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都市気温に対する排熱フィードバック効果の定量化

-平日・休日のエネルギー需要コントラストに着目した新手法の提案-

16T7-016 工藤 綾 指導教官:亀卦川 幸浩

1. はじめに

近年の都市域では夏季の気温の変化に伴う空 調エネルギー需要増加が人工排熱の排出量を強 化させるポジティブフィードバック(Positive Feed Back、以降PFB効果)による影響が懸念されてい る。しかし、これまでの気候予測モデルではPFB は考慮されていない。2050年には世界人口の68% が都市に集中する(国連.世界都市人口予測 2018 年改訂版)と予測されている中、PFB効果が都市 気温や空調エネルギーに与える効果を定量化す る事は重要である。

2. 先行研究1)と本研究の目的

先行研究 1)では、都市の気温に対して人工排熱 がもたらすPFB効果の強度(以下, 気温PFB感度)

(図1)を定量化する研究が行われた。

2006~2015 年の夏季大阪を対象に、都市気温に

将来の温暖化を想定した上昇方向の攪拌を与え、

それに対し排熱増があった場合の気温応答と排 熱増を無視した場合の気温応答の差を解析する ことで、気温PFB感度の算出がなされた。結果、

住宅街区で最大 20%、業務街区で最大 10%の気 温PFB感度が推計され、PFB効果は都市の将来気 候予測において無視されるべきではないとの結 論が導かれた。

しかし、気温の上昇に対し排熱増加を無視した 数値実験では、建物とその周辺大気の熱収支につ いてエネルギー保存が満たされないため、物理的 合理性に問題が生じた。そこで本研究では、これ らの問題点を踏まえ物理的合理性を満たした定 量化の新手法の提案を目標とした。

3. 気温PFB感度定量化の新手法

新手法では、平日・休日間の系統的なエネルギ ー需要差異から生ずる排熱擾乱に着目し気温PFB 感 度 の 定 量 化 を 行 っ た 。 数 値 モ デ ル で あ る

WRF-CM-BEM を用い、全日が平日・休日想定の

2 ケースでシミュレーションを行い、時別・格子 別に得られた結果から①〜③の手順で PFB 感度 を算出した。

① 平日ケースで計算された地上気温(℃)と人工 排顕熱量(W/m2を回帰分析する事により SAT

感度を算出した。

② 平日・休日2ケースで差を取った地上気温(℃) と人工排顕熱量(W/m2)を回帰分析する事によ りSTA感度を算出した。

③ SAT・STA感度が危険率5%のt検定にて共に有 意である場合、(1)式にて気温PFB感度を算出 した。

4. 結果

2006~2015年の夏季大阪市を対象に、計算格子

を3種類の街区に分類し、気温PFB感度を算出し た。新手法による計算の結果、業務街区では最大 10%、住宅街区では最大30%程度であった(表1 の除外前の数値)。

4.1 STA感度の外れ値

STAと SAT 感度の算出の際の回帰分析において 外れ値が見られた為、3σ法を用いて外れ値を除 外し気温PFB感度を再計算した(表1)。3σ法に よる外れ値の除外率は、SAT について 0.4%、STA

感度について2.0%であった。

図1.気温PFB感度

(2)

除外前に比べ日平均では 0.7 倍程度、日最高で

は0.5~0.8倍程度にPFB感度が減少し、先行研究

1)と比較すると集合住宅街では同程度となった。

5. 考察 (外れ値の発生原因)

3σ法による外れ値が多く検出された STA感度 の外れ値の発生日時に着目し、平日・休日の2ケ ースでシミュレーションされた日射量・赤外線 量・降水量・風速の変動を解析した。外れ値の発 生時と非発生時の間で上述の気象要素の振舞い の差異を解析し、気温PFB感度の解析において外 れ値が有する物理的意味について考察した。

例として集合住宅街の平日ケースにおける全 天日射量の時別平均値とその休日ケースからの

差分量(delta)について、外れ値の発生時と非発

生時の日変化を図2に示す。

図中の delta に着目すると、外れ値の非発生時

は、平日・休日の両ケース間で日射量の差異は小 さく、同様の傾向は地上風速と下向き赤外線放射 量、降水量にも認められた(図略)。この事は、

STA感度を生じさせた平日・休日の両ケース間の 排熱変動は、気温以外の気象要素に影響を与えて おらず、外れ値非発生時の STA感度が排熱による 気温への直接効果を表す感度である事を意味し た。一方、外れ値発生時には平日ケースでは全天 日射量の減少(図2)と降水量増加(図略)、およ

び赤外線放射量の増加(図略)が認められ、これ らは雲量の増加を示唆した。この時、deltaは全天 日射量・降水量・赤外線放射量・地上風速の全要 素とも平日・休日の両ケース間で外れ値の非発生 時よりも大きな差異を示した。これにより、外れ 値発生時の STA感度は、平日・休日の両ケース間 の排熱変動が気温を変化させる事に加え、その二 次効果(間接効果)として風系と雲量、さらには 降水量までも変化させ、その帰結としての気温変 動までも含む感度を意味するものと考えられた。

6. おわりに

本研究では、都市域での人工排熱と地上気温の 双方向の影響感度より気温 PFB 感度を定量化す る方法を考案し、夏季大阪を対象にその推計を試 みた。その過程で、気温PFB感度には、排熱が気 温のみを変化させる直接効果による感度と、排熱 が日射量や降水量等まで変化させる間接効果も 含んだ感度の2種類が存在する事を明らかにした。

夏季大阪での前者の感度は日平均で 5%~13%で あり、間接効果を含めた後者の感度は更に 3~4%

の増加を示した。近年の研究 2)では、温室効果ガ スの放射強制に対する地球気候応答の解析手法 を、都市部での排熱擾乱に対する気温応答の解析 に応用し、都市の熱収支式の近似解から気温PFB 感度の概算が試みられている。本研究での気象シ ミュレーションとは異なる簡易的な推計である ものの、当該手法 2)を大阪に適用した場合の気温 PFB感度は本研究での間接効果まで含んだ感度と 概ね整合した。以上の二つの手法から定量化され た気温PPB感度は、排熱ポジティブフィードバッ クが夏季都市域での気温変化を 10%~20%程度自 己強化する方向に作用する事を示唆した。

7. 謝辞 科研費16H04441の助成を受けた。

8. 参考文献

1) Y. Takane, Y. Kikegawa, M. Hara, C. S. B.

Grimmond, npj Climate and Atmospheric Science, volume 2, Article number: 39 (2019).

2) A.S.Ginzburg & P.F.Demchenko, Izvestiya, Atmospheric and Oceanic Physics, Vol. 53, No.

5(2017), pp. 487–494

表1.外れ値除外前後の気温PFB感度

(%)

日平均 最高 日平均 最高

戸建住宅街 16.8 24.4 12.7 19.2 集合住宅街 17.5 28.2 14.0 21.1 商業・業務街 8.1 10.9 5.2 6.3

除外後 除外前

図2. 集合住宅街における日射量

Referensi

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