2011 年 4 月 27 日、 5 月 11 日講義概要
経済発展(水曜4限)担当:大平 哲
授業の説明
第1回(4月20日)の授業で次の方針を決めました。
• 講義形式で授業をすすめる。
• 授業内試験を不定期でおこない平常点をつける。
• 場合によってはレポートを課すこともある。
• 学期末試験も平常授業内でおこなう。
• 平常点と学期末試験の合計を総合点とし、総合点を元に評点をつける。
• 総合点に占める平常点と学期末試験の割合は50:50を原則とする。
• 学期末試験未受験者は不合格とする。
• 例外対応は担当者(大平)の判断にまかせる。
1 .なぜ経済発展を考えるのか
1. 途上国の問題
2. 先進国の問題
3. 途上国・先進国間のバランスの問題
2 .経済発展に関する学説史
18世紀後半からヨーロッパで産業革命がおき、その後の急速な経済成長が始まりました。その動 きを思想的に支えたアダム・スミスが経済社会のありかた、つまり豊かさ概念についてどのように 考えたかを2.1で紹介します。次に、経済発展をすすめるための主要な生産論として2.2自由貿易 か保護貿易か(自由主義か規制か)、2.3工業化の諸側面を話します。経済成長を実現し、経済的に 豊かな生活を享受できている先進国がある一方で、多くの国々が貧困のままです。豊かさ、貧しさ の内容も多面的です。そのような現代社会で「豊かさ」あるいは「貧しさ」について考えるとき、
何をもっとも優先すべきかについて考えます。
経済発展I(水曜4限)
担当:大平 哲
2011年4月27日、5月11日
2.1 豊かさとは何か (1) アダム・スミス
次の問いについて考えます。
1. アダム・スミスの考え方がそれ以前の支配的な考え方とどのように異なるのか。
2. なぜ所得(GDP)を見るのか。
2.2 自由貿易か保護貿易か
国が経済発展するために自由貿易を推進すべきか、あるいは政府が規制をかけるべきかを考えます。
2.3 豊かさとは何か (2) 複雑な現代社会で
世界全体の視野で考えたとき、最優先で解決すべき問題は何かを考えます。豊かさを追求すること よりも、まず貧困をなくすことが急務であるとの認識から、いまは貧困とは何かを考えることを重 視していることを確認します。一例としてミレニアム開発目標について紹介します。
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経済発展I(水曜4限)
担当:大平 哲
2011年4月27日、5月11日
2A. 参考資料 『諸国民の富』冒頭の文章
すべての国民の年々の労働は、その国民が年々消費する生活の必需品や便益品のすべてをその国民 に供給する、もともとの原資であって、それらのものはつねに、その労働の直接の生産物である か、あるいはその生産物で他の諸国民から購入されるものである。
2B. 参考資料 フェアトレード
フェアトレード・ラベル・ジャパンのサイト
http://www.fairtrade-jp.org/about fairtrade/fairtrade/
「フェアトレード」、直訳すれば「公平な貿易」。現在のグローバルな国際貿易の仕組みは、経済 的にも社会的にも弱い立場の開発途上国の人々にとって、時に「アンフェア」で貧困を拡大させる ものだという問題意識から、南北の経済格差を解消する「オルタナティブトレード:もう一つの貿 易の形」として始まった運動がフェアトレードです。国際的フェアトレード・ネットワークFINE では、「フェアトレード」を以下のように定めています。
Fair Trade is a trading partnership, based on dialogue, transparency and respect, that seeks greater equity in international trade. It contributes to sustainable development by offering better trading conditions to, and securing their rights of, disadvantaged producers and workers – especially in the South. Fair Trade organizations (backed by consumers) are actively engaged in supporting producers in awareness raising and in campaigning for changes in the rules and practices of conventional international trade.
フェアトレードは、対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目 指す貿易パートナーシップである。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者に対し、より良い 貿易条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより、フェアトレードは持続可能な発展に貢献す る。フェアトレード団体は(消費者に支持されることによって)、生産者の支援、啓発活動、およ び従来の国際貿易のルールと慣行を変える運動に積極的に取り組む事を約束する。
2C. 参考資料 ミレニアム開発目標
ゴール1: 極度の貧困と飢餓の撲滅
ゴール2: 初等教育の完全普及の達成
ゴール3: ジェンダー平等推進と女性の地位向上
ゴール4: 乳幼児死亡率の削減
ゴール5: 妊産婦の健康の改善
ゴール6: HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
ゴール7: 環境の持続可能性確保
ゴール8: 開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
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