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コスメトロジー研究報告 第 11 号(2003)

がん患者への「化粧」支援プログラムの日本への適用可能性に関する研究

高 橋 都

東京大学大学院 医学系研究科健康科学

【目的・背景】

がん治療は患者のボディ・イメージを変容させて生活の質や自尊心の低下にもつながる。しか し、多忙な臨床現場では患者の外見変容にまで対応する余裕がない。この問題に対し、アメリカ では、全米化粧品工業会、アメリカがん協会、全米コスメトロジー協会の3者が共催で「Look Good…Feel Better」(以下 LGFB)という無料支援プログラムを展開している。これは、美容専 門職の資格を持つボランティアが、化粧のヒントや脱毛時の工夫に関するアドバイスを提供する プログラムであり、がん患者の心身のリハビリテーションの一貫として高い評価を得ている。

本研究の目的は、1.アメリカにおける LGFB の活動に参加し、運営の実際を詳細に検討するこ と 2.日本国内における、「化粧療法」の実施主体や活動内容を調査し、1.との比較を通じて、

LGFB の日本における実現可能性を考察することの2点である。

(方法)

LGFB の患者セッション(ロサンゼルス・UCLA メディカルセンター: 2001.10.22)及びボラン ティア養成セッション(カリフォルニア州パサデナ・アメリカがん協会支部: 2001.12.1)に参加 し、参与観察とスタッフへの聞き取り調査を実施した。また国内の「化粧療法」の実態把握のた め、インターネット、医学中央雑誌データベース、新聞雑誌などの活字メディアを通じて、「化 粧療法」を提供する団体・個人・医療機関に関する情報を収集し分析した。

【結果・考察】

LGFB は 1989 年に開始され、全米で年間約3万人のがん患者が利用し、開始当初からの総利用 者数は20万人を超える。活動は以下の3原則に基づく。

1. プログラムは医学的な情報を提供するものではないこと 2. プログラムは無料で提供されること

3. プログラムを通じて特定の製品を推奨しないこと

患者セッションでは、総額$200〜$300 相当の化粧用品セットが無償提供され、参加者はそ れを用いてメイクアップの指導を受ける。美容専門家であるボランティアは何らかのがん体験を 有しており、それが参加の強い動機付けになっていた。プログラムには、自助グループ効果、美 容専門職の技能を生かしたボランティア活動、企業や業界単位の社会貢献、新たな病院サービス 提供による医療施設の差別化という特色があると考えられた。

日本国内の「化粧療法」活動は、高齢者を対象とした無償サービスと、ケガ・単位病気・先天 性疾患による外見変化にカバーアップの特殊技術を用いて対応する有償サービスに大別された。

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コスメトロジー研究報告 第 11 号(2003)

美容専門家が医療・福祉領域で活動する機会は国内でも増加しており、「美容福祉コース」を設 ける医療福祉系専門学校も増えている。学術面からは、日本美容福祉学会、医・美・心研究会、

日本顔学会などの活動が見られる。その一方で、がん患者を対象とする実践活動や研究報告はほ とんど見られない。

このような状況において、LGFB はわが国でも応用が期待されるが、いくつかの留意点が挙げ られる。第一に、プログラム運営主体の問題である。LGFB は、全米化粧品工業会、アメリカが ん協会、全米コスメトロジー協会の三者によって運営されている。わが国でも、特定の会社だけ でなく広く化粧品業界全体の協力を得ることが不可欠であろう。また日本の場合、現時点ではア メリカがん協会に相当するような全国規模の非営利支援組織が存在しない。アメリカがん協会が 担っている調整役割を誰が担当するのか、新たな NPO 設立の必要性なども含めて検討が必要であ る。第二に、プログラム内容に関する問題である。LGFB プログラムの内容は、スキンケアとメ イクアップを基礎としており、かつらやネイルケアに費やす時間は相対的に短い。しかし患者に とってはメイクアップよりも脱毛への具体的対応のニーズが高い可能性もある。今後、利用者の 意見も取り入れてプログラムを再構築する必要がある。

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