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2004 年度 上智大学経済学部経営学科網倉ゼミナール卒業論文

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2004 年度

上智大学経済学部経営学科網倉ゼミナール卒業論文

−フリーペーパーの利益とは−

−インターネットとの親和性−

A0141215    川口正規 提出年月日  2005年1月14日

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卒業論文目次

素朴な疑問

フリーペーパーの定義 フリーペーパーの歴史 フリーペーパーの現状

フリーペーパーのメリット・デメリット (1) 読者のメリット・デメリット (2) 出版社のメリット・デメリット

(3) 広告主(スポンサー)におけるメリット・デメリット

(4) )設置店・配布する人のメリット・デメリット

フリーペーパーとインターネットの連動

−調査

−調査対象

−ポイントのつけ方と理由

−調査結果

−インターネットとの連動において特徴的なフリーペーパー

① F*mode

② R25

③ ステナイデ

−フリーペーパーとインターネットの連動まとめ これからのフリーペーパー

まとめと感想 参考文献

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素朴な疑問

価格が0円、つまり無料の雑誌フリーペーパーがブームを呼んでいる。「R25」などの人気フリ ーペーパーにもなると、配布日の夕方にはすべて配布されてしまうなどの現象がおきている。な ぜここまでフリーペーパーは人気を集めたのか、また消費者にとって無料だが、それで出版社や 配布スペースを提供する小売店にメリットはあるのか、などの疑問を解明していきたいと思う。

フリーペーパーの定義

そもそもフリーペーパーとはいったいどのようなものをさすのか、無料で配られればすべてフリ ーペーパーとなるのか、チラシとはどう違うのかといった疑問が生じました。

JAFNA(日本生活情報紙協会)の定義では、フリーペーパーとは、「特定の読者を狙い、無料で 配布するか到達させる定期発行の地域生活情報紙で、イベント、タウン、ショップ、求人求職、

住宅・不動産、グルメ・飲食店、ショッピング、演劇、エステ・美容、レジャー・旅行、各種教 室など多岐にわたる生活情報を記事と広告で伝える」となっています。

しかしながらこの定義をそのまま、この論文のフリーペーパーの定義として受け入れることはで きない。なぜならば「R25」や「TOKYO HEADLINE」などの情報誌では地域生活情報ではな く大衆情報をメインにしているのである。その証拠にR25のホームページ(http://www.r25.jp/)

の中の広告掲載のページに掲載企業の対象として「自動車メーカー、AV・家電メーカー、携帯 キャリア、飲料メーカーなどに代表される大手企業」と明記してある。

この論文の卒論定義は「特定の読者を狙い、無料で発行される情報誌」としたい。

またチラシとの違いとしては、チラシにおいてはスポンサーと発行主体が同じである。ゆえに第 三者の編集がはいっていない記事が載っている。一方フリーペーパーはスポンサーと発行主体が 異なるため、編集作業が伴う。そこがチラシとの違いといえよう。

フリーペーパーの歴史

フリーペーパーの発展を知る上で欠かせないがどのように発展してきたかである。「巨大なミ ニメディア the フリーペーパー」によると、日本最初のフリーペーパーは昭和35年の「The Key」である。これは日本住宅公団の入居者約6万人を対象に住民・自治会の協力によって発行 されたフリーペーパーである。その後、セグメンテーションを団地に絞った団地新聞が続々と創 刊された。団地新聞が団地の主婦に支持を得てフリーペーパー初期の発展の礎となったのである。

そして、その後フリーペーパーは新聞と結びついて発展を遂げた。「週刊折り込みニュース」

ではブランケット版の大きさ紙面の表にはスーパーのちらし、裏に生活ニュースという形態で四 大新聞に折り込まれた。また「フジサンケイリビング」は産経新聞社から発刊され、その後大き な発展を遂げフリーペーパーとして世界有数の発行部数を誇るフリーペーパーとなった。他にも 中日新聞から「ショッパー」、東京新聞から「東京新聞TODAY」も発行された。

  1959年に団地新聞として、初めてフリーペーパーが発行されて以来、フリーペーパーには

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3度の群発期を迎えている。下図はフリーペーパーの出版部数と群発期を表したグラフである。

第一次は1971年から1975年である。当時は、大手スーパーの売り上げが百貨店の総売り 上げを上回り、この大手スーパーはチラシと競合するフリーペーパーの大きなスポンサーとなり、

これを背景に多くのフリーペーパーが産声を上げた。第二次は1982年か1983年である。

この時期は公害、自然破壊などの高度経済成長のひずみが顕著に現れ始めた時代である。人々の 価値観は外から内に求めるようになり、趣味や個性が尊重されそのような情報誌やカタログ誌が ブームとなり、生活情報に重点を置いたフリーペーパーがブームの一翼を担った。第三次群発期 は1997年から2000年にかけてである。この時期は長引く不況とともに、ハードウェアの 進歩によって未経験者が簡単にフリーペーパーの作成に携わることができ、それに伴い多くのフ リーペーパーが誕生した。

新・生活情報誌フリーペーパーより出典 この三回の群発期の特徴は三つが挙げられる。

(1) 経済の不安要素

(2) 人々の価値観が外側から内向きへの変化

(3) 消費者のダイレクトな情報の需要

(1)に関しては第一次ではオイルショック、第二次ではGDPが過去二番目(2.8%)の低さに加え企 業倒産数が当時過去最高であった。第三次でもバブル崩壊後とともに経済の不安要素がフリーペ ーパーの需要を喚起していたといえよう。

(2)に関しては経済の不安要素が人々の嗜好の変化となり内面の充実が重視されるようになり生 活情報などを取り上げたフリーペーパーの需要へとつながった。

(3)に関しては(2)に関連して内面の充実を人々が求めるようになると情報もマスからコアへ と変化していくようになり、それがフリーペーパーの特性と合致したといえよう。

フリーペーパーの現状

前章ではフリーペーパーの歴史について述べたが現在のフリーペーパーの状況についてこの章 では述べていく。JAFNAの2003年の調査によると現在フリーペーパーは全国で約1150誌、

約225,000,000部が発行されている。

また都道府県別で見ていくとやはり人口の集中している東京都が約半数近くの 105,000,000 部 発行されている。これはフリーペーパーの無料という特性上、多くの人にリーチさせなければな

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らないためこのような結果になるのは必然であろう。一世帯あたりの発行部数を見ても、全国平 均約4.7部に対し、一位の東京は18,94部と特出しており、以下奈良県、神奈川県、大阪府、千 葉県、愛知県と続いている。

リクルートなどの大企業もフリーペーパービジネスを収益の柱としている。2003年度の決算に おいて、「Hot pepper」を主とした狭域ディビジョンカンパニーの営業収益が全体の営業利益の 約15%に及び、前年比約30%増となった。Hot pepperは49エリア538万部を誇るクーポン型 のフリーペーパーである。

このようにフリーペーパーは現在非常にはやっており、これ流れは当分続くであろう。

フリーペーパーのメリット・デメリット

この章ではフリーペーパーによって誰が、どのように利益を得ているのか、またその逆の不利益 をこうむっているのかを明らかにしたいと思う。それを解明する上で、フリーペーパーに携わる 人々(消費者も含め)のカテゴリーを以下の4種類に分けて解明していきたいと思う。

(1)読者の利益・不利益 (2)出版社の利益・不利益

(3)広告主(スポンサー)の利益・不利益 (4)設置店、配布する人々の利益・不利益

(1)読者のメリット・デメリット メリット

①  読者の利益はなにより価格が無料であることが一番の利益であろう。金銭的な負担を得るこ となく、自分の求める記事を得ることをできるのは大きな利益になるであろう。

②  クーポン誌や求人広告誌の場合、読者に金銭的メリットが生じる。クーポン誌の場合、クー ポンを持っていけば割引されるし、求人広告誌であれば仕事を探すことができるのである。

デメリット

①  無料である故に、広告が多く感じることがある。

②  ラックで配布しているフリーペーパーの場合入手場所の特定や認識が困難であり、求めるフ リーペーパーを容易に手に入れるのが困難である。そのため入手が偶然の出会いにしか依存 できないフリーペーパーの場合もあるであろう。

③  配布方法が個別訪問による配達や新聞の折り込みなどに含まれている場合、そのフリーペー パーを求めていない場合、ただのごみでしかないわけだから不快に感じるであろう。

(2)出版社のメリット・デメリット メリット

①  無料にすることによって、より多くの人々に手に入れてもらうことができる。多くの人の目

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に触れることによって自社の宣伝にもなるのである。

②  無料であるが故に、独自の配布ルートを敷くことができる。有料雑誌の場合書店やコンビニ など限られた場所でしか販売ができない。一方フリーペーパーの場合、配布スペース許可さ えもらえれば、どこでも配布することができる。そのため、ファーストフード店や書店以外 の個人商店といった有料誌ではほぼ不可能な場所でフリーペーパーを配布することができ る。

③  後に述べるが、フリーペーパーはデジタルと連動しやすいのである。インターネットや携帯 電話の普及によってデジタルと連動しやすくなった。フリーペーパーはうまくの特性を利用 して顧客の動向などをつかんでいるのである。

デメリット

①  当然ではあるが、無料であるため販売収入がまったく得られない。一般に有料誌の場合総収 入のうち2割から3割が販売収入で占められているため、それが抜け落ちるのは出版社とし ても痛手である。

②  ただであるため信頼性というものがかけているのである。私もそうであったが hot pepper などの雑誌に出会う前は、フリーペーパーに対して偏見があり、安かろう、悪かろうのイメ ージがあった。この論文でデータを引用している、JAFNAの設立目的の一つにフリーペーパ ー・フリーマガジン=生活情報紙誌の信頼性と社会的存在価値を高める、とあるようにフリーペーパ ーには信頼性にかける部分があるのである。ただ現在では以前のような著しい偏見も減り信頼性は高 まってきているといえよう。

(3)広告主(スポンサー)におけるメリット・デメリット メリット

①  フリーペーパーは特定の読者(嗜好性、居住区、収入、年齢等)に絞ったセグメンテーションをする ため、広告主としてはどの雑誌に広告を載せればいいか考慮しやすく、効果的な広告をうつことがで きる。

②  有料誌に比べ広告料が安い。Hot pepperでさえ広告掲載料は数万円ですむ地区もある。

③  クーポン誌や求人誌の場合、費用対効果が目に見えてわかる。

デメリット

①  同地区の競合店も一緒に掲載されることが多いため価格競争になりやすい。

②  配布方法が個別配達や新聞の折り込みで配達されるフリーペーパーの場合チラシに埋もれて、読まれ ずに捨てられ、無駄に多くの広告費を払っていることがある。

(4)設置店・配布する人のメリット・デメリット メリット

①  フリーペーパーを設置することによって客寄せになる。

②  店舗やフリーペーパーの種類によっては出版社側からキックバックがあることもある。

デメリット

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①  販売スペースを削って配布スペースを置くため機会ロスをすることになる。雑誌を置いて販売するほ うが小売店としては金銭的メリット大きいと思われる。

②  フリーペーパーによっては配送コストを、配布する側が持つ場合もある。その場合明らかな金銭的な ロスが生じる。

以上のように、それぞれにフリーペーパー利益、不利益が生じていることになる。やはりもっと も顕著な特徴として、無料であることがメリット・デメリットの大きな原因になっている。

また配達手段の、多様性にも注目できる。無料であるがゆえにさまざまな方法で消費者に届けら れる。それゆえに、出版社側としても多く部数を裁けるし、広告の効果も大きくなるのである。

フリーペーパーとインターネットの連動

現在におけるフリーペーパーが発展したひとつの理由として、不況のあおりを受け、収入の減少 というのがあったが、それに伴い無料で利用できるコンテンツが増えた。その特徴的な発展を遂 げたのがインターネットである。http://pcweb.mycom.co.jp/photo/news/2004/04/14/008l.jpgか らの引用であるが、下図は日本のインターネット普及率の増加である。

2003年末でネット普及率は60%越えている。ネット人口の増加に伴い、コンテンツの充実した ホームページが無料であるサイトも増えた。同じく無料のコンテンツを提供している、フリーペ ーパーとの連動で顧客を巧みに引き込んでいるである。一般的にフリーペーパーとインターネッ トの親和性は高いといわれている。その理由は後に詳しく説明するが記事などを載せやすくホー ムページのコンテンツを載せやすいからである。またバナー広告などを載せることによって収入 も得ているのである。

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リクルートは「ホットペッパー.jp」としてインターネットサービスを2005年4月22日より開 始すると発表した。これもリクルートがフリーペーパーとインターネットの重要性をみなおし、

ホットペッパーの更なる発展を願ってのことだろう。これは読者としてもうれしいことである。

一度ホットペッパーで読んだ記事の店のクーポンを持ち歩かなくても、携帯電話などを通じてク ーポンを得るとこができ、消費者、広告主両方の機会損失を防ぐことができるのである。他のク ーポン誌ではこのようなサービスを引いているところもあるが、大企業であるリクルートがこの ようなサービスを提供することによってこの流れはいっそう加速していくだろう。

ではいったいどの程度、フリーペーパーとインターネットが連動していたか検証してみる。

<調査>

調査対象のフリーペーパーのホームページがあったらそこにアクセスをし、コンテンツ毎にポイ ントつけどの程度インターネットと連動しているかを見る。

<調査対象>

ホームページ、フリーペーパーナビ(http://www.pointrag.co.jp/index.shtml)に載っている関 東圏、大阪、愛知、福岡のフリーペーパー計84誌(産経リビングやホットペッパー等の多くの 地域で発行されているフリーペーパーは一誌とカウントする。)

<ポイントのつけ方と理由>

ホームページがある(1点):インターネットの連動に最低限の必要条件。

そのフリーペーパーに関連した記事や情報が載っている(1点):それに関連した記事が載ってい ることで連動することができる。

そのホームページに有料のコンテンツや会員登録するコンテンツがある(1点):顧客情報をつか み、また収益源とする。

そのホームページにバナーがある(1点):それだけアクセスがある証明になり、収入源となる。

アンケートや読者プレゼントをホームページ上で行っている(1点):読者のレスポンスや、マー ケティングをしている。

以上5点満点で検証する。

<調査結果>

まず項目ごとの掲載率は以下のとおりである。

ホームページの 有無

記事や情報の掲 載率

有料コンテンツ や会員登録の

有無

バナー広告の 有無

アンケートや プレゼントの

有無

89% 68% 32% 40% 27%

そして雑誌ごとのポイントの分布は以下のグラフのとおりである。

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合計ポイント分布

9

16

12

21

17

9

0 5 10 15 20 25

0 1 2 3 4 5

点数 冊

以上のような結果となった。まずホームページのあるフリーペーパーが約 90%に上った。また 雑誌の記事や雑誌の情報を掲載しているホームページも約 70%あった。これはフリーペーパー とインターネットが深く結びついていることの証明ともいえよう。有料雑誌では記事の内容を載 せることはその雑誌の購買意欲をそぐような結果につながるため非常に困難である。しかしなが らフリーペーパーはもともと記事自体が無料で提供されているのでホームページ上に載せるこ とが容易であるのだろう。また筆者が調べていく中で、感じたことはフリーペーパーの中に載っ ていた店舗のホームページのリンクをつけたり、記事の裏話をホームページ上に載せたりするこ とによって、うまくフリーペーパーとインターネットを補完しあっているホームページが多く存 在していた。

有料コンテンツや会員登録を行っているフリーペーパーや、アンケートやプレゼントによって読 者の動向やレスポンスを計っているフリーペーパーがともに約 30%ずつあった。数値的にはあ まり高い数字とはいえないが、これを元にフリーペーパーにフィードバックをしている、フリー ペーパーが少なくはないということである。

総合得点で、一点以下のフリーペーパーはホームページを持たなかったり、会社情報の出版物の コーナーに雑誌の概要が書いてあるだけのページだったりと、インターネットとの依存性がまっ たく見られなかったフリーペーパーである。こういったフリーペーパーが30%あった。

また、4点以上の雑誌も30%あった。これらの高得点のフリーペーパーは非常に凝ったつくりの ホームページが多く、そのホームページだけでも十分楽しめる内容のものがほとんどであった。

他にも点数では 3 点だが、そのフリーペーパーの魅力を十分に伝えるような内容になっている ものも多く見られた。

<インターネットとの連動において特徴的なフリーペーパー>

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インターネットとフリーペーパーの連動においての連動において特徴的なフリーペーパーをい くつか紹介していきたいと思う。

①F*mode

まず一つ目は「F*mode」である。このフリーペーパーは季節に合わせ年 4 回のフリーペーパ ーであり、発行部数は2003年現在16万8000部である。全国のセレクトショップの店頭を主 に配布されている。もともと、このフリーペーパーはドコモ初の公式サイトとして誕生した 20 代女性向けファッションサイトF*modeのクロスメディア展開の一環として市販発行されてい た「Fashion Style Magazine F*mode」を廃刊しフリーペーパーとして生まれ変わった雑誌である。

F*modeの特徴の一つはオールカラー160ページでビームス・シェルといった人気セレクトショ

ップのアイテムを毎号1000点前後掲載する、フリーペーパーとは思えないクオリティーの高 さがあげられる。

そして、もう一つが他に例を見ないクロスメディアミクス展開を行っていることである。F*

modeではインターネットの他に、一般ユーザー向けのファッションショーを行ったり CS放送 で本格的ファッション番組を組んだりしているのである。本題である、インターネットのメディ アミクスでは、パソコンを使うのではなく、携帯電話のブラウザー機能を利用した、モバイルメ ディアミクスを展開しているのである。

F*modeの携帯用インターネットサイトはキャリア3社すべての公式サイトとして登録されて おり、現在500万PVで、有料会員登録者数が15万人を超えるサイトとなっている。その際と の内容としては、フリーペーパーに載っていたアイテムを掲載し、ネットショッピングを通じて 販売し、オリジナルのコラムを随時アップロードし人気を集めている。

F*modeのクロスメディアミクス展開を図に表すと以下のようなものになる。

基本的にはインターネットサイトF*modeを中心として、それを取り巻くメディアの中にフリ ーペーパーやCS放送、その他のメディアを使っているのである。最終的にF*modeの狙いと してはインターネットサイトF*modeの新たな顧客を獲得し、そこのサイトでインタネットシ

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ョッピングや有料会員登録をしてもらうのが最終的な目的となっている。上図のような有機的な つながりを持つことによって20代女性を取り巻くファッションを取り囲み戦略を行って発展を 図っているのである。フリーペーパーも顧客獲得のための手段の一環なのである。

②R25

R25はフリーペーパーナビに載っていたため、調査対象の一誌に入っている。得点は 4点であ った。ホームページ(http://www.r25.jp/)があり、インタビュー記事と編集裏話、バナー広告、ア ンケートと読者プレゼントが載っているが、有料サイトや会員登録がないため、4点になった。

R25 のホームページで特徴的なのは、誌上のテーマ等に対してインターネット上で巧みに読者 の感想や意見を取り込んだりしているところである。まず読者プレゼントのページでは個人情報 の他に記事の感想や表紙で目に引いた記事はどれか等を必須項目として課し、掲載した広告の消 費者行動調査まで行っているのである。これは、インターネットを通じて、記事のコンテンツの 向上、読者層の把握、そして載せた広告に対しての読者のレスポンスをはかろうとしているので ある。

もう一つの特徴としてはR25のホームページがblog形式をとってあり、R25のことをのせた、

blogに対してのトラックバックがR25のホームページから見られるのである。もちろんこのト ラックバックにR25に対して好意的な内容ばかりではなく辛辣な意見も載っているがそれもト ラックバックとして載せているのである。これも、読者の反応をみて、それをフリーペーパーの 質の向上を図る目的でこのようなことをしているのであろう。

③ステナイデ

「ステナイデ」は一見奇妙な雑誌名であるがこの雑誌はインターネットをマーケティングの対象 として積極的に活用しているフリーペーパーの一つである。このフリーペーパーは東京を中心と し、約5万部配布しているフリーペーパーである。

まずこのフリーペーパーの最大の特徴は、すべての記事、広告に下のような4桁の番号が小さく ついているのである。これは「え・らんでナンバー」と名付けられており、読者がプレゼントに 応募するときに気に入った広告、記事のナンバーを入力してプレゼントに応募するのである。同 誌を発行するサンサクセス社ではこのえ・らんでナンバーを「消費者・ユーザーの声をダイレク トに調査する新しい発想のマーケティングナンバー」と、紹介しているのである。

この雑誌がマーケティングを行っている一例をあげると、映画紹介のページがある。約7〜8本 の映画が紹介されているのである。その一本一本にえ・らんでナンバーがつけられており、これ を読者がプレゼントに応募するときにこのナンバーをつかって読者はいいと思った映画に投票 し、その理由を選択肢から選ぶのである。こうすることによって、サンサクセス社ではどの映画 に人気が集まっているのか、容易にわかるのである。もしこの記事が映画配給会社によって依頼 されていた記事ならば、配給会社は事前にどの映画にどの程度興行収入を見込めるかなど、ある 程度予測できる材料となるのである。

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このようにステナイデにおいてインターネットはマーケティングの手段として活用されている のである。

<フリーペーパーとインターネットの連動まとめ>

特徴的なフリーペーパー三つ挙げたが、他にもフリーペーパーとインターネットの連動でフリー ペーパーの質の向上や顧客の囲い込みを行っているところが多くある。このフリーペーパーのイ ンターネットとの連動の流れは、インターネット人口が増えていくことが考えられるため、今後 更なる発展を遂げていくと考えられる。

これからのフリーペーパー

これまでフリーペーパーの特徴など現在のことについて語ってきたが、今後フリーペーパーはど のようになっていくかを予測、検証していきたいと思う。

現在フリーペーパーは以前に比べ人々の間で認知が高まり、浸透してきている。2004年9月 の「IT media survey」の調査でも月1冊以上フリーペーパーを読む人が75.9%で、2,3年前 よりもフリーペーパーを取る機会が多くなった人が 38.7%にのぼっている。私自身、昔はフリ ーペーパーを読むことなど、数年前まではほとんどなかったが、今ではR25を見つければとる し、いくつか好みのフリーペーパーを街中で見かければ取っていくのが習慣となっている。これ は研究のためではなく、純粋に読む分量が電車乗っている時間にちょうどいい分量になっていて、

いい暇つぶしになるからであるし、読んでいて楽しいからである。

これはフリーペーパーを製作する側にとって、非常に好都合である。多くの人に認知され印象が よくなることがそのまま出版部数の増加につながり、フリーペーパーのスポンサーをつけるのが 容易になり、質のよいフリーペーパーが作りやすくなるからである。そうすることによってさら に印象がよくなり、また顧客が増えるといった、好循環ができる。

全体としてフリーペーパー業界は伸びていくであろうが、個々のフリーペーパーにとってそれが、

プラスになるとは限らないのである。まず、現在フリーペーパーは競争の激しい業界になってき ている。今多くの店でフリーペーパーを配っている光景を目にするのであるが、やはりあまり魅 力的でないフリーペーパーはラックに多く残っているのである。ただだから、質が悪くても仕方 ないといった考えが消費者側にとって薄くなってきている。R25 のようにただでも楽しいもの を消費者は求め、質の低いフリーペーパーは撤退を余儀なくされるようになってきている。

また競争が激しくなるにつれて、ニッチな人々をターゲットにしたフリーペーパーが増えてきて いる。転職用求人広告のフリーペーパーやいわゆる秋葉系の人々をターゲットにしたフリーペー

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パーなどきわめて狭い範囲をターゲットにしたフリーペーパーが誕生してきている。しかしなが ら個人的な意見として、こういったフリーペーパーが生き残り、出版し続けていくのは非常に困 難であると考えられる。なぜならフリーペーパーは読者が金銭的負担を受けない代わりに、スポ ンサーが全額出資して広告を載せるのである。そのため、スポンサー側としては多くの人に見て もらえたほうが明らかに出資するインセンティブが高いのである。しかしながらこういった、フ リーペーパーはターゲットの人数が相対的に少ないため、配布量がどうしても限定されるのであ る。こうなってくると、広告を載せるインセンティブが少なくなり経営が成り立たなくなってし まう。東京駅の京葉線に通じる通路や新宿駅の地下通路で転職用求人広告のフリーペーパーがお いてあるのだが、いつも毎号ほとんどとられている形跡がないのである。フリーペーパーは多く 読まれなければいけない宿命を持っているのでこういったフリーペーパーは立ち行かなくなる であろう。ただ、ニッチのフリーペーパーでも、ターゲットの特性に消費性向が高く、そのフリ ーペーパーを見る人が少なくても、費用対効果が高くなるようであれば、ビジネスモデルとして 成り立つだろう。先ほどあげた、秋葉系をターゲットにしたフリーペーパーはビジネスモデルと して成り立つのかもしれないと多少は感じるのである。私は秋葉系の人々のことはよくわからな いが、秋葉原の人々の荷物や報道される人々を見ていると、自分たちの熱中したものにはお金に 糸目をつけない消費性向の強い人々に感じられる。そうなると、見る人の絶対数が少なくとも、

費用対効果が大きく広告主としては魅力的な媒体にうつるかもしれないからである。

話は変わるがリクルートのFromAが200円から100円に値下げしたのを皮切りに、他の有 料求人広告誌も追随して100円に値下げをした。これを表立ってフリーペーパーにシェアを奪 われたとは発表していないが、無料の求人広告誌によって影響が大きいの間違いないであろう。

また有料の雑誌が無料に転換せざるを得ない状況もありえるだろう。もともと出版業界では売り 上げがじわじわ減少している業界であり、いわゆるゴシップ誌といわれている雑誌は通勤電車の 中の暇つぶしに読んだりするのが主であり、その役目をR25やTokyo Headlineといったフリ ーペーパーに代替されてしまうとますます厳しい状況となり、その結果無料のフリーペーパーに 転換ということもありえるだろう。

まとめと感想

フリーペーパーは昭和の初期から現在に至るまで地道に存在してきた。時代の風潮にあわせ、内 容や形を変えてきた。特に不況や人々の思考に変化がおきたときに、その内容が時代に合致する ことが多い。

そして現在、平成の大不況に苦しみ、人々の消費性向が低くなってきたことに加え、爆発的普及 したインターネットと結びつくことによってブームとともに大きな転換期をフリーペーパー迎 えたのである。人気のフリーペーパーはすぐに配布されきってしまうし、ある雑誌ではフリーペ ーパーとインターネットを使ってマーケティングを行うなど、フリーペーパーも多くの人々にい ろいろな形で受け入れられたのである。時代背景と人々の認知がフリーペーパーにとってプラス の方向に向かったことでフリーペーパーは更なる発展を遂げるであろう。

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卒業論文という形でフリーペーパーを取り上げることになったが、フリーペーパーには感心させ られることが多かった。無料にもかかわらずひとつの読み物として完成されているものが多かっ た。大学入学当初などは、街角でフリーペーパーを配っていたり、コンビニなどでおいてあった りしても見向きもしないことが多かったものが、今ではとりあえずもらって、読んでみる。そし て読んでみると面白い。電車の中で音楽しか聴かなかったことが多かったがフリーペーパーを読 んでいるという選択肢が増え、満足するのである。先の調査であげたがこの思考の変化が一般の 人々にも生じている。

今後研究という観点ではフリーペーパーを読むことはなくなるが、これからもフリーペーパーを 読み続け、フリーペーパー業界がどうなるかを見守っていきたいと思う。

参考文献

山中茉莉  『巨大なミニメディア The フリーペーパー』  電通出版,1995 山中茉莉  『新・生活情報誌−フリーペーパーのすべて−』  電通出版,2001 JAFNAホームページ  http://www.jafna.or.jp/

MY COM PC WEB ホームページ  http://pcweb.mycom.co.jp/photo/news/2004/04/14/008l.jpg フリーペーパーナビホームページ  http://www.pointrag.co.jp/index.shtml

F*modeホームページ  http://www.fmode.co.jp/

R25ホームページ  http://www.r25.jp/

ステナイデホームページ  http://www.sutenaide.net/

IT media surveyホームページ  http://www.itmedia.co.jp/survey/

三田隆治『無料の雑誌”を支えるモバイルメディアミックス』 

http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0407/27/news041.html

鈴木 貴博『競争優位を獲得する最新IT経営戦略−第 25 回  フリーペーパー「R25」に学ぶこと』 

http://premium.nikkeibp.co.jp/bits/bits_column/column_d25_01.shtml

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