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先進的大気観測に基づく都市気象・建物エネルギーモデルの検証

―都市表面熱収支と人工排熱量の予測精度解析―

明星大学 理工学部 総合理工学科 環境科学系 4 年 17T7-042 丸山 直也 指導教官:亀卦川 幸浩

1. 研究の背景

世界の都市域では、地球温暖化(GW)に加え、都 市ヒートアイランド現象(UHI)による気候変動も顕 在化しており、都市の気候変動対策の重要性が認識さ れている。その対策の検討に際しては、GWの主要因 としての CO2排出量に加え、UHI の支配的因子とし ての人工排熱の正確な推計が必要である。しかし、地 球規模の排出実態が概ね把握されているCO2に比し、

都市人工排熱は物理モデル等による推計手法が提案 されているものの、実測との比較・検証はほとんどな されておらず、推計の精度は不明である。そのため排 熱量推計の検証とその高精度化が求められている。

2. 先行研究と本研究の研究目的

以上の背景を受け、先行研究1)では都市域での支配 的な排熱源である建物排熱に着目し、同排熱を含む都 市表面から大気への顕熱フラックスについてモデル による予測精度が検証された。モデルには独自開発の 領域気象・都市気象・建物エネルギーモデル(WRF- CM-BEM)が用いられた。その結果、モデルが顕熱フ ラックスを過大評価するなどの問題点が指摘された。

これを受け、本研究では、顕熱フラックスについてよ り直接的な検証を行うため、領域気象モデルによる上 空気象表現の不確実性の影響を排除すべくWRFを切 り離し、都市域を計算対象とするCM-BEMを上空気 象に関わる実測の境界条件の下で駆動するオフライ ン計算を行う事とした。その計算結果を起源別の排熱 量推計を実現する東京都内での先進的な大気観測と 比較し、建物排熱を含む都市表面熱収支の再現性の視

点からCM-BEMの妥当性を検証する事を目的とした。

3. 研究方法

3.1 検証データの取得方法

東海大学代々木キャンパス内の観測タワーでの熱・

CO2フラックス等の計測資料より、周辺の代々木地区 住宅街での都市表面熱収支に関する検証データを得 た。都市表面熱収支の要素である顕熱フラックスの観 測値を式(1)を用い起源別に分離し、残差項としてモ デル検証に用いる実測ベースの建物排熱を推計した。

顕熱フラックス=自動車排熱+建物排熱+都市表面顕熱 (1) 上式中の自動車排熱は、炭素同位体14Cと酸素の濃度 変動の高精度計測にもとづき、渦相関法によるCO2フ ラックス観測値よりガソリン燃焼由来の CO2 排出量 を分離推定し、同排出量の熱量換算により算出した。

また、都市表面顕熱の算出は以下のバルク式に依った。

都市表面顕熱=バルク係数×(都市表面温度-気温) (2)

3.2 検証に用いたモデルの概要

CM-BEM2)は、多層都市キャノピーモデルCMに建 物エネルギーモデルBEMを結合した都市気象モデル である。このモデルに加え、検証対象とする代々木地 区住宅街に混在する植生・土壌が都市表面熱収支に与 える影響も考慮すべく、自然被覆地表面の水・熱収支 モデルであるNoah-LSM3)も併用した。

3.3 モデルの検証手法

東海大学代々木キャンパス観測タワーで計測され た上空気象を境界条件とし、CM-BEM と Noah-LSM により建物排熱を含む都市表面熱収支を模擬し、3.1 の実測資料との比較によりモデル検証を行った。

(2)

4. 解析結果

以下に述べる3つのケース(Case1~Case3)のシ ミュレーション結果の解析を通じ、モデルを検証し た。その結果を図 1~図 3 に示す。検証では、代々 木地区における建物排熱(図 1)と電力消費量(図 2)、および都市表面熱収支における重要な要素であ る顕熱フラックスと潜熱フラックス(図 3)の再現 性に着目し、それらの 2018 年夏季好天日における 時別平均の観測値と計算値を比較した。

図 1. 代々木地区での建物排熱の比較

図 2. 代々木変電所エリアでの消費電力の比較

図 3. 代々木地区での顕熱・潜熱フラックスの比較

まず、Case1 では、代々木地区の全建物を集合住宅 とみなし CM-BEM 計算を行った。結果として建物排 熱は過小評価される一方で(図 1)、電力消費量は概 ね再現可能であった(図 2)。また、顕熱フラックスは

過大評価であり、潜熱フラックスは大幅に過小評価さ れた(図 3)。その原因は、蒸散・蒸発の過小評価であ ると推測し、当該効果を模擬できる Noah-LSM を併 用する Case2 を追加した。

Case2 では、Case1 の CM-BEM 計算結果と土壌・

植生を表現する Noah-LSM の計算結果の加重平均に より都市表面熱収支を表現した。その結果、顕熱の過 大評価と潜熱の過小評価の改善傾向が確認できた(図 3)。一方、Noah-LSM の併用は、電力消費量と建物排 熱に影響を与えず、それらの Case2 は Case1 と同じ 結果となる為、図 1 と図 2 で略した。

最後に、Case1 における建物排熱過小評価の原因は、

建物の用途混在の無視に因ると仮定し、Case3 を追加 した。このケースでは、都市表面熱収支の再現性が改 善された Case2 にて、更に代々木地区を集合住宅と 非住宅(事務所)の混合街区と見なす計算を行った。そ の結果、建物排熱の過小評価はあまり改善せず(図 1)、 電力消費量は過大評価され Case1 に比べむしろ再現 性が低下した(図 2)。

5. まとめと今後の課題

検証資料としての信頼性は、実測の電力消費量が推 計値の建物排熱に勝るため、その電力消費を都市表面 熱収支と共に再現できた Case2 にて、CM-BEM の妥 当性が示唆された。一方、建物排熱について CM-BEM は、残渣法に由来する推計誤差を伴う実測ベースの推 計値ではなく、建物熱収支を加味し排熱の精緻なイン ベントリ解析を試みた環境省の推計と Case2 にて概 ね整合した(図 1)。この事から、Case2 における検証 項目間の再現性の矛盾は、モデル計算の誤差というよ りは、実測ベースの建物排熱の推計誤差に起因するこ とが示唆された。この問題を含めた建物排熱の検証は 今後の研究課題である。

6. 謝辞

環境研究総合推進費 1-1909 の助成を受けた。

7. 参考文献

1)杉山知花、明星大学卒業論文、2020.

2)Kikegawa Y et al, Theor Appl Climatol 2014;117:175-194.

3) Chen F & Dudhia J, Mon Weather Rev 2001;129:569-585.

-50 0 50 100 150 200 250 300 350 400

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

顕熱潜熱(Wm-2)

時刻(h) -50

0 50 100 150 200 250 300 350 400

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

顕熱潜熱(Wm-2)

時刻(h) Case1(顕熱) Case1(潜熱) Case2(顕熱) Case2(潜熱) Case3(顕熱) Case3(潜熱) 観測値(顕熱) 観測値(潜熱)

-50 0 50 100 150 200 250 300 350 400

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

顕熱潜熱(Wm-2)

時刻(h) Case1(顕熱) Case1(潜熱) Case2(顕熱) Case2(潜熱) Case3(顕熱) Case3(潜熱) 観測値(顕熱) 観測値(潜熱) 0

10 20 30 40 50

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

建物排熱(Wm-2)

時刻(h)

Case1 Case3

観測値 環境省

0 5 10 15 20 25

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 電力消費量(W/floor-m2)

時刻(h)

Case1 Case3 実測値

Referensi

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