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2012 年度 卒業論文

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2012 年度 卒業論文

1987 年、男子高校生に何が起こったのか?

~デートの価格と性行為の価格~

2012年1月15日提出

上智大学経済学部経済学科 網倉久永ゼミ A0841527 角谷佳祐

(2)

目次

Ⅰ.はじめに ~1987年、男子高校生に何が起こったのか?~

Ⅱ.概要

1. 高校生デート経験率と性的関心の推移 2. 時代背景

Ⅲ.観点と仮説

1. 観点 ~デート・性行為にも価格はある!?~

2. 仮説

Ⅳ.検証

1. 検証方法の説明 2. 年代別名目価格の算出

(1) デート (2) 性行為

(3) アダルトビデオ

3. 年代別実質価格の算出と比較

Ⅴ.結論 1. 結論

(1) バブル経済の影響 ~デート・性行為価格の高騰~

(2) AV機器の普及の影響 ~代替材の価格~

2. 考察

Ⅵ.本論文の限界と課題

Ⅶ.参考文献・サイト

(3)

1. はじめに

「現代の若者はデートをしなくなった。」アスキー総合研究所所長・遠藤諭氏が、著書『ソー シャルネイティブの時代新しい日本人』(アスキー・メディアワークス/刊)で述べられている一 説。ここで出てくる「ソーシャルネィティブ」という言葉は、主に1990年前後に生まれ、社会 環境の変化とネットやゲームによるコミュニケーションスタイルの大きな変化の中で育ってき た世代と定義される。まさに、我々の世代だ。

確かに、私自身高校生の頃あまりデートの記憶は無い。しかし、周りを見てもそんな大々的に デートをしなくなったとまで思った事は無い。父や年配の方が良く言う武勇伝。「俺の昔の頃 は...」それに似たような疑問を感じる。祖父から父へ、父から子へと繰り返し使われてしまう ものだと思うからだ。何よりも私の祖父は生前、私の小さい頃から何年間にも渡り、ずっとその 様な言葉を洩らしていた。

そこでここに、興味深いデータがある。日本人男子高校生のデート経験率は1987年から上昇 を続けているのだ。このデータは現代の若者がデートをしなくなったという事と矛盾しているの ではないだろうか?そして何より興味深いのが、何故か一方で、1981年から 1987年にかけて だけ低下しているのだ。そこで、“1987年、男子高校生に何が起きたのか!?”をテーマに、何故 1987年にデート経験率が低下し、その後上昇したかを考察してみたい。

Ⅱ.概要

1. 高校生のデート経験率と性的関心推移

財団法人日本性教育協会は、1974 年から 6 年毎に青少年の性行動調査を行っている。まず、

先に述べたデート経験率の推移を見て見よう。

デート経験率の推移(単位;%)

(4)

※財団法人 日本性教育協会より抜粋

という様に、1987年以降高校生のデート経験率は確かに上昇している。一方、1981年から1987 年にかけやはり低下している。ここで、考えられる疑問は「デートってそもそもなに?」という 事だ。例えば、ドラマや映画を見ても、年代別に男女の関わり方は大きく異なる。だからこそ、

“デート自体の定義の変化”はおそらくありうるであろう。

しかし、次のデータも見て見たい。

※財団法人 日本性教育協会の調査結果から著者が加工し作成

上記のデータも日本性教育協会が算出したデータであるが、“デート経験率のみではなく、性的 関心も低下している”のである。1987年、高校生は98.2%から89.6%の約10ポイントの低下、

中学生に関しては、92.8%から 52.5%という約 40ポイントもの劇的な変化である。もちろん、

高校生に関してはデートの経験率変化に比べ、振れ幅は小さい。だが、中学生を見ればわかりや すいが、「性的関心とデート経験率の上昇率は、正の相関がある」のではないかという事だ。そ うなれば、“デートの定義の変化”だけでは説明出来ない可能性がある。では、“性的関心とデー トの関係はどう定義すべきか?”また、“何故その両者が低下したのか?”を考えて見てもいい だろう。

2.時代背景 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

1981年 1987年 1993年 1999年

性的関心(単位:%)※男子

中学生 高校生 大学生

(5)

まず、時代的な背景を知るため、日経平均株価の推移を見てみたい。

※内閣府のデータから著者が加工し作成

そう、まさにこの1987 年付近とは、“バブル経済の始まりの年”なのである。高度経済成長が 終わり、1986年12月から始まったと言われるバブル経済。1989年には、最高値の約38900円 を記録。1987年でも約21600円。三菱地所のロックフェラー買収、安田火災がゴッホ「ひまわ り」購入など、現在では考えられない現象が起きていた。そして1991年バブルが弾け、株価が 大暴落、失われた10年が始まる。この激動のバブル以前と以降が、対象としている1981年~1987 年~1993 年であるのだ。この大きな経済変動が物価や社会の風潮に与えた影響は計り知れない であろう。だからこそ、この時代背景がなにかしら関係を与えたのではないか?“この経済の 変動から、デート・性行為の変化が読み解けないか?”と考えてみたい。

Ⅲ.観点と仮説

1. 観点~価格理論~

経済学者にとって、一番本質的な法則は、“価格が上がれば、需要が下がる”という事である。

(例)モノの値段が上がれば、以前よりそれを買わなく(もしくは、買えなく)なる。ものによ ってその価格弾力性はそれぞれだが、少なからずそれは存在する。つまり、

ⅰ)「デート経験率が低下した」⇒「デートという行為を以前より選択しなくなった」

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 45000

日経平均株価終値

日経平均株価終値

(6)

ⅱ)「性的関心が低下した」⇒「性行為を以前より選択しなくなった」

と言い換えて見たいと言う事だ。そこで考えたい事は、「デート・性行為に価格を付ける事が出 来るか否か?」という事だ。

そして、そこに派生し、“代替財の価格が下がれば、需要が下がる”という事である。代替効 果と言われるが、いつも買っているモノの代用品が安くなれば、相対的にその価格は上がるので 需要は下がる。では、考えてみよう、「性行為の代替財ってなんだろう?」一番思いつきやすい のは風俗という性ビジネスが一つあげられる。しかし、高校生の所得から考えて見て、果たして それは利口な合理的代替財だろうか?だからこそ、より安価かつ効用の高いモノを考えるのが妥 当であろう。ここで1つ、1981年から1991年にかけてのある家庭環境の変化に目をやっても らいたい。

※内閣府『消費動向調査~主要耐久財等の全世帯普及率』から著者が加工し作成

このグラフは、内閣府が発表している、『消費動向調査~主要耐久財等の全世帯普及率』である。

争点となるのは、1981年から1987年における急激な上昇である。5.1%から43%、37.9ポイン トも上昇している。つまり、ここで読み取るべきライフスタイルの変化として、あげて見たいの は、性サービスの中でも、「ポルノ雑誌という紙ベースのモノから、よりリアルなアダルトビデ オという映像ベースのものが比較的安価に利用できる様になった」と言えるのではないかという 事である。より庶民的な視点で見れば、「アダルトビデオはより安価な代替財になりえた」のい ではないだろうか?

2. 仮説 0 10 20 30 40 50 60 70 80

国内 VTR 普及率 (単位;%)

国内VTR普及率(単位;%)

(7)

つまり言いたい事は2つだ、

ⅰ)「1987年に、デート・性行為の価格が上がった。」(価格上昇による、需要低下)

ⅱ)「1987年に、アダルトビデオの視聴価格が下がった。」(代替材との相対的な需要低下)

もちろん、「好きな人にだったらもっとデートでお金を投資してあげたい」等、感情的なモノ や、「高級な食事に連れていくことが、セックスへの賢い投資だ」等、打算的なモノは存在する。

非合理的行動である恋愛や性交渉を、合理的な価格理論で説明はつかないかもしれない。しかし、

収入源が無い(もしくは少ない)高校生にとって一回のデートとは大きな投資である。そして、

もし仮に、同じような行動パターンを持った人間が、同じ恋愛・性交渉の場面に出くわせた場合、

所得の面でも価格の差異は無視できない。だからこそ、価格を付けるならどうすればよいのか?

そして、その変化が何を表し上記の現象を説明出来るのか?検証、考察してみたいと思う。

Ⅳ.検証

1. 検証方法の説明

まず、証明すべき式を考える。ここで、年代別デートの名目価格を

Cdt ( t  年代 )

、年代別性

行為の名目価格を

Cst ( t  年代 )

、年代別アダルトビデオの視聴名目価格を

Cat ( t  年代 )

とす

る。しかし、世の中には価格変動のみならず所得変動も考慮に入れる必要がある。そこで、実質 価格を考える。年代別所得を

Yt ( t  年代 )

とする。その上で、実質価格は、所得の中で占めら れる各財の占める割合、

デートの実質価格;

Yt t Cdt Cd ' 

性行為の実質価格;

Yt t Cst Cs ' 

アダルトビデオの実質価格;

Yt t Cat Ca ' 

※ただし、ここから

t  0  1987 , t   1  1981 , t  1  1993

とする と考える事が出来る。故に示すべき式は、

1

1

, ' '

'

' Cd Cd Cd

Cd

・・・(※1)

1 0 1

0

' , ' '

' Cs Cs Cs

Cs 

・・・(※2)

1

0

'

'  Ca

Ca

・・・(※3)

の上記の3つの式である。では、その価格算出の定義設定を始めたい。

(8)

※尚、本式の論点は数値自体ではなく、大小のため簡略化のため概算数値を利用する。

2. 年代別名目価格の算出

(1) デートの名目価格

ここで、年代別デートの名目価格を以下、

年代別デートの名目価格;

Cdt 

“デート一回あたりの平均予算”

と定義する。しかし、ここで大きな問題が生じる。それは、データの不足である。多くをあたっ てみたが、現在のデータしか残っておらず、アンケート調査を実施したところで細かな予算まで 年代的に覚えていなかった。そこで、考えたのは“物価指数での代用”である。一緒に飲食店 に行く、買い物に行く。デートと言えど、サービスを買う消費行動に他ならない。もし仮に、べ つの年代で同じデートを行えば、物価によってその費用は上下するであろう。だからこそ、その デートにかかる値段もその物価変動の影響を受けているのではないかと考えた。以下のグラフを 見て頂きたい。(※ただし、これには大きな問題点も含有するため、以下に考案した別の算出法 も載せておく)

日本銀行の発表する物価指数の調査結果だ。1981年から 1987年にかけ上昇しているのが目に

(9)

取れる。故にこのデーターから

Cd

0 7200,

Cd

1

6100,

Cd

1

8000 (簡略のため1000倍)

と考える。

Cf)“もう1つの算出法~デートで、男性が全額支払う割合の変化~

やはり、物価指数で代用してしまうと、商品やサービスによって一概に言えないという問題 点がある。そこで、別の算出法として考えたモノを紹介したい。

調べていく中、クリスマスという一点での記録、そして株式会社マイクロミルの「デートで、

男性が全額支払う割合の変化」に対する調査に目を付けた。そこでは、現在は37%、バブル期

1987年頃では83%という驚くべき数値が示されていた。そこで、前提とし、“一回あたりのデ

ートの平均予算には変動が無い”とし、一人当たり100と固定する。(計算の簡略化のため)そ の上で、年代別デートで男性が全額支払う割合を、

rdt ( t  年代 )

とし、新たな定義として、

年代別デートの名目価格;

Cdt 

“デート一回あたりの平均予算”

=“200×

rdt

+100×

( 1  rdt )

と考える。その上で、バブル以前のデータが無いため、世代ごとに調査を行った。ただ、ここで ポイントとなるのは、“誰が価格を上げたか?”である。それは、その値段でもデートを買う事 の出来、なお且つ最も立場が近い存在=“男子大学生”と考えられる。その価格でも妥当だと思 われる流れにのり、女子高校生等のデートに期待する平均費用を招いたのではないかと読み取れ る。だからこそ、“当時大学生だった世代の男性”(まさに我々の父親世代)を対象に、“デート は男性が払うべきものだと思っていたか?”を調査した。これは、全額、一部など、ばらつき が出てしまう可能性、そして何より女性のデートの期待値を知るためである。

デート意識調査(n=42)

0 2 4 6 8 10 12

50歳前後 45歳前後 40歳前後

そう思っていた 思っていなかった

(10)

※独自に著者が実施したアンケート結果から作成 故に、

rd

0 0.83,

rd

1

0.52,

rd

1

0.54 となり、

Cd

0 183,

Cd

1

152,

Cd

1

154

ただやはり、サンプル数が少なすぎるため、物価指数のデータを取らせてもらった。もう少し、

サンプル数を入れてからこちらでも考察したい。

(2) 性行為の名目価格

ここで、年代別性行為の名目価格を以下、

年代別性行為の名目価格;

Cst 

“性行為までかかる平均デート回数×

Cdt

と定義する。しかし、これもまた、データの不足から平均や統計値が算出する事が出来ない。ま た、アンケートを実施したが具体的なものは覚えていないという回答が多数であったため、前提 とし、“性行為までかかる平均デート回数には変動が無い”とする。そこで、性行為までかかる 平均デート回数を 5 回と固定する。(早稲田大学国際教養学部教授森川友義氏が『恋愛学入門』

で出した数値を利用)よって、年代別性行為の名目価格は、

年代別性行為の名目価格;

Cst 

“5×

Cdt

と定義され、デートの名目価格に定数5で比例した数値になる。よって、

Cs

0 36000,

Cs

1

30500,

Cs

1

40000

(3) アダルトビデオの視聴名目価格

では、最後に“代替財”としたアダルトビデオの価格を考えてみよう。もともと何故これを取 り上げてみたかったか思い出してもらいたい。それは、高度経済成長、バブル期を通してのVHS の普及率の上昇が何か関係するのではないかと感じたからである。シカゴ大学経済学部の大学院 生アンドリュー・フランシスが研究した「1980年代エイズ流行に伴う、男同士のセックスの価

(11)

格高騰」の様に、性交渉の価格を出すと代用品が見えてくる。例えば、先ほども取り上げた性サ ービス。アメリカでは金持ちの10代の間でオーラルセックスが流行っているという。性行為を 最後までやる事での、性病や妊娠と言ったリスクを踏まえた価格としては、オーラルセックスは 安い代用品だと言える。人間の行動とは、思った以上に合理的なのである。しかし、一般市民は そうはいかない。所得レベルがかけ離れすぎている。高校生なら尚更である。そこで、考えられ る代替財が、このアダルトビデオと考えられる。

ここで、最も鍵となるのが“VHSの普及率”である。アダルトビデオの視聴は、ソフトウェ アそのもののだけなくそれを見るためのハードウェアも必要不可欠だからだ。そこで、“VHSの 普及率”を

rat ( t  年代 )

、ハードウェア本体価格を10000、ソフトウェア一本当たりの価格を 100(簡略化のため、尚時代別のハードウェアとソフトウェア価格変動は普及度に伴い下落する のは自明かつ論点は数値でなく大小なので無視する。)とし、年代別アダルトビデオの視聴名目 価格を以下、

年代別アダルトビデオの視聴名目価格;

Cat 

( 10000  100 )  ( 1  rat )  100  rat

と定義する。では、Ⅲにおけるデータから概算してみよう。

ra

0 0.05,

ra

1

0.4 となる。故に、

Ca

0 9600,

Ca

1

6105

3. 年代別実質価格の算出と比較

では、いよいよ実質価格から比較を試みて見たい。まず、高校生の所得を定義を以下、

男子高校生の所得;

Yt 

“年代別男子高校生の平均小遣い”

と設定する。すると、高校生の平均小遣いにも興味深い推移が見られる。

(12)

※金融広報中央委員会『家計の金融資産に関する世論調査(平成 18 年度)、子どもの暮らしと お金に関する調査(平成17年度)』

見てとれるだろうか?基点としている1987年(s62年)の前年に大きく低下しているのだ。一方 1981年(s56年)、1993年(H5年)共に、1987年よりも高い水準を示している。この変化でも、

相対的な価格上昇が読み取れる。もちろん、アルバイト等別の収入源も考えられるが、あくまで 平均という観点のため割愛させていただく。データより概算の年代別所得を読み取ると、

Y

0 5100,

Y

1

5250,

Y

1

6500 故に、2(1)~(3)より、

ⅰ)

1 . 41 ...

510

` 720

0 0

0

  

Y

Cd Cd

1 . 16 ...

525

` 610

1 1

1

  

Y

Cd Cd

1 . 23 ...

650

` 800

1 1

1

  

Y Cd Cd

ⅱ)

` 7 . 5 ...

0 0

0

 

Y

Cs Cs

` 5 . 8 ...

1 1

1

 

Y

Cs Cs

` 6 . 15

1 1

1

 

Y Cs Cs

ⅲ)

1 . 19 ...

5100

` 6105

0 0

0

  

Y

Ca Ca

1 . 82 ...

5250

` 9600

1 1

1

  

Y Ca Ca

よって、1から証明すべき式に代入すると、

(※1)1.41>1.16 ,1.41>1.23 ⇒

Cd '

 Cd '

1

, Cd '

 Cd '

1
(13)

(※2)※1から明らかに⇒

Cs '

0

 Cs '

1

, Cs '

0

 Cs '

1

(※3)1.19<1.82 ⇒

Ca '

0

 Ca '

1

以上より、題意は満たされた。

Ⅴ.結論 1. 結論

(1) バブル経済の影響 ~デート・性行為価格の高騰~

ここまで述べてきたが、やはり“デート・性行為の価格は上昇した”といえるであろう。

そこでのやはり一番の要因、それは“バブル経済”では無いだろうか?バブル期は一般的に1986 年12月から91年と言われる。日経平均株価が史上最高値(数値)を付けたのが1989年。今で はお馴染となった「クリスマスが恋人の日」と呼ばれ始めたのも、高度経済成長期からバブルに かけての 1980 年代だ。1980 年に松任谷由実が『SURF&SNOW』に収録された「恋人がサン タクロース」という曲をリリース。1983年には今も定番、山下達郎の「クリスマス・イブ」。そ して、1984年には Wham!の「Last Christimas」。物価自体の上昇はもちろんだが、トレンデ ィードラマや雑誌の特集から、“如何にいいクリスマス・デートをするか?”それ自体がデート をする上での必須条件となったのではないだろうか?女性が求める最低限のデート予算に伴い、

トータルのデート価格は高騰し、それに伴い性行為の価格も上昇する。だからこそ、1987年男 子高校生は、予算制約(1987年に高校生の“平均お小遣いが低下した”のも興味深いが)に苛 まれデート自体をそう簡単行う事が出来なかったのではないだろうか?

(2) AV機器の普及の影響 ~代替財の価格~

そして一方で、新たな“代替財アダルトビデオの価格も低下”したのだ。そして、それがな されるために必要不可欠かつ大きな要因が、技術進歩・価格低下による“AV機器の一般化”と 言えるであろう。のちに、ベータマックスとの規格争いに勝つ事となるVHS。ビクターが1976 年一号機を販売した時、当時の価格にして25万6000円であった。

2. 考察

“価格を設定する”そうする事で、現象に対してまた違った見方が出来る。今回のデータと結 果から感じた事は、二つある。

まず、“男子高校生デート経験率は、今後の景気への期待感と反比例するのではないか?”も ちろん言い過ぎな部分はあるとは思うが、景気が良ければ女性がデートに対して持つ経済費用的 期待度は高まるのではないだろうか?

そして、近年叫ばれる“性の低年化は、相対的な性行為の価格低下からも言えるのでは?”

(14)

もちろん、時代毎の若者の考え方は変化する。ただ、経済的な観点から見れば、デートの価格が 下落すれば、それに比例して性行為の価格も下がる。そういった事も要因の一つとして考えても よいのではないだろうか?

Ⅵ.本論文の限界と課題

本論文の限界と課題を挙げる。

まず、第一に“物価指数で代用してもよいのか?”という事であろう。やはり、先ほども述 べたと通り、個々の財及びサービスの価格変動」を一概に言えるものではない。“デートと言う 商品の特性を定義する”事が重要であったと考える。デートという商品の購入には独特の効用 があると考えられるからだ。それが無ければ説得性に欠けてしまう。そのためにも、サンプル数 の多い調査の実施が必要であった。

次に、“性行為までかかる平均デート回数を固定してよいのか?”であろう。前者と同じく、

性行為に価格を設定するのであれば、より明確な“特性を踏まえた価格定義”があったのでは ないかさらなる考察が必要不可欠であろう。

そして三つ目、アダルトビデオ以外の“他の代替財の存在”考える必要性だ。たしかに1987 年の大きな変化としてVTRの普及は存在する。しかし、ポルノ雑誌等他の安価な性サービスの 存在、影響も考慮しなければならないかもしれない。

そして、最後は“どのようにデートが変化してきたかの具体的考察の不足”であろう。もち ろん、本論文では、価格理論という目線でこのデート経験率の低下という現象を見る事を論点と している。しかし、概要でも述べた通り、デートの定義変化という大きな“対抗仮説の存在”

は無視できない。どのように変化し、どこに論点があるのか突き詰める必要がある。

本論文でしたかった事を最後に書いて終りにしよう。最後までテーマは悩んだ。本当の事を言 えば、テーマはなんでも良かった。なぜなら、“一見非合理的な行動を合理的に読み解く”なら 如何すればいいかを考察したかったからだ。本テーマとカジノで非常に迷った。まとまったデー タが無く行き詰まりもしたが、自分なりの視点を持って本テーマにアプローチしたつもりだ。こ の論文を読んで頂けたのなら、本テーマに対し様々な見解を伺いたい。

Ⅶ.参考文献・サイト

・社会実情データ図鑑『若者のデート経験率の推移』

・財団法人 日本性教育協会『「若者の性」白書―第六回・青少年の性行動全国調査報告』小学 館2007年

・スティーブン・D・レヴィット、スティーブン・J・ダウナー著、望月衛訳『ヤバイ経済学』東洋経済新報社 2007 年

(15)

・ティム ハーフォード著、遠藤真美翻訳『人は意外と合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く』武 田ランダムハウスジャパン 2008 年

・遠藤諭『ソーシャルネイティブの時代 ネットが生みだした新しい日本人』アスキー・メディ アワークス

・金融広報中央委員会『家計の金融資産に関する世論調査(平成 18 年度)、子どもの暮らしと お金に関する調査(平成17年度)』

・DIAMOND Online

・株式会社マクロミル『クリスマスに関するアンケート』

・内閣府、日本銀行、金融広報中央委員会ホームページ

Referensi

Dokumen terkait

・ 苅谷剛彦,2002,『知的複眼思考法:誰でも持っている想像力 のスイッチ』講談社+α文庫. 2 過去の学部長賞受賞作品の一部が社会学部HPにて閲覧できる ので、是非参考にしてほしい。(HP上で閲覧できないものの閲覧 を希望する場合は、指導教員に相談すること。) 10.提出方法 1 卒業論文は、指定された期間に、各担当教員のmanaba「卒業

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