小学校英語の授業における指導者の英語使用について
— コードスイッチングの視点からトランスラングェジングの視点へ — 村端 佳子
要約
本稿は,小学校英語の授業における指導者の英語使用について,指導者のコードスイッチングを 見ていくことによって考察したものである。英語の授業ではいわゆるクラスルームイングリッシュ と呼ばれる,主として授業を進めていくための表現を多く用いている。それは英語の雰囲気づくり や授業運営のためだけでなく,様々な表現に暗示的に慣れ親しませるためでもある。当然,指導者 は英語だけを使うのではなくたえず日本語と英語を切り替えながら授業を進めている。本研究では ある授業での指導者の発話を観察し,いくつかの特徴を分析した。まず,学校という学びの場で普 段用いられている児童に馴染みのある表現を英語に交えて使っているコードスイッチングがみら れた。日本語から英語への切り替えでは,3語から5語程度の英語の定型表現を多く用いているこ とも観察された。また児童の考えに寄り添うため,あるいは距離を縮めるために日本語を用いる工 夫がなされていることもわかった。さらにこれらのコードスイッチングは近年よく見かけるように なったトランスラングェジングの観点からも,まさに言語資源を最大限に活用した言語使用のプロ セスと言えるのではないかと思われる。従って、単なるコードスイッチングと見なすのではなくト ランスラングェジングの考え方を取り入れることで,英語授業はより積極的で独創的な言語使用の 場となることが可能であると論じた。
キーワード:小学校の英語授業,クラスルームイングリッシュ,授業観察,
1.はじめに
小学校の英語活動および英語の授業(以下まとめて英語の授業とする)では,通常英語の挨拶で始まり,
英語の挨拶で終わる。挨拶だけでなく,学習目標とする単語や表現の他にも多くの英語,いわゆるクラスル ームイングリッシュが使われる。すなわち“Let’s start English class.” で授業が始められ,“That’s all for today. See you next week.” などという別れの言葉で授業が終わる。そしてこの他にも “Listen carefully.”
“Look at this.” “Open your textbooks.” “Listen and repeat.” などの指示が英語で行われ,活動を始める場 合には “Let’s chant/sing.” “Let’s play a game.”などという声かけや,活動中には “Are you ready?” “Are you finished?” と確認し,配布物を手渡す際には “Here you are.” と言って渡し,児童は “Thank you.”と 答えながら受け取る(佐藤,2010; 村端,2018; 文部科学省,2017)といった状況である 。
このように英語を用いて全ての活動を行うことができれば問題はないが,時には英語でどのように言っ て良いのか指導者自身がわからない時や,知っているが小学生には難しすぎる場合,あるいは日本的な文 化背景から英語では言いにくい時がある。たとえば「聞く」活動によくあるのだが,英語を聞いて当てはま る人物の絵と関連する物の絵を線で結ぶというような活動を英語で指示する場合には,“Draw a line between the character and the picture.” というかなり長い英語表現を使うのは指導者にとっては負荷が 大きく,児童にとっても理解が難しい表現であると思われるため,単に “Draw a line.” (文部科学省,2017)
村端 佳子
と簡単に指示することも可能だ。また「楽器」と言いたい時に無理にmusical instrumentと英語で言わな くても,コミュニケーションを円滑に進めるために “What gakki do you play?” と言っても良いのではな いかという提案がある(村端,2018)。さらに, “Could you teach an easy English song to the nenchu
children?” などと幼稚園における「4,5歳児」の呼び名「年中」をそのまま使っている対話文が大学用の
教科書内で見かけられた。1
このように,英語の中に部分的に日本語を取り入れるいわゆるコードスイッチング(code switching 以
下CS)の現象は,これまで言語学,社会言語学,語用論,第二言語習得等の様々な分野で研究されてきて
おり,バイリンガル(あるいはマルチリンガル)がコミュニケーションの場において何らかの理由で,二つ
(あるいは二つ以上)の別々の言語からの単語やフレーズを文内で,あるいは文ごとに混合して交互に用 いることを言う(藤村,2013; Fishman, 2007; Nishimura, 1995; Poplack, 1980)。たとえば,ブリュッセ ルで働くある公務員は職場ではフランス語,友人とパブで飲む時にはオランダ語,家ではフラマン語を使 い分けるという。彼がどの言語を使うかは,話す相手や状況,話題によって変わり,この公務員は職場であ っても幼馴染と出会った時にはフラマン語を使うが,仕事の話をしたりフラマン語を理解しない人が加わ ったりするとフランス語に切り替えるという (Fishman, 2007)。またイギリスに留学していた日本人学生 の,「Readingすればするほどconfuseするよ」(Cook, 2003, p. 5)という発話もCSである。CS は幼児に も見られ,中華系外国人学校所属の幼稚園に通う5歳児が,幼稚園への訪問者が台湾出身であることがわ かると日本語から中国語に切り替えたという例や,中国人同士では中国語を使うが中国語が劣勢な幼児が 仲間にはいると日本語に切り替えるという例が報告されている(黄・山名・榊原・和田,2018)。CSを行 う理由やその目的・機能は様々であるが,バイリンガルやマルチリンガルの話者にとってCSは特殊な言語 使用ではないようだ(藤村,2013; Fotos, 1995; Heller, 1988; Nishimura, 1995; Poplack, 1980)。
では小学校の英語の授業において CS は,どのような場合に行われているのであろうか。また,英語を 学ぶ教室内で起こっている現象で,しかも指導者が目標言語を教える場合に用いる CS はどのように捉え るべきであろうか。本稿は,小学校の英語の授業で実際に指導者はどのようなCSを行っているのか例をあ げ,その使用について検討することが目的である。まず一般的に言われるクラスルームイングリッシュに ついてまとめ,次に CS についてこれまでの研究を見る。さらに,最近見かけるようになったトランスラ ングェジング(translanguaging以下TL)の考え方も紹介したうえで議論を進めていく。
2.クラスルームイングリッシュ・CS・TL
(1)クラスルームイングリッシュ
まず,小学校の英語の授業で指導者が用いる英語にはどのようなものがあり,どの程度英語を使うのだ ろうか。そもそも英語の授業で使われるクラスルームイングリッシュは,習得を目指して学習するための 目標表現をいうのではなく,授業を進めていくための英語で「英語の授業の雰囲気づくり」としての意味合 いが強いとされる(粕谷・福原,2020; 文部科学省,2017)。当然,指導者は授業中になるべく多くの英語 を使うことが奨励されている。しかしながら,指導者が使う英語は授業の雰囲気づくりに止まらない。『小 学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック』(文部科学省,2017)には,授業の始まりから授業の終わり までの活動中に使う表現や褒めたり励ましたりするときに使う表現などが,198項目載せてある。山森(2013)
は教室における指導者の英語を,「A:正しい英語の構造への気づきの促進」「B:授業運営,授業の雰囲気 づくり」「C:英語の内容理解の促進」「D:表現内容のふくらまし,構造との関係づけ」の4つの基本的教 育機能に分類して論じている。ここでも英語使用は教室運営や雰囲気づくりに止まらず,児童とのやり取
りの中で,児童の発話を促したり発話内容を深めたりするために英語使用が望ましいと述べている。また 村端(2018)は「児童・生徒のための教室活用習慣的プレハブ英語表現バンク」と名付けて小学校3年生か ら小学校6年生までで143の表現を挙げ,これらを「良好な人間関係を築き維持する」「学習ルールやマナ ーを守る」「内容学習を進める」という3つの機能に分けている。ここで示されている英語表現は「児童・
生徒のための」とついているので,“My turn.” “Can I go first?” など授業内で児童や生徒に使って活動し てもらいたいという意図で挙げられているが,“Are you all right?” “What’s wrong?” “Just a minute.” “Be quiet, please.” などのように指導者が使うことができるものもある。これらは当然指導者が熟知していて,
教室でのさまざまな場面に応じて模範を示し,繰り返し使用する必要がある。
実際に小学校英語科の授業をいくつか観察してみると,指導者が英語を使うのは授業の最初と最後だけ というわけではない。45分の授業を通して,何かの活動を始める時(例: “Next, let’s chant.” “This is A team. This is B team.”),活動時(例: “Last chance.” “Change.” “One more time?”),活動の終わり(例:
“Let’s finish.” “Sorry. Stop.”),褒める(例:“Good job!” “Amazing!” “That’s nice!”),励ます(例:“Good try!” “Almost!” “Take your time.”)など,さまざまな場面で指導者は機会を見つけて英語を使っており(菅
野,2018),日本語母語話者でありながらも英語使用者としての良いロールモデルとなっているのが伺える。
また,これらのクラスルームイングリッシュは当然のことではあるが,授業時間が進むにつれて増加し,3 年生の授業では “Look at this.” “Listen carefully.” などの2語から3語程度の表現が多いが,学年が上が るにつれて “First of all, let’s chant.” や “Did you enjoy today’s class?” などのやや複雑な表現が使われる ようになっている(同上)。
初めて英語を学習する小学校3年生にとって,これらの英語表現は理解されるのだろうか,使っても良 いのだろうかという疑問があるかもしれない。が,これらの英語表現は児童が慣れ親しんでいる学校の教 室という学習の場で,しかも具体的な場面状況で適切に用いられるため,児童にとっては意味が推測しや すい。さらに何度も繰り返されるため,音声と意味を結びつけるのがそれほど困難ではないであろう。ま た,これらは定型表現ではあるが,近年の言語習得理論の中心である用法基盤モデルの考え方によると,何 度も耳にすることで徐々に分析的に認知されて暗示的に統語的なパターンを認識できるようになる(村端・
村端,2020;Tomasello, 2001)。例えば,全く英語を知らない小学校3年生の児童に,何かを提示する場面
で目をさしながら “Please look.”と言えば,「見る」ことを指示しているのだと推測でき,この表現に慣れ たら,次は自分をさしながら “Please look at me.” といえば「自分(話者)を見る」ことを指示している のだと理解できよう。この “look at” をさらに発展させて “Please look at this picture.” の使用へと広が り, “Please look at this girl.” “Please look at this animal.” などの理解にそれほど負荷はかからないと思 われる。これらのクラスルームイングリッシュでまさに体験的な学びができるということになる。
このように見て行くと,クラスルームイングリッシュは確かに英語の授業の雰囲気づくりに役立っては いるが(梅地,1992; 文部科学省,2017),それだけにとどまらず,学習者である児童の英語学習そのものに も大いに役立つと期待され,有益な言語材料であるといっても良い。とくに普段の日常生活では英語のイ ンプットを得難い日本のようなEFL(English as a Foreign Language外国語としての英語)環境で,貴 重なインプットを与えていることになる。では,目標言語表現を使った言語活動の中で,“What gakki do you play?”というような英語の中に日本語を交えた英語表現を使うことはどのように考えるべきであろう か。中にはそのような英語は使わない方が良い,英語を使う場合は全てを英語の文にするべきである,と否 定的に受け取る指導者や学校関係者もいるかもしれない。ある指導者は授業のめあてを確認する場面で思 わず “Today’s めあて is this.” と言ったことに関して,「変な英語を使ってしまった」と反省の弁を述べて
村端 佳子
いたという。これは「変な英語」であると認識して反省すべきことだろうか。そこで次に,CSとはそもそ もどのような言語使用なのか,また近年言われるTLとはどのような言語使用でCSとどのように異なるの かを見ていく。
(2)CS
CSは “the use of more than one language in the course of a single communicative episode”(一件の コミュニケーション場面で二つ以上の言語を用いること[筆者訳])(Heller, 1988, p. 1),あるいは “the alteration of two languages within a single discourse, sentence or constituent”(一つの談話,文,構成要 素の中で二つの言語を交互に使うこと[筆者訳])(Poplack, 1980, p. 583)と定義されている。近年では言語 は二つに限られず,生起する場面は電子メールやその他の言語使用場面も含めて,“alteration between languages in a specific communicative episode, like a conversation or an email exchange or indeed signs”
(会話や電子メール,あるいは看板などに見られるように,ある特定の一件のコミュニケーションにおい て複数の言語を交互に使うこと[筆者訳])(Li, 2018, p. 2)という定義もみられる。当然CSを行う人はい わゆるバイリンガル(あるはマルチリンガル)と呼ばれる複数言語を理解する人たちで,モノリンガルは行 わない。日本語の中には外国語からの多くの借用語があるが,その使用はモノリンガルも行いCSとは区別 される。
現在のようにグローバル化が進み世界の至る所で言語接触が避けられない時代以前には,いかなる時に も一つだけの言語を用いるのが通常で,CSは言語能力の不足を補うためにどちらの言語も流暢に話すこと ができない人たちが行うことであり(Pedraza, 1978 as cited in Poplack, 1980),通常の言語使用ではなく 言語的には違反した行為であり(Heller, 1988),多言語社会を除く大抵のコミュニティでは否定的に受け 取られていた(Holmes, 2013)。しかしながら研究が進むにつれて,一つの言語の中に他の言語を入り混ぜ て使うのは考えられていたほど無作為に行われるのではなく,文法的かつ相互作用的な規則があることや,
どのような機能・要因があるのかも明らかになってきている。以前とは違いCSは複数言語を使う社会にお いては正当なコミュニケーションの方法で,重要な言語接触現象の一つとして研究対象となっているので ある(Fotos, 1995)。
たとえば前述の「はじめに」で見たブリュッセルの公務員が場面や相手によって言語を使い分ける例で は,フランス語は権威・優勢・客観性を示したものであり,フラマン語は私的なこと・親密性・主観性を表 すと言って良いであろう。またケニヤでの英語使用は教育を受けたエリートを示し,現地語は民族性の共 有を示している(Scotton, 1988)。CS にはまた文全体が丸ごと他言語に切り替わる場合の「文間CS」(例:
これ美味しいね。Do you want to try some?)と,一つの文内で一部のみを他言語に切り替える「文中CS」
(例:I’m going to visit my 祖父母 this weekend.)に分類され,文中CSの方が両方の言語能力が高いバ イリンガルによって行われる傾向が強いという研究もある(Poplack, 1980)。カナダに住む日本から移住し た人たちの2世は,日本語で話していても単語を知らないとその部分だけ英語にしたり,二世としてのア イデンティティを示したりするために日本語を交えることがあるという(Nishimura, 1995)。さらにイギ リス在住の日本語母語話者によるCSには,社会での出来事との関連や,英語と日本語それぞれが持つ独特 の社会的文化的意味の含有が見られ,必ずしもその単語や表現がわからないから使っているわけではない ようだ。このような使い方は,イギリス社会への心理的収束も影響しているのではないかと考察されてい る(藤村,2013)。
この他にも,英語を学ぶ日本人大学生が英語の中に日本語を,日本語の中に英語を入れ,特定のトピッ クの導入,注意喚起,協調,説明,訂正などのためにCSを行うことが観察された(Fotos, 1995)。このよ
うな第二言語習得場面でのCSを見ると,たとえば3歳から5歳の英語と中国語のバイリンガルの子供は,
CSによって両方の言語に触れる機会を得ることができ,結果として弱い方の言語能力を高めるためにCS を行なっているという(Yow, Tan & Flynn,2017)。学習環境でCSが行われ,それが学習を助けていると すれば,近年よく見かけるようになったTLを避けては通れない。なぜならTLの概念は,イギリスのウェ ールズ語を学ぶ学習環境で生まれたからである。そこで次にTLについて見ていく。
(3)TL
TLとはウェールズ語のtrawsieithuを英語にした造語で,ウェールズ語を学ぶ英語を母語とする学生た ちが教室でウェールズ語のみを使用するのではなく,英語とウェールズ語を交互に用いることでより理解 を深め,ウェールズ語の習得を促進するという教授実践から生まれたものである(Garcia & Li, 2014)。その 後,TLの考え方は教育の場だけでなく言語使用の本質,第二言語習得,二言語使用,などの研究分野で広 まっていった(Poza, 2017)。
しかし,そもそも二つの言語を交互に用いるということから,CSとどのように違うのかという疑問が生 じる。これについては近年TLを活発に提唱しているLi Weiが次のように述べている。
“Translanguaging is not intended to replace Code-Switching at all. They are two very different theoretical and analytical concepts, coming from very different origins.(TLはCSにとって変わ るものと意図されているのでは決してない。CSとTLは理論的にも分析的にも全く別の概念で,全 く異なる起源から生まれたものである[筆者訳]).” (Li, 2018a)
最も大きな違いは,基本的にTLでは言語と言語の境界を否定し,個人が持つ全ての言語能力を一つのもの と考えるので(同上),TLには「コード(言語)を切り替える」という概念はないわけである。この意味で はCookが主張するマルチコンピテンス(multi-competence複合的言語能力)と似ていると言えよう(Cook
& Li, 2016)。Cookは学習者言語であるインターラングェジ(interlanguage中間言語)に代わって,母語 をも含めた学習者の全言語能力を表すのにマルチコンピテンスという用語を使った(Cook, 1991)。バイリ ンガルの頭の中にはL1(母語)とL2(第二言語)が別々にあるわけではなく,一方の言語を使っている 時でも他方の言語も活性化された状態にあり(Grosjean, 1989),第二言語の能力がその言語の母語話者と 同等のものではなくても母語の他に別の言語を知っているということは 100%以上の言語能力を備えてい ることになる。また,異なる言語を習得することでバイリンガルの認知傾向はモノリンガルの認知傾向と は異なるものになり,それゆえにバイリンガルはユニークな存在である,という主張である。
またTLは “a process of meaning- and sense-making”(意味を作り出したり理解したりするプロセス)
であるとも言っている(Li, 2018a)。すなわち意味を作り出すため、あるいはその意味を理解するために個 別の言語を超越して,包括した言語能力による言葉の使い方がTLということになる。そのためlanguage という名詞ではなく,languaging という動詞が使われている。TL をあえて日本語で説明すると「個別の 言語を超越して言語にするというプロセス」という意味になるのだろうか。この行為にさらに付け加える べき表現が「話者の言語資源を最大限に活用して」ということであろう(Li, 2018b)。意味を作り出して言 葉にするという活動は,したがって創造的で活力ある活動になる。このように,L1とL2,さらに中間言 語を包括した能力がマルチコンピテンスであり,似ているが少し観点を変えてバイリンガル自身の観点か らみれば,その能力を活用し個別の言語を超越した独創的な言葉の使い方がTLの考え方になる。この考え 方の典型的な例としてLi(2018a)は図1のような看板を示している。これは台湾で見かけられたもので,
村端 佳子
日本語・中国語・英語を使いさらに絵も加わって「今日の果物はスイカ です」という一つのメッセージを伝えている。言語の境界に加えて,表 現媒体の境界もなくなり絵も使われているのが興味深い。
上に見てきたように,クラスルームイングリッシュは単に英語の雰囲 気を出すためのものではなく,今日の小学校英語の授業では多数の表現 を用いる授業が可能で,有益なインプットとなる可能性がある。CSは 否定的に見られがちであったが,バイリンガルにとっては自然な言語使 用方法で,研究が進むとその規則や機能が明らかになってきており,と くに学習者が用いるCSは言語習得の助けとなっているような研究もあ る。一方TL は個々の言語を超越してバイリンガル(マルチリンガル)
が持つ言語能力を包括的に捉え,言語資源を最大限に活用した独創的な 言語使用プロセスであることを見てきた。では実際に小学校英語の授業における指導者の CS を交えた発 話にはどのような発話があるのだろうか。そしてそれはTLと言えるだろうかを考察していく。
3.指導者の授業中発話に見られるCS
(1)指導者のCSの例
本研究では,2021年6月に宮崎市内の小学校で外国語専科教員とALTによって行われた授業2を視聴し,
明確にCSであると指摘可能な指導者の発話を取り上げて分析した。授業は5年生の授業で,Unit 2 When
is your birthday? という単元の全8時間のうちの5時間目の授業である。指導者のCSに見られた特徴を
以下5つに分類する。3
① 挨拶の呼びかけに見られるCS
“Let’s start English class.” という呼びかけに続く授業の最初の挨拶は,これから英語の授業が始まると
いう切り替えに欠かせない。通常よく聞かれるのは“Good morning, everyone.” であろうが,下にある(1) のクラス全体に対して「5年1組さん」との呼びかけによる挨拶は,通常の学校生活でよく使われる表現を そのまま使用しており,英語の授業でよく聞かれるよりも英語の授業への心理的な境界を少なくしている と言って良いであろう。 またALTがいる場合,ALTへの呼びかけをファーストネームにMr. やMs.をつ
けて,Mr. Davidなどと呼びかけているのを見かけるが,いくら英語の雰囲気を出すためとはいえこのよう
に誤った敬称の使い方は避けるべきである。かといってDavidと呼び捨てにするのは心地よくないので,
(2)のようにファーストネームに先生を使うと呼びかけやすいと思われる。
(1) Good morning, 5年1組さん.
(2) Good morning, David-先生. (Davidは仮名)
② 児童にとって親しみやすい表現を取り入れたCS
ここで取り上げる例は児童にとっては理解しやすく,しかも親しみやすい表現を用いたCS である。頻 繁にペア活動を行う英語の授業では,ペアの相手を変えて行うことがよくある。その場合も全てを英語に するより以下のような表現はわかりやすく,ペア活動がスムーズに始まるのではないだろうか。英語で
“Talk with the person next to you.” “Talk with the person in front of you or behind you.” などと指示す 図1.Translanguagingの例(Li,
2018)
るといくら正しい英語でもわかりにくい。また「斜め」は英語では表現しにくいであろう。「近くの人と話 してください」は“Talk with your neighbors.” という指示でも良いが,やはり指示は簡潔でわかりやすい 方が良い。
(3) Talk with your お隣さん partner.
(4) Change your partner. Talk with your 前後お友達. (5) Next time, 斜め orお近くpartner.
③ 日本語から英語定型表現へのCS
指導者はかなり頻繁にCSを行っていたが,日本語から英語へのCSでは英語の定型表現,あるいは授 業中によく使う表現が使われていた。日本語で話していても,英語で言える場面だと素早く英語に切り替 えるのをみると,やはりなるべく多くの英語をつかうという指導者の姿勢が伺える。例の(6)(7)(9)(11)は 何かの活動を行っていて次の活動への切り替えとして,「読みましょう」「これを見てください」「ファイル を出してください」「ワークシートを裏返してください」という新たな活動の指示で,児童にとっては馴染 みのある表現なので英語に切り替えて使用したと思われる。(8)の Can you read? は答えを求めているの ではなく,板書の字が小さくなってしまったことへの指導者の心配が言葉になって現れたのであろう。(10) は,「小説」は英語でどのようにいうのかと質問した児童に,bookを使っても「問題はない」という時に出 た英語である。指導者の発言からおそらく以前にも類似の質問が出たと思われる。
(6) ちょっと読んでみる?Let’s read together.
(7) 誕生日カード作ってみない?All right. So, just a moment. OK. Please take a look at this.
(8) (「めあて」の文字が)ちいさくなっちゃった。Can you read?
(9) 尋ね合って見ましょうか。友達と。力試し。So please take out your purple file.
(10) Novelsでもいいし。Bookでもいいっていつも言ってらっしゃるから,Don’t worry.
(11) 最後の活動に入ります。Please turn over the worksheet.
④ 日本語で言ったことを英語で繰り返すCS
指導者は指示を出すのに多くのクラスルームイングリッシュを使っているが,以下の2回をのぞいて同じ ことを英語と日本語の両方でいうことはなかった。すなわち,日本語で言ったことを英語で繰り返したり,
英語で言ったことを日本語で繰り返したりする場面はほとんど見られなかった。このことは指導者の英語を 日本語で説明する必要はなく,英語はそのままで児童が理解しているということが伺える。
(12) 次,何聞こう?What’s next?
(13) 拍手。Clap your hands.
⑤ 英語から日本語へのCS
英語から日本語へのCSは以下のように児童への配慮を示すような様々な場面で見られた。まず(14)は,
指導者の質問を全体から個人への質問に切り替えるときの注意喚起であるが,これを英語で “Oh, I hear various answers. Now I will ask some of you individually.” などと言っても,中にはとっさに理解できず,
村端 佳子
突然指名されて戸惑う児童がいるかもしれない。(15)の前半は児童のスモールトーク活動がうまく行えた 後の短い褒め言葉と指導者の感情を交えた感想で,くだけた日本語である。(15)ではさらにこの後で授業 のめあての確認に移るのだが,活動の確認や説明の時には児童との共通理解を明確にするために日本語を 使うことが多いようである。また,(16)は教室内の一体感を出すための一言であったり,(17)(18)(19)は児 童に寄り添い,興味関心を引いたり考えさせたりする場面であった。これらの時には日本語の方が伝わり やすいと判断される。
(14) What animal do you like? いろいろ聞こえたね。聞いてみようかな。
(15) OK. Thank you very much. OK. 上手。なんか楽しい。今日の学習に入っていくけど,今までど んなことを勉強してたかな。
(16) Please come to the front. 拍手。
(17) Please take a look at this. なんて書いてあるのかなあ?
(18) This is for you. あれ?あれ?嬉しそう?
(19) あれ?No, thank you.っぽいね。どうする?
またCSはこの授業に限ってみられる現象ではなく文部科学省や県の教育委員会が載せているYouTube の動画の中にも多くのCSが見られた。以下はその中の例である。
(20) OK. Look at me. Thank you. じゃあ今は地図があるからね,うん,「どこですか」ってきかれた ら,「ここだよ」でいいかもしれないけどさ。
(21) Stop. Stop. It’s secret. 次の時間に,あてっこするから。4 (22) あら,暑かったんだね。How is the weather today?
(23) まず最初にLet’s listen. Open your textbook. 何ページかな?
(24) OK.では,What’s the answer?
(25) では次です。Next, 何ページかな?
(26) OK? いいですか?Are you ready? Three minutes. OK? 5
(2)観察したCSの考察
以上見てきたように指導者は英語から日本語へ,日本語から英語へと CS を繰り返しながら授業を進め ていた。英語と日本語の使い分けについては,指導者によると既習表現の定着度,コミュニケーションを図 ろうとする雰囲気,児童同士の関係性,言語活動の到達度,などから総合的に判断して行っている(指導者 との私信による)とのことであった。このような授業を児童はきちんと理解しているのかという疑問もわ くが,児童の反応をみると指導者の英語に戸惑った様子はみられなかった。また,英語で言ったことを日本 語で繰り返す場面はほとんど見られなかったことから,指導者の英語はそのままで児童が理解していると いうことが伺えた。児童は英語を使うことに対して非常に前向きで活発に活動しており,ペアワークの際 にも児童同士で英語によるコミュニケションを取ろうとする態度はかなり積極的であった。また,授業中 に指導者が「尋ね合ってみましょうか」と日本語で教室全体に問いかけると,一人の児童が “OK.”と英語 で返答する場面もあり,児童は違和感もなく理解しながら授業に望んでいるようであった。
次に指導者のCSにはいくつかの要因が考えられる。まず,学校の教室での授業という場で児童にとって
馴染みのある表現を英語の中に入れて文中CSを行うことによって,英語への抵抗を低くしたり,わかりや すくしたりする場合である。これは上の①②の “Good morning, 5年1組さん.” や “Talk with your お 隣さん partner.” などである。これらの表現は非常にユニークで,まさに上で述べた言語と言語の境界を 超越した TL としての言語の使い方ではないだろうか。すなわち英語による挨拶や授業内活動が違和感な くスムーズに進められるように,指導者と学習者の双方にとって共通の言語資源を新しい言語を学ぶとい うプロセスの中で効果的に使われた独創的な表現であると思われる。
また,授業中の活動を指示する場合に日本語から英語へのCSが多発している。授業という場の性質上,
指導者が指示を出すことは必然的に多い。その指示を “Let’s read together.” “Take a look at this.” “Take
out your file.” などの3語から5語程度の指示によって行うのは授業の雰囲気づくりだけではなく,同じ表
現を頻繁に繰り返して聞かせることで,あまり負担にならないように徐々に英語の基本的な表現に慣れ親 しむためという配慮があるだろう。たとえば(6)の例の「ちょっと読んでみる? Let’s read together.」など のように自然に切り替わっており,言語の境界を感じさせない。これもTLの考え方に見られる言語資源の 活用であると言えよう。
他方,多くの英語表現が用いられているという事実がある一方で,児童の語彙力はかなり限られている ため,たとえば全体の活動から個の活動に移る時に「いろいろ聞こえたね。聞いてみようかな。」と日本語 に切り替えて児童に心の中で準備させる,という配慮もなされている。そして,児童の気持ちに寄り添う場 面ではやはり日本語に切り替えて「あれ?どうする?」と児童との距離を縮めて活動内容を深めている。指 導者の発言の中には「今日はバースデーカードを作っていきます」「もう一回ジェスチャーつけてしてみよ う」などの日本語の発話もあり,これらは英語で言えないこともないであろうが,英語と日本語の量のバラ ンス,児童の様子などから判断して日本語になったのではないかと思われる箇所がみられた。
今回観察されたCSは,全てを紹介したわけではないが文間CSが圧倒的に多かった。文内CSは上の例 では(1)(2)(3)(4)(5)(19)で,いずれも英文または日本文のなかに別の言語が挿入されている。(25)の「Next, 何ページかな?」だけは英語で始まって日本語で終わっている。おそらくCSについてその是非が問われる 部分は,特にこのような文内CSではないかと思われる。実際に “Today’s めあてis this.” と言った指導 者が,意図的ではないにせよ「変な英語を使った」と思ったのは文内CSの例である。このようなCSを繰 り返すと児童は,わからない単語をすべて日本語に置き換えて言ってしまい,目標言語である英語を使お うとしなくなるのではないかと危惧されるかもしれない。が,今回の授業を見る限り,指導者が頻繁にCS を行っているにもかかわらず児童はなるべく英語で表現したいという思いが強く,「小説」などの自分が知 らない単語を英語でどういうのかという質問が出ていた。わからない箇所は英語の中に日本語を交えた形 で済ませよう,と安易に考える児童は少ないと思われた。
また指導者の英語力に関して,不安や自信のなさが取り上げられることもあるが(粕谷・福原,2020)
CSの研究成果やTLの考え方は指導者にとっても英語を使う際の一つの視点を与えてくれる。そこで、願 わくば単なるCSと受け取らずに,一歩進んでTLの考え方を取り入れていただきたい。授業中に「ナマコ って英語でなんていうの?」と聞かれた時に答えられない,と不安に思うのではなく,「ナマコはなんだろ うね。調べておくから今日はナマコそのままで言ってみよう」と “I went to the sea. I saw ナマコ.” とい う表現を受け入れても良いのではないだろうか。いずれにせよそれを聞いた児童たちは理解できるのであ る。
4.まとめ
村端 佳子
本稿では,小学校の英語授業を観察することで授業での英語と日本語使用のあり方を考察した。とくに 指導者の CS に焦点をあてて見てきたが,児童にとって馴染みのある日本語を交えることでスムーズな授 業進行が行えたり,多くの定型的英語表現への切り替えで基本的な英語表現への慣れ親しみが促進された り,日本語への切り替えで児童への寄り添いや心理的な距離を縮めるという機能が考えられた。これらは 学習者と指導者が共有する総合的な言語資源を活用したものであり,TLの考え方から独創的な言葉の使い 方と言って良いであろう。
また言語的な現象として見ると,そもそもCSは2つ以上の言語を知っているから可能なことであり,バ イリンガル話者の特徴である(Cook, 2003)。また自分が持つ言語資源を最大限に活用するというTLの考 え方をとれば,CS は「わからない」から起きた現象ではなく,「知っていること」から引き出された言語 の使い方であり,より肯定的に捉えることができる。上でTLの基本的な考え方は,言語と言語の境界線を 否定して個人が持つ全ての言語能力を一つとみなすことであると述べたが,とくにこのような考え方を児 童に押し付ける必要はないであろうが,すくなくとも個人の言語資源を最大限に活用して産出した発話を 否定する必要はないのではないだろうか。それどころか児童が指導者の CS を言語の隔たりなく理解でき るということは,児童もバイリンガル能力を備えているということの証なのである。
最後に今回観察させていただいた授業を行った指導者は,「その場での臨機応変なやりとりが楽しさの原 動力」(指導者との私信より)と言われていた。臨機応変な英語によるコミュニケーションのために,英語 と日本語を最大限に活用しながら活発で独創的なやり取りを発展させていただきたい。また,今回観察し た CSはこの指導者独特のものであるかもしれない。今後,より多くの授業で観察される CSの分析が進 み,独創的な英語と日本語の使い方が取り上げられ,日本の小学校におけるTLについての研究が進むこと を願いたい。
註
1. 相羽千州子・藤原真知子・Brian Byrd・Jason Barrows(2016).『子供に教える先生のための英語——会話から授業 まで——』,成美堂.の58ページ。
2. この授業は宮崎市教育委員会によって2021年6月の授業終了後から8月末まで限定的に公開されたもので,教育 委員会の許可を得て視聴したものである。
3. 指導者の英語使用に関しては,今回の観察では指導者同士のスモールトーク,繰り返しのためのモデル発話はCS から除外した。また正しい英語表現を導き出すための日本語からまさにその表現に移行している場合もあり(たと えば「なんて言ったらいいの?When… When is your birthday?」),これもCSからは除外した。
4. 例の(20)(21)は文部科学省/mextchannel「小学校英語はこう変わる!③言語活動を行う動機付けのはかり方」より https://www.youtube.com/watch?v=31gYVHjEkL0 (閲覧日2021年8月31日)
5. 例の(22)-(25)は大分県教育チャンネル 「どう教える?小学校英語1 Let’s try!1(小3)Unit 4 I like blue.」よ りhttps://www.youtube.com/watch?v=Y3Pr8oXLNyk (閲覧日2021年8月31日)
参考文献
梅地哲郎(1992).「クラスルーム・イングリッシュに関する一考察——研究の背景と教室英語の現状分析——」
『中国地区英語教育学会研究紀要』第22号, pp. 1-11.
黄琬茜・山名裕子・榊原知美・和田美香(2018).「多文化保育における幼児のことば——5歳児のコードスイ ッチングに着目して」『保育学研究』第56巻第3号,pp. 174-185.
粕谷恭子・福原史子(2020).「教師の発話」小学校英語教育学会20周年記念誌編集委員会(編)『小学校英 語教育ハンドブック——理論と実践——』pp. 36-41.東京書籍.
加納なおみ(2016).「トランス・ランゲージングを考える——多言語使用の実態に根ざした教授法の確率のた めに——」『言語・継承後・バイリンガル教育(MHB)』第12号,pp. 1-22.
佐藤久美子(2010).『こうすれば教えられる小学生の英語——教え方から研修,指導案まで——』,朝日出版社.
菅野嘉哉(2019).『小学校英語の授業における指導者が使用する英語と日本語の使い分けについての考察』
宮崎国際大学教育学部児童教育学科卒業論文.
藤村香予(2013).「二言語話者の談話における『コードスイッチング』・『コード・ミキシング』の必要性—
—英国に住む日本人の場合——」,『安田女子大学紀要』第41号,pp. 23-32.
村端五郎(2018).『英語教育のパラダイムシフト——小学校英語の充実に向けて——』,松柏社.
村端五郎・村端佳子(2020).「用法基盤モデルの言語習得感にもとづいた小学校英語の展開」JES Journal 20, pp. 148-163.
文部科学省(2017).『小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック』,旺文社.
Cook, V. J. (1991). The poverty-of-the-stimulus argument and multi-competence. Second Language Research, 7, pp. 103-117.
Cook, V. J. (2003). Introduction: The changing L1 in the L2 user’s mind. In V. J. Cook (ed.) Effect of the second language on the first (pp. 1-18). Clevedon: Multilingual Matters.
Fishman, J. A. (2007). Who speaks what language to whom and when? In W. Li, (Ed.) The Bilingualism Reader: Second Edition 1 (pp. 55-70). London and New York: Routledge.
Fotos, S. (1995). Japanese-English conversational codeswitching in balanced and limited proficiency bilinguals. Japan Journal of Multilingualism and Multiculturalism, 1, pp. 2-18.
Garcia, O. and Li, W. (2014). Translanguaging: Language, bilingualism and education. Basingstoke, UK:
Palgrave Pivot.
Grosjean, F. (1989). Newrolinguists, Beware! The bilingual is not two monolingual in one person. Brain and language, 36, pp. 3-15.
Heller, M. (Ed.) (1988). Codeswitching: Anthropological and sociolinguistic perspective. Berlin: Mouton de Gruyter.
Holmes, J. (2012). An introduction to sociolinguistics, Fourth edition. London and New York: Routledge.
Li, W. (2018a). Translanguaging and code-switching: What’s the difference? Blog Post. OUPblog. Oxford UP. 9. Retrieved from https://blog.oup.com/2018/05/translanguaging-code-switching-difference/
Li, W. (2018b). Translanguaging as a practical theory of language. Applied Linguistics, 39(1), pp. 9-30.
Nishimura, M. (1995). A functional analysis of Japanese/English code-switching. Journal of Pragmatics, 23, pp. 157-181.
Poplack, S. (1980). Sometimes I’ll start a sentence in Spanish Y TERMINO EN ESPANOL: toward a typology of code-switching. Linguistics, 18, pp. 582-618.
Poza, L. (2017). Translanguaging: Definitions, implications, and further needs in burgeoning inquiry.
Berkeley Review of Education, 6(2), pp. 101-128.
Scotton, C. M. (1988). Codeswitching as indexical of social negotiation. In M. Heller (Ed.) Codeswitching:
村端 佳子
Anthropological and sociolinguistic perspective (pp. 151-186). Berlin: Mouton de Gruyter.
Tomasello, M. (2001). First steps toward usage-based theory of language acquisition. Cognitive Linguistics, 11, 61-82.
Yow, W. Q., Tan, J. S. H., and Flynn, S. (2017). Code-switching as a marker of linguistic competence in bilingual children. Bilingualism: Language and Cognition, 21(5), pp. 1075-1090.