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将来都市気候に対する排熱ポジティブフィードバック効果の定量化

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Academic year: 2024

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将来都市気候に対する排熱ポジティブフィードバック効果の定量化

15T7-044野田 嗣央 指導教官:亀卦川 幸浩

1. はじめに

近年、世界的に都市化が進んでおり2050年まで に世界人口に対 して都市人 口の割合が現 在の

50%から65%まで増加すると予測されている。こ

の都市への人口集中とヒートアイランドなどの 気候問題により、気候変動の被害は都市域で大き くなると懸念されている。

また、都市域では気温上昇によって空調冷房需 要が増加し、それによる人工排熱の増加が都市の 昇 温 を 強 化 す る ポ ジ テ ィ ブ フ ィ ー ド バ ッ ク (Positive Feed Back;以降PFB)が問題となってき ている。しかし、このPFBはIPCC第5次報告 書でも考慮されていない。以下に PFB の概念図 を示す。

図1.PFB感度の概念図

2. 研究目的

本研究では、PFBが都市気候にもたらす影響の 強さを次式に示す PFB 感度1)を用い定量化する。

このPFB感度は、図1で示すところのPFBによ る都市気温上昇量(ΔT’)の地球温暖化による昇温 量(ΔTGW)に対する比として定義される。

PFB感度= ∆𝑇,

∆𝑇𝐺𝑊、但し∆𝑇,= ∆𝑇𝑃𝐹𝐵, − ∆𝑇𝑛𝑜𝑃𝐹𝐵,

上式中、ΔT’はPFB以外の都市効果も含んでしま うため、PFBを都市気候シミュレーションで考慮 した場合の昇温量(ΔT’PFB)と考慮しない場合

ΔT’noPFB)の差分によりΔT’を算出する事で排熱

フィードバックのみによる正味の昇温量を求め、

PFB感度の算出がなされている。

先行研究 1)では、大阪を対象に上述の PFB感度 の定量化が試みられており、領域気候モデルであ

る WRF-BEP+BEM に疑似温暖化手法を適用し算

出された都市将来気温の気候値を用いて感度の 定量化が行われた。その結果大阪の現在の気候よ り、3℃程度上昇する2070年ごろまでの都市気温 のシミュレーション値より、夏季の日平均気温に 対しオフィス街区で 5%、集合住宅街区で 8%の PFB感度が推計された。

しかし、以上の結果は一つの数値モデルによる 推計に過ぎない。将来予測を伴う気候解析では複 数の数値モデルや複数の温室効果ガス排出シナ リオ等を用いるアンサンブル数値実験を行い,モ デルやシナリオ選択による不確実性も含めた将 来予測が必要である。そこで本研究では、PFBを 世界で初めてモデル化した独自の都市気象モデ ルWRF-CM-BEM2)を用い、先行研究1)と同様の手 法でPFB感度の推計を試みた。その結果を先行研 究 1) と比較し、数値気象モデルによるPFB感度 推計の妥当性や不確実性の検証を行う事を研究 目的とした。

3. モデルの概要

本研究では領域気象モデルとして指導教員ら が開発したWRF-CM-BEM2)を使用した。以下にモ デルの概略を説明する。

(1) メソスケール気象モデルWRF

WRF(Weather Research and Forecasting)モデルは、

実用的な天気予報とそれに関連する研究の為に 米国の複数の研究機関により開発が進められて いるメソスケール気象数値モデルである。

(2) 都市キャノピー・建物エネルギー連成モデル CM-BEM

CM-BEM とは多層都市キャノピー気象モデル

CM(Canopy Model)と ビ ル エ ネ ル ギ ー モ デ ル BEM(Building Energy Model)の 2 つを結合した数 値モデルである。同モデルは空調利用による人工 排熱と都市キャノピー大気層の気象状態の相互 作用をモデル化したもので PFB を模擬可能な世

(2)

界初の数値モデルとして開発された。同モデルを WRF と双方向に接続することで、PFB を考慮し た都市気象シミュレーヨンが可能である。

4. 研究方法

(1) 疑似温暖化手法とΔPGWの算出

本研究では大阪の疑似温暖化シミュレーショ ンを行うために、先行研究 1)と同様に疑似温暖化 手法を用いた。疑似温暖化手法とは、全球の大気 大循環気候モデル(General Circulation Model; 以降 GCM)によって予測された将来の気候値(気温、風 速、気圧など)と現在の気候値の差分を温暖化成分

(以降 ΔPGW)として算出し、同成分を GCM と比

べ空間的により解像度の高い領域気象モデルの 現在気象の初期・境界条件(客観解析値より作成)

に上乗せすることで、疑似的に将来気候予測のダ ウンスケーリングを行う手法である。

ΔPGWの算出に際しては、GCM計算値の2000年

~2010 年までの 11 年間の 8 月の各気象要素の平

均値を現在気候値とした。そして、GCMで予測さ れた将来気候値から現在気候値を差し引くこと により、ΔPGWを算出した。ΔPGWは日本および その周辺海域の空間平均の ΔTGW が概ね+1.0℃、

+3.0℃に達する2030年頃と2070年頃の2つの将 来ケースを解析対象とした。

(2) 大阪の疑似温暖化シミュレーション

上述の通りΔPGW について+1.0℃、+3.0℃の2 つの将来ケースを対象とし、WRF-CM-BEM2)によ る将来気候シミュレーションを行った。シミュレ ーションは8月の大阪の地上気温が2000年~2010 年の期間においてその平均値に近い 2001 年、同 期間において最も高温の 2010 年、および低温の 2009年の三ヶ年を対象とした。そして、統計的に は年間において通常最も高温となる各年の8月1 日~15日の期間を2段階のΔPGWで疑似温暖化さ せる計6ケースの将来計算と同期間の3ケースの 再現計算を行った。加えて以上の計算において PFBを考慮しない9ケースの計算も実行した。こ のPFBを考慮しないケースでは、大阪市域におい て人工排熱の全量を削減する仮想計算を行った。

以上の計18ケース大阪の地上気温計算値を用い、

2章の計算式によりPFB感度を算出した。

5. 結果

一例としてΔT’PFBΔT’noPFB、およびΔT’の解析 期間の平均値ついて、大阪市域における集合住宅 街の全格子、オフィス街の全格子の平均値をそれ ぞれ図3、図4に示す。

図3.集合住宅街格子における解析結果

図4.オフィス街格子における解析結果

集合住宅街においては ΔT’の最大値は0.03℃、オ フィス街では0.06℃となった。また、PFB感度は 集合住宅街の平均で1.1%、オフィス街平均で2.2%

となり、オフィス街に比し集合住宅街で大きな PFB感度が算出された先行研究1)とは逆に、排熱 大のオフィス街で PFB 感度が増す合理的な結果 が得られた。

6. 考察とまとめ

解析期間や ΔPGW のケース設定が一部異なる 為、厳密な比較とはならないものの、本研究にお ける PFB 感度は先行研究と比べ集合住宅街で約

1/7、オフィス街で約1/2と推計された。今後、条

件を揃えた解析を行う必要があるものの、以上の 結果は都市気象モデルの選択がもたらす PFB 感 度推計の不確実性を示唆した。本研究で比較対象 としたWRF-BEP+BEMとWRF-CM-BEMを含め、

PFB効果を表現可能な都市気象モデルについては これまでに世界で5例程度の開発事例が存在する。

このような他のモデルとの比較実験も行うこと で不確実性を加味した PFB 感度の定量化を更に 進める必要がある。

7. 参考文献

1) Takane, Y. et al., Urban warming and air- conditioning use in a future climate: Importance of a positive feedback process, Nature Climate Change (under review), Aug 2018.

2) Kikegawa, Y. et al., Theoretical and Applied Climatology, Vol.117(2014), pp.175-193.

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