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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 成な りけ いす け 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第639号

学 位 授 与 年 月 日 令和3年3月15日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 家庭血圧の季節間の差と臓器障害および心血管リスクとの関連-家庭血 圧についての全国規模観察研究−J-HOP (Japan Morning Surge-Home Blood Pressure)研究−

論 文 審 査 委 員 (委員長) 石 川 鎮 清 教 授

(委 員) 亀 﨑 豊 実 教 授 市 原 佐保子 教 授

論文内容の要旨

1 研究目的

血圧は身体活動や気温などによって変動し、これら血圧変動の異常が心血管リスクと関連する ことが報告されている。血圧変動の一つに季節間の血圧差があり、夏に低く、冬に高いことが報 告されているが、その臨床的意義は未だ不明な点が多い。家庭血圧は診察室血圧と比べ、心血管 疾患発症の予測能に優れ、各国のガイドラインでその測定が推奨されている。さらに、診察室血 圧は正常であるが家庭血圧が高血圧を呈する仮面高血圧は、見逃されやすく注意が必要である。

血圧レベルの季節差は報告されているが、仮面高血圧の頻度についての季節差の報告は未だない。

また、これまでに夜間睡眠時の血圧は冬と比べ夏に高くなると報告されている。従来は夜間血圧 の評価法は24時間自由行動下血圧計(ABPM)のみであったが、我々は新たに夜間血圧が測定可 能な家庭血圧計を開発した。この夜間家庭血圧による季節差の報告は少なく、さらに、昼間血圧 が正常であるが夜間血圧が高血圧を呈する仮面夜間高血圧の頻度についての季節差の報告は未だ ない。以上を検討することで、季節変化による血圧異常の見逃しを防ぎ、心血管疾患の予防に役 立つ可能性がある。次に、心血管疾患が冬に増加することはよく知られ、冬の血圧上昇との関連 が考えられているが、その機序については不明な点が多い。血圧の季節差と臓器障害指標、およ び血圧と冬発症の心血管疾患の関連を検討することで、血圧の季節差と冬の心血管疾患増加の機 序を解明する一助となる可能性がある。

2 研究方法

一つ以上の心血管リスクを有する外来患者4310名を対象として、1日2回(早朝・就寝前)14 日間連続の家庭血圧測定を行った全国規模観察研究である J-HOP (Japan Morning Surge-Home

Blood Pressure)研究のデータセットを用い、登録時点での季節により4群に分け横断的解析を行っ

た。早朝・就寝前家庭血圧および夜間家庭血圧(夜間家庭血圧は全体の参加者のうち同意が得ら れた2562名で測定)について季節間の比較を行った。さらに、仮面高血圧を診察室血圧正常(収

縮期血圧 [SBP] 140mmHg未満かつ拡張期血圧 [DBP] 90mmHg未満)かつ早朝・就寝前家庭血圧

高値(SBP 135mmHg以上かつまたはDBP 85mmHg以上)と定義し、仮面夜間高血圧を昼間(早

朝・就寝前の平均)家庭血圧正常(SBP 135mmHg未満)かつ夜間家庭血圧高値(SBP 120mmHg以

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上)と定義し、その頻度について季節間の比較を行った。次に、登録時点で測定した臓器障害指 標を用い、家庭血圧と臓器障害(尿中アルブミン・クレアチニン比:UACR、脳性ナトリウム利尿 ペプチド:BNP)との関連の強さについて、交互作用項を用いて季節間の比較を行った。さらに追 跡期間で発症した心血管イベント(冠動脈疾患、脳血管障害、心不全、大動脈解離)を、冬発症と 他季節発症に分類し、冬発症の心血管疾患と家庭血圧との関連について COX 比例ハザード分析 を用いて検討した。

3 研究成果

データ欠損を除外した4267名(平均65歳、男性47%、高血圧罹患91%)は測定時期に基づい て春(3~5月)夏(6~8月)秋(9~11月)冬(12~2月)にそれぞれ1060、979、1224、1004名 に分類された。早朝および就寝前 SBP は他季節と比べ夏に低値であった(早朝 SBP, mmHg: 夏, 134.1 ± 15.6, vs. 春, 139.4 ± 15.5; 秋, 139.3 ± 16.1; 冬, 140.3 ± 15.5, 全てp< 0.05; 就寝前SBP, mmHg:

夏, 126.7 ± 14.1, vs. 春, 131.9 ± 14.9; 秋, 130.4 ± 15.2; 冬, 131.3 ± 15.2, 全てp< 0.05)。一方、夜間 SBP は他季節と比べ夏に高値であった(夜間 SBP, mmHg: 夏, 123.3±14.6, vs. 春, 120.7±14.8; 秋, 121.1±14.8; 冬, 119.3±14.0, 全てp< 0.05)。これらの関係は線形回帰分析を用いて患者背景因子を 補正しても有意であった。また、仮面高血圧の頻度は他季節と比べ夏に減少した(仮面早朝高血 圧: 夏, 31%, vs. 春, 46%; 秋, 45%; 冬, 50%, 全てp< 0.05; 仮面就寝前高血圧: 夏, 16%, vs. 春, 29%;

秋, 24%; 冬, 23%, 全てp< 0.05)。一方、仮面夜間高血圧の頻度は他季節と比べ夏に増加した(夏, 46%, vs. 春, 27%; 秋, 29%; 冬, 25%, 全てp< 0.05)。これらの関係はロジスティック回帰分析を用 いて患者背景因子を補正しても有意であった。さらに、早朝DBPとUACRおよびBNPとの関連 が、他季節と比較し冬により強かった(UACR、BNPそれぞれ交互作用項のp< 0.05)。次に、冬発 症の心血管疾患との関連について、4258名において平均6.2年の追跡期間でのべ269の心血管イ ベント(冬発症82、冬以外発症187)が観察され、ベースラインの早朝SBPと冬発症の心血管イ ベントに有意な関連を認めた(10mmHg 毎の調整ハザード比 [HR] 1.22, 95%信頼区間 [CI] 1.06− 1.42)しかし、就寝前SBPでは有意な関連を認めなかった。また、冬以外発症の心血管イベント とは、早朝および就寝前家庭 SBP ともに有意な関連を認めた(早朝 SBP: 10mmHg毎の調整 HR 1.11, 95%CI 1.00−1.23; 就寝前SBP: 10mmHg毎の調整HR 1.20, 95%CI 1.08−1.33)。

4 考察

本研究では、心血管リスクを有する外来患者を対象として、夏に測定された昼間(早朝および 就寝前)家庭血圧は、他季節と比べ低値であったが、一方、夏に測定された夜間家庭血圧は、他 季節と比べ高値であった。さらに、仮面高血圧は夏に減少したが、仮面夜間高血圧は夏に増加し た;冬における早朝家庭血圧とUACRおよびBNPとの関連は、他季節と比較し強かった。早朝家 庭血圧は将来の冬発症の心血管疾患と関連した。本研究はこれらの点を明らかとした初めての臨 床研究である。家庭血圧の季節差について、夏の日中の気温上昇などが昼間家庭血圧の低下をき たし、睡眠の質の低下や水分摂取の増加などが夏の夜間家庭血圧の上昇と関連していることが推 察された。また、仮面夜間高血圧は夏に増加し、夏の夜間高血圧は見逃されやすく注意が必要で あると考えられた。次に、早朝家庭血圧と臓器障害の関連は冬に強く、さらに、早朝家庭血圧は 将来の冬発症の心血管疾患と関連していた。この関係は就寝前家庭血圧では認められず、早朝の

(3)

血圧上昇が冬の寒冷刺激やそれに伴う交感神経亢進などと結びつき、臓器障害の進行をもたらし、

結果として冬の心血管疾患発症に関与している可能性が考えられた。以上より、早朝家庭血圧は 冬の心血管疾患発症を抑制するための有用な治療標的である可能性が示唆された。

5 結論

昼間および夜間の家庭血圧レベル、仮面高血圧の頻度には季節差が存在し、また、臓器障害指 標および心血管イベントとの関連から血圧の季節差の臨床的意義を明らかにした。本研究により 血圧の季節差を考慮した血圧管理は心血管疾患の発症を抑制する可能性が示唆され、年間を通し た家庭血圧測定は重要であると考えられた。

論文審査の結果の要旨

申請者の研究グループが独自に開発した夜間血圧を測定できる家庭血圧計を用いた大規模な 横断研究で、血圧の季節変動を診察室血圧、早朝・就寝前血圧、夜間血圧のデータと臓器障害と の関連を検討した研究である。血圧のプロファイルの季節変動を詳細に検討しており、特に夜間 家庭血圧による解析は貴重なデータであると考える。発表内容は既に 2 つの英語論文として専 門雑誌に掲載されており、研究手法や解析、論文の記載方法も大きな問題はないと思われた。学 位論文にふさわしい内容であると考える。

最終試験の結果の要旨

血圧の季節変動について、申請者らの研究グループが独自に開発した家庭血圧計を用いて診察 室血圧、早朝・就寝時血圧、夜間血圧を春夏秋冬の4つの季節に分けて解析した研究である。4,000 人を超える大規模なデータで季節毎のデータもばらつきも少なく収集されており、貴重なデータ であると考える。仮面夜間高血圧という概念を新たに定義し、夏期で夜間血圧が他の季節より高 値となっていたことは、新たな発見であったと言える。学位論文では、これまでに検討して新規 に明らかにしたことを中心にまとめられていた。発表に際しては、発表時間内に納められており、

図や表を用いて理解しやすい発表であった。質問にも適切に回答しており、研究に関連した内容 について十分勉強しているのがうかがえた。審査委員 3人で協議したところ、学位論文、発表内 容および態度ともに学位にふさわしいと判断する。

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