第2学年1組 国語科学習指導案
指導者 1 単元名 続き話を作って発表会をしよう
『きつねのおきゃくさま』
2 単元について
(1)単元観
本単元は、学習指導要領の以下を受けて設定した。
低学年では、語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読できることが大切である。また、物語を 読んで、場面の様子や情景や場面の様子の変化、登場人物の性格や行動などの基本的な構成要素を理解し、
その様子を想像豊かにしながら読む力も身に付けていく必要がある。
『きつねのおきゃくさま』は繰り返し構造をもつ物語である。最初は、きつねにとってひよこたちは「え さ」としての存在であった。ひよこがきつねにたいして、「やさしい」「親切」「かみさまみたい」と評する 言葉を発展的に変化させ、そのたびにきつねの心は揺れ動く。あひる、うさぎと登場するにつれて、「えさ」
が「おきゃくさま」へと変化していく。そしてそれは、単なる「おきゃくさま」ではなくきつねにとって 守りたい存在になっていくのである。変化しながら展開が繰り返される物語構造は、昔話や絵本などに多 く取り入れられている。そのため、学習者にとっては先を予想しやすく展開がわかりやすい物語であり、
場面の様子について、登場人物の行動を想像しながら読む力を身に付けることができる教材である。
本単元を貫く言語活動として、「『きつねのおきゃくさま』続き発表会」を行うことを位置づけた。『きつ ねのおきゃくさま』の続き話を書き、クラスで発表する学習に発展させる。続き話を書くためには教材文 から登場人物の心情の変化を読み取る必要があり、お話作りの際の参考にさせたい。また、交流すること でそれぞれの友達の良さを見付け合うこともできるだろう。したがって、本単元でねらう上記の内容を実 現するためにふさわしい言語活動であると考えた。
(2)児童の実態
(3)指導観
本単元を通して児童に身につけさせたい力は、
第1学年及び第2学年
「C読むこと」
(1) 目標
書かれている事柄の順序や場面の様子などに気付いたり、想像を広げたりしながら読む能力を 身に付けさせるとともに、楽しんで読書しようとする態度を育てる。
(2) 内容
ア 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。
ウ 場面の様子について、登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこと。
オ 文章の内容と自分の経験とを結び付けて、自分の思いや考えをまとめ、発表し合うこと。
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」
(1)イ(ア) 言葉には、物事の内容を表す働きや、経験したことを伝える働きがあることに気付く こと。
(2)イ(カ) 文の中における主語と述語との関係に注意すること。
・語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読することができる。
・場面の様子について、登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むことができる。
・文章の内容と自分の経験とを結び付けて、自分の思いや考えをまとめ、発表し合うことができる。
・複数の本から自分が興味をもつ話を探し、本の世界を広げて読むことができる。
である。
児童は普段から、人に見てもらったりクラスで活動したりすることが好きである。一方、グループで活 動することを好み、全体の前で個人が主役になれる機会が少ないように感じる。そこで本単元の単元を貫 く言語活動として「『きつねのおきゃくさま』続き発表会」を設定した。場面ごとのきつねの心情を書きた めていき、最後に続き話を作って一冊の本を作成する。最後の続き話をクラスで読み聞かせ合うという活 動である。自分が作った話を友達に読み聞かせることは、丁寧な音読を意識することにつながると考えた ので、本を作成することにとどまらず読み聞かせ合うことも設定した。場面ごとにきつねの気持ちの変化 を味わいながら読んでいき、最後には想像を広げながら物語の中の気に入った言葉を使って続き話しを書 き、自分の思いや考えを表現して交流するのである。自分だけの一冊の本を作りそれをクラスで交流し合 うことは個人が主役となれる時間につながり、これらは大いに児童の学習意欲を高めるものだと考える。
お話を作る際に大切なきつねの心情が変化していくことを繰り返しのある言葉から着目させると同時に、
きつねが出てくる物語や繰り返しのある物語を並行読書として教室に置き、児童の興味・関心が高まった 際にいつでも手をのばせるような環境作りをしていき、自身のお話作りに生かしていきたい。このように 児童が見通しをもてるような単元構成を工夫し、学習意欲を高めれば、自分から進んで読むことができ、
確かな読みの力が育つだろう。(仮説1)
本教材は、繰り返される場面の中で、同じところや違うところはどこかを考えながら読み進めることが でき、その中で中心人物の心情が変化していくことがおもしろさの一つであると考える。そこで、前の場 面と比較して「前の場面と同じところ」「前の場面と違うところ」に着目させたい。たくさんある表現の中 からきつねの様子を中心に自分でそれらを見つけて書き抜き、物語を読み進めていく。それは、きつねの 気持ちの変化を読み取っていく上で大切な言葉(キーワード)となる。文章の意味をとらえながら読むこ とが苦手な児童でも、キーワードに着目することにより文章をとらえやすくなるのではないかと考えてい る。また、登場人物の気持ちの変化を読み取っていく際の支援方法として以下二つを挙げる。一つ目は、
登場人物の心情を書く際には吹き出しを使用することである。文字だけの世界で想像するよりも挿絵から 吹き出しがでている方が登場人物の心情に入り込みやすいと考えた。二つ目は、きつねの気持ちを一つの ハートに表して場面ごとに赤(三匹のことを思う心)青(三匹を食べたいと思う心)がどれくらいの割合 であるのか考えさせ、色塗りをしていくのである。自分の考えを文字で表すことが進まない児童でも色を 塗ることで、視覚的にきつねの気持ちをとらえさせ、場面ごとに変化していくきつねの気持ちを読み取っ ていけるようにする。続き話を書いていく際には、文章中の大切になる言葉や文、物語の中の気に入った 表現を探して書き抜くことも薦め、言葉を広げることができるようにしていく。話の続きを作る際に文章 中の言葉を書き抜く作業を取り入れるということは、理解したことをもとにしながら豊かに想像を広げる ことになり、本文からより理解を深めることができる。このように、物語の中の手がかりとなるキーワー ドに中心に学んでいけば、確かな読みの力が育つだろう。(仮説2)
3 目標
関心・意欲・態度 ・お話づくりに興味をもち、進んで文章を読もうとする。
・きつねの思いに関心をもち、進んできつねの気持ちを読み取ろうとする。
読むこと ・語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読することができる。
・場面の様子について、登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むことがで きる。
・文章の内容と自分の経験とを結び付けて、自分の思いや考えをまとめ、発表し
合うことができる。
伝統的な言語文化 ・言葉には、物事の内容を表す働きや、経験したことを伝える働きがあることに 気付くことができる。
4 指導計画(13時間扱い)
過程 学習内容と学習活動 支援(○)と評価(◎)(評価方法)
み と お す
(2)
・学習計画表を示しながら、単元全体の内容を 確かめ、学習への見通しをもつ。
・『きつねのおきゃくさま』続き発表会を開く ことを知る。
・『きつねのおきゃくさま』の読み聞かせを聞 き、あらすじをつかむ。
・心に残った場面を視写し、心に残った理由を 書く。
○学習したことを生かしてお話の続きを作成し て発表会を開くことを伝え、きつねの気持ち の変化を読み取る必要性を感じられるように する。
○読書活動推進補助教員と連携して本の紹介を する。
○正しく視写できたか確認するように言葉かけ をする。
◎場面の様子について、登場人物の行動を中心 に想像を広げながら読んでいる。(態度、ノー ト)
・心に残った場面とその理由を交流し、自分の 思いや考えを友達に伝える。
○視写した文章から心に残った理由を考え、ど の言葉に着目したか線を引き、発表できるよ うにする。
◎文章の内容と自分の経験とを結び付けて、自 分の思いや考えをまとめ、発表している。(態 度、発言)
ふ か め る
(7)
・繰り返しのある展開で物語が構成されている ことをとらえる。
○場面を比較し、同じ言葉を見つけて音読する。
◎語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて 音読している。(態度、発表)
・1の場面前半を読み、ひよこと出会って連れ て帰る時のきつねの気持ちを想像する。
○「はらぺこ」「やせているので考えた。太らせ てから食べようと。」「心の中でにやりとわら った。」という言葉に着目させ、きつねがひよ こをえさとして見ていることを印象づけられ るようにする。
◎場面の様子について、登場人物の行動を中心 にきつねの心の変化を読み取っている。(発 表・ワークシート)
・1の場面後半を読み、ひよこに「やさしい」
と言われた時のきつねの気持ちを想像する。
○「やさしい」という言葉がきっかけできつね の気持ちが変化していくことに気付くようつ なげる。
◎場面の様子について、登場人物の行動を中心 にきつねの心の変化を読み取っている。(発 表・ワークシート)
『きつねのおきゃくさま』続き発表会を開こう。
・2の場面を読み、ひよこに「親切」と言われ た時のきつねの様子を読み取り、気持ちを想 像する。
○「親切」「五回もつぶやいた」という言葉に着 目させ、きつねの気持ちの変化を読み取って いく。
○前時より、きつねの心の変化が大きくなって いることに気付けるようにする。
◎場面の様子について、登場人物の行動を中心 にきつねの心の変化を読み取っている。(発 表・ワークシート)
・3の場面を読み、「かみさまみたい」と言わ れた時のきつねの気持ちを想像する。
(本時7/13)
○「かみさまみたい」「きぜつしそうになった」
という言葉に着目させ、きつねの気持ちの変 化を読み取っていく。
○前時よりさらにきつねの心の変化が大きくな ったことに気付くようにする。
◎場面の様子について、登場人物の行動を中心 にきつねの心の変化を読み取っている。(発 表・ワークシート)
・4・5の場面を読み、おおかみと戦っている 時のきつねの様子や気持ちを想像する。
○「いや、まだいるぞ。きつねがいるぞ。」「ゆ うきがりんりんとわいてきた。」という言葉か ら、きつねがどんなに必死な思いでひよこた ちを守ろうとしたかを考えるよう示す。
○動作化を用い、激しい戦いの様子を想像しや すくする。
◎きつねとおおかみの戦いの激しさを想像し、
戦いの中でのきつねの気持ちを想像してい る。(発言・ワークシート)
・6・7の場面を読み、「はずかしそうにわら ってしんだ」時のきつねの気持ちを想像する。
○「わらってしんだ」という言葉から、きつね の想いを今までの場面を振り返りながら想像 するようにつなげる。
◎今までの場面を振り返りながら、きつねの心 の変化を読み取ることができる。(発表)
ま と め る
・ ひ ろ げ る
(4)
・お話の続きを書く。(2) ○感謝しているひよこたちはどのように生活を しているのか、死んでしまったきつねはどう しているかなど、のびのびと話の続きを書く こととする。
◎自分の想像したことも元に思いや考えをまと め、話の続きを書いている。(ワークシート)
・続き話を読み聞かせるための練習をする。 ○自分が特に伝えたい言葉を選び、音読記号を 用いながら練習するよう伝える。
◎語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて 音読している。(態度)
・自分が書いたお話を友達に読み聞かせる。 ○友達が考えたお話の面白いところ、よかった ところを中心に考えながら聞くように伝え る。
◎友達の考えたお話を聞いて、感想をもち、発 表している。(発言)
5 本時の目標(7/13)
(1) 目標
関心・意欲・態度 ・きつねの気持ちに関心をもち、進んで吹き出しにきつねの気持ちを書こ うとしている。
読む ・場面の様子について、登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むこ とができる。
伝統的な言語文化 ・文の中における主語と述語との関係に注意することができる。
(2) 準備物
学習計画表、3の場面の本文、ワークシート、きつねのお面
(3) 展開
時配 学習内容と学習活動 指導・支援(○)と個別対応の方法(☆)
評価(◎)
資料 2
3
8
7
1 学習計画表を確認し、今日の学習問 題を確認する。
2 3の場面を音読する。
3 新しい内容を読み取る。
・新しい登場人物やきつねの様子を教 科書から見つけ出し、ワークシート に書き込んで発表する。
「にげる気かな。」「うさぎ」
「かみさま。」「うっとりしてきぜつし そうになった」
「そうともかみさまみたい」
「ぼうっとなった。」
4 きつねの様子を表す言葉を確認し、
なぜ変化したのか考える。
「うっとりしてきぜつしそうになっ た。」
○教師も一緒に読み、音読を支援する。
☆机間指導し、読んでいる箇所を示す。
☆ワークシートを二種類用意し、自分の力 に合ったものを選べるようにする。
☆言葉を見つけられなかった児童が後か ら記入できるように、ワークシートを掲 示し発表に沿って言葉を記入していく。
○「にげる気かな。」という言葉から、そ の時のきつねの心の言葉も考えるよう 声をかける。
○「かみさまみたい」という言葉をキーワ ードにきつねの様子が変化したことを つかむ。
☆前時のワークシートと比較しながら変 化したキーワードを見つける。
☆「きぜつ」について理解が薄いようであ れば、動作化を取り入れる。
学習計画表
ワークシー ト
3の場めんの きつねの思いを 考えよう。
-2年 6-
13
7
5
5 評される言葉を聞き、うっとりして きぜつしそうになったきつねの気持 ちを吹き出しに書き、きつねのハート に色をぬる。
6 吹き出しやハートを発表する。
7 まとめとして音読を行い次時につ なげる。時間があれば全体に発表をす る。
◎言葉には、物事の内容を表す働きや、経 験したことを伝える働きがあることに 気付いている。(態度・発言)
○読み取ったことを元に、想像したことを 吹き出しに書くようにする。
○大切にしたい言葉に音読記号を用いる ように薦め、発表準備を行う。
○音読記号を書いた理由、きつねの気持ち が明確になるよう、声をかける。
☆考えがまとまらない児童には、キーワー ドを確認してハートに先に取り組ませ、
気持ちの変化が容易に表せられるよう にする。
☆書くことが進まない児童には、想いを聞 き出し、こちらで吹き出しに記述する。
◎場面の様子について、登場人物の行動を 中心に想像を広げながら読むことがで きている。(ワークシート)
○前場面でのハートと比較し、気持ちが変 化している様子を視覚的にわかるよう にする。
○学習したきつねの気持ちを想像しなが ら、音読するように声をかける。
○次の時間は、きつねとおおかみが戦う場 面を学習することを知らせ、見通しをも たせる。
◎文の中における主語と述語との関係に 注意しながら音読することができる。
(態度)
きつねのお 面
(4)板書計画
○
学3 の 場め ん の き つ ね の思 い を 考 え う 三 。
場 面 ワ ー ク シー ト の 拡大 音読
記 号
・ か み さ ま み た い だ な ん て う れ し いな
。
・ そ ん な こ と 生 ま れ て は じ め て 言 われ た よ。