ここがポイント
理科
物理分野①
1
光の性質
▶光源から出た光はまっすぐ進み(光の直進),物体にあたるとはね 返る(光の反射)。入射角と反射角は等しい(反射の法則)。
▶光が空気からガラスに斜めに進むとき,境界面で折れ曲がって進 む(光の屈折)。左図では,屈折角よりも入射角の方が大きいが,
光がガラスから空気に進むときは入射角よりも屈折角の方が大き い(空気側にできる角の方が大きい)。
▶光がガラスから空気に進むとき,入射角が大きくなると光が屈折 せずに境界面で全部反射して空気中に出ていかなくなる。この現 象を全反射という。
凸レンズによる像のでき方
音の性質
▶音が出ているとき,音源は振動している。空気や水などの物質が 音源の振動を伝えることによって,音が波として伝わる。振動を 伝える物質がない真空中では音が伝わらない。
▶振幅が大きいほど,音の大きさは大きい。弦を強くはじくと,振 幅が大きくなる。
▶1秒間に振動する回数を振動数といい,ヘルツ(Hz)で表す。振動 数が多いほど,音の高さは高い。弦を細くしたり,短くしたり,
弦の張りを強くしたりすると,振動数が多くなる。
〈その他の重要語句〉乱反射,光ファイバー,プリズム
半円形ガラス 入射角
入射光 反射光
屈折角 屈折光 反射角
〈音の波形〉
〈光の反射と屈折〉
〈全反射〉
光源と同じ大きさの実像
実像 P ′ 光源P
凸レンズ
光軸 点
焦
点 焦
実像 P ′ 光源P
凸レンズ
凸レンズ
光軸
光軸 点
焦
点 焦
点 焦
点 焦 実像 P ′
光源P 凸レンズ
光軸 点
焦
点 焦
虚像 P ′ 光源 P
光源より小さな実像
光源より大きな実像 光源より大きな虚像
〈光源が焦点距離の2倍の位置にあるとき〉
〈光源が焦点距離の2倍より近い位置にあるとき〉
〈光源が焦点距離の2倍より遠い位置にあるとき〉
〈光源が焦点より近い位置にあるとき〉
1回の振動 振幅
理科
物理分野②
2
ここがポイント 力と圧力
▶ばねののびは,ばねを引く力の大きさに比例する。この関係をフッ クの法則という。左図のばねののびを2㎝の2倍の4㎝にするに は,ばねを引く力を2Nの2倍の4Nにすればよい。
▶左図で,AとB,AとCはそれぞれ,大きさが等しく,向きが反 対で,一直線上にある。AとBは2つの物体(糸とおもり)が互い におよぼし合う力だから作用・反作用の関係であり,AとCは異 なる2つの物体(糸と地球)からおもりにはたらく力だからつり合 いの関係である。
▶物体を斜面上に置くと,物体にはたらく重力が斜面に平行な分力 と斜面に垂直な分力に分解される。物体が同じ斜面上を運動して いる間,,これらの分力の大きさは一定である。
▶単位面積あたりにはたらく力の大きさを圧力という。圧力は力の 大きさに比例し,力を受ける面積に反比例する。左図では,面A を下にして物体を置いたとき圧力が最も大きくなり,面Bを下に して物体を置いたとき圧力が最も小さくなる。
〔
圧力(Pa)=力を受ける面積(力の大きさ(N)㎡)で求める。水圧と浮力
▶水の重さによってはたらく圧力を水圧という。水圧は水面からの 深さが深いほど大きく,あらゆる向きにはたらいている。水中に ある物体の上面にはたらく下向きの水圧よりも下面にはたらく上 向きの水圧の方が大きいので,その差によって上向きの力が生じ る。これを浮力という。物体が空気中にあるときと,水中にある ときの,ばねばかりが示す値の差が浮力の大きさである。物体が すべて水中にあるとき,さらに深く沈めても,浮力の大きさは変 わらない。
〈その他の重要語句〉弾性力,摩擦力,垂直抗力,重さと質量,大気圧
〈フックの法則〉
〈水面からの深さと水圧の大きさ〉
〈斜面上の重力の分解〉
A(糸がおもりを引く力)
B(おもりが糸を引く力)
C(重力:地球がおもりを引く力)
スポンジ 5cm
4cm 2cm
A B
C
重力 物体 斜面に
平行な 分力
斜面に 垂直な 分力
〈作用・反作用と力のつり合い〉
〈圧力〉
水深 浅い
深い 水圧 小さい
大きい
くぎ
2㎝
引く前のばね
糸
⇨
2N糸
理科
物理分野③
3
運動と速さ
▶左図のようにストロボスコープや記録タイマーなどで,物体の位 置を一定時間ごとに記録することにより,物体の速さを調べるこ とができる。
▶物体の進行方向と同じ向きに力がはたらくと物体の速さは増加 し,物体の進行方向と反対向きに力がはたらくと物体の速さは減 少する。また,運動している物体に力がはたらかないとき(または,
はたらく力がつり合っているとき),等速直線運動をする。
▶物体は外から力を加えないかぎり,静止しているときはいつまで も静止し続けようとし,運動しているときはいつまでも等速直線 運動を続けようとする。これを慣性の法則といい,物体がもつこ のような性質を慣性という。
力学的エネルギー
▶高い位置にある物体がもつエネルギーを位置エネルギーという。
物体の位置が高く,質量が大きいほど,位置エネルギーの大きさ は大きい。また,運動している物体がもつエネルギーを運動エネ ルギーという。物体の速さが速く,質量が大きいほど,運動エネ ルギーの大きさは大きい。
▶摩擦や空気の抵抗がないとき,位置エネルギーと運動エネルギー の和(力学的エネルギー)は常に一定である。これを力学的エネル ギーの保存という。
仕事と仕事率
▶物体に力を加えて,その力の向きに物体を動かしたとき,力はそ の物体に対して仕事をしたという。
〔仕事(J)=力の大きさ(N)×力の向きに動かした距離(m)〕で求め る。左図のように,斜面やてこなどを使うと加える力の大きさは 小さくなるが,動かす距離が大きくなるため,仕事の大きさは変 わらない。これを仕事の原理という。
▶一定時間にする仕事を仕事率という。
〔
仕事率(W)=仕事に要した時間(仕事(J) s)〕
で求める。〈その他の重要語句〉自由落下,動滑車,いろいろなエネルギー,伝導,対流,放射
ここがポイント
〈ストロボスコープで撮影〉
〈振り子とエネルギーの移り変わり〉
〈斜面を使った仕事〉
〈てこを使った仕事〉
〈0.1秒ごとに切った記録テープ〉
5㎝ 8㎝ 11㎝ 14㎝ 17㎝
等速直線運動
速さを増す 運動
速さの変化を示し
記録テープの長さ ている
〔㎝〕
12 10 8 6 4 2 0
Dでの位置エネルギー Dでの運動エネルギー
力学的エネルギー
(一定)
A E
B D
C
A B C D E
0.5 30° 20N
m 1m
10N
4m
0.5m
2m 力点
20N
5N 1m
理科
物理分野④
4
回路と電流
▶回路を流れる電流の向きは,電池の+極から出て,−極へ入ると 決められている。抵抗器を流れる電流の大きさは,電圧の大きさ に比例する(左図)。この関係をオームの法則といい,電圧(V),
電流(I),抵抗(R)の関係は,次のように表せる。
〔
V(V)=R(Ω)×I(A) ,I(A)=V(V)R(Ω) ,R(Ω)=V(V)
I(A)
〕
※計算問題では,電流の単位はAにする(1A=1000mA)。
直列回路と並列回路
▶直列回路では,回路のどの部分でも電流は等しく,各抵抗器にか かる電圧の和が電源の電圧と等しくなる。回路全体の抵抗(合成 抵抗)は,各抵抗器の抵抗の和と等しい。
▶並列回路では,各抵抗器にかかる電圧は電源の電圧と等しく,各 抵抗器を流れる電流の和が回路全体を流れる電流と等しい。合成 抵抗は,各抵抗器の抵抗よりも小さくなる。
合成抵抗は
〔
R1 =R11+R12〕
で求める。電力と熱量
▶1秒あたりに使う電気エネルギーの大きさを電力という。1Vの 電圧で,1Aの電流を流したときの電力が1W(ワット)である。
〔電力(W)=電圧(V)×電流(A)で求める。ある電熱線にかける 電圧の大きさを2倍にすると,電流の大きさも2倍になるので,
電圧と電流の積で求められる電力の大きさは4倍になる。
▶左図の装置で電熱線に電圧をかけると水温が上昇する。これは電 気のはたらきによって熱が発生したためである。1Wの電熱線に よって1秒間に発生する熱量が1J(ジュール)である。
〔熱量(J)=電力(W)×時間(s)で求める。水1gの温度を1℃
上げるのに必要な熱量は約4.2Jである。
〈その他の重要語句〉電流計,電圧計,導体,絶縁体,電力量
ここがポイント
I =I1=I2
V=V1+V2
R=R1+R2
(Rは合成抵抗)
I =I1+I2
V=V1=V2
R<R1
R<R2
(Rは合成抵抗)
電
1 00 5
×2 10 2
流
〔A〕
電圧〔V〕
×2
R1 V1
V V2
R2 I1
I
I2
R1 V1
V V2
R2 I1
I I2
〈直列回路〉
〈電流と電圧の関係〉
〈電熱線による水の温度上昇〉
〈並列回路〉
電源装置
スイッチ
温度計
電圧計
電流計
電熱線
容器 かき混ぜ棒
水
理科
物理分野⑤
5
電流と電子
▶左図のように2種類の絶縁体をこすり合わせると,−の電気を帯 びた粒(電子)が物質間を移動し,静電気が発生する。これと同様 に,回路に電圧をかけると,金属の中にある電子が,−極から+
極に向かって移動することで電流が流れる。
▶気圧を低くした空間に電流が流れる現象を真空放電という。左図 の陰極線(電子線)は−極から飛び出した電子の流れであり,電極 板Aを+極,電極板Bを−極につないで電圧をかけると,陰極線 は電極板A(+極)に引きつけられるように上に曲がる。
電流がつくる磁界
▶まっすぐな導線に電流を流すと,そのまわりに同心円状の磁界が 発生する。磁界の向きは,電流の向きによって決まる。また,磁 界の強さは,電流が大きく,導線に近いほど強い。
▶コイルに電流を流すと,そのまわりに棒磁石と同じような磁界が 発生する。磁界の向きは,電流の向きによって決まる。磁界の強 さは,電流が大きく,コイルの巻き数が多いほど強い。また,コ イルに鉄心を入れることで電磁石となり,磁界が強くなる。
▶磁界の中で電流を流すと,電流が磁界から受ける力が生じる。力 の向きは,磁界の向きと電流の向きによって決まる。また,力の 大きさは,電流が大きく,コイルの巻き数が多く,磁界が強いほ ど大きい。この力を利用したものに,モーター,スピーカーなど がある。
電磁誘導
▶コイルの中の磁界が変化すると,電圧が生じ,コイルに電流が流 れる。この現象を電磁誘導といい,このとき流れる電流を誘導電 流という。誘導電流の大きさは,磁石の磁力が強く,コイルの巻 き数が多いほど大きい。また,磁石を速く動かすことで,装置を 変えずに誘導電流を大きくすることができる。誘導電流を利用し たものに,発電機,ICカード,電磁調理器,マイクなどがある。
〈その他の重要語句〉放射線,直流,交流,発光ダイオード
ここがポイント
−極 +極
陰極線(電子線)
電 蛍光板 電極板A
電 電極板B
〈静電気が起こるしくみ〉
〈真空放電〉
A こする前 こすった後
電子
B A B A B
〈誘導電流の向き〉
磁界の向き ねじの 回す向き 進む向き
電流の 向き
右ねじ
〈導線のまわりの磁界〉
〈コイルのまわりの磁界〉
S N
磁界の向き 電流の
向き 右手 親指の向きがN極になる。
電流の向き コイル
コイルの 動く向き
〈電流が磁界から受ける力〉
①では,④と同じ向きの電流が流れ,
②③とは反対向きの電流が流れる。
① ③
② ④
理科
化学分野①
6
ここがポイント 実験器具の使い方
▶1.水平で直射日光のあたらない明るいところに置く。
2.反射鏡の角度としぼりを調整して,視野全体が一様に最も明る くなるようにする。
3.プレパラートをステージにのせ,横から見ながら調節ねじを回し,
プレパラートと対物レンズをできるだけ近づける。
4.接眼レンズをのぞきながら,調節ねじを回してプレパラートと 対物レンズを離していき,ピントが合ったら止める。
▶1.ガス調節ねじ,空気調節ねじが閉じていることを確かめてから 元栓,コックを開く(コックがないものもある)。
2.マッチに火をつけ,ガス調節ねじを少しずつ開きながら点火する。
3.ガス調節ねじをおさえ,空気調節ねじを開いて,炎の色を青色 にする。
▶1.水平なところに置き,針が左右に等しく振れるように調節ねじ を回す。
2.はかりたいものを左の皿にのせ,右の皿には質量が少し大きい と思われる分銅をのせ,つり合うように分銅をかえていく。
※必要な質量をはかりとる場合は,分銅を左の皿にのせる。薬包 紙を使うときは,両方の皿に薬包紙をのせる。
▶液体の体積をはかる。水平なところに置き,液面の中央を真横から,
最小目盛りの10分の1まで読みとる。
物質のすがた
▶有機物…炭素を含んでいる物質で,加熱すると炭が残ったり,燃えて二酸化炭素を出したりする。
砂糖,デンプン,紙,木,ろう,エタノール,プラスチック,プロパンなど。
▶無機物…有機物以外の物質。食塩,ガラス,水,酸素,鉄,アルミニウムなど。
▶金 属…みがくと光を受けて輝く(金属光沢)。たたくと広がり(展性),引っぱるとのびる(延性)。
また,電流が流れやすく,熱が伝わりやすい。以上のような共通した性質がある。磁石につくこ とは,鉄などの一部の金属の性質であり,金属共通の性質ではない。
▶非金属…金属以外の物質。ガラス,ゴム,プラスチック,木,食塩など。
▶密 度…物質1㎤あたりの質量のこと。
〔
密度(g/㎤)= 質量(g)体積(㎤)〕
で求める。〈その他の重要語句〉ルーペ,双眼実体顕微鏡,PE,PS,PET
接眼レンズ 鏡筒 調節ねじ
ステージ
反射鏡 対物レンズ
しぼり レボルバー
クリップ
ガス調節ねじ
空気調節ねじ コック
25.5mLね
〈顕微鏡〉
〈ガスバーナー〉
〈上皿てんびん(右ききの人)〉
〈メスシリンダー〉
分銅 調節ねねじ
針
理科
化学分野②
7
気体
▶水上置換法…水に溶けにくい気体を集める。
▶下方置換法…水に溶けやすく,空気よりも密度が大きい気体を 集める。
▶上方置換法…水に溶けやすく,空気よりも密度が小さい気体を 集める。
水溶液
▶液体に溶けている物質を溶質,溶かしている液体を溶媒,溶質と溶媒を合わせ て溶液といい,溶媒が水の溶液を水溶液という。溶液に溶けている溶質の質量 の割合を質量パーセント濃度という。
〔
質量パーセント濃度(%)= 溶質の質量(g)溶媒の質量(g)+溶質の質量(g)×100
〕
で求める。▶水溶液は透明である。また,水溶液中には溶質が均一に散らばっている。
▶溶 解 度…100ggの水に溶ける物質の最大の質量。水の温度によって変化する。
▶飽和水溶液…物質が溶解度まで溶けている水溶液。
▶再 結 晶…水溶液の温度を下げたり,水溶液を加熱して水を蒸発させたりすることで,一度溶かした物 質を再び結晶としてとり出す操作。
状態変化
▶物質が温度によって,固体⇔液体⇔気体と変化することを状態変化という。状 態変化によって,体積は変化するが,質量は変化しない。
▶固体が液体に変化するときの温度を融点,液体が沸騰して気体に変化するとき の温度を沸点という。融点と沸点は,物質ごとに決まっている。純粋な物質を 加熱すると,状態変化をしているときは,加熱を続けても温度が変化しない。
▶液体を加熱して気体にし,それを冷やして再び液体にして集める操作を蒸留と いう。沸点の違いを利用して混合物を分離することができる。
〈その他の重要語句〉窒素,塩素,塩化水素,蒸発と沸騰
ここがポイント
〈気体の集め方〉
〈溶解度曲線〉
〈水の温度変化〉
〈混合物の温度変化〉
水上置換法 下方置換法 上方置換法
90 80 70 60 50 40 30 20 10
00 10203040506070 80 温度〔℃〕
量 質 の質 物る け溶 に水 のg
100
〔g〕
硝酸カリウム 食塩
0 2 5 10 加熱時間〔分〕
100
0
〔℃〕
度 温
沸点 融点
発生方法 性質や確認方法など
酸素 うすい過酸化酸酸 水化化 素水+二酸化酸酸 マンガン ものが燃えるのを助けるはたらきがある。火のついた線香線線 が激しく燃える。
二酸化炭素 うすい塩酸+石灰石 水に少し溶けて酸性を示す。空気よりも密度が大きい。石灰水に通すと白くにごる。
水素 うすい塩酸+亜鉛 物質の中で最も密度が小さい。マッチの火を近づけると爆発して燃える。
アンモニア 塩化アンモニウム+水酸化酸酸 ナトリウム+水 水によく溶けてアルカリ性を示す。空気よりも密度が小さい。特有の刺激臭がある。
100 80 60 40 20
00 3 6 9 12 15 加熱時間〔分〕
度 温
〔℃〕 沸騰が始まる
理科
化学分野③
8
原子,分子,化学式
▶物質をつくる最小の粒子を原子という。原子の種類を元素といい,元素をアルファ ベット1字(大文字),または2字(大文字+小文字)で表したものを元素記号という。
▶いくつかの原子が結びついてできた,物質の性質を表す粒子を分子という。金属や 塩化ナトリウムなどのように分子をつくらない物質もある。
▶元素記号を用いて物質を表したものを化学式,化学式を用いて化学変 化を表したものを化学反応式という。化学反応式では,反応の前後で 原子の種類と数が等しくなるようにする。
▶単 体…1種類の元素からできている物質。水素や酸素など。
▶化合物…2種類以上の元素からできている物質。水や酸化鉄など。
いろいろな化学変化
▶1種類の物質が2種類以上の物質に分かれる化学変化(分解)
・酸化銀の熱分解:2Ag2O → 4Ag + O2
→反応前の酸化銀は黒色で,金属の性質はない。
・炭酸水素ナトリウムの熱分解:2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
→炭酸水素ナトリウムと反応後にできる炭酸ナトリウムはどちらも白色だが,炭酸ナトリウムの方が水 によく溶け,水溶液が強いアルカリ性であることから区別できる。
・水の電気分解:2H2O → 2H2 + O2
→発生する水素と酸素の体積比は2:1である。
▶物質どうしが結びつく化学変化
・鉄と硫黄が結びつく化学変化:Fe + S → FeS
→反応前の混合物には鉄が含まれているから磁石に反応し,塩酸を加えると水素が発生する。反応後の 化合物は硫化鉄だから磁石に反応せず,塩酸を加えると有毒な気体である硫化水素が発生する。
・銅の酸化:2Cu + O2 → 2CuO
→物質が酸素と結びつくことを酸化,酸素が結びついてできた物質を酸化物という。
・マグネシウムの燃焼:2Mg + O2 → 2MgO
→物質が熱や光を出しながら激しく酸素と結びつくことを燃焼という。
▶酸化物が酸素を失う化学変化(還元)
・酸化銅と炭素の化学変化:2CuO + C → 2Cu + CO2
→炭素は,銅よりも酸化されやすいため,酸化銅から酸素を奪って二酸化炭素になる。銅よりも酸化さ れやすい物質(水素やエタノールなど)であれば,酸化銅を還元することができる。
〈その他の重要語句〉周期表,さび,吸熱反応,発熱反応
ここがポイント
〈原子と分子〉
〈化学反応式のつくり方〉
(例)水分子のつくり 水分子(H2O)
水素原子(H)
酸素原子(O)
(例)水の電気分解(水→水素+酸素)
①反応に関係する物質を化学式で表す。
②それぞれの化学式の前に数字をつけて,
反応の前後で原子の種類と数を等しくする。
H2O → H2 + O2
2H2O → 2H2 + O2
理科
化学分野④
9
化学変化のきまり
▶反応の前後で,その反応に関係する物質全体の質量は変化しない。これを質量保 存の法則という。この法則が成り立つのは,反応の前後で原子の組み合わせは変 化するが,原子の種類と数は変化しないためである。また,反応に関係する物質 の質量比はいつも一定になる。左図より,4gの銅を加熱すると5gの酸化銅に なることから,質量比は,銅:酸素:酸化銅=4:1:5であることがわかる。
原子とイオンの成り立ち
▶原子は,+の電気をもつ原子核と−の電気をもつ電子からできている。原子核 は,+の電気をもつ陽子と,電気をもたない中性子でできている。ふつうの状 態では,陽子の数と電子の数が等しいため,電気的に中性になっている。
▶原子が電子を失ったり受けとったりして電気を帯びたイオンのうち,電子を 失って+の電気を帯びたものを陽イオン,電子を受けとって−の電気を帯びた ものを陰イオンという。陽イオンには,水素イオン(H+),銅イオン(Cu2+)な ど,陰イオンには,水酸化物イオン(OH−),硫酸イオン(SO4
2−)などがある。
▶電 解 質…水溶液に電流が流れる物質。塩化水素や塩化ナトリウムなど。
▶非電解質…水溶液に電流が流れない物質。砂糖やエタノールなど。
▶電 離…電解質が水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれること。
▶電離を表す式
・塩化水素が水素イオンと塩化物イオンに分かれる:HCl → H+ + Cl−
・水酸化ナトリウムがナトリウムイオンと水酸化物イオンに分かれる:NaOH → Na+ + OH−
・塩化銅が銅イオンと塩化物イオンに分かれる:CuCl2 → Cu2+ + 2Cl−
電池
▶化学変化を利用して,物質がもつ化学エネルギーを電気エネルギーに変換する 装置を化学電池という。左図のように硫酸銅水溶液と硫酸亜鉛水溶液,銅板と 亜鉛板などを使って電気エネルギーをとり出す装置をダニエル電池という。セ ロハンの膜には小さい穴があいていて,イオンなどの小さい粒子が少しずつ通 過することで,2種類の水溶液が簡単には混ざらないようになっている。
▶水の電気分解と逆の反応〔2H2 + O2 → 2H2O〕から電気エネルギーを 直接とり出す装置を燃料電池という。反応後にできるのは水だけで,環境に対 する悪影響が少ないと考えられている。
〈その他の重要語句〉同位体,イオンへのなりやすさ,一次電池と二次電池
酸化銅の質量
〔g〕
銅の質量〔g〕
5
00 4
〈銅と酸化銅の質量〉
〈原子の成り立ち〉
〈陽イオンと陰イオン〉
〈ダニエル電池〉
陽子 中性子
電子 原子核
原子 A 原子 B
水に溶けると 動 移 が 子 電
陽イオン 陰イオン
電子 電子を受けとる
電子を失う
電流
亜鉛板
(−極)
硫酸亜鉛水溶液 硫酸銅水溶液 セロハンの膜
銅板
(+極)
モーター
亜鉛板:亜鉛が電子を2個失い,亜鉛イ
オンとなって溶け出す。
銅 板:銅イオンが電子を2個受けとり,
銅原子となって付着する。
2+ 2+ 2+
2 2+
2
ここがポイント
理科
化学分野⑤
10
電気分解とイオン
▶電解質の水溶液に電流を流すと電気分解が起こる。これは,電気の力によっ て陽イオンは陰極に,陰イオンは陽極にそれぞれ移動し,そこで電子のやり とりが行われるためである。
水溶液とイオン
▶水に溶かすと水素イオンを生じる物質を酸という。水溶 液中に水素イオンがあると酸性を示す。
・塩化水素の電離:HCl → H+ + Cl−
・硫酸の電離:H2SO4 → 2H+ + SO4 2−
▶水に溶かすと水酸化物イオンを生じる物質をアルカリと いう。水溶液中に水酸化物イオンがあるとアルカリ性を 示す。
・水酸化ナトリウムの電離:NaOH → Na+ + OH−
・水酸化バリウムの電離:Ba(OH)2 → Ba2++ 2OH−
▶酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜ合わせると,
互いの性質を打ち消し合う中和が起こる。水素イオンと 水酸化物イオンが結びついて水ができ,酸の陰イオンと アルカリの陽イオンが結びついて塩えんができる。
・HCl + NaOH → 塩化ナトリウムNaCl + H2O
→水溶液中で塩化ナトリウムが電離しているので,中 性になったときでも電流が流れる。
・H2SO4 + Ba(OH)2 → B硫酸バリウムaSO4 + 2H2O
→硫酸バリウムは水に溶けにくいため白い沈殿とな り,中性になったときには電流が流れない。
〈その他の重要語句〉塩化銅水溶液の電気分解,pH,炭酸水と水酸化カルシウム水溶液の中和
ここがポイント
電源 スイッチ H+
Cl− 塩化水 素 分子
H+
H+
H+
H+ Cl− Cl−
Cl− Cl−
Cl− H Cl
H+
電源 スイッチ H+
Cl− H+
H+
H+ H+
Cl−
Cl− Cl− Cl−
Cl− H+
H+
Cl− H+ H+
H+ H+
H+ 水素原子
水素分子
Cl− Cl− Cl−
Cl− Cl− 塩素原子
塩素分子
陰極 陽極 陰極 陽極 陰極陽極
電 圧 を か け る と 陽 イ オ ン は 陰 極 に , 陰イオンは陽極に向かって移動する。
陰極では,水素イオンが電子を1個受けとっ て水素原子になり,それが2個結びついて水 素分子になる。
陽極では,塩化物イオンが電子を1個失って 塩素原子になり,それが2個結びついて塩素 分子になる。
水に溶かすと電離する。
Cl− H+ Cl− H+
Na+ OH−
Cl− Cl− H+ OH− H+
Na+ 塩 酸に 水酸 化 ナト リウ
。 る え 加 を 液 溶 水 ム
イオ 素 水 が る き で が 水
( ン
H+ )が 残って い る。
Cl− H+
Na+ OH−
Cl− H+ OH− Na+ さらに水酸化ナトリウ
ム水溶液を加える。
水素イオン (H+ ) がな く なって中性になる 。
Na+ Cl−
Cl− Na+
NaCl NaCl
水 を蒸 発さ せ ると , 塩化ナトリウムの結晶が残る。
〈塩酸の電気分解〉
〈指示薬〉
〈塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和〉
酸性 中性 アルカリ性 青色リトマス紙 赤色 変化なし 変化なし 赤色リトマス紙 変化なし 変化なし 青色
BTB溶液 黄色 緑色 青色
フェノールフタレイン溶液 無色 無色 赤色
理科
生物分野①
11
植物の分類
▶花は外側から,がく,花弁,おしべ,めしべの順に並んでいる。おし べの先端のやくで花粉をつくり,花粉がめしべの花柱の先の柱頭につ くことを受粉という。その後,子房は果実に,胚珠は種子になる。
▶裸子植物であるマツの雌花には子房がなく,胚珠はむき出しでりん片 についている。また,雄花のりん片には花粉のうがついていて,中に 花粉が入っている。花粉が胚珠に直接ついて受粉し,種子ができる。
動物の分類
▶背骨のない動物を無脊椎動物といい,節足動物,軟体動物,
その他の無脊椎動物に分類できる。
▶背骨のある動物を脊椎動物といい,魚類,両生類,は虫類,
鳥類,哺乳類に分類できる。
▶肉食動物…目が前向きについているため,立体的に見える範囲が広く,獲物までの 距離をはかるのに適している。また,犬歯が大きく,するどくなってい て,肉を食いちぎったり,骨をかみ砕いたりするのに適している。
▶草食動物…目が横向きについているため,広範囲を見ることができ,敵を見つけや すい。また,草を切るための門歯や切った草をすりつぶすための臼歯が 発達している。
〈その他の重要語句〉胞子のう,節足動物の分類,外とう膜
柱頭
胚珠 や く
子房 花柱
花弁 がく
植物
胞子でふえる 植物
コケ植物…ゼニゴケ,スギゴケなど
(維管束がない/根,茎,葉の区別がない)
シダ植物…イヌワラビ,スギナなど
(維管束がある/根,茎,葉の区別がある)
裸子植物…マツ,イチョウ,ソテツなど
(子房がない)
被子植物
(子房がある)
双子葉類
(右上表参照)
単子葉類…チューリップ,イネ,トウモロコシなど
(右上表参照)
離弁花類…アブラナ,サクラ,エンドウなど
(花弁が離れている)
合弁花類…タンポポ,アサガオ,ツツジなど
(花弁がくっついている)
種子植物
〈被子植物の花のつくり〉
〈マツの雌花と雄花のりん片〉
子葉 根 茎の維 管 束 葉脈 単
子 葉 類
根 げ ひ 枚
1 ばらばら 平行脈
双 子 葉 類
と 根 主 枚
2 側根 輪状に並ぶ 網状脈
胚珠 花粉のう
りん片
〈肉食動物〉
〈草食動物〉
〈脊椎動物の分類〉
魚 類
水中に殻のない卵を産む 陸上に殻のある卵を産む 胎 生 吸 呼 肺 吸
呼 ら
え 子はえらと皮ふ
親は肺と皮ふ
うろこ しめった皮ふ うろこ 羽 毛 毛
両生類 は虫類 鳥 類 哺乳類
門歯 臼歯 犬歯
門
ここがポイント
理科
生物分野②
12
植物の体のつくり
▶根の先端近くには,小さな毛のような根毛が多数見られる。根毛 があることで,根の表面積が大きくなり,水や水に溶けた養分を 効率よく吸収できる。
▶茎の内側には水や水に溶けた養分を運ぶ道管,外側には葉でつく られた養分を運ぶ師管がある。道管と師管が集まった部分を維管 束という。
▶葉の内部は細胞が集まってできている。細胞の中にはたくさんの 葉緑体が見られる。細胞は葉の裏側より表側の方がすき間なく並 んでいる。また,葉の表面には葉緑体をもたない細胞がすき間な く並んでいる。これを表皮という。
▶表皮のところどころに,葉緑体をもつ孔辺細胞で囲まれたすき間 がある。これを気孔という。気孔は,多くの植物で葉の裏側に多 くあり,水蒸気の出口,酸素と二酸化炭素の出入り口になってい る。孔辺細胞のはたらきによって気孔が開閉し,気体の出入りが 調節される。
植物のはたらき
▶無機物である二酸化炭素と水を材料に,光のエネルギーを 利用して,有機物であるデンプンなどをつくり,酸素を放 出するはたらきを光合成という。光合成は葉緑体で行われ る。
▶植物も動物と同じように,酸素をとり入れて二酸化炭素を 放出する呼吸を1日中行っているが,光が強い昼は,呼吸 よりも光合成で出入りする気体の量の方が多いため,二酸 化炭素をとり入れて酸素を出しているように見える。
▶根から吸い上げられた水が,水蒸気になって気孔から出て いくことを蒸散という。蒸散がさかんに行われると,水の 吸い上げもさかんに行われる。
〈その他の重要語句〉葉のつき方,ヨウ素液,ふ入りの葉
〈根のつくり〉
根毛 管
師管 道管
管 道 (
側 内
)
管 師 (
側 外
)
層 成 形
維管束
〈茎のつくり(双子葉類)〉
表側
裏側 道管
師管 葉脈
(維管束)
表皮
細胞 葉緑体
(緑色の粒)
気孔
〈葉のつくり〉
孔辺細胞 気孔
葉緑体
光のエ ネ ルギー
道管から 師管へ 気孔へ
ら か 孔 気 葉緑体
二酸化炭素 + 水 → デンプン + 酸素
〈光合成〉
酸素
師管 光
酸素
二酸化 炭素 二酸化
炭素
道管 水蒸気
ここがポイント
理科
生物分野③
13
細胞のつくり
▶体を支えるのに役立つ細胞壁,不要な物質などを含む液をたくわえる 液胞,光合成を行う葉緑体は植物の細胞のみに見られる。体が1つの 細胞でできている生物を単細胞生物,多くの細胞からできている生物 を多細胞生物という。
消化と吸収
▶養分を消化液(消化酵素)のはたらきで分 解し,分子の大きさを小さくすることを 消化という。消化酵素には,はたらきや すい温度があり,決まった物質に,少量 でくり返しはたらくなどの性質がある。
▶消化された養分が体内にとり入れられることを吸収といい,吸収はおもに小腸の柔毛で行われる。たくさ んの柔毛があることで表面積が大きくなり,養分を効率よく吸収できる。
呼吸,血液の循環,排出
▶肺には,たくさんの肺胞があることで表面積が大きくなり,酸素と二酸化 炭素を効率よく交換できる。肺胞には毛細血管がはりめぐらされている。
▶心室から送り出される血液が流れる血管を動脈,心房に戻ってくる血液が 流れる血管を静脈という。肺静脈と大動脈には酸素を多く含む動脈血が,
大静脈と肺動脈には二酸化炭素を多く含む静脈血が流れている。
▶血液が心臓から肺を通って心臓に戻る経路を肺循環,心臓から肺以外の全 身を通って心臓に戻る経路を体循環という。
▶血液の主な成分には,赤血球(酸素を運ぶ),白血球(細菌などを分解する),
血小板(出血した血液を固める),血しょう(養分や不要物を運ぶ)などがあ る。また,血しょうは毛細血管からしみ出して組織液となり,細胞のまわ りを満たしている。
▶有害なアンモニアは肝臓で無害な尿素に変えられ,尿素はじん臓で血液中 からとり除かれて尿となり,体外に排出される。
〈その他の重要語句〉いろいろな消化酵素,べネジクト液,横隔膜,ヘモグロビン,心臓のつくり
細胞質 核 細胞膜 液胞
葉緑体 細胞壁
すい液 胆汁 デンプン
タ ンパ ク 質
脂 肪
ブドウ糖
アミノ酸 脂 肪 酸 モノグリセリド
※胆汁には消化酵素が含まれていない。
だ液 胃液 小腸の壁の
消化酵素
リンパ管 毛細血管
柔毛
動脈血 酸素を多く含む血液 静脈血 二酸化炭素を多く含む血液
肺
肝臓
小腸 じん臓
体の 各部分 大静脈 心臓
大動脈
肺動脈 肺静脈
胞 肺
毛細 血管
毛細血管 肺胞
赤血球
酸素 二酸化炭素
肺胞の断面の模式図 気管支
〈消化液と養分,柔毛〉
〈植物の細胞〉 〈動物の細胞〉
〈血液の循環〉
〈肺胞と毛細血管〉
ここがポイント
理科
生物分野④
14
神経系,刺激と反応
▶脳と脊髄を中枢神経,感覚神経と運動神経を末しょう神経という。
▶皮ふで受けとった刺激に対して意識とは無関係に起こる反応(皮ふ→D→C
→E→筋肉)を反射という。反射は,意識して起こす反応(皮ふ→D→B→脳
→A→E→筋肉)に比べ,刺激を受けとってから反応するまでの時間が短い。
▶虹 彩…明るさによってひとみの大きさを変化させ,水晶体に入る光の量を 調節する。
▶水晶体…光が屈折して,網膜上にピントの合った像が結ばれる。レンズ。
▶網 膜…光の刺激を受けとる細胞(感覚細胞)がある。
ヒトの骨格と筋肉
▶体の内部にはたくさんの骨が結合して組み立てられている骨格があり,体を 支えたり,体を動かしたりするはたらきがある。
▶筋肉は骨のまわりにあり,縮んだり,ゆるんだりすることで,関節の部分で 骨格を曲げることができる。骨格についている筋肉の両端はけんという丈夫 なつくりになっていて,関節をへだてて2つの骨についている。
細胞分裂と生物の成長
▶細胞分裂が始まる前に染色体が複製される。
▶生物の体は,細胞が分裂して数がふえることと,それらの細胞が大き くなることで成長する。
生物のふえ方
▶生殖には,受精を行わず体細胞分裂によってなかまをふやす無性生殖 と,生殖細胞によって新しい個体をつくる有性生殖がある。
▶精子や卵などの生殖細胞がつくられるときに行われる染色体の数が半 分になる細胞分裂を減数分裂という。これにより,受精卵は親と同じ 数の染色体をもつことになる。
▶受精卵は細胞分裂をくり返して胚になる。受精卵が成長して親と同じ ような体になるまでの過程を発生という。
〈その他の重要語句〉耳のつくり,染色液,栄養生殖,花粉管
A B
D(感覚神経)
E(運動神経)
脳 皮ふ
(感覚器官)
脊髄 筋肉
〈神経系のつくり〉
網膜
網膜 虹彩彩
水晶体 水晶体 視神神経 ひとみ
ゆるむ ゆるむ 縮む
縮む 曲げる
のばす
〈うでの曲げのばしと筋肉〉
〈植物細胞の細胞分裂のようす〉
減数分裂 受精 精細胞や精子
卵細胞や卵
受精卵 父親の体細胞
母親の体細胞
〈有性生殖のしくみ〉
〈目のつくり〉
ここがポイント
理科
生物分野⑤
15
遺伝の規則性と遺伝子
▶生物がもつ形や性質を形質という。親のもつ形質が子に伝わることを遺伝とい い,染色体にある遺伝子によって子に伝えられる。遺伝子の本体はDNA(デ オキシリボ核酸)である。
▶対立形質をもつ純系どうしの両親からできる子には,両親の一方の形質だけが 現れる。このとき子に現れる形質を顕性,現れない形質を潜性という。
▶対になっている遺伝子は減数分裂によって別々の生殖細胞に入る(分離の法則)。 顕性の形質を伝える遺伝子をA,潜性の形質を伝える遺伝子をaとしたとき,
遺伝子の組み合わせがAAとaaの親をかけ合わせると,子の遺伝子の組み合 わせはすべてAaとなり,顕性形質のみが現れる。さらに,AaとAaの子を かけ合わせると,孫の遺伝子の組み合わせとその数の比は AA:Aa:aa=
1:2:1 となり,顕性形質:潜性形質=3:1の比で現れる。
生物の進化
▶遺伝子は不変ではなく,まれに変化することがある。これにより,
長い年月をかけて形質が変化し,生物の体の特徴が変化することを 進化という。
▶現在の形やはたらきは異なるが,骨格の基本的なつくりがよく似て いて,同じものから変化したと考えられる体の部分を相同器官とい う。カエル(両生類)やカメ(は虫類)の前あし,ハト(鳥類)やコウモ リ(哺乳類)の翼,クジラ(哺乳類)の胸びれ,ヒト(哺乳類)のうでな ど。
自然界のつり合い
▶生物どうしの食べる・食べられるという関係を食物連鎖という。1 種類の生物が複数の食物連鎖に関係することが多く,食物連鎖が網 の目のように複雑に入り組んだものを食物網という。
▶無機物から有機物をつくる植物などを生産者,生産者がつくった有 機物を直接または間接的にとり入れる草食動物や肉食動物を消費者 という。また,消費者のうち,生物のふんや死がいなどの有機物を 無機物に分解する菌類・細菌類,土の中の小さな生物を分解者とい う。
〈その他の重要語句〉メンデル,シソチョウ,生態系,物質の循環
〈子の代への遺伝〉
〈孫の代への遺伝〉
a a A A
A a A a A a A a
a a A A
減数分裂 父親 母親
精細胞
卵細胞
すべて顕性 子
減数分裂
精細胞 卵細胞
A a A a
A A A a A a a a
A a A a
子 子
顕性 潜性
孫
〈コウモリ,クジラ,ヒトの骨格〉
コウモリの 翼
クジラの 胸びれ
ヒトの うで
〈生物の数量関係〉
肉食動物 草食動物
食べられる生物の数量は 食べる生物よりも多い。
⎛
⎝
⎛
⎛ ⎛
⎝
⎛ ⎛
植物
ここがポイント
理科
地学分野①
16
火山
▶マグマのねばりけが強いと激しい噴火をしておわん をふせたような形の火山になり,マグマのねばりけ が弱いとおだやかな噴火をして傾斜のゆるやかな形 の火山になる。
▶セキエイやチョウ石などの白っぽい鉱物を無色鉱物,クロ ウンモ,キ石,カクセン石,カンラン石などの黒っぽい鉱 物を有色鉱物という。ねばりけが強いマグマは無色鉱物を 多く含み,固まると白っぽい火成岩になる。また,ねばり けが弱いマグマは有色鉱物を多く含み,固まると黒っぽい 火成岩になる。
▶マグマが地表付近で急に冷えて固まると斑状組織をもつ火山岩ができ,マグマが地下深くでゆっくり冷え て固まると等粒状組織をもつ深成岩ができる。
地震
▶震 源…地震が発生した地下の場所。
▶震 央…震源の真上の地表地点。
▶初期微動…伝わる速さが速いP波によってはじめに起こる小さなゆ れ。
▶主 要 動…伝わる速さが遅いS波によってあとに続く大きなゆれ。
▶初期微動継続時間…初期微動が始まってから主要動が始まるまでの時間。震 源距離に比例する。
▶震 度…観測点での地面のゆれの程度。0,1,2,3,4,5弱,
5強,6弱,6強,7の10段階に分けられる。
▶マグニチュード…地震の規模(エネルギーの大きさ)を表す値。値が2大き くなるとエネルギーは1000倍になる。
▶緊急地震速報…震源に近い地点で観測されたP波をもとに,S波の到着 時刻や震度を予想して知らせるシステム。
▶海洋プレートが大陸プレートの下に沈みこむとき,大陸プレートが 引きずりこまれてひずみが生じる。このひずみが限界に達すると大 陸プレートがはね上がり,地震が発生する。このような地震を海溝 型地震といい,震源