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惑星間空間

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(1)

地球惑星圏物理学 

惑星間空間

1

(2)

2

太陽放射

33

第 3 章 惑星間空間

3.1 太陽輻射場

3.1.1 惑星の平衡温度

太陽系内の天体の温度はおおよそ太陽放射による加熱と放射冷却が釣り合うエネルギー平 にある。天体を黒体であるとした時、天体の平衡温度は第 1 章で原始惑星系円盤の温度構 造を求めた時と同様にして求めることができる。球形の天体 ( 3-1) における太陽放射の吸 収と再放射のつり合いの式は、

L

4πa2πR2p = σST(a)44πR2p, (3.1) ここで、Rp は惑星半径、a は太陽からの距離、L は太陽光度、σS Stefan-Boltzmann 数、T(a) は天体の平衡温度である。式変形して、

T(r) = 280! a 1 AU

"1/2

K, (3.2)

のように平衡温度 T(a) を求めることができる。

惑星が大気をもっている場合、大気の温室効果により、惑星の表面温度は平衡温度より高 くなる ( 4 章にて後述)。このような場合、平衡温度は惑星放射に対して大気が光学的に厚 くなる高度における温度におおよそ対応している。

太陽放射

断面積 π Rp2

表面積 4π Rp2 惑星放射

3-1.太陽放射と惑星放射の釣り合い。

3.1.2 輻射圧

光子は運動量を持っているため、太陽からの放射を吸収した物質は輻射圧と呼ばれる力を 受ける。エネルギー の光子の運動量は /c である。光を吸収する物体として、一様密度

33

第 3 章 惑星間空間

3.1 太陽輻射場

3.1.1

惑星の平衡温度

太陽系内の天体の温度はおおよそ太陽放射による加熱と放射冷却が釣り合うエネルギー平 にある。天体を黒体であるとした時、天体の平衡温度は第 1 章で原始惑星系円盤の温度構 造を求めた時と同様にして求めることができる。球形の天体 ( 3-1) における太陽放射の吸 収と再放射のつり合いの式は、

L

4πa2 πR2p = σST (a)44πRp2, (3.1) ここで、Rp は惑星半径、a は太陽からの距離、L は太陽光度、σS Stefan-Boltzmann 数、T(a) は天体の平衡温度である。式変形して、

T (r) = 280! a 1 AU

"1/2

K, (3.2)

のように平衡温度 T (a) を求めることができる。

惑星が大気をもっている場合、大気の温室効果により、惑星の表面温度は平衡温度より高 くなる ( 4 章にて後述)。このような場合、平衡温度は惑星放射に対して大気が光学的に厚 くなる高度における温度におおよそ対応している。

太陽放射

断面積 π R

p 2

表面積 4π Rp2 惑星放射

3-1.太陽放射と惑星放射の釣り合い。

3.1.2

輻射圧

光子は運動量を持っているため、太陽からの放射を吸収した物質は輻射圧と呼ばれる力を

加熱 冷却

(1-A)

T(a) = 280 ・ (1-A)

1/4

・ (a/1AU)

-1/2

K

(3)

惑星の平衡温度

大気を持つ惑星の場合、 

平衡温度は大気上空の温度に相当する  実際の惑星の表面温度は 

地表面や雲による太陽光の反射、大気の温室効果の兼ね合いで決まっている

3

T(a) = 280 ・ (1-A)

1/4

・ (a/1AU)

-1/2

K

惑星 軌道半径 a (AU) アルベド A 平衡温度 T [K] 地表温度 T [K]

金星 0.72 0.78 225 735

地球 1 0.3 256 288

火星 1.52 0.16 218 210

(4)

太陽の輻射圧

太陽重力と輻射圧の比

輻射圧

半径 R, 質量 m, 密度ρ

重力

34 3 章 惑星間空間

ρ を持ち、半径 R の球形の物体を考える。質量 m = 3 R3ρ である。太陽からの光を吸収す ることで受ける輻射圧による力は、

Fγ(a) = L

4πa2c × πR2, (3.3)

となる。一方、太陽が質量 m の物体に及ぼす重力は、

Fg(a) = GMm

a2 , (3.4)

となる。中心星の輻射圧と重力がこの物体に及ぼす力の比は、

Fγ(a)

Fg(a) = πR2L 4πa2c /

!GM

a2

3 R3ρ

"

= 3L

16πGMcRρ

= 5.79 × 107 ! R 1 m

"1 ! ρ

103 kg m3

"1

. (3.5)

ちなみに ρ = 103 kg m3 (1 g/cc) は氷の密度だが、岩石の場合でも同程度のオーダーであ

る。式 (3.5) から、輻射圧と重力の比は中心星からの距離 a に依存しないことがわかる。ま

た、サイズが小さいものほど輻射圧の影響を受けるようになる。惑星にとって輻射圧の影響 は無視できるほど小さいが、小さなダスト粒子 (惑星間塵、彗星の塵の尾) は太陽の輻射圧を 受けて運動する。

3.2 惑星間空間磁場

3.2.1

サイクロトロン運動

惑星間空間には太陽風のプラズマと磁場が広がっている。プラズマを構成する荷電粒子は 磁場から力を受けて運動するが、そのもっとも典型的な運動が以下に示すサイクロトロン運 である。

電場は無く (E = 0)z 方向に一様な磁場があるとする (B = Bzˆ)。質量 m, 電荷 q のプラ ズマ粒子の運動方程式は、

mdv

dt = qv × B, (3.6)

となる。各方向成分について書き下すと、

mdvx

dt = qBvy, mdvy

dt = −qBvx, dvz

= 0, (3.7)

34 3 章 惑星間空間

ρ を持ち、半径 R の球形の物体を考える。質量 m = 3 R3ρ である。太陽からの光を吸収す ることで受ける輻射圧による力は、

Fγ(a) = L

4πa2c × πR2, (3.3)

となる。一方、太陽が質量 m の物体に及ぼす重力は、

Fg(a) = GMm

a2 , (3.4)

となる。中心星の輻射圧と重力がこの物体に及ぼす力の比は、

Fγ(a)

Fg(a) = πR2L 4πa2c /

!GM

a2

3 R3ρ

"

= 3L

16πGMcRρ

= 5.79 × 107 ! R 1 m

"1 !

ρ

103 kg m3

"1

. (3.5)

ちなみに ρ = 103 kg m3 (1 g/cc) は氷の密度だが、岩石の場合でも同程度のオーダーであ

る。式 (3.5) から、輻射圧と重力の比は中心星からの距離 a に依存しないことがわかる。ま

た、サイズが小さいものほど輻射圧の影響を受けるようになる。惑星にとって輻射圧の影響 は無視できるほど小さいが、小さなダスト粒子 (惑星間塵、彗星の塵の尾) は太陽の輻射圧を 受けて運動する。

3.2 惑星間空間磁場

3.2.1

サイクロトロン運動

惑星間空間には太陽風のプラズマと磁場が広がっている。プラズマを構成する荷電粒子は 磁場から力を受けて運動するが、そのもっとも典型的な運動が以下に示すサイクロトロン運 である。

電場は無く (E = 0)z 方向に一様な磁場があるとする (B = Bzˆ)。質量 m, 電荷 q のプラ ズマ粒子の運動方程式は、

mdv

dt = qv × B, (3.6)

となる。各方向成分について書き下すと、

mdvx

dt = qBvy, mdvy

dt = −qBvx, mdvz

dt = 0, (3.7)

重力

輻射圧

34 3 章 惑星間空間

ρ を持ち、半径 R の球形の物体を考える。質量 m = 3 R3ρ である。太陽からの光を吸収す ることで受ける輻射圧による力は、

Fγ(a) = L

4πa2c × πR2, (3.3)

となる。一方、太陽が質量 m の物体に及ぼす重力は、

Fg(a) = GMm

a2 , (3.4)

となる。中心星の輻射圧と重力がこの物体に及ぼす力の比は、

Fγ(a)

Fg(a) = πR2L 4πa2c /

!GM

a2

3 R3ρ

"

= 3L

16πGMcRρ

= 5.79 × 107 ! R 1 m

"1 ! ρ

103 kg m3

"1

. (3.5)

ちなみに ρ = 103 kg m3 (1 g/cc) は氷の密度だが、岩石の場合でも同程度のオーダーであ

る。式 (3.5) から、輻射圧と重力の比は中心星からの距離 a に依存しないことがわかる。ま

た、サイズが小さいものほど輻射圧の影響を受けるようになる。惑星にとって輻射圧の影響 は無視できるほど小さいが、小さなダスト粒子 (惑星間塵、彗星の塵の尾) は太陽の輻射圧を 受けて運動する。

3.2

惑星間空間磁場

3.2.1

サイクロトロン運動

惑星間空間には太陽風のプラズマと磁場が広がっている。プラズマを構成する荷電粒子は 磁場から力を受けて運動するが、そのもっとも典型的な運動が以下に示すサイクロトロン運 である。

電場は無く (E = 0)z 方向に一様な磁場があるとする (B = Bz)ˆ 。質量 m, 電荷 q のプラ ズマ粒子の運動方程式は、

mdv

dt = qv × B, (3.6)

となる。各方向成分について書き下すと、

mdvx

dt = qBvy, mdvy

dt = −qBvx, mdvz

dt = 0, (3.7)

4

(5)

日本評論社『太陽系と惑星』より

太陽の輻射圧

太陽重力と輻射圧の比

惑星サイズの天体: 

輻射圧は無視できるほど小さい    

ミクロンサイズの惑星間塵: 

輻射圧の影響を受ける

5

(6)

太陽風

コロナ質量放出 

http://sohowww.nascom.nasa.gov/bestofsoho/Movies/flares.html

太陽風:コロナから超音速で吹き出す高温プラズマ 

速度:400-1000 km/s, 温度:~105 K, 密度:~5個/cm3  

※1天文単位(Astronomical Unit, AUと略す)での値   太陽-地球の距離 = 1.5 1011 m

(7)

流体力学の基礎方程式

28

2

章 太陽

質量保存の式:図

2-4

のように、流体の中に、空間に固定した閉曲面

S

によって囲まれた 体積

V

の領域を考える。体積

V

中の質量の減少は、閉曲面

S

を通って流れ出る流体の質量 に等しいことから、

∂ t

!

V

ρdV = −

"

S

ρv · dS. (2.5)

Gauss

の定理から、 "

S

ρv · dS =

!

V

∇ · (ρv)dV, (2.6)

であるため、式

(2.6)

を式

(2.5)

に代入して、

!

V

#

∂ρ

∂ t + ∇ · (ρv)

$

dV = 0. (2.7)

この式が任意の体積

V

で成り立つためには、

∂ρ

∂ t + ∇ · (ρv) = 0. (2.8)

この式は質量の保存を表し、連続の式と呼ばれる。

ρv

は単位時間・単位面積あたりに流れる 流体の質量であり、質量流束

(Mass Flux)

と呼ばれる。

2-4

.面要素

dS

から流出する質量。培風館『宇宙流体力学』より

運動量保存の式:図

2-5

のように、流体中に流体とともに動く閉曲面

S

によって囲まれた 体積

V

の領域を考える。面積素片

dS

には面に垂直な圧力

− p · dS

が働く。流体に生じる加速 度は、閉曲面に働く圧力の総和に等しいことから、

!

V

ρ dv

dt dV = −

"

p · dS. (2.9)

Gauss

の定理から、

"

p · dS = −

!

V

∇ p dV, (2.10)

であるため、式

(2.10)

を式

(2.9)

に代入して、

!

V

#

ρ dv

dt + ∇ p

$

dV = 0. (2.11)

2.3. 太陽風 29

この式が任意の体積 V で成り立つためには、

ρdv

dt = −∇p. (2.12)

全微分 (流体に沿った微分) を偏微分 (空間に固定された微分) に書き換えて (付録 C 参照) ρ

!∂v

∂t + (v · ∇)v" = −∇p. (2.13)

これが理想流体の運動方程式で、オイラーの式と呼ばれる。流体に重力などの外力が働く場 合は、単位質量あたりにかかる外力を g とすると、以下のようになる。

ρ

!∂v

∂t + (v · ∇)v" = −∇p + ρ g. (2.14)

2-5.面要素 dS に働く力。培風館『宇宙流体力学』より

エネルギー保存の式:同様に、図 2-5 において、体積 V の流体のエネルギー (運動エネル ギー + 内部エネルギー ϵ) 変化は、圧力によってされた仕事に等しいことから、

#

V ρ d dt

!1

2v2 + ϵ

"

dV = −

$

S pv · dS. (2.15)

Gauss の定理から、

$

S pv · dS = −

#

V ∇ · (pv)dV, (2.16)

であるため、式 (2.16) を式 (2.15) に代入して、

#

V

%

ρ d dt

!1

2v2 + ϵ

"

+ ∇ · (pv)&dV = 0. (2.17)

この式が任意の体積 V で成り立つためには、

ρ d dt

!1

2v2 + ϵ

"

+ ∇ · (pv) = 0. (2.18)

30 2 章 太陽

偏微分に書き換えて、さらに連続の式を用いて書き換えると最終的に以下の形になる。

∂t

!

ρ

"1

2v2 + ϵ

#$

+ ∇ ·

!

ρv

"1

2v2 + ϵ + p ρ

#$

= 0. (2.19)

左辺第一項はエネルギーの時間変化、第二項は単位時間・単位面積あたりのエネルギーの流 れ、エネルギー流束 (Energy Flux) である。外力がある場合、外力による仕事を加えて、

∂t

!

ρ

"1

2v2 + ϵ

#$

+ ∇ ·

!

ρv

"1

2v2 + ϵ + p ρ

#$

= ρv · g, (2.20)

となる。

2.3.2 Parker

太陽コロナは、温度 106 K という高温によって力学的平衡を保てず、太陽風が惑星間空間 に吹き出している。太陽風の存在は、Biermann (1951, 1957) の彗星の尾の観測によって最初 に予言された。人工衛星によって太陽風を直接観測したのは 1959 年以降であるが、それに先 駆けて太陽風の存在を理論的に証明したのは Parker (1958) である。ここでは Parker 呼ばれる太陽風の理論的枠組を扱う。

簡単のために太陽風を定常 (∂/∂t = 0)、球対称 (∂/∂θ = ∂/∂φ = 0)、完全電離した陽子と 電子のみで構成された理想流体として扱う。状態方程式は理想気体とする。また、外力とし て太陽の重力を考慮する。この時、オイラーの式 ( 2.14) は以下のように表せる (球座標系で の微分は付録 B 参照)

v dv

dr = −1 ρ

dp

dr − GM

r2 . (2.21)

また、連続の式 (2.8) は以下のように表せる。

1 r2

d(ρvr2)

dr = 0. (2.22)

状態方程式は以下のように表せる。

p = nkBT. (2.23)

(2.23) を式 (2.21) に代入して書き換えると、

v dv

dr = −c2T n

dn

dr − vesc2 2R

"R r

#2

. (2.24)

ここで、粒子の熱速度 cT ≡ (kBT /m)1/2, 太陽からの脱出速度 vesc ≡ (2GM/R)1/2 を用い た。距離の基準を R とするために、R ≡ r/R で書き換えると、

v dv

dR = −c2T n

dn

dR − vesc2

2R2 . (2.25)

一方で、式 (2.22) を書き直すと、

dn

dR = − n vR2

d

dR(vR2). (2.26)

質量保存の式(連続の式)

運動量保存の式(運動方程式, オイラーの式)

エネルギー保存の式

状態方程式

30

2

章 太陽

偏微分に書き換えて、さらに連続の式を用いて書き換えると最終的に以下の形になる。

∂ t

!

ρ

" 1

2 v

2

+ ϵ

#$ + ∇ ·

!

ρv " 1

2 v

2

+ ϵ + p ρ

#$ = 0. (2.19)

左辺第一項はエネルギーの時間変化、第二項は単位時間・単位面積あたりのエネルギーの流 れ、エネルギー流束

(Energy Flux)

である。外力がある場合、外力による仕事を加えて、

∂ t

!

ρ

" 1

2 v

2

+ ϵ

#$ + ∇ ·

!

ρv " 1

2 v

2

+ ϵ + p ρ

#$ = ρv · g, (2.20)

となる。

2.3.2 Parker

太陽コロナは、温度

10

6

K

という高温によって力学的平衡を保てず、太陽風が惑星間空間 に吹き出している。太陽風の存在は、

Biermann (1951, 1957)

の彗星の尾の観測によって最初 に予言された。人工衛星によって太陽風を直接観測したのは

1959

年以降であるが、それに先 駆けて太陽風の存在を理論的に証明したのは

Parker (1958)

である。ここでは

Parker

呼ばれる太陽風の理論的枠組を扱う。

簡単のために太陽風を定常

(∂ /∂ t = 0)

、球対称

(∂ /∂θ = ∂ /∂φ = 0)

、完全電離した陽子と 電子のみで構成された理想流体として扱う。状態方程式は理想気体とする。また、外力とし て太陽の重力を考慮する。この時、オイラーの式

( 2.14)

は以下のように表せる

(

球座標系で の微分は付録

B

参照

)

v dv

dr = − 1 ρ

dp

dr − GM

r

2

. (2.21)

また、連続の式

(2.8)

は以下のように表せる。

1 r

2

d(ρvr

2

)

dr = 0. (2.22)

状態方程式は以下のように表せる。

p = nk

B

T. (2.23)

(2.23)

を式

(2.21)

に代入して書き換えると、

v dv

dr = − c

2T

n

dn

dr − v

esc2

2R

" R

r

#

2

. (2.24)

ここで、粒子の熱速度

c

T

≡ (k

B

T /m)

1/2

,

太陽からの脱出速度

v

esc

≡ (2GM

/R

)

1/2 を用い た。距離の基準を

R

とするために、

R ≡ r/R

で書き換えると、

v dv

dR = − c

2T

n

dn

dR − v

esc2

2R

2

. (2.25)

一方で、式

(2.22)

を書き直すと、

dn

dR = − n vR

2

d

dR (vR

2

). (2.26)

7

(8)

Parker 解

2.4. 太陽の活動現象 31

(2.26) を式 ( 2.25) に代入して、次式を得る。

v dv dR

!1 c2T v2

"

= 2c2T

R vesc2

2R . (2.27)

この式が太陽風の加速を記述する式である。

(2.27) の特徴を考える。コロナの典型的な物理量を用いると、cT = 130 km s1, vesc = 620 km s1 となる。cT < vesc となることは、コロナのプラズマが太陽の重力に束縛されて いることを表している。このことから、式 (2.27) の右辺はコロナの底 (R = 1) において負で ある。一方、式 (2.27) の右辺第一項は R 1 乗、第二項は R 2 乗を含んでいることか ら、十分大きい R では第一項が優勢となり、式 (2.27) の右辺全体は正に転じることがわかる。

(2.27) の右辺が 0 になる点を臨界点 (critical point) と呼び、その太陽からの距離 Rc は、

Rc = vesc2 /4c2T となる。上述の数値を代入すると、R 6 となり、太陽半径の約 6 倍に相当

する。 (2.27) の解を図 2-6 に示す。曲線 ACB が太陽風に対応する解である。この解は臨界点で

v = cT という音速に達し、その後も加速され続けていく。S1 のように臨界点で音速に達しな い場合、式 (2.27) より dv/dR が負になるため、速度は減速に転じる。臨界点で音速となる解 だけが、亜音速から超音速となる構造をとることができる。超音速となった太陽風は太陽圏 の終端で星間ガスの影響により衝撃波を形成し、急激に減速されることとなる。

2-6.式 (2.27) の解の種類。オーム社『宇宙環境科学』より

2.4

太陽の活動現象

太陽コロナの磁場は複雑な構造をしており、磁力線が開いている領域と、磁力線がループ 状に閉じている領域がある。磁力線が開いている領域からは太陽風が吹き出している一方、

磁力線が閉じた領域では、太陽フレアコロナ質量放出 (coronal mass ejection) と呼ばれる 爆発的活動減少が生じる。

太陽フレアは太陽大気における爆発的なエネルギー解放現象であり、γ 線、X 線領域から 電波領域に至る波長域で電磁波を放射する。太陽フレアは磁力線の変形によって蓄えられた エネルギーが、磁気再結合によって開放されて生じる。

コロナ質量放出はコロナのプラズマの塊が突発的に惑星間空間に放出される現象である。

太陽の磁気エネルギーが解放され、電磁放射エネルギーに変換されるのが太陽フレア、力学 的な運動エネルギーに変換されるのがコロナ質量放出である。

2.4.

太陽の活動現象

31

(2.26)

を式

( 2.25)

に代入して、次式を得る。

v dv dR

! 1 − c

2T

v

2

"

= 2c

2T

R − v

esc2

2R . (2.27)

この式が太陽風の加速を記述する式である。

(2.27)

の特徴を考える。コロナの典型的な物理量を用いると、

c

T

= 130 km s

1

, v

esc

= 620 km s

1 となる。

c

T

< v

esc となることは、コロナのプラズマが太陽の重力に束縛されて いることを表している。このことから、式

(2.27)

の右辺はコロナの底

(R = 1)

において負で ある。一方、式

(2.27)

の右辺第一項は

R

− 1

乗、第二項は

R

− 2

乗を含んでいることか ら、十分大きい

R

では第一項が優勢となり、式

(2.27)

の右辺全体は正に転じることがわかる。

(2.27)

の右辺が

0

になる点を臨界点

(critical point)

と呼び、その太陽からの距離

R

c は、

R

c

= v

esc2

/4 c

2T となる。上述の数値を代入すると、

R ∼ 6

となり、太陽半径の約

6

倍に相当

する。式

(2.27)

の解を図

2-6

に示す。曲線

ACB

が太陽風に対応する解である。この解は臨界点で

v = c

T という音速に達し、その後も加速され続けていく。

S

1 のように臨界点で音速に達しな い場合、式

(2.27)

より

dv/dR

が負になるため、速度は減速に転じる。臨界点で音速となる解 だけが、亜音速から超音速となる構造をとることができる。超音速となった太陽風は太陽圏 の終端で星間ガスの影響により衝撃波を形成し、急激に減速されることとなる。

2-6

.式

(2.27)

の解の種類。オーム社『宇宙環境科学』より

2.4 太陽の活動現象

太陽コロナの磁場は複雑な構造をしており、磁力線が開いている領域と、磁力線がループ 状に閉じている領域がある。磁力線が開いている領域からは太陽風が吹き出している一方、

磁力線が閉じた領域では、太陽フレアやコロナ質量放出

(coronal mass ejection)

と呼ばれる 爆発的活動減少が生じる。

太陽フレアは太陽大気における爆発的なエネルギー解放現象であり、

γ

線、

X

線領域から 電波領域に至る波長域で電磁波を放射する。太陽フレアは磁力線の変形によって蓄えられた エネルギーが、磁気再結合によって開放されて生じる。

コロナ質量放出はコロナのプラズマの塊が突発的に惑星間空間に放出される現象である。

太陽の磁気エネルギーが解放され、電磁放射エネルギーに変換されるのが太陽フレア、力学

太陽風は臨界点で亜音速から超音速へと加速される

8

(9)

まとめ

太陽放射 

平衡温度:太陽放射加熱と赤外放射冷却の釣り合い 

惑星表面温度は大気の温室効果によって平衡温度より高い 

太陽の輻射圧 

惑星サイズの天体では、太陽重力 >> 輻射圧  惑星間塵(~μm)では、輻射圧の影響が大きい 

太陽風 

パーカー解で記述できる 

臨界点を経て、超音速に加速

Referensi

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2021 ・問題を簡略化する仮定をして解く場合も多い ・例:エネルギー源が一様に分布と考える場合 (任意の半径rで光度(Lr)と内側質量(Mr)比が一定) ⇒エディントン・モデルという(エディントンはモデル提唱者の名前) ・エディントン・モデルでは質量(M)と吸収係数(κ)だけで決まる 上限光度(エディントン光度)が存在する

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地球惑星圏物理学 第5回 太陽の構造と太陽活動2 担当:黒川

Moreover, as we introduce below, under reduced standoff conditions of the early Earth, heat- ing due to solar wind interaction with the atmosphere is possible, and in this case the

1.32 ここで γ は円盤ガスの比熱比である。惑星質量が大きいほど重力ポテンシャルが大きくなる ため、大気を保持しやすい。5.2 AU での温度 120 K では、10 − 2 M Earth 以上の場合にこの条 件が満たされる。 数値シミュレーションによって得られた円盤ガス捕獲過程の質量の進化を図 1-8 に示した。

1.32 ここで γ は円盤ガスの比熱比である。惑星質量が大きいほど重力ポテンシャルが大きくなる ため、大気を保持しやすい。5.2 AU での温度 120 K では、10 − 2 M Earth 以上の場合にこの条 件が満たされる。 数値シミュレーションによって得られた円盤ガス捕獲過程の質量の進化を図 1-8 に示した。

大気の化学構造 49 による混合であるため、最終的な平衡状態は化学組成が z に依存しないよく混合した状態で ある。 気体分子の平均自由行程が大きいほど分子拡散は早く進むため、分子拡散のフラックスは 密度に反比例する。そのため、ある高度以上では乱流拡散より分子拡散が卓越する。地球大 気の場合、この 均質圏界面 の高度は 100 km