノートを取ることもあります。法 則や原理の説明はあらかじめ英語を調べて模造紙に書きそれを黒板に張ることで、弱点 である語学力を補いました。
教師になる学生にとって、いくつか必要になる技 術があります。そのひとつとしてイラストを用いて 説明することがあげられます。
左のイラストは初めての授業のときに、学生たち が知恵を出し合って描いたイラストです。風船に口 を当てて声を出し、手で風船の振動を確かめている 様子を表しています。
ウガンダでは美術や体育、技術・家庭、音楽などの教科を教える学校は非常に少ないため、教師が簡 単なイラストを用いて説明する能力は低いといえます。小・中・高の生徒たちがする勉強は、法則や 定義の暗記にウエイトが置かれています。
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イラストを描いて模擬授業 生徒がイラストを準備しているところ
私の授業の形態の1つとして、簡単な実験を紹介し、その実験をイラストを用いて模擬授 業をするという方式を行いました。
私が考えていたよりもウガンダの人は手先が器用で、コイルを磁石の上で回転させるクリ ップモーターをそれほど苦労することなく完成させました。このほかにもいろいろな実験を 紹介しました。
回転するクリップモーター クリップモータを使った模擬授業
静電気の実験の準備をする学生
電流により発生する熱で 火を起こす学生
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基本的なコンピュータの使い方がわかると就職しやすいらしく、コンピュータの授業 を選択している学生は多く、生徒の関心も高い印象を持ちました。カリロNTCにある コンピュータは約40台。ウィンドウズ95と 98がほとんどで2000が2台ほどありま した。イギリスなどの国からの寄付で、中古を使用しています。
授業の時には1人または2人に1台の割り 当てでコンピュータを使用することができま す。しかし、停電が非常に多い地域で、授業 が中止になることもしばしばでした。
左の写真は学校にある発電機を使用し、パ ソコンを2台動かして、みんなで勉強してい るところです。しかし、発電機も燃料節約の ため、すぐに止められてしまいました。停電 は長いときだと2~3週間続きます。
木の下でパソコンの講義
停電で電気がないときには、カウンターパートのフレ ディーが中心となってコンピュータの講義をします。パ ソコンなしで、パソコンについての抗議をすることは、
あまり意味がないように感じましたが、学生たちは試験 にパスするために真剣にメモを取ります。
私の大学での授業数は週に12時間。停電も多く、パソ コンの授業が中止になることもしばしばだったので、自 分の空き時間にはウガンダ国内の小・中学校や高校・大 学をまわり、授業をさせてもらいました。「デリバリーサ イエンス」と称して、飛び入りで授業をさせてもらいま した。苦労話を出したらきりがありませんが、最後に102 校のなかの写真を紹介させていただきたいと思います。
初めて訪問した学校で - 57 - ジンジャタウンのある小学校での授業