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2020年度東京歯科大学研究ブランディング事業成果報告

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Title 2020年度東京歯科大学研究ブランディング事業成果報告

Journal 歯科学報, 121(3): 219‑222

URL http://hdl.handle.net/10130/5598 Right

Description

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1.2020年度顎骨疾患プロジェクトの概要

口腔科学研究センター客員教授 山口 朗

本事業は2017年度に文部科学省の「私立大学研 究ブランディング事業」に採択され,2019年度まで は文部科学省の支援を受けて推進した。当初,文部 科学省より5年間の支援を受ける予定であったが,

同省は2019年度ですべての「私立大学研究ブラン ディング事業」の支援を打ち切った。そのため,20 20年度は大学の支援で当初計画の4年目の事業を推

進することができた。

今年度は計画通りに4つの研究グループを中心 として事業を推進するとともに,若手研究者の研究 環境の整備と育成の強化を行った。各研究グループ の研究成果は各グループリーダーに報告していただ くので,本講演では事業全体の活動報告と成果を紹 介する。

2.疾患特異的 iPS 細胞による病態解析

分子・細胞生物学ラボ グループリーダー 生化学講座 東 俊文

鎖骨頭蓋骨異形成症(CCD),Gorlin 症候群,Ap- ert 症候群,McCune-Albright 症候群,HajduCheney 症候群 iPS 細胞の樹立に成功し,解析をすすめてい る。CCD iPS 細 胞 か ら 骨 芽 細 胞 を 分 化 誘 導 す る と,骨芽細胞分化は遅滞し石灰化の著しい不良が観 察されたが,さらに詳細な観察により著しい核形態 異常が観察された。さらに核形態異常が核膜タンパ ク質発現異常に基づくことが明らかとなり,核膜タ ンパク質が骨組織分化調節に密接に関与しているこ とが示唆された。核膜タンパク質 LaminA,LaminB ゲノムと直接接合しクロマチンを制御することが明 らかとなっている。また LaminA ノックアウトマ ウス解析から骨芽細胞−破骨細胞カップリングを破 綻させ,骨融解,骨粗鬆症様病態をきたすことが明 らかとなり,またメカニカルストレス応答性骨芽細 胞分化促進作用にこの核膜タンパク質が重要な役割 を果たす可能性を示唆する結果が得られている。以 上から Runx2遺伝子欠損は結果として LaminA 遺 伝子発現低下をきたして骨組織脆弱性を招くことが 示唆された。一方,RUNX2−/−細胞の発現遺伝 子 CAGE 解析の結果,iPS 細胞は骨芽細胞分化誘 導時に使用するプロモーターが通常の間葉系幹細胞 が利用するプロモーターとは異なることが明らかと なった。さらに,今まで知られてこなかった未知 non

−codingRNA が骨芽細胞分化調節を行っている可 能性を示唆するデータも得られている。

Gorlin 症候群原因遺伝子 PTCH1および PTCH 2遺伝子変異を効率よく解析できる遺伝子解析パネ ル作製に成功し,これにより,患者血液5cc から Gorlin 症候群原因遺伝子解析が可能となった。Ap- ert 症候群 iPS 細胞の解析では,骨芽細胞分化が極 端に低下し骨芽細胞増殖が亢進する。その後細胞が

2020年度 東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ

2020年度 東京歯科大学研究ブランディング事業成果報告

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密集すると分化が亢進し石灰化も亢進した。これら の機序として,メカニカルストレスに注目したとこ ろ,Apert 症候群 iPS 細胞はメカニカルストレスに 応答して FGF2を分泌することにより,FGF2情 報経路が過剰となり,細胞増殖と分化過剰が生じる ことが解明された。さらに,HajduCheney 症候群 iPS 細胞を用いて,これまでよく解明されてこな かった Notch シグナルの骨芽細胞,破骨細胞カッ プリング調節機構を明らかにしていく。

3.歯周炎病巣におけるディスバイオーシスと 細菌の環境適応機構

感染制御ラボ グループリーダー 微生物学講座 石原和幸

慢性歯周炎は,壮年期以降の成人において非常 に罹患率の高い疾患である。歯周炎の発症には,デ ンタルプラークのマイクロバイオームが病原性の強 い菌種を含むものへとシフトすること(ディスバイ オーシス)が重要な役割を果たすと考えられてい る。本プロジェクトではディスバイオーシスのメカ ニズム解明のため,前年に引き続き歯肉縁下マイク ロバイオームの網羅的解析とその形成に関わる細菌 の機能解析を行ってきた。

マイクロバイオーム解析では,慢性歯周炎患者 12名を対象とし,初診時,歯周基本治療後に,歯周 炎部位2箇所と,健常部1箇所からサンプルを採取 して解析を行った。歯周炎部ではP. gingivalis, Tan- nerella forsythia, Treponema denticola, Filifactor al- ocis等の増加が認められていた。α多様性は,歯周 炎病巣のマイクロバイオームの方が高くなってい た。UniFrac 解析の結果は,歯周炎部と健常部でマ イクロバイオーム組成に違いがあることを示してい た。歯周基本治療後,α多様性については,健常部 位では2週間後には大きくマイクロバイオームの多 様性が減少するが,4〜6週後には,治療前のマイ クロバイオームのレベルに戻る傾向が認められた。

歯周炎部位では,2週間後に健常部位のようにはっ きりとした低下を示さなかった。β多様性について

は,健常部では変化が少なかったのに対し,歯周炎 部では治療前と2週間後,4〜6週後の間にはマイ クロバイオーム組成に差が認められた。2週間後と 4〜6週後との間に差は認められなかった。この結 果から,健常部のマイクロバイオームは,治療に よっても安定し変化が少ないのに対し,歯周炎治療 によって菌叢が変化し,その組成の変化が起こるこ とを明らかにすることができた。

細菌の機能解析については,運動性菌について の解析を行った。その gliding によってプラーク形 成に重要な役割を果たすCapnocytophaga ochracea では,細胞表面をらせん状に移動し gliding に関わ るタンパク SprB が知られているが,それ以外に運 動性に関わるタンパクを明らかにした。この遺伝子 は,IX 型分泌機構により菌体外に分泌されるタン パクに共通のモチーフを C−末端に持つため,菌体 外に輸送され gliding に関わる可能性が考えられ,

どのような機構を介して gliding に関わるのかにつ いて解析を進行している。さらに昨年から解析を 行っている,Treponema denticolaの switching に関 わる遺伝子tdsRの下流に存在する遺伝子について も解析を行い,その欠損株を作成した。欠損株で は,寒天培地内での菌の拡散により形成されるコロ ニーのサイズが小さいことより,この遺伝子も運動 性に関わると考えられる。この2つの遺伝子が類似 した機能を果たしていることから何らかの相互作用 が考えられ,現在 TdsR との相互作用について解析 を進行している。今後,ディスバイオーシスのプロ セスにおいてこれら遺伝子がどのような機能を果た しているのかについて解明を試みる。

東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ 220

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4.FabLab TDC プラットフォームの構築と 今後の展望

ファブラボ グループリーダー 口腔病態外科学講座 片倉 朗

〈ファブラボ〉

歯科を含め様々な世界でデジタル化の流れは加 速度的に拡がり続けている。そこで FabLab TDC で は,CAD/CAM,Extended Reality(XR)に 代 表されるデジタルデンティストリーへのパラダイム シフトを牽引するため,臨床に直結したトランス レーショナルリサーチを加速させている。口腔外 科・補綴分野ではすでに臨床において様々な治療で 応用され,精度および安全性を大幅に向上できるこ とを複数の国際学術雑誌に発表した。

① 口腔外科手術支援

2015年のプロジェクト開始時から,ヴァーチャ ルオペレーションを術中に高精度に再現するための 3D デバイスの開発を行ってきた。Le FortⅠ型骨 切り術による上顎骨移動・固定およびオトガイ形成 術における骨移動・固定,また腫瘍切除術のための デバイスを CAD/CAM で作製し臨床応用してい る。さらに,Microsoft 社 HoloLensを用いて Mixed Reality による手術支援を可能にした。術野の臓器 や血管を術中患者に対して投影しながらナビゲー ション手術を行っている。現在は,Le FortⅠ型骨 切り術において3D プリンタで作製したデバイスと HoloLensを用いた MR 手術支援の両方を用いるこ とで,安全で良好な手術精度を得ている。この方法 は東京歯科大学 FabLab TDC 発信のオリジナルの 新テクニックである。

② デジタルデンティストリーの局部床義歯への応用 部分歯列欠損の口腔内スキャニングの精度を向 上させるために,遊離端欠損の長さが口腔内スキャ ナーの精度に及ぼす影響について検証を行った。顎 堤は被写体として認識しにくい滑沢な面であるた め,近遠心的に長い遊離端欠損の方が画像のステッ チング時のエラーを生じやすく,取得データの精度 を低下させる可能性が示唆された。さらに,金属プ リンタで積層造形した局部床義歯フレームワークの

精度検証を行った。この方法では,造形時の残留応 力がリンガルバー中央部に大きな変形を生じること が明らかとなった。今後はこれらの精度を高めるた めの条件を検証していく予定である。

③ 教育への応用

ヘッドマウン ト デ ィ ス プ レ イ(HMD)を 装 着 し,造影 CT から作製した画像を指導者の視点と同 一の VR を共有し,360度から観察することができ る実習を行っている。口腔外科若手医局員を対象に 解剖学の実習に導入した結果,これまでの PC モニ ター上での2次元での学修と比較して HMD を用い た3次元で学修したほうが高い教育効果が示され た。HMD を用いた仮想体験は高い教育効果を得て おり,今後の普及に期待ができる。

〈口腔と脳機能〉

高血圧予防のためには減塩が重要であるが,高 齢者が若年者に比べて塩味強度を低く認知している かは不明な点が残されている。そこで,34人の高齢 者と43人の若年者を比較したところ,舌,脳とも に,高齢者の方が塩味の強度を低く認知していた。

甘味そしてうま味については予備実験を終了し今後 同様の実験を行う。また歯の喪失とアルツハイマー 病については症例蓄積中である。臨床研究は論文発 表を行った。

歯科学報 Vol.121,No.3(2021) 221

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5.咀嚼・嚥下機能の基盤となる運動器形態維 持機構の解明

咀嚼嚥下ラボ グループリーダー 解剖学講座 阿部伸一

内閣府の高齢者白書にも記載がある通り,わが 国は「超高齢社会」のただ中にあり,要介護など多 くの医学的背景をもつ。そこで咀嚼嚥下ラボでは,

「運動器の構造維持の解明」を超高齢社会へ挑む研 究ターゲットの一つとして推進している。これまで 高齢者医療の場では,様々な要因で惹起される筋萎 縮(サルコペニア),さらに日本整形外科学会から ロコモティブシンドローム(運動器症候群),そし て日本老年医学会からフレイルの概念が提唱され,

サルコペニアとロコモ・フレイルの関連についても 基礎医学的研究が盛んに行われるようになった。す なわち近年,細胞,組織,個体として捉えた骨格筋 研究,骨研究の相互的な理解,統合研究の重要性が 増している。

我々のグループでは咀嚼・嚥下機能に重要な役 割を担う運動器に関し,様々な視点からの研究アウ トラインを設計し,その研究成果を報告してきた。

今回のワークショップではその概要について,主に 以下の2つの話題を中心に解説し,生理学的研究・

臨床研究など,メンバーの今年の研究成果の概略を 解説する。

1.筋骨格系形態形成過程研究のトピックス 筋 骨 格 系 musculoskeletal system と は 主 に 筋,

腱,靭 帯,骨 に よ り 構 成 さ れ,身 体 を 動 か し て フォームを維持するための「筋・腱・靭帯・骨・関 節および関連組織」のシステムをいう。そして筋と 腱の連結部は,musculotendinous junction(筋腱連 結),腱と骨との接合部は enthesis と呼ばれ,身体 機能の要となる。我々は以前,筋腱連結部の発生学 的プロセスに注目した研究で,胎生期まだ骨部が未 成熟な時期に筋束断端に Desmin(筋肉特異的タン

パク質)が集積し,筋腱連結を作り上げることを報 告している。しかし咀嚼嚥下ラボ発足当時,この

「筋−腱−骨」という 機能的な複合体 の形態形 成過程にまだ多くの未解明な点があることを例会に おける抄読会等で確認し,いくつかの研究アウトラ インを設計し,研究を推進してきた。その結果,筋 骨格系を構成する筋・腱・靭帯・骨というそれぞれ の組織が,お互いに影響を与えながら機能的に重要 な複合体を作る過程に関する研究成果を紹介する。

2.骨格筋損傷時における治癒のメカニズム 骨格筋が損傷すると筋線維近傍の筋衛星細胞が 活性化し,骨格筋再生が開始される。さらに,筋線 維間結合組織の細胞もまた骨格筋再生に重要な役割 を有していることが報告されている。線維芽細胞の 核内転写因子 T−cell factor4(Tcf4)をノックア ウトすると骨格筋再生は不完全に終了し,またマク ロファージコロニー刺激因子(M−CSF)を抑制す ると,損傷した骨格筋は線維化した状態で再生が終 了する。しかしながら,骨格筋再生過程における線 維芽細胞およびマクロファージの詳細な組織学的局 在について不明な点が残されており,免疫化学的検 索により両因子の局在について検索を行った。

C57BL/6J マ ウ ス の 咬 筋 を 凍 傷 に よ り 損 傷 さ せ,継時的変化を観察した。損傷後3日より中心核 を有した再生筋線維が認められた。損傷後5日で再 生筋線維は大きく成長し,損傷度7日において再生 筋線維の大きさはより大きく成長していた。この 時,再生筋線維周囲に Tcf4および,組織恒常性マ クロファージ(M2マクロファージ)の表面タンパ クである CD206陽性細胞が認められた。この Tcf4 および CD206陽性細胞を共焦点レーザー顕微鏡で 観察したところ,再生筋線維の中心核においても Tcf4の発現が認められ,CD206陽性細胞の一部が 再生筋線維の細胞質内部に進入していることが認め られた。これらの事象は再生筋線維の成熟を進行さ せるために重要な役割を有している可能性を明らか とし,その研究成果を解説する。

東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ 222

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