土壌からの酵素生産微生物の分離
**** アミラーゼ・プロテアーゼ生産微生物の分離と検出*****
スーパーマーケットで調達できる培地成分
寒天培地を作製する(電子レンジ滅菌可)
土壌試料を希薄な水溶液にして塗布する
30℃または室温で培養する
微生物の集落を観察する
アミラーゼ生産菌の検出
プロテアーゼ生産菌の検出
微生物の顕微鏡観察
酵素生産微生物の分離 (高校で簡単に実施できる)
顕微鏡観察と撮影 微生物の同定
(大学で実施)
寒天培地上での土壌微生物の分離
②
③
⑤
◆ 土壌サンプルを耳かき一杯程度取って、試験管の蒸留水に懸濁する(原液)。さらに、
蒸留水により、10 - 50 倍に希釈する(希釈水)。原液および希釈液をそれぞれ、デンプン プレートに0.1 mlずつ塗布する。
◆ 30℃または37℃で1 - 2日間培養する。室温で1週間程度放置しても良い。
○ 培地をさまざまに工夫して、有用微生物を単離しよう。
デンプン培地によるアミラーゼ生産菌の観察
①
②
③
④
⑤
デンプン培地(廉価版)
コンソメの元 片栗粉
棒寒天 水道水
1/2 個 2 g 3 g 200 ml
【ルゴール液】 アミラーゼ活性判定用 ヨウ化カリウム (KI)
ヨウ素 (I2) 蒸留水 (H2O)
0.2 g 2.0 g 300 mL
◆ プレートに生育したコロニーを観 察・単離した後,ルゴール液を10 mLほ どかける。
◆ アミラーゼによりデンプンが分解し たところは透明に抜けて見える。
○ イソジンで代用できます
<注意> 可溶性デンプンを用いないこと
スキムミルク培地によるプロテアーゼ生産菌の観察
スキムミルク培地 スキムミルク
寒天 0.5%
1.5%
◆ 粉末のスキムミルクに寒天を混ぜて加熱滅菌し,シャーレに流し込んでスキムミルク培地 を作製する。スキムミルク中のカゼインがツブツブの固まりになっているが気にしない。
◆ 土壌サンプルを塗布して培養し,コロニーが生育してきたとき,プロテアーゼによってカ ゼインの顆粒が溶解したところが透明に抜けて見える。
Bacillus
◆ 形成された細菌のコロニーを顕微鏡観察
◆ アミラーゼやプロテアーゼを生産する微生物と
してBacillus属細菌が単離されることが多い
◆ 内生胞子は簡便な顕微鏡でも確認することがで きる。内生胞子が観察されれば、Bacillus属細菌で ある可能性が高い。
○ 正確な同定のためには、グラム染色をはじめと する各種生理試験や16S rDNA配列解析を行う
桿菌の形態 A 長桿菌 B 短桿菌
C 内生胞子 球菌の集合状態
C 単球菌 E 連鎖球菌
D 双球菌 F ブドウ球菌
らせん菌 H コンマ菌 I スピロヘータ
[A] [B]
[C]
[D] [E]
[F] [G]
[H]
[ I ]
グラム陽性細菌の分類
細胞形態 運動性と
鞭毛 酸素要求性 内生胞子 その他の特徴 推定される属
Staphylococcus Streptococcus Leuconostoc
Planococcus Sporosarcina Lactobacillus Propionibacterium
Corynebacterium Arthrobacter
Bacillus Clostridium 球菌
桿菌
周鞭毛 なし
なし 球菌
なし 好気性
微好気性
好気性 絶対嫌気性
Micrococcus なし 糖の分解性微弱
糖を嫌気的に分解する 連鎖球菌
糖より乳酸を生産する なし
あり
球菌 好気性 なし
桿菌 なし
微好気性
好気性
なし
なし
糖より乳酸を生産する プロピオン酸発酵する 多型性のものがある
桿菌 あり
代表的な一部の属のみを示している 駒形和男編「微生物の分類と同定」より
グラム陰性細菌の分類
細胞形態 運動性と
鞭毛 酸素要求性 その他の特徴 推定される属
Veillonella Escherichia Enterobacter Serratia
Azotobacter Rhizobium Agrobaterium Achromobacter Alcaligenes Flavobacterium
Nitrosomonas Nitrobacter Thiobacillus Gluconobacter Pseudomonas Xanthomonas Acetobacter
Vibrio Spirillum 球菌
桿菌
桿菌
曲がった菌 極鞭毛 極鞭毛 周鞭毛 なし
周鞭毛 なし 桿菌
なし 好気性
通性嫌気性
好気性
好気性
好気性 嫌気性
Neisseria 嫌気性
窒素固定
共生的窒素固定
植物の腫瘤を形成する
糖の分解が微弱か分解しない
アルコールを強く酸化 アンモニアを酸化 亜硝酸を酸化 硫黄・鉄を酸化
有機物を好気的に酸化(pH2で生育可)
有機物を好気的に酸化(pH2で生育不可)
植物病原性をもつ黄色細菌 コンマ状の細菌
らせん状の細菌
糖を嫌気的に分解する (腸内細菌)