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先進的大気観測に基づく都市域での起源別 CO2 排出量の推計

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先進的大気観測に基づく都市域での起源別 CO

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排出量の推計

明星大学 理工学部 環境科学系 4年16T7-032 藤江 優香 指導教官:亀卦川 幸浩

1. はじめに

近年、地球の温暖化や都市のヒートアイランド 現象などの気候変動が世界的に問題となってい る。国連によると2009年には、世界人口68.3憶 人のうち、都市圏人口が世界人口の50%以上を占 めており、2050 年までに世界人口の 69%が都市 圏に集中すると予想がなされている為、気候変動 に対して脆弱な人口も都市に集中していくこと が予想される。更に、Grimmによると、全世界の CO2排出量の80%は都市から排出されている。こ のように、都市の気候変動対策の重要性が増しつ つあることから、国や自治体が都市域でのCO2排 出量の削減策を提案する必要がある。それに伴い 都市におけるCO2排出量の正確な推計が重要であ る。このような背景から、指導教官らの研究グル ープは「建物エネルギーモデルとモニタリングに よる炭素排出量・人工排熱量の高度な推計手法の 開発」と題する研究プロジェクトを開始した。そ のサブ研究テーマとして、東京都渋谷区代々木に 立地する東海大学代々木キャンパス(以下、代々 木サイト)での先進的な大気観測にもとづく起源 別のCO2排出量のモニタリングが開始された。本 研究は以上の観測研究の一環として位置づけら れる。

2. 研究目的

上述の観測研究では、代々木サイトで行われて いる先進的な大気モニタリングにより排出源毎 のCO2排出量の定量化を通じ、数値モデルの検証 のための実測データを取得することが目標とさ れている。その大気モニタリングでは、渦相関法 によるCO2フラックスに加えて、炭素同位体比と 酸素濃度の高精度な同時観測を行うことで、CO2

フラックスを排出起源ごとに分離推定すること が可能となる。しかし、上述の大気モニタリング による起源別CO2排出量の妥当性は未検証である ため、その検証が必要である。

よって本研究では、代々木サイト周辺の市街地 を対象とした観測に基づくCO2の起源別排出量推 計値を、ビックデータから作成される二つの高精 度インベントリに基づく推計排出量を用いて検 証する。以て、上述の大気モニタリングによる起

源別CO2排出量推計の妥当性を明確化する事を目 的とする。

3. CO2排出量の起源別分類手法

大気中のCO2には炭素の質量が異なる3種類の 同位体(12CO213CO214CO2)が存在している。存 在比は1:1×10-2:1×10-12である。14CO2は放射性同 位体であり、5730年の半減期で崩壊していくため

14CO2 は化石燃料には含まれない。したがって大 気中の CO2は太古に作られた CO2と現代に作ら れたCO2で区別することが可能である。

この原理を用いて代々木サイトで観測された CO2フラックスを排出起源別に分類するにあたり、

観測された 14C により化石燃料由来(α)と生物由 来(1-α)に分離し、酸素濃度により化石燃料由来 (α)をガス燃焼(β)と石油燃焼(1-β)に分離する。な お、CO2フラックス(F)の分類式は以下のとおり とする。

𝐹 = 𝛼𝛽𝐹 + 𝛼(1 − 𝛽)𝐹 + (1 − 𝛼)𝐹 (1)

さらに、生物由来(1-α)の内訳は人間呼吸と植 物呼吸・吸収としているが、植物は昼間に光合成 により CO2を吸収し、夜間に CO2を排出してい る。この為、植物により CO2が固定されている。

これにより、CO2フラックスのソースエリアを植 物による影響がほぼ無視できる場所に限定する ことで、生物由来(1-α)の CO2フラックスを人間 呼吸のみとしCO2の起源別排出量推計値を裏付け する際の誤差要因を減らすことができる。

4. 研究方法

代々木サイトでの大気観測に基づき式(1)より 算出される石油燃焼由来(α(1-β))と生物由来(1- α)のCO2フラックスについて、前者を自動車排ガ ス由来とみなし、従来に比し高精度のインベント リ解析より当該CO2排出量を別推定し、2016年6 月から8月に観測された排出量との比較を行った。

なお、高精度のインベントリ解析は以下(1)、(2) の手法で行った。

(2)

(1)自動車燃料

EAGrid20101)の6月・7月・8月における自動車 CO2排出量を基に、国土交通省「自動車輸送統計 調査」と全国の各地点で計測される交通量のビッ クデータであるJARTIC断面交通量(台/5分)に より、2016年6月・7月・8月の日別、時刻別の 代々木サイト周辺の交通量変動を考慮した自動 車CO2排出量(μmol/m²/s)を算出した。

(2)人間呼吸

携帯電話ネットワークを活用した高時間分解 能の人口ビッグデータであるモバイル空間統計 を用いて、代々木エリアにおける現実の人口動態 に、先行研究における人間一人あたりのCO₂呼出 量推計式を組み合わせ、CO₂呼出量を算出し観測 値と比較した。CO₂呼出量推計式については、田島 ら 2)の式(以下、式(2))と JIS(A1406)3)の式を採 用し、用いる推計式が代々木エリア全体でのCO₂ 呼出量に与える不確実性を考慮した。なお、式(2) においてPCO2はCO2呼出量(m3/h/人)、ADは体 表面積(m2)、Metは被験者のエネルギー代謝率、

Ca は年齢係数、Cg は性別係数(男性 1.00,女性 0.73)である。

𝑃𝑐𝑜2= 1.601 × 10−4(60.63 × 𝐴𝐷× 𝑀𝑒𝑡 × 𝐶𝑎× 𝐶𝑔) (2)

5. 結果と考察

(1) 自動車燃料に伴うCO₂排出量

2016年の夏季において、観測値と本研究で算出 したインベントリベースのCO₂排出量を比較した 結果を図1に示す。なお、代々木サイトの周辺道 路はその多くが1車線の細街路であるため、イン ベントリ解析時のJARTIC断面交通量については 概ね同条件と見なせる 1 車線測定地点(但し、幹 線道路測定地点)の交通量を用い解析を行った。

図1より、インベントリベースの2つのCO₂排出 量(EAGridのみ、EAGrid+JARTIC)の差は小さく、

昼間は概ね観測値に近い値を示した。一方、夜間 は 観測 値との 差が 開いて おり 、解析 に用 いた

JARTIC 断面交通量が代々木サイト周辺の実際の

交通量と一致していない可能性があると考えら れる。

(2) 人間呼吸に伴うCO₂呼出量

2016年の夏季において、観測値と本研究で算出 した推計値を比較した結果を図2に示す。図2よ

り、推計値は観測値を上回ったことがわかる。

その原因としては、観測値は人間呼吸のみではな く植物の影響を含んでおり、光合成によるCO2の 固定が人間を含む生物呼吸のCO₂呼出量を部分的 に相殺したためと考えられる。

図1.観測値と推計値の比較(自動車CO₂排出量)

図2.観測値と推計値の比較(人体CO₂呼出量)

6. まとめ

研究結果より、高精度インベントリに基づく推 計排出量と大気モニタリングによる起源別CO₂排 出量のオーダーは一致しており、後者の妥当性を ある程度確認できた。

7. 謝辞

本研究は環境省環境研究総合推進費 1-1909 の 助成を受けた。

8. 参考文献

1) 福井,他3名,大気環境学会誌,第49巻 第2号 (2014),pp.117-125.

2) 田島昌樹,他,日本建築学会環境系論文集,第 81巻 第728号(2016),pp.885-892.

3) 日本工業標準調査会:JIS A1406室内換気量測 定法(炭酸ガス法),2010.

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