「観光振興の助けになれば」との思いから、酒田市に改良型フェイスシールドを寄贈いたし ました。
■「今」だからこそ「今」できる地域貢献を
令和2年8月4日(火)、酒田市定期船発着所において、学生が自作した改良型フェイス シールドの贈呈式が行われました。これは本校で例年、県内唯一の離島である飛島で活動を 展開してきた「テクノ・パラメディック(家電修理ボランティア)」が、コロナ禍の“今”
だからできる地域貢献のありかたについて検討を重ね、安全な観光振興推進に役立てても らおうと企画したものです。
当日の贈呈式には、酒田市からは阿蘇久泰氏(定期航路事業所長)と松永隆氏(酒田市市 民部まちづくり推進課課長補佐)をはじめとする関係者が、本校からは活動の指導を行う宍 戸道明教授と製作に携わった3名の専攻科生が出席し、フェイスシールド70個を寄贈いた しました。
また当日、NPO法人パートナーシップオフィスに、キャップ(帽子)のつば部分への着 脱を可能にしたフェイスシールド30個が寄贈されました。
【サイドストーリー1】:飛島への思いと受け継がれた“襷”
2010年に9名の学生で始められたテクノ・パラメディックの活動は、昨年度で10回を 数えました。卒業したOBから「島のため、今後も継続して欲しい」と受け継がれた襷です が、今年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響に直面しました。
「状況が変われば活動したい」と考え、活動に 僅かな希望を持ち、自発的に20数名の学生 がオンライン上で集まり、新型コロナウイル ス感染拡大の影響による登校禁止の現状にお いて“今できる地域貢献は何か”をテレビ会議 で議論しました。
「民宿のおばさんの笑顔が思い出される。私 たちでこの活動を止めてはいけないという使 命感が大きかったです。」(専攻科2年 小林 勇登君の談)
金子理事(NPO法人パートナーシッ プオフィス)への寄贈
阿蘇所長(右)に寄贈する学生
小林勇登君(専攻科2年)
【サイドストーリー2】:エンジニアリング・デザインと“ものづくり”の視点
テレビ会議での議論の末、フェイスシールドを製作し、地域の観光振興に役立ててもらお うという結論に至った学生達は、登校が禁止されている間は各自が自宅等でアイディアを 練ったり設計図を作成し、それら基に6月から対面授業が始まった専攻科生が中心となり、
実際に学内の機器を使用しながら試作を重ねました。
こうした苦労を経て無事試作品が完成し、喜んだ 学生達に、技術指導の小野寺良二教授から、
「誰がどこで、どういった状況で使うのか。使う側の 満足が得られなかったら、それは活きた“ものづくり”
とは言えない」という厳しい問いかけがありました そこで学生達は、試作品を酒田市ボランティア・
公益活動センターへ持ち込み、様々な意見を集めま した。「島での観光案内ではキャップを被ることが多 いので、その状態で着脱が容易であれば嬉しいのだ が・・・(パートナーシップオフィス 大谷氏の談)」
などの意見を受け、ユーザーオリエンテッドの視点(実際に使用する人を優先させること)
からデザインレビューとQCD(品質・コスト・納期)分析を進め、素早い制作を実現しま した。
「CADも知識も所詮はツール。“ものづくり”の俯瞰的視野の必要性、いわゆるエンジニア リング・デザインの概念に気づかされました。」(専攻科1年 西田統尊君の談)
■港へ届けた「想い」
学生達の「想い」は計100個のフェイスシールドとなり、酒田市に寄贈いたしました。
贈呈したフェイスシールドについては、設計上の特徴 や改良点などについて学生から丁寧に説明がなされ、
保守部品と自前の取扱説明書を添えて手渡されまし た。これらは今後、定期航路事業所をはじめとし、
旅館、診療所、駐在所、とびしま総合センター、酒 田市役所などで幅広く利用される予定です。阿蘇所長か らは「荷物の受け渡しなどの業務は、マスクだと呼吸が 苦しくなる。マスクのように呼吸が苦しくならず、かつ 効果的にコロナ対策ができるフェイスシールドは大変有 難い」と、フェイスシールドの具体的な使い道をお示し いただいたほか、活動に対する労いと感謝のことばを 頂きました。
「今後すぐ、東北公益文科大学の海岸ゴミ拾い調査が始まる。そこでさっそく使用したい
(NPO法人パートナーシップオフィス 金子博理事)」とのコメントともあり、今回のフェ イスシールドの活躍の機会はすぐに訪れそうです。
西田統尊君(専攻科1年)
金子理事
試着してみました
贈呈した「改良型フェイス シールド」
キャップ取付型 フェイスシールド