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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2024

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氏 名 吉田よ し だ絵子 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 843号

学 位 授 与 年 月 日 令和 5年 2月 9日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 小児におけるatelectasis eardrum、癒着性中耳炎、緊張部型真珠腫の臨 床的特徴と、進展の危険因子の検討

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 伊 藤 真 人

(委 員) 教 授 金 澤 丈 治 教 授 牧 野 伸 子

論文内容の要旨

1 研究目的

小児におけるatelectatic eardrum、癒着性中耳炎は、乳幼児期からの滲出性中耳炎や耳管機能 不全、感染や免疫不全などが成因に関与していると考えられているが、その成立転機については 未だに明らかになっていない。癒着性中耳炎の中には緊張部型真珠腫に進展する症例もあり注意 が必要である。また、手術治療に関しては、癒着性中耳炎及び緊張部型真珠腫は、術後の鼓膜の 再陥凹や再癒着、真珠腫の再発をきたしやすく、術後聴力改善率が低いと言われている。

現状では、滲出性中耳炎から、Atelectatic eardrum、癒着性中耳炎、緊張部型真珠腫という悪 化の流れは指摘されているものの、どの様な症例が、いつ悪化を認めるかは予測が困難であり、

またいつ、どの段階で手術介入をするかということも議論の余地がある。本研究は、atelectatic eardrum、癒着性中耳炎、緊張部型真珠腫の小児の臨床的特徴を分析し、真珠腫への進行の危険 因子特定すること、また適した手術時期を検討することを目的とした。

2 研究方法 研究1

小児のatelectatic eardrum 31例38耳、癒着性中耳炎17例19耳を対象とした。またコント ロール群として、先天性真珠腫症の小児32例の健側耳32耳も同様に検討した。評価項目は、ア ンケートによる生活歴、既往歴、鼻症状の聴取、側頭骨 CT による乳突蜂巣の発育の評価、含気 の有無、副鼻腔炎の存在の有無、アデノイド・扁桃肥大の有無、採血・臨床症状によるアレルギ ー性鼻炎の評価、聴力である。乳突蜂巣の発育の評価は日本耳科学会が提唱したMC分類をもち いた。すなわち MC0:蜂巣構造が殆ど認められないもの、MC1:蜂巣構造が乳突洞周囲に限局 しているもの、MC2:乳突蜂巣の発育が良好なもの、MC3:蜂巣発育が迷路周囲まで及んでいる もの、である。含気は術前と術後の側頭骨C Tで含気の程度をスコアリングし評価した。評価方 法は、中鼓室、上鼓室、乳突洞、乳突蜂巣についてそれぞれ、0点:陰影無し、1点:一部陰影、

2点:全て陰影、と評価し、また耳管については0または2点とスコアリングした。合計は10点 満点で、点数が高い程含気が不良という評価になる。

(2)

研究2

鼓室形成術を施行した、小児の癒着性中耳炎15例17 耳、緊張部型真珠腫13例14 耳を対象 とした。評価項目は、アンケートによる生活歴、既往歴、鼻症状の聴取、癒着部位、側頭骨 CT による乳突蜂巣の発育の評価、含気の有無、副鼻腔炎の存在の有無、アデノイド・扁桃肥大の有 無、採血・臨床症状によるアレルギー性鼻炎の評価、聴力である。癒着部位は、Grade 1:鼓室岬 角のみ癒着、Grade 2:キヌタ・アブミ関節、鼓室洞周囲のみ癒着、Grade 3:鼓室岬角、キヌタ・

アブミ関節周囲、鼓室洞に癒着、Grade 4:全癒着の4段階に分類した。

研究3

緊張部型真珠腫の診断で、鼓室形成術を施行した小児・若年例30耳、成人例32耳を対象とし た。評価項目は、癒着部位、含気の有無、乳突蜂巣の発育、進展度、選択術式、聴力成績、再発 率である。聴力判定は日本耳科学会ガイドライン 2010年の判定基準、すなわち気骨導差 15 dB 以内、聴力改善15 dB以上、聴力レベル30 dB以内のいずれか1つ以上を満たすものを成功例と した。

3 研究成果 研究1

Atelectatic eardrum群および癒着性中耳炎群の全ての症例で、反復性中耳炎または滲出性中耳

炎の既往を認めた。通年性アレルギー性鼻炎の有病率は、atelectatic eardrum群で18例 (58%)、

癒着性中耳炎群で16例 (94%) であり、癒着性中耳炎群はコントロール群と比較して有意に高い 割合であった (P < 0.01)。蜂巣構造に関してはMC0、MC1を発育不良とすると、MC0+MC1の 割合は、atelectatic eardrum群で19耳(50%)、癒着性中耳炎群で11耳(57.9%)であった。

対してコントロール群では2耳(6.2%)であり、atelectatic eardrum群、癒着性中耳炎群共に、

コントロール群と比して有意差を持って高い比率であった (P < 0.01) 。中耳の含気は、atelectatic

eardrum群と癒着性中耳炎群の両群でコントロール群よりも有意に高いスコアを示し、中耳貯留

液がより高率に存在していたことを示唆しているが、両群間に有意差は認められなかった。

atelectatic eardrum、癒着性中耳炎の発症の危険因子を、多変量ロジスティック回帰分析を使 用 し 検 討 し た と こ ろ 、 通 年 性 ア レ ル ギ ー 性 鼻 炎 (オ ッ ズ 比 [OR] 4.319、 信 頼 区 間 [CI]1.354-13.780)、乳突蜂巣の発育不良 (OR 8.457、CI 1.606-44.525)、および上鼓室の陥凹 (OR 20.897、CI 2.424-180.154) が発症の重要な危険因子であることが示された。

特に、通年性アレルギー性鼻炎は、癒着性中耳炎の発症に関連する最も重要な危険因子である ことが示された(OR 16.615、CI 1.853-148.996)。

研究2

反復性中耳炎または滲出性中耳炎の既往は、両群の1症例を除くすべての症例で認められた。

緊張部型真珠腫群で乳突蜂巣の発育不良を示す症例は、癒着性中耳炎群に比して有意に高い割合 であった (P < 0.01)。中耳の含気不良例は、癒着性中耳炎群に比して緊張部型真珠腫群で多く認 められた (P < 0.01)。

癒着性中耳炎群と緊張部型真珠腫群を比較して、緊張部型真珠腫の発症にどの因子が最も強く

(3)

影響しているのかを、多変量ロジスティック回帰分析を使用して解析したところ、耳漏の存在 (オ ッズ比 [OR]、14.847; 95% 信頼区間 [CI]、0.834–264.184)、全癒着 (OR、28.550; 95% CI、0.962 –847.508)、および乳突蜂巣の発育不良 (OR、19.357; 95% CI、1.022–366.589) が重要な因子で あることが示された。

研究3

含気の評価では、小児の方が有意に術後含気の改善を認めた。聴力成績は、小児 24 耳、成人 30耳で評価可能であり、小児は23耳(95.8%)、成人は 21耳(70%)で成功と判定された。

小児は癒着が高度であっても、Stage Iである症例が多く、術式もI型が可能である症例が多か った。

4 結論

Atelectatic eardrum、癒着性中耳炎、緊張部型真珠腫は、遷延性中耳炎の後遺症である。

Atelectatic eardrum、癒着性中耳炎を発症する危険因子は、通年性アレルギー性鼻炎、乳突蜂 巣の発育不良、側頭骨の含気不良、上鼓室の陥凹である。特に乳突蜂巣の発育不良は、緊張部型 真珠腫の発症の共通危険因子でもある。乳突蜂巣の発育の程度を確認することは、病態生理の理 解と予後の予測に寄与するため、atelectatic eardrum、癒着性中耳炎を発症するリスクの高い患 者は、長期にわたり滲出性中耳炎が遷延した段階で側頭骨CTを撮ることを考慮する。

癒着性中耳炎の発症に関連する重要な危険因子は、通年性アレルギー性鼻炎である。通年性ア レルギー性鼻炎は、鼻腔だけでなく耳管にも影響を及ぼし、永続的な中耳機能障害を引き起こす 可能性がある。したがって、病状の進行を防ぐために時間をかけて治療する必要がある。

緊張部型真珠腫の発症の危険因子は、乳突蜂巣の発育不良に加え、中耳貯留液、全癒着、及び 耳漏のエピソードである。これらの危険因子を有する癒着性中耳炎の小児には、緊張部型真珠腫 への進行を防ぐために、鼓室形成術を考慮する必要がある。

小児・若年層では癒着の程度が高度であっても、StageⅠa(癒着性中耳炎)である症例が多く、

手術時にⅠ型施行可能例が多い。小児・若年層は術前に含気が不良な症例でも術後に良好な再含 気化が期待できる場合が多く、聴力改善も期待できる。小児・若年層の癒着性中耳炎、緊張部型 真珠腫の術後経過は成人に比較し良好な傾向にあり、早期に診断し積極的に手術をすべきである と考えられる。

(4)

論文審査の結果の要旨

本学位論文は、小児おけるatelectatic eardrum, 癒着性中耳炎,緊張部型真腫の臨床的特徴と 進展の危険因子について、実際の症例からデータを収集し検討した貴重な臨床研究に基づいて記 載されている。解析に用いることができた症例数に限界があるため、統計学的な解析には困難を 要したと思われるが、すでに2編の原著論文になっており、学位論文としての基準はクリアして いる。

また、実際の診療と直結した考察がなされており、小児における中耳病変に対して重要な示唆 を与える内容であり、小児耳鼻咽喉科の診療レベル全体を大幅に向上させうる、学問的意義が高 い研究であると評価できる。

審査委員から指摘のあった論文の修正点について適切に修正がなされている。

試問の結果の要旨

スライドは、簡潔・明瞭で論理的であり、発表そのものもわかりやすかった。審査員の質問 に対しても明確かつ丁寧に答え、不明な内容に関しても自分の限界を明らかにできることで、申 請者の真摯な態度と本研究により培われた小児中耳疾患に関する知識の豊富さを垣間見ることが できた。研究としての完成度は高く、発表内容も洗練されおり学位取得に十分なレベルに達して いると考えられ、合格に値する内容であると判断した。ただし、発表が予定時間内に終わらない こと、もう少し積極的に応答に臨んでも良いのではないかと思われた質疑があったこと等につい ては、今後さらなる成長を期待したい。

審査委員から指摘のあった論文の修正点について適切に修正がなされている。

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