2000年度 上智大学経済学部経営学科 網倉ゼミナール卒業論文
『価格と日本人』
A0041140 高山英子
提出年月日2004年1月15日
1. 素朴な疑問
私が今まで経済について学んできて感じたことは、経済を動かす「消費」とは、ヒト、モノ、
カネによって構成されていて、この三つを結んでいるキーワード「価格」が「消費」にとても重 要な意味をもっているということだ。この「価格」はモノに対しどんな意味を持ち、ヒトにどう 影響して、カネが動くのか!?その仕組みを調べてみたいと思った。
特に近年の価格破壊のなか、日本の消費者についてさまざまな特徴が指摘されている。高い製 品品質への要求、新しさへの選好、せっかちさなど・・・。品質への強い期待がバブル期のブラ ンド志向を生み、新しさへの選好が新製品の氾濫となり、せっかちさは価格が高くてもすぐ手に 入ることを望み、価格に対する低い感応度をもたらした。こうして高品質、高サービス、高価格 の高付加価値路線がバブル期の頂点であった。この後の価格破壊は、こうした日本の伝統的な消 費者像とは異なる品質に関しても明確な判断基準を持ち、価格に敏感で、新製品には簡単に心を 動かされない賢い消費者を登場させた。価格破壊時代の消費者をみても、消費者は「全ての」製 品について価格に敏感であったわけではない。日本の消費者は自分の購買する商品のうちの「一 部についてのみ」価格に敏感であったという調査報告がある。価格破壊時代、同じ商品なら安い ところで買うといった賢い消費者も、実は「選択的に」賢かったのにすぎないかもしれない。よ って、こうした「選択的に」賢い消費者も、バブルを支えた伝統的な消費者も、実は同じ日本の 消費者である。さて、この日本の消費者の性質に「価格」の性質がどう反映され、日本消費市場 においてその特徴をうまく活かした企業の価格決定がどう成功を収めたのかという切り口で「価 格」を調べてみたいと思う。
2.作業仮説・・・目次・・・
第一章:価格にはどんな意味があるのか!?
1.犠牲、品質、プレステージ 2.価格の三つの役割
3.個人間および製品カテゴリ―間での価格関与格差の実証研究
第二章:日本の消費者の特徴
1.「移り気な気むずかしい」消費者 2.「選択的にすぎない」価格感度 3.「ファッション」としての購買、消費
第三章:日本の消費者の特徴とモノの価格の決まり方
1.「合理的消費者」と「使用価値」
2.「問題解決的消費者」と「付随サービス」
3.「消費の社会性」と「ファッションとしての価値」
4.付随サービス競争と価格競争 5.ファッションと競争
第四章:日本の消費者と外国企業の成功戦略
― スターバックス・コーヒー・カンパニー ―
<ハワード・シュワルツとスターバックスコーヒー・カンパニーの海外進出>
第五章:分析を終えて
<参考文献>
以上
3.分析
第一章:価格はどのような意味をもつのか!?
1.犠牲、品質、プレステージ
消費者にとって価格は一般的に三種類存在していると考えられている。それらは、支出に伴う 犠牲・痛みとしての価格、商品の品質バロメーターとなる価格、プレステージを表示する価格つ まり顕示的消費、としての価格である。
最初の犠牲・痛みとしての価格は、通常、経済学で意味する価格であり、出費に伴う負の効用 を意味する。家を購入する場合にも、支出に関しては清水の舞台から飛び降りるような覚悟と犠 牲が伴うのである。
次に品質としてのバロメーターになりうる価格とは、価格が購買対象の価格を表示していると いう前提に立つ。消費者にとって購買対象の情報が入手困難であったり、また情報を集めるほど でなかったりする場合、その品質を価格で推し量る場合がある。このエピソードでは、安かろう 悪かろうという言葉がでてくるが、安いと品質が悪いのでないかと思うことがこの例にあたる。
また中古車の価格が理由なく1万円を切ったりしていて異様に安い場合にも、消費者はどう思う だろうか。おそらく、その車が正常に走るのだろうかと購買に不安を感じるであろう。ファミリ ーマートなどで販売されている良品計画の無印商品などはこの安さの理由をきちんと説明し、購 買上の消費不安を解消した成功商品である。
最後に、顕示的消費としての価格とは、品質バロメーターとしての価格と若干ニュアンスが似 ているが、もう少し意味が強い。つまり、価格が品質を保証するだけでない。毛皮や宝石など、
人に価格の高いものを所持している印象と付けたい商品の場合に当てはまる。高額であることは、
その購入者のプレステージを高めるように考えられ、自尊心が高められるのである。この場合、
価格の高いものが売れ、低いものが売れにくくなるのである。
図1 価格はどんな意味があると考えられるか
図1で示されるように、価格が 消費者にとって単に支出にともなう「犠牲」
犠牲 cost
品質 quality
プレステージ prestige 価格
であるばかりでなく、「品質バロメーター」や「プレステージ」としての意味からも構成されて いることが多くの研究から示唆されている。価格の品質バロメーターや、プレステージとしての 構成次元が、犠牲という構成次元を上回って大きければ、消費者は価格の低いものを選好するど ころか、逆転して高いものを選好するということもありうる。つまり、消費者にとって価格の意 味は、これらの複数次元へのウェイト配分によって構成されていると考えられる。このような価 格の意味の構成次元で価格を理解すれば、ターゲットとする消費者セグメントに対し、ある製品
が価格構成次元のどのようなポジションに位置し、それゆえにいくらであればその製品にふさわ しいかが戦略的にあきらかになろう。
Q:品質
図2 セグメントA
製品カテゴリ―における価格構成次元ポジション
高価格ブランド
P:プレステージ セグメントB
低価格ブランド
C:犠牲
図2は、仮に上記の三次元で価格が形成されたと考えたときの製品カテゴリーにおけるセグメ ントである。ある製品カテゴリーにおいて、企業のターゲットとするセグメントがAとBであっ たとする。ここでセグメントAは、価格構成次元の品質とプレステージを重視し、犠牲をそれほ ど重視しないポジションに位置する。そのため、このセグメントに対しては、思い切って高価格 のブランドを投入するのが望ましい。一方セグメントBは、品質、プレステージよりも、とにか く犠牲を強く感じるポジションに位置している。ゆえにこのセグメントに関しては低価格ブラン ドを投入するのが望ましい。
以上のように、ある製品カテゴリーで価格の意味から価格関与の構成次元を明らかにし、その 測定尺度を開発することで企業のブランド構成:ブランドミックスを構成することができる。と くに私は、消費者側にたって個人間における価格構成関与の格差要因を探ってみたいと思う。
2. 価格の3つの役割
池尾(1995)は価格の3つの役割を次のように述べている。
① 第1に、価格は、消費者がある特定の製品を購買する際に支払う対価であり、それゆえ、
彼は自分にとっての製品の価値をこの価格と比較して価格の妥当性を判断し、購買を決定 する。これは上記の犠牲にあたる次元である。
② 第2に、消費者が製品内容について十分な情報を有していない時には、価格が情報を伝達 し、消費者による品質判断の一つの基準になることもある。これを「品質と価格の関係」
とよぶ。いわゆる『やすかろう、悪かろう』というのがこの例である。また、『高いから 品質もよいだろう』という消費者の推測も価格のこの役割による。いうまでもなくこれは
「品質バロメーター」の次元である。
③ 第3は、価格が有する意味に基づくものである。例えば、この自動車は価格が高いがゆえ に、地位の象徴としての意味を持つと消費者が考える場合、価格水準自体が消費者に対し て価値を生み出しているわけである。これは「プレステージ」にあたる次元である。
3.個人および製品カテゴリ―間での価格関与格差の実証研究
では、この「価格」というものは、消費者である個人にとってどう関与しているか調べて みたい。特にこの3次元に注目をおいて個人間の価格関与構成次元の尺度と、製品カテゴリ ーによる格差を実証するため、上智大学に通う40名の若者に向けアンケートを実地した。
実際に実地したアンケート内容をいかに示す。
★個人の価格関与に関するアンケート★ 経済学部経済学科4年 高山英子 私は卒業研究で、「価格」について研究しています。
そこで、皆さんが普段生活している、”消費行動”についてアンケートをさせていただきたいと思います。簡単なも のなので、皆さんのありのままをお聞かせください。
①名前: ④今一番買いたいもの:
②年齢: 歳 ③性別: 男・女 ⑤毎日の生活の中で一番よく買っているもの:
⑥では、あなたがスニーカーを買おうとするときを思い浮かべて質問に答えてください。
1.どれくらい安くなっているかが気になる ○・×
2.価格の変化をたまにチェックする ○・×
3.どこでも買えるならばディスカウントストアで買うほうがいい。 ○・×
4.セールや特売があるときに購買する ○・×
5.高い商品は品質がよいと思う ○・×
6.安物を買って後悔したくない ○・×
7.高い商品を買っておけば面倒がなくてよい ○・×
8.正直に言うと他人に印象付けるために自分は高いものを買う ○・×
9.価格が高い商品を買うことで自分はいい気分になる ○・×
10.ほかの人が自分より高い商品を買っているか時々探ってみたくなる。○・×
⑦では、ボールペンを買おうとするときを思い浮かべて同じように答えてください。
1.どれくらい安くなっているかが気になる ○・×
2.価格の変化をたまにチェックする ○・×
3.どこでも買えるならばディスカウントストアで買うほうがいい ○・×
4.セールや特売があるときに購買する ○・×
5.高い商品は品質がよいと思う ○・×
6.安物を買って後悔したくない ○・×
7.高い商品を買っておけば面倒がなくてよい ○・×
8.正直に言うと他人に印象付けるために自分は高いものを買う ○・×
9.価格が高い商品を買うことで自分はいい気分になる ○・×
10.ほかの人が自分より高い商品を買っているか時々探ってみたくなる。○・×
アンケートは以上です。ご協力ありがとうございました。
<アンケート結果の分析>
20代前半の上智大学に通う40名のアンケート結果である。まず、それぞれの項目に対する
○・×の人数を以下に示す。
表3 価格関与に関するアンケート結果
スニーカー ボールペン 質問項目
○ × ○ ×
1.どれくらい安くなっているかが気になる 37人 3人 4人 36人 2.価格の変化をたまにチェックする 23人 17人 2人 38人 3.どこでも買えるならディスカウントストア 24人 16人 21人 19人 4.セールや特売があるときに購買する 21人 19人 7人 33人 5.高い商品は品質がいいと思う 28人 12人 24人 16人 6.安物を買って後悔したくない 29人 11人 10人 30人 7.高い商品を買っておけば面倒がなくてよい 4人 36人 5人 35人 8.他人に印象づけるために高いものを買う 4人 36人 2人 38人 9.高い商品を買うといい気分になる 20人 7人 5人 35人 10.他の人が高い商品を買っているか探ってみたい 7人 33人 3人 37人 注:スニーカー、ボールペン各○・×合わせて合計40人
図4 アンケート結果グラフ
個人及び製品カテゴリーにおける価格関与格差の実証研究
05 1015 2025 3035 40
1.どのくらい安く なっているか 2.価格の変化 3.ディスカウント ストア 4.セールや特売 5.高い製品は品 質がよい 6.安物を買って 後悔 7.高い商品を 買っておく 8.他人に印象付 ける 9.自分がいい気 分になる 10.他の人を 探ってみたくなる
質問項目
○の人数〈該当者)
スニーカー ボールペン
―製品カテゴリ―間で共通の価格尺度-
スニーカーとボールペンに関してのそれぞれ価格関与の質問項目は、価格の3つの役割に分類するこ とができる。
5.商品は品質がよいと思う 6.安物を買って後悔したくない
7.高い商品を買っておけば面倒がなくてよい
8.正直に言うと他人に印象付けるために自分は高いものを買う 9.価格を高い商品を買うことで自分はいい気分になる
10.他の人が自分より高い商品を買っているか時々探ってみたくなる。
1. どれぐらい安くなっているか気になる 2. 価格の変化をたまにチェックする
3. どこでも買えるならばディスカウントストアで買う方がいい。
4. セールや特売があるときに購買する
犠牲
品質バロメーター
プレステージ
これらの尺度に関する具体的な求め方は、○を1点、×を0点として各項目を点数化して合計し、
個人ごと、サブ関与ごとに合計する。まずは、個人がどのくらい価格に関心、関与があるのか2 0点満点でその分布を調べる。-① また、サブ関与ごとに得点を求め、「犠牲」、「品質バロメ ーター」、「プレステージ」の尺度を求める。-②求め方は、それぞれの
項目ごとに点数を足し合わせ、母数を、項目数×全体の人数(40人)として割合を求める。(犠 牲の母数は、4項目×40人=160、品質バロメーターは3項目×40人=120、同じよう にプレステージも120である。)
① 個人価格関与の度合い 平均して個人的には価格に対し7~8項目への関与がわかる。
個人価格関与の度合い
0 5 10 15 20 25
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 項目数
人数
価格関与のある項目数〈点) 人数〈人)
図5 個人価格関与グラフ 年齢や学生ということから考えても、もう少し価格の変化に対する購買力、購買意識への弾力性
があると予想したが上智大学の学生はあまり価格に関してさほどのこだわりは無いように感じ られた。
② 価格関与への消費者分布
表6:アンケートによる製品カテゴリー別への価格関与消費者分布結果
スニーカー ボールペン
犠牲
品質バロメーター プレステージ
0.6562(65%)
0.5083(50%)
0.2583(25%)
0.2125(21%)
0.325 (32%)
0.0823(8%)
図7:「犠牲」「品質バロメーター」「プレステージ」関与への三次元のプロット
<スニーカー> <ボールペン>
品質 品質
プレステージ プレステージ
ク ラ ス ター
犠牲 犠牲 図7-1 図7-2
図7-1は上智大学生のスニーカーに関しての価格関与への分布のプロットである。このセグ メントが示すのは、「プレステージ」の次元で低く、「品質バロメーター」次元では中庸であり、
「犠牲」の次元では比較的高かった。低価格スニーカー派であることがわかる。
彼らは、価格を「犠牲」で捉える傾向にあるため、低価格のスニーカーを購入する。価格変化 や、ただ、「品質バロメーター」として安いスニーカーは比較的品質を欠き、安物を買って後悔 したくないという心理もあらわれている。「プレステージ」としては、他人というよりは自分に とって高価なスニーカーに価値が置かれている傾向にある。
図7-2はボールペンに関してである、このセグメントが示すのは「プレステージ」「品質バ ロメーター」「犠牲」全ての次元で低く、ボールペンに製品関与の低い、低価格の使い捨てボー ルペン派であろう。特に「犠牲」や「プレステージ」に関しては特に無関心で、ボールペンの価 格にはそれほど関心がない。ただ、高価格のボールペンに関しては高品質であると思う傾向にあ る。以上のことから、上智大学生は価格というものへのこだわりは強くは無いが、比較的低価 格志向にあり、製品カテゴリーによって価格の捉え方も違う。
第二章:日本人の消費者の特徴 1. 移り気な気むずかしい消費者
日本の消費者について第一に指摘されるのは、著しく移り気で、満足にさせるのが難しい消費 者であるという点である。日本の消費者の、品質やサービスに対する要求度は伝説的である。特 に新しい物好きである。「フレッシュ」という言葉の響きがこれほど重要な市場は他のどの国に も存在しない。「新しく」「フレッシュ」であることに対する偏愛、特に「新製品」の氾濫はその 典型である。食料品、車、テレビ、歯磨きも「新しく」「改善された」ものでなければ日本の消 費者をひきつけることはできないのである。しかも、その新しく改善されたその内容については あまり重要でない。多くの新商品のコマーシャルが、新商品の新しさや改善点を強調するが、そ の中身について詳細な検討が行われることはない。さらに、日本の消費者の特徴として、「今す ぐほしい」症候群としてもみられる。在る店での価格が安くても在庫がなく待たなければならな いとき、他の店に行って在庫があれば価格が多少高くてもそちらを買いがちである。
2. 選択的にすぎない価格感度 表8:日本の消費者の価格感度
カテゴ リー数
6 5 4 3 2 1
世帯数 5 33 33 140 140 342
割合
(%)
0.7 4.8 4.8 20.2 20.2 49.4 それではこのような気むずかしい消費者は
価格に敏感に反応し購買パターンを変える いわゆ「賢い消費者」であるのだろか。表8は、
日本の消費者の価格感度に対する調査結果の一部 を引いたものである。首都圏北部の
全1000世帯のスキャンパネルデータのうち、
あらかじめ決められた6つの商品カテゴリーを出所)片平秀貴「価格コンシャスを検証する」(1994)
購入した世帯を対象として、それぞれの世帯がいくつの商品カテゴリーで価格に関して高関与で あるか調べた結果がこの表にまとめられている。
これらの世帯のうち、一つの商品カテゴリーにのみに価格感度が高い世帯が、価格感度の高い世 帯全体のほぼ5割を占めている。これに対して、5つ以上の商品カテゴリーで価格関与が高い世 帯は、全体の約5%強にすぎない。ひとことでいえば、日本の消費者は「選択的に」価格感応的 であるといえよう。このことは、米国では価格好感度名消費者は商品カテゴリー全般で価格感応 的であることと対照的である。バブル華やかなりし時代に高級ブランド商品を一点買うことを
「一点豪華主義」という言葉でつかわれることがあったが、今この価格破壊時代の低価格志向も 実は徹底したものではなく、「一点倹約主義」にしかすぎないともいえるかもしれない。単に価 格だけでなく、広いサービスを評価し、購買行動を行う「日本型」消費者の姿がここにみられる と考えることもできる。
3.ファッションとしての購買・消費
米国の価格に高感度の消費者と、日本の価格に高感度の消費者を比較してみると、両方とも高 所得であること以外は異なる特徴がみられる。米国の消費者は、財の保管場所(家など)に余裕 があり、輸送コストが小さく、時間コストが小さいものほど価格に高感度になってくる。消費の 費用を低減できる家庭ほど価格に感応的になっているのである。これに対して、日本では米国で はあまり問題になっていない、情報処理力に強い相関を持っている。すなわち、食生活、健康情 報に敏感な家計ほど価格感度が高いのである。食生活、健康情報は今や広い意味で生活ファッシ ョンの一部になっていることを考え合わせると、価格感度の高い消費者は同時に生活のファッシ ョンに敏感な消費者ということができる。
第三章:日本の消費者の特徴とモノの価格の決まり方 1. 合理的消費者と使用価値
経済学では、消費者は市場にある財について正確な情報をもち、それに基づいて自分の効用を最 大化する主体であった。しかし、財の性質とその価格に対して正しい情報をもつのは実際には難 しいし、また、全ての消費の組み合わせにおいて完全にその得失を判断できるというのは現実的 ではない。しかし、全ての消費者に共通する仮定は、消費者が他の消費者とは独立に個別の選好 を持ち、その選好のもとで自らの効用水準、満足水準を最大化しているという点である。さまざ まな制約のなかで(不十分な情報というのも市場の制約のひとつ)「合理的に」行動するという のが経済学の消費市場の仮定である。こうした消費者にとって、財の購買の際の唯一の基準はそ の財の「利用」から生じる使用価値である。市場では、需要と供給の均衡から、価格は財の生産 の費用に加えて、この「使用価値」を反映することになる。
2. 問題解決的消費者と付随サービス
ところが、最近のように商品の差別化が進み複雑化してくると、独立した消費者の「合理的な」
行動という仮定の現実性に大きな疑問が生じる。これに対して、新しく消費者は合理的に行動し ているのではなく、「問題解決的に」行動していると考える。人間は自分の行動を決めるとき、
客観的に「合理的」行動が可能な全ての情報を持っていないということから出発する。そこで、
限られた情報から何らかの決定を下さなければならない。ここでは経験が非常に重要になる。た とえ同じ環境にあるまったく同じ感受性や消費への選好をもっている2人でも、過去の経験が異 なればその判断は異なる。こうして下した判断が、必ず満足できるものであるという保証はない。
そこで不満足な結果なら満足水準が満たされるまで実験をしていく。このような「問題解決的」
消費者像では、この必要満足水準がどのように変化していくかが、その消費者がどのような購買 活動をするかの最も重要な要因となる。ここで、必要満足水準というのはその財からの効用、つ まり「使用価値」ではない。企業にとってこのような問題解決的消費者に対し必要価値を高める ことだけが売上の増加をもたらす手段ではないのである。現在自分の商品を購入している消費者 のその商品からの必要満足水準を下げること、いわばその商品で「満足してもらう」「納得して
もらう」のも重要な方法なのである。この点で非常に有力な手段は、商品の上に「付随サービス」
をつけるというやり方である。「問題解決的」消費者が多数を占める場合には、逆に「使用価値」
を高めるよりも「付随サービス」をつけるほうが効果的である場合もある。
「付随サービス」は、対価をとらずに供給されるさまざまなサービスの総称である。
実際日本語で、「サービス」という言葉は、「ただ」という響きがある。こうした中には、綺麗な 包装、商品の配送、さまざまな商品情報、修理サービスであり、購買の容易さ、品揃え、購買の 際のアメニティや店員の態度といったものまでが範疇に入ってくる。商品価値の第2の部分はこ の付随サービスに対する支払いと考えることができる。このように考えると、日本の消費者は、
経済学が考える合理的消費者よりも問題解決的消費者に近いと考えられる。実は戦後を通じて特 に流通の面で私たちが追求したのはこの「付随サービス」をいかに多くつけるかということであ った。いわゆる高付加価値化というキャッチフレーズはこの点を明確に表している。よって、日 本の「問題解決的消費者」は、使用価値に対応するものの「価格」にはあまり感応的でなく、し かし付随サービスには非常に敏感になっていった。
3. 消費の社会性とファッションとしての価値
日本の高感度な消費者の特徴としてファッションに敏感であることは説明したとおりであるが、
実は最近に至ってこの部分の重要性が増大してきていることはいわゆる「バブル期」後の「価格 破壊」のあと、再びブランド品・高級品志向の傾向がでていることからもわかるだろう。ファッ ションで重要なのは他人の目である。消費者の効用が財の消費から得られる直接の効用だけでな く、自分が財を購買、消費する仕方を他の消費者がどのように評価しているかに依存する場合が ファッション性の高い消費者の特徴であるといえよう。これは消費の「社会性」ともよばれる。
具体的には他人がグッチやヴィトンのバッグは高級であると知っており(もちろん品質という使 用価値も高いのは前提である)、さらにグッチやヴィトンのバッグを持っているということはそ の「良さ」(=ファッション性)を評価できるものを示していると考えるとき、自分がグッチや ヴィトンを持つ効用は、誰もグッチやヴィトンを知らないときにそれを持つ効用より高いという ケースである。比較静学では、消費者が現在より強く他の消費者を意識するようになると社会性 のある財の消費が増加することが示されている。したがって消費者が相互に強く意識し合うよう になると社会性のある消費はさらに増加し、価格が上昇するのである。
4. 付随サービス競争と価格競争
上で述べたように、現代のように複雑な製品が多く市場に出回り、かつ新製品が次々へと登場し ているような経済では消費者が製品の種類、品質、価格に対して持っている知識は限られてくる。
したがって製品にはさまざまな「付加サービス」があり、そして付加サービスによる差別化がお こる。日本の消費者は特にこの付加サービスに敏感であるという点もすでに述べた。では、この
「付加サービス」と価格決定はどのような関係があるのか。
付加サービスは大別すると、投資的支出をともなうものとそうでないものに区別できる。投
資的サービスとして例えばパーソナルコンピューターを売っている企業が製品や使用方法のた めの電話相談を開設したり、家電製品を売っている企業が無料の修理期間を設定するような場合 である。これらのサービスには施設の建設、人員の配置などの投資が必要である。それに対して たとえばアルミホイルをただで付加するといったたぐいの「おまけ」というサービスには投資的 支出はともなわない。実際日本ではこの「おまけ」型のサービスが非常に多い。日常「サービス する」という言葉はただで提供するという意味に使われているくらいである。これは英語で serviceが「任務」の提供を意味するのと対照的である。直接的に「おまけ」を提供するもので なくても、例えば自動車の場合では登録の代行、配車の代行といった消費者が自動車を購買する 際の費用を削減するサービスや下取り価格や借り入れ条件を消費者に有利にするといったサー ビスも広範にみられる。
このように区別すると、サービスは価格と品質の中間に位置することがわかる。「投資的支出 をともなうサービス」は商品の品質を高めるサービスであり、品質と同様にサービス供給の決定 がなされてその後で価格の決定がなされる。そこで価格競争を避けるためのサービスの差別化が 行われるのである。それに対し「おまけ」型サービスは、価格の切り下げに近いサービスである ため、サービス供給の決定は価格決定と同時か、価格決定の後で行われることが多い。
日本の市場に特徴なのは製品価格の決定が生産者の強い影響のもとでなされている点である。
これは欧米において流通業者が生産者とは独立に価格決定をしているのと対照的である。したが って日本の場合は流通業者による個別の市場状態に即した格付けがなされず価格決定が硬直的 になりがちである。
5. ファッションと競争
このような日本の消費者に対し、世界の小売業者はどのような戦略で価格決定をし、市場に入ろ うとしているのか。規制緩和、カタログビジネスの広範化、インターネットアクセスの容易化を 通じて日本の消費者は世界から広く商品を買うようになった「ひよこ」消費者であり、さまざま に意識の中に「刷り込み」を図ることができる、いわばブランド志向を植え付けることのできる 絶好のターゲットと考えられている。過去の日本でのヒット商品は第一位のメーカーのあまりた いしたことのない「新商品」であるとか、日本の消費者はモノを買うのではなくブランドを買う のだといわれたこともある。しかし、こうした「保守性」はブランド維持を目指す売り手にとっ ては絶好である。とにかく消費者をブランドに囲い込むこと、そしてそれを維持すること、それ が成功の鉄則である。そして、日本の消費者が比較的モノよりブランドにこだわるということは、
消費者はモノとは違うものを売り手に要求しているということになる。つまり消費者にとって重 要なのは常にそのブランドが社会全体のファッションの中で最前線にいること、それは移り気な 消費行動にもあらわれているが、常に話題の中心であることが必要である。そしてもちろん品質 を保ち、さらに向上させるというブランドのアイデンティティーは失ってはいけない、その品質 には付加サービスも含まれているのである。
第一章での価格の役割を理解したうえで第二章での日本人の消費者の特徴、そして価格決定 における日本の消費者との関わりを考えてみる。
図9:価格のまとめ
「価格の3つの役割」と「日本の消費者にとっての価格」の関係
価格の役割 日本の消費者と価格 日本の消費者像
①犠牲
②品質
①使用価値
②付随サービス
消費の社会性 問 題 解 決 的 消 費者
合理的消費者
③ファッション
③プレステージ
価 格
消 費 行 動
私は、消費者が購買行動を行う際の価格の役割が、実は、日本消費者の3つの特徴にうまく プロットできるのではないかと考えた。価格の1つ目の役割である「犠牲」に関しては、合理的 消費者として使用価値を追求する消費者像に反映され、2つ目の「品質」に関しては問題解決的 消費者として品質に付随サービスを含めた価格設定を当然とする消費者像、3つ目の「プレステ ージ」に関しては商品の使用価値、品質だけでなく商品をもつことによる外部性(消費の社会性)
をファッションとして捉える日本の消費者像を反映している。
第一章のアンケートからもわかるように、価格に関してこの3つの役割に求める割合は個人や製 品カテゴリーによって異なるため、消費者がその商品に求める役割のバランスをうまくとらえ、
それにあわせた価格決定を行うことが重要であると感じた。
では現在、このような日本の消費者をうまく捉えた価格設定を行い、日本市場を大きく動かし ているとされるある企業の戦略を調べてみたいと思う。
第四章:日本の消費者と外国企業の成功戦略
―スターバックス・コーヒー・カンパニーの分析―
今までの分析により、「価格」に対する日本人の消費者の特徴として、犠牲、つまり商品に使 用価値そのものを求める合理的な見かたというよりは、商品の価格にはそこまでこだわらないが、
高品質であるのはもちろんのこと、その品質に対して質の良いサービスを含めたものを求め、さ らにその満足度もプレステージとしてその商品の企業ブランド価値を形成している。私は日本の 消費者をうまく捉えるには、いかに商品の品質とサービス、さらには話題性を充実させ、それに 合わせた価格決定とブランドを確立させるか、ということが重要であると感じた。
次に示すスターバックスはアメリカでコーヒーブランドの形成に成功し、日本市場にうまく働 きかけ、日本で大成功している外国企業であると考える。スターバックスが成功した要因は以下 に示すよりも他にたくさんあると思われるが、「日本の消費者への戦略」という観点から調べた。
<ハワード・シュワルツとスターバックスコーヒー・カンパニーの海外進出>
1996年8月2日、スターバックス・コーヒー・カンパニーは日本で初の店舗をオープンさ せた。この日本での一号店は面積1500平方フィートの小さなカフェだったが、東京・銀座の 一等地にあった。同社は、伝統的な広告宣伝ではなく、消費者の口コミに頼った。スターバック スのブランドは米国とカナダで急速に浸透し、両国の消費者に広く知られ、関心を持たれる存在 になっていたことから、同社の最高経営責任者(CEO)ハワード・シュルツたち経営陣はスタ ーバックスは日本でも受け入られることを確信していた。
彼らは海外進出に先立って日本を皮切りにアジアへ進出しようとしたわけだが、なぜ日本であっ たのだろうか。アジアには500万人以上の巨大な中流階級が生まれていた。その中で東京をは じめとした日本市場は大きなチャンスを秘めていた。日本にはコーヒー市場の需要サイドである 中流階級が数多く存在したからだ。また日本人は、所得水準が比較的高いうえにコーヒー好きが 多く、米国、ドイツに次ぐ世界で三番目のコーヒー消費国でもあった。家庭でインスタントコー ヒーやアメリカンコーヒーを飲んでいるし、全国に無数にある自動販売機で、ホットやアイスの 缶コーヒーを買っている。また喫茶店でコーヒーを飲む人も多い。さらにコーヒーを飲む、飲ま ないに関わらずすでに何百人もの日本人がビジネスや観光で米国を訪れ、スターバックスに出会 っている。こうした状況を考えれば、日本でスペシャルティーコーヒーとコーヒー豆の全国市場 を確立するのにゼロから始める必要はない。しかし、根強いコーヒー文化があるということはそ れだけ競争も激しい。東京の街角はコーヒーショップで溢れており、事実スターバックス一号店 の出店地区にも数店あった。コーヒーのほかに、軽食やサンドイッチを出す家庭経営の小さな喫 茶店もあれば、パリ風の大きなカフェもあった。453店舗をもつドトールコーヒー、94店舗 をもつプロントのように、低価格コーヒーを提供する大手チェーンも勢力を伸ばしていた。19 96年半ばに、プロントはスモールサイズのレギュラーコーヒーを、1杯160円で売っていた。
それに対してスターバックスのスモールサイズのコーヒーは1杯250円出だった。そうした 環境では形成は相当不利であった。しかしスターバックスの戦略的目標を考えれば、海外進はリ
スクよりメリットの方が大きかった。なぜなら、スターバックスの持つ資産のうちで最も重要な ものの一つが「スターバックス」ブランドであったからだ。ブランドには消費者に同社商品を連 想させる魅力的で独特のアイデンティティ、すなわち消費者の広い認知とロイヤルティを得るこ とのできるアイデンティティがすでに備わっていた。競争がますます激化するスペシャルティー コーヒー市場で優位に立つためには不可欠なことだった。消費者の「スターバックス」ブランド への愛着は、大掛かりな宣伝や販売促進で得られたものではなく、同社の店舗でしか味わえない コーヒー、店員とサービス、雰囲気、店を訪れた人同士がつながる「コミュニティ」の感覚によ って培われてきたものであり、シュルツたち経営陣もそれを信じていた。
スペシャルティーコーヒー市場の急速な発展は、2000年までに消費者のコーヒーに対する 考え方、買い方、楽しみ方をガラリと変えた。スペシャルティーコーヒーを販売する流通するチ ャネル、特に人々が語り合い、本や新聞を読み、仕事までするために集まるコーヒーハウスやカ フェの拡大は他の消費者をひきつけた。特に18歳から24歳の男女はカプチーノ、アイスコー ヒーなどのスペシャルティーコーヒー・ドリンクを購入している。一般にこれらの飲み物はスー パーで売られている主だったコーヒーより味がよく、価格も高い。しかし、多くの人にとってそ うした消費には自分流のこだわりという、従来の「ただの1杯」にはなかった要素も含まれてい たのである。
このスペシャルティーコーヒー業界は、従来は必需品だった飲み物を、社交的な飲み物、グル メとまでいえる飲み物に変えることで大きく成長した。そしてこの変化を、高級ブレンド、特定 の栽培地で産するさまざまな種類のコーヒー豆、炒り方、コーヒー飲料のメニューの充実によっ てうまく管理した。また、グルメなコーヒーハウスという家庭以外の流通チャネルの数を増やし た。こうした流通チャネルを魅力のある社交的な生活環境に変えたのだ。コーヒーは、もはや価 格で評価する商品ではなくなった。代わりに、その品質、利便性、社交的な雰囲気、自己表現が 可能かどうかで評価する差別化された商品になった。
ハワード・シュワルツがコーヒー市場の有望性についてどのような戦略をしかけたのか、それ は1980年代にみられた所得の上昇、時間の制約、海外旅行の増加、労働パターンの変化、ハ イテク製品の利用の増加が、消費者の願望に新たな優先順位を生み出し、従来の一部の優先順位 の重要性を高めていることを彼は見抜いていた。そしてスペシャルティーコーヒー市場の需要サ イドについて自分のアイディアが固まると、これらの新たに生まれつつあるニーズを満たす商品、
つまり質の高いコーヒーを中心にして、客の1人ひとりを大切にするコーヒー知識の豊富なサー ビス、社交性も含めた特別の店舗経験のビジョンを描いた。厳しい品質管理、進歩的な雇用方針、
徹底した流通管理、戦略的な出店場所の選択と店舗デザイン、綿密なマーチャンダイジングを武 器に、市場で最強のブランドの創出をやってのけたのだ。1990年代後半までに多くの国の消 費者が「スターバックス」ブランドといえば良質のコーヒー、親しみやすい上品さ、自己表現、
行き届いた管理、店を訪れた人同士がつながるコミュ二ティの感覚をイメージするようになった。
そして事業が成長するにつれ、「スターバックス」ブランドが消費者にした約束を一貫して果た すことのできる組織力の確立に努めた。また、提供する製品の幅を広げ、新しい流通チャネルに
こうした新しい試み の大部分は成功し、スペシャルティーコーヒー市場を形成するために同社が打ち出した多くの革 新はたちまち業界の標準になった。日本の消費者の関心を集め、消費者の心を理解し、共感する 能力が、スターバックスには一貫してあったのである。
第五章 分析を終えて
私がこの論文を書く上で柱となっていた、「価格」の3つの役割というものは、「価格は消費者 にとってどんな意味をもつのか」のなかでもっともベースとなる部分の役割であって、アンケー トなどからもわかるように、個人によって、商品によって、または環境状況によっても消費者の 価格感度は大きく異なる。また、消費者の価格意識は変化することもある。調べてみると、「価 格」自体の持つ意味は以上に多く、またとても重要であることがわかった。
そこで私は、価格を受ける側の消費者にカテゴリーを設けることで、逆にその特徴が価格にど のような意味をもたせているかイメージが強くなるのではないかと思い、日本の消費者の特徴を 調べてみた。すると、日本の消費者の、新しい物好きだが、ブランドに対してある程度の保守性 もあり、せっかちですぐに欲しがるけれど、品質にはこだわり、サービスを含む商品には強く心 理を動かされる・・・などといったよく目にする(自分にも言えるような)性質が、価格決定の 消費行動に強く影響していて、かつ、それが価格の持つ3つの役割に見事にマッチしているので はないかという自分なりの見解ができた。
また、実際に日本の消費者の心を捉え、成功したとされる企業の戦略を調べてみると、やはり 私が日本の消費者の性質に強く感じた点をうまくおさえていることがわかった。
スターバックスの例からいうと、低価格戦略というよりは、コーヒーの品質をいかに向上させる か、またそのコーヒーの品質にスターバックスにしかない付随サービスを持たせ、
その品質を評価するための環境を徹底させることで顧客の満足を引き出す。こうして築き上げら れたブランドは保守性のある日本の消費者には強く支持される。さらに、サービスの質を維持し ながら製品の幅を常に広げるという話題性に富んだファッション性も、日本人の特徴をうまく捉 えていると感じた。「価格」戦略が成功したのだ。
分析の反省点としては、アンケートの結果から、上智大生の特徴として、価格にそれほどこだ わるわけではないが、スニーカーにしてもボールペンにしても低価格志向が強いということは少 し私の思う日本人の特徴とは異なっていた。上智大生だけではなく、他の年齢層や異なる職業の 方々にアンケートをするとまた違った分析結果がでたように思う。
また、「価格を」受ける消費者のカテゴリーを日本人だけに特定してしまったため、客観的に日 本人だけの特徴として判断できるかどうかが明確ではない。他の国(特に欧米)についても、も う少し深く特徴の違いを調べてみると面白かったのではないかなと思う。
また、スターバックス以外の外国企業の日本市場戦略についても、これから個人的に調べていき たい。
<参考文献>
(1) 上田隆穂『マーケティング価格戦略』有斐閣 1999年 P4-5、P94-102
(2) 池尾恭一『価格破壊の製品・価格戦略』マーケティングジャーナルP17-30
(3) 青木道代『情報としての価格』消費者行動研究第3巻第2号 1996年
(4) 西村清彦『価格革命』のマクロ経済学 日本経済新聞社 1996年 P125-
(5) 片平秀貴『価格コンシャスを検証する』マーケティングリサーチャー1994年P71
(6) ナンシー・F・ケーン 訳樫村志保 『ザ・ブランド』翔泳社 2001年 P302-384
(7) Blattberg, R.G. ,T. Buesing,P. ,P. Peacock and S. sen,‘Identifying the Deal Prone Segment‘ Journal of Marketing Research, 15 1978.
(8) Gilboa,I. And D. Schmeigler, ‘Case-Based Consumer Theory‘ mimeo., Northwestern University and Aviv University, Revised, 1994.