2018年11月09日 第14講義 確認問題解答
02つの写像
f : X →Y, g: Y →Z
があるとします。このとき以下を示しましょう。
(1)f とgともに全射ならばg◦fも全射である。
(1)’fとgともに単射ならばg◦fも単射である。
(2)g◦f が全射であるならば、gも全射である。
(3)g◦f が単射であるならば、fも単射である。
(1)任意のz∈Zをとるとgが全射ですから,あるy∈Y に対してz=g(y)が成立します.さらにf が全射 ですからあるx∈X に対してy=f(x)が成立します.このとき
z=g(f(x)) =g◦f(x)
からg◦f が全射であることが分かる.
(1)’x, x0 ∈Xが
g◦f(x) =g◦f(x0) すなわち g(f(x)) =g(f(x0))
を満たすとします.このときgが単射であることから
f(x) =f(x0)
が従います.さらにfが単射ですから,x=x0が分かります.以上でg◦fが単射であることが示されました.
(2)g◦fが全射ですから,任意のz∈Zに対してあるx∈X に対して z=g◦f(x)
が成立します.これを
z=g(f(x))
そしてf(x)∈Y と見るとgが全射であることが分かります.
(3)x, x0∈Xがf(x) =f(x0)を満たすとします.このとき
g(f(x)) =g(f(x0)) すなわち g◦f(x) =g◦f(x0)
となります.g◦fが単射であることからx=x0が従います.以上でf が単射であることが示されました.
IA=
15 −5 −6 5 −2 −3 27 −9 −10
とします。以下では
ΦA(λ) = (λ−2)2(λ+ 1)
であることを用いても構いません.Aが対角化できないことを示しましょう.
1
(A+I3)(A−2I3) =
16 −5 −6 5 −1 −3 27 −9 −9
13 −5 −6 5 −4 −3 27 −9 −12
=
∗ ∗ ∗
∗ 38 ∗
∗ ∗ ∗
6=O3
からAが対角化可能でないことが分かります.
解答2dimV(−1)≥2とすると(λ+ 1)2|ΦA(λ)となりますから,あり得ません.従って dimV(−1) = 1
であることが分かります.さらに
A−2I3=
13 −5 −6 5 −4 −3 27 −9 −12
→
13 −5 −6 5 −4 −3
1 1 0
→ · · · →
1 1 0 0 1 13 0 0 0
からdimV(2) = 1が分かります.以上から
dim(V(−1)⊕V(2)) = 2
となりますから
V(−1)⊕V(2)(K3
となります.従ってAは対角化可能ではありません.
IIP∈Mn(R)に対して
(P ~v, P ~w) = (~v, ~w) (~v, ~w∈Rn) (1)
と
||P ~v||=||~v|| (~v∈Rn) (2) が必要十分であることを証明しましょう。
解答(1)⇒(2)
(1)においてw~ =~vの場合を考えると
||P ~v||2=||~v||2
となりますから,(2)が従います.
(2)⇒(1)~v∈Rnに対して
(~v, ~w) = 1
4 ||~v+w||~ 2− ||~v−w||~ 2 が成立することを用います.実際
(P ~v, P ~w) =1
4 ||P ~v+P ~w||2− ||P ~v−P ~w||2
=1
4 ||P(~v+w)||~ 2− ||P(~v−w)||~ 2
=1
4 ||~v+w||~ 2− ||~v−w||~ 2
= (~v, ~w)
と(2)から(1)を導くことができます.
III3次の直交行列の全体をO(3)とします.P1, P2∈O(3)ならばP1P2∈O(3),tP1∈O(3)であるこ とを示しましょう
解答
(P1P2)P1P2=tP2tP1P1P2
=tP2I3P2=tP2P2=I3
P1P2(P1P2) =P1P2tP2tP1
=P1I3tP1=P1tP1=I3
からP1P2が直交行列であることが分かります.他方
t tP1
t
P1=P1tP1=I3 tP1t tP1
=tP1P1=I3
からtP1が直交行列であることが分かります.
IVA∈M3(R)は対称とします。Aが定める2次形式は正定値、すなわち (A~x, ~x)>0 (~x6=~0)
が成立するとします。
(1)Aが正則であることを示しましょう。
(2)A−1が対称であることを示しましょう。
(3)A−1が定める2次形式が正定値であること、すなわち (A−1~x, ~x)>0 (~x6=~0)
であることを示しましょう。
解答(1)(解1)
A∈Mn(K)に対して(i)Aは正則 ⇔ (ii)
A~v=~0⇒~v=~0
⇔(iii) det(A)6= 0
が成立することを用います.Aが正則でないとするとある~v∈R3が
A~v=~0, ~v6=~0
が成立しますが,
(A~v, ~v) = (~0, ~v) = 0
となりますが,これはAが定める2次形式が正定値であることに反します.よってAは正則であることが分 かります.
(解2)
対称なA∈M3(R)に対して
(i)(A~v, ~v)>0 (~v6=~0)⇔(ii)Aの固有値α, β, γ >0
⇔(iii)a11>0, det(A2)>0, det(A)>0 が成立します.ただしA=a p q
p b r q r c
に対してA2= a pp b
と定めています.
これを用いるとdet(A)>0からAが正則であることが分かります.
(2)
AA−1=A−1A=I3
の各辺の転置行列を考えると
t A−1tA=tAt A−1
=I3
が成立します.Aが対称ですから
t A−1
A=At A−1
=I3
となりますが,逆行列の一意性から
A−1=t A−1
が導かれます.従ってA−1が対称であることが分かります.
(3)(解1)任意の~x∈R3が~x6=~0を満たすとします.このとき~y=A−1~xに対して~y6=~0が成立します.
ここで
(A−1~x, ~x) = (~y, A~y)>0
となりますからA−1が正定値な2次形式を定めることが分かります.
(解2)Aを直交行列で
tP AP =α β
γ
と対角化します.このとき両辺の逆行列は
tP A−1P =
1 α
1 β
1 γ
!
となります.これからA−1の固有値は
ΦA−1(λ) = ΦtP A−1P(λ) =
λ−α1 λ−β1
λ−1γ
=
λ− 1
α λ−1
β λ−1 γ
からA=α1, β1, 1γ >0 となります.このことからA−1が定める2次形式が正定値であることが従います.
VA∈Mm,3(R)とします。すなわちAがm×3型の行列とします。A= (~a ~b ~c)と列ベクトル表示を します。またB=tAAと定めます。
(1)Bが非負定値であること、すなわち
(B~x, ~x)≥0 (~x∈R3)
が成立することを示しましょう。
(2)Bが正定値であることと~a, ~b, ~cが線型独立であることが必要十分であることを示しましょう。
解答(1)
(B~v, ~v) = (tA~v, ~v) = (A~v, A~v) =||A~v||2≥0 (10)
からBが定める2次形式が非負定値であることが分かります.
(2)Bが定める2次形式が正定値であるとします.このとき(10)において~v6=~0ならば||A~v||26= 0従って A~v6=~0 すなわち v1~a+v2~b+v3~c6~0
が分かります.これは対偶をとると
v1~a+v2~b+v3~c~0 v1=v2=v3= 0
となりますから~a,~b, ~cが線型独立であることを意味します.
逆に~a,~b, ~cが線型独立であると仮定します.これは
~v6=~0⇒A~v6=~0
と必要十分です.これから
~
v6=~0⇒0<||A~v||2= (B~v, ~v)
が従います.
VIB∈M3(R)は対称とします。
(1)Bが非負定値であることとBの固有値α, β, γが α, β, γ≥0
であることが必要十分であることを示しましょう。
(2) B が非負定値であるとき B が正定値であることとdet(B) > 0が必要十分であることを示しま
しょう.
解答 (1)
Bが非負定値の2次形式を定めるとします.Bを直交行列P で
tP AP =α β
γ
(11)
と対角化します.このとき
A~p1=α~p1, A~p2=β~p2, A~p3=γ~p3
となりますが
0≤(B~p1, ~p1) = (α~p1, ~p1) =α· ||~p1||2=α
からα≥0が分かります.同様にβ, γ≥0も分かります.
逆に,α, β, γ≥0とします.上で考えたBの直交行列による対角化を用います.すなわちP が定める直交座 標変換
x
y z
=Pξ η ζ
を用いると
Bx
y z
,x
y z
=αξ2+βη2+γζ2≥0
となりますから,Bが定める2次形式は非負定値であることが分かります.
(2)
Bが定める2次形式が正定値であると仮定します.このとき,Bの固有値はα, β, γ >0となります.このとき (11)の行列式を考えると
det(B) = det(tP BP) =αβγ >0
となります.
逆にdet(B)>0と仮定します.このとき
αβγ= det(B)>0
から
α, β, γ6= 0
が分かります.Bが非負定値の2次形式を定めることを前提としていますから,
α, β, γ≥0
が成立しています.以上を合わせて
α, β, γ >0
が従います.