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資料1および2を読んで、以下の問題に答えなさい。
問題1. 【資料1】の傍線部に示されているように、ダイバーシティ(多様性)を組織のなか で活かすことによって、企業経営においてどのような利点があるか、具体例を用いながら 400字以上500字以内で答えなさい。
問題2. 【資料2】は2019(令和元)年における年代ごとの人口の割合を示したものである。
この資料を参照し、それぞれの人口推移の変化を参考にしながら、ダイバーシティを尊重 した経営を実践することの将来的な展望について、自分の意見も含めて400字以上500字 以内で述べなさい。
【資料1】
ダイバーシティ(Diversity)とは直訳すると「多様性」といい、広義の意味においては、
多様な人々が共存・共生できる社会を創造するという理念を表す言葉です。
現在、ビジネスの現場において、このダイバーシティへの関心が急速に高まっています。
組織の中の多様性は多方面にわたって存在しています。個人を見ると、性別や年齢、国 籍、障害の有無といった目に見える違いだけでなく、宗教や慣習、価値観、考え方、性格 など目に見えない違いもあります。一方、組織の仕組みとして見ると、短時間勤務やフレ ックスタイム制といった働き方や正規・非正規という雇用形態の違いなどがあり、ダイバ ーシティは組織の様々なレベルで存在しています。私たちの組織は多様性にあふれている のです。(中略)
一人ひとりの違いを尊重しながら、組織の合意をつくり出すには時間がかかります。そ れぞれの立場や考え方、価値観の違い、利害関係などがぶつかり合うことで、時には激し い対立が起こったりします。またお互いに遠慮しすぎたり配慮をしすぎることで、なかな か物事が決まらないということも起こりがちです。そのため、効率性や生産性を重視する 組織は同一性を追求し、違いを排除しようとします。しかし、効率を追い求めた先に必ず 成果があるとは限らないのが今という時代です。多様性こそが、組織に新しい価値を生み 出す源泉でもあり、その対立を超えることで組織に一体感と強い推進力が生まれます。
2021年度
一般推薦入試(経営学部 経営学科)
小論文( 100 点・ 90 分)
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ダイバーシティは、解決すべき「問題」ではなく活かされるべき「強み」なのです。組 織が取り組むうえで大切なことは、一人ひとりの「個性」を活かすことで、どのような価 値が組織に生まれるのかを理解し、戦略を立て、多様性を新たな競争優位(注)に位置づける ことです。
(注)競争優位とは、ここでは「企業が競合他社から容易に模倣できない優位性を有してい る状態」を指しています。
[出典]荒金雅子著『多様性を活かすダイバーシティ経営(基礎編)』、日本規格協会、2013 年出版 p.16~24の一部を抜粋。
【資料2】年齢区分別人口の割合の推移(1950年~2019年)
[出典]総務省人口統計局人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)
「年齢区分別人口の割合の推移(1950年~2019年)」より引用。
(注)右のパーセンテージは、2019年の総人口において、15歳未満が12.1%、15歳以上~
64歳以下が59.5%、65歳以上が28.4%(そのうち75歳以上を占める割合が 14.7%)であ る。