第3学年1組 道徳学習指導案
1 主題名 内容項目名 きょう土をあいする心(内容項目番号4-(5))
(資料名「心の花たば」 (出典「みんなのどうとく」(学研))
2 主題設定の理由
(1)価値について
本主題は,学習指導要領の第3学年および第4学年の内容項目4-(5)「郷土の伝統と文化を 大切にし,郷土を愛する心をもつ。」を受けて設定したものである。これは,低学年の内容項目4
-(5)「郷土の文化や生活に愛着をもつ」を受け,さらに高学年の内容項目4-(7)「郷土や我 が国の伝統と文化を大切にし,先人の努力を知り,郷土や国を愛する心ももつ」へと発展していく。
自己の人間形成にとって,生まれ育った郷土は,自分のものの見方,考え方,感じ方等の基礎を 作り上げ,人間の生き方そのものに大きな影響を与えるものである。しかし,その大切な郷土,ま た自分の生活する地域との関わりは,近年薄くなってきているのが現実である。これは,個人だけ でなく,社会全体にとっても精神的な支えとなる一つの柱を失うことになる。
そこで,自分の郷土のよさや大切さを見直し,みんなで郷土を愛する心をもつことが社会全体の 幸福につながることに気づかせたいと考え,本主題を設定した。
(2)児童の実態について(男子14名 女子15名 計29名)
<実態調査>
1 あなたは白井市がすきですか。
はい…26人 ふつう…3人 いいえ…0人 2 白井市のよいところはどんなところでしょう。
・公園が多い(5人) ・お店が多い(4人)
・緑が多い(3人) ・なし園がたくさん(2人)
3 白井市のなおすところはどんなところでしょう。
・ない(18人) ・もっときれいに(1人) ・わからない(2人)
4 白井市に住む人たちのよいところはどんなところでしょう。
・やさしく親切(16人) ・あいさつをする(2人) ・わからない(4人)
5 白井市に住む人たちのなおすところはどんなところでしょう
・ない(14人) ・ゴミのポイ捨て(2人) ・わからない(6人)
6 あなたは白井市のために何かしていますか。
している…16人 していない…13人
①「している人」に聞きます。していることはどんなことですか。
・ゴミ拾い(12人) ・あいさつ(2人) ・困っている人に声かけ(1人)
②「していない人」に聞きます。していない理由を教えて下さい。
・何をすればよいかわからない(2人) ・ちょっと大変(1人)
・そこまでしなくて大丈夫(1人)
7 白井市はみなさんのふるさとになります。どんなふるさとにしていきたいですか。
・明るい(6人) ・自然いっぱい(5人) ・きれいな(4人)
・やさしい(3人) ・気持ちのよい(2人) ・楽しい(2人)
①そのために自分のしていきたいことを書きましょう。
・ゴミ拾い(4人) ・あいさつ(3人) ・自然を大切に(2人)
・人にやさしく(2人) ・わからない(2人)
8 白井市に住む人たちはどんな人たちであってほしいですか。
・やさしい(17人) ・明るく元気(5人) ・悪いことをしない(2人)
9 あなたはこの白井市に長く住みたいですか。
はい…29人 いいえ…0人 その理由を教えて下さい。
・家族や友だちがいるから(6人) ・好きだから(5人)
・やさしい人が多いから(3人) ・自分のふるさとだから(2人)
本学級の児童は,明るく,素直な子が多い。また,何にでも前向きにがんばっていこうとしてい る姿も見られる。
3年生になると,自分を取り巻く地域との関わりがより豊かになる。新しい教科である社会科で は,「わたしのまち みんなのまち」の学習から始まり,学校のまわり探検で,低学年の時とは違 った地区の探検をした。それをきっかけに,行動範囲が広まり,自分の家の近くではない場所のよ さを見つけることができた。その後,白井市についても学習し,白井市には自分たちの知らない建 物や施設,自然がたくさんあることなど,いろいろな発見をすることができた。そして,白井市の ことがさらに好きになり,もっと知りたいという意欲が高まった。
実態調査結果からも,白井市には豊かな自然があり,全国的にも自慢できる特産物である梨を作 っていることに誇りをもてたことから,自然を大切にしたいとの考えが見られた。また,人的環境 においても,とても良好で,日常より温かく子どもたちを見守ってくれている地域の方々の姿が浮 かんでくる。ただ,その「ふるさと白井」をさらによくするために,自分には何ができるのかとい うことになると,3年生という発達段階からしてみても,まだそこまで考えが及ばない児童が多い。
そこで,子ども達が白井のことをもっと好きになり,ふるさととしてかけがえのない場所として心 の支えとなり,そのうえで,自分たちのできることを考えられるようにしていきたい。
(3)資料について
本資料は,一人のおじいさんが,石だらけの町に花を咲かせようと種をまく。一人の女の子だけ が一緒にまいてくれたが,町中の人は誰もが無理だと思っていた。ところが,暖かい春の日,おじ いさんのまいた種が芽を出し,次々に花を咲かせた。そして,石だらけの町が花いっぱいになった。
花は枯れ,おじいさんが亡くなった後,その次の春にも花は町に咲いた。町の人々は,おじいさん のことを思い出し,自ら種をまき,町中を花でいっぱいにした。それは,おじいさんの大きな大き な心の花束のようであった,という内容である。
一人のおじいさんの,石だらけの町を花いっぱいの町に変えたいと努力する郷土への思いや郷土 の温かさに触れさせていきたい。
(4)指導観
本資料では,一人のおじいさんが石の町から花いっぱいの町へ変えていく過程と,その結果をど のように印象づけていくかがポイントになる。そこで,一人に1つの花束をぬり絵などによって描 かせ,石だらけの町をみんなで花いっぱいの町に変えるといった作業を取り入れ,その喜びを少し でも味わえるようにしていきたい。ふるさとは,そこに住む人々の意識でどんどん変えられるとい うこと,そのためには一人ではなくみんなの力が結集すればさらにすばらしくなっていくというこ とを実感させ,郷土をよりよくしていこうとする実践力を育んでいきたい。また,終末部で,地域 で活動し日頃からお世話になっている地域の方をゲストティーチャーとして,町を思う気持ちや活 動について語ってもらうことにより,知らなかった地域のよさや住む人の思いの大切さについて理 解し,自分も何ができるか考えさせるきっかけとしたい。
3 仮説との関連
仮説1 資料を有効に活用し,取り入れる工夫
導入部では,実際に子ども達のふるさとである白井の写真を掲示し,地域に焦点を当てて考 えられるようにする。終末部では,ゲストティーチャーを活用し,地域に生きる自分の,地域 に対する関わりや思いを振り返ることで,郷土を大切にしていこうとする思いを深められるよ うにする。また本資料は,元々,絵本によるものなので,絵の美しさと物語性によって子ども 達に問いかけていく。その方法としては,町を描いた一枚絵を貼り紙にしていき,パネルシア ター的に資料を提示し,おじいさんの喜びや町の人々の変化にも注目させていく。
仮説2 話し合いに主体的に参加できる工夫
実態調査や授業中のワークシートの記述から,特徴的な考えを見とって,意図的な指名をし,
話し合いに広がりをもたせていく。
仮説3 自分の思いを明確にするための,書く活動の工夫
町が花いっぱいになったことと,町の人たちも喜んでくれていることを見て,これからも町 を大切にしていこうとする愛着をおじいさんに託して考えられるよう,おじいさんの思いを吹 き出しにしたワークシートを活用する。
4 本時の指導
(1)ねらい
郷土のよさを見つめ,自分の暮らす郷土を愛し,よりよくしていこうとする心を育てる。
(2)展開
過程 時配 学習活動(○) 主たる発問(◎) 支援及び指導上の留意点 資料 予想される児童の反応
導 5 1 白井市の写真を見ながら,「ふるさと」 ・学校や家庭よりも,もう少し広い について話し合う。 生活の場としての地域に焦点を当
・生まれ育ったところ。 てて考えさせる。
入 ・家や大きなお店がある。 ・今住んでいるところ,温かく迎え
・自然がたくさんある。 てくれるところが「ふるさと」で あることを押さえる。
5 2 資料「心の花たば」の登場人物・状況 ・登場人物の挿絵や大きな石だらけ 石だら 展 について知り,読み聞かせを聞く。 の町の絵を貼り,状況をイメージ けの町
しやすくする。 の絵
開 20 3 主人公「おじいさん」の気持ちを中心 に話し合う。
○おじいさんは,どんな気持ちで町のいろ ・「花なんて育つわけがない」など いろな所に花の種をまいたのでしょう。 と町の人から言われながらも,町
・この町は石だらけで寂しい。 に花をいっぱい咲かせたいと願っ
・今は石ばかりだけど,きっときれいな て自分のできることをしようとす
花が咲く。 るおじいさんの思いを考えさせ
・花いっぱいになれば,町が明るくなり, る。
みんながうれしい気持ちになるだろ ・黒板に貼った石だらけの町の絵 一鉢の
う。 に,おじいさんが見つけた一鉢の 花の絵
・町のために何かしたい。 花を貼り,花いっぱいになること でみんなの心が明るくなることを 感じさせる。
◎春,花でいっぱいになった町を見て,お ・自分の願いがかない,花でいっぱ ワーク じいさんはどんな気持ちになったのでし いになった喜びや町の人々の変化 シート
ょう。 に注目させ,おじいさんも町の人
・きれいな花が咲いてよかった。 々も幸せな気分になっていること
・とても気持ちがいい。町がきれいにな に気づかせる。
ってよかった。 ・町が花いっぱいになったことと,
・石だらけの町よりずっといい。幸せな 町の人たちも喜んでくれているこ
気持ちだ。 とを見て,これからも町を大切に
・「だめだ。」と言ってくれた人も喜んで していこうとする愛着をおじいさ くれて嬉しい。 んに託して考えさせる。
○おじいさんの夢がかなった町を見て,町 ・みんなのちょっとした努力が町を の人たちは今何を思っているでしょう。 よくし,みんなが幸せな気持ちで
・おじいさんもこのきれいな町を見た 生活できることに気づかせる。
ら,きっと喜ぶに違いない。 ・郷土に対する愛着とこれからもそ
・花がいっぱいになってとてもすてきな れを大切にしていこうとする思い 町になった。 を町の人に託して考えさせる。
・おじいさん一人の手でここまで来たの ・事前に印刷しておいた一本の花の 一本の だから,みんなでやればもっと良くな 絵を石だらけの町に貼り,町中を 花 る。続けていこう。 花いっぱいにすることで,みんな
が協力することの大切さと気持ち のよさを味わわせる。
5 4 自分たちも「ふるさと白井」をもっと ・人と人とのつながりなどにも注目 よくするために,何かできることはない させる。
だろうか。 ・地域に生きる自分の,地域に対す
・あいさつをする。 る関わりや思いを振り返ること
・ゴミ拾いをする。 で,郷土を大切にしていこうとす
・花を植える。 る思いを深められるようにする。
終 10 5 郷土のよさについて,ゲストティーチ ・地域のために活動している交通ボ ャーの話を聞く。 ランティアさんの郷土を大切にし
末 ていこうとする思いを話してもら
う。
・自分たちの住む地域を,これから ワーク も大切にしていこうとする気持ち シート を自分の言葉でまとめる。
(3)板書計画
たねをまいた
・ 赤
い 出 め 早 い 石
次 お い る が く 花 木 が
の じ な と を 石 も き
年 い 見 お の 草 と
も, さ て じ 山 も 石
そ ん い の な だ
の の さ よ い ん
次 ゆ ん う の
の め は な 町
年 が ひ 町
も か っ
な こ
っ し
た て
き た
・ ・ っ よ い を た 出 め た か て ま ね た が
5 他の教育活動との関連
社会科の「わたしのまち みんなのまち」で,学校のまわりの様子や土地の使われ方について調べ,
自分の住んでいる地域を学習してきた。また,市内めぐりを行い,白井市の特徴についても学習を進め ている。この学習を通して,白井市のことがさらに好きになり,もっと知りたいと高まった意欲を本時 の学習につなげていく。また,授業後,自分たちの住む地域のよいところや直していきたいところを掲 示するコーナーを作り,地域への意識を高めていく。
心の花たば
・おじいさん,ありがとう。・おじいさんもよろこんでいるだろう。・花いっぱいになった。つづけていこう。