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防腐処理された構造用集成材の接着性能

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Academic year: 2024

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防腐処理された構造用集成材の接着性能

-防腐処理がラミナの接着性能に及ぼす影響について-

北海道立林産試験場 宮﨑淳子

1. はじめに

近年、屋外に設置されている構造物や住宅の土 台に防腐処理された構造用集成材が使用される 事例が増加している。集成材への防腐処理方法は いくつかあるが、より高い耐朽性を付与するため には、防腐処理したラミナを積層接着する方法が 適している。このようにして製造された構造用集 成材を実用に供するためには、防腐処理がラミナ の接着性能に及ぼす影響を調べる必要がある。そ こで、著者らは一般に用いられている防腐剤 ACQ(銅・アルキルアンモニウム化合物系)、CuAz

(銅・ホウ酸・アゾール系)、AAC(アルキルア ンモニウム化合物系)を用いた防腐処理が接着性 能に及ぼす影響を検討してきた 1-4。ここでは、

一連の検討の概要を紹介する。

2. 防腐処理材の接着性能への影響1

ACQ、CuAz、AACを加圧注入した木材を構造 用集成材用の接着剤であるレゾルシノール樹脂

(RF)、フェノール‐レゾルシノール共縮合樹脂

(PRF)、水性高分子‐イソシアネート系接着剤

(API)で接着し、せん断接着強さを測定した。

図1は、AACで処理した後にプレーナーで表 面を切削したカラマツ材をPRF で接着したとき のせん断接着強さ、木部破断率を示す。プレーナ ーによる切削深さは0.5、1mmとした。また切削

深さ 0mm、つまり未切削の木材についても検討

した。防腐処理された木材は、表面を切削しない と無処理材よりもせん断接着強さと木部破断率 は低下し、防腐処理による接着性能の低下が示さ れた。表面を切削するとせん断接着強さと木部破 断率は増大し、1mm の切削で無処理材と同等の 値にまで回復した。この結果から、防腐処理によ って木材表面には接着性能を低下させる因子が 付与されると考えられる。表面を切削すると劣化 因子が除去されるか、あるいはその効果が低減さ れるために、接着強さが増大したと考えられる。

3. 防腐処理による表面の物理的な変化1,4 防腐剤を加圧注入すると、早材部が陥没し、木 材表面には凹凸が生じた4(図2)。このように被 着材の表面が粗いと接着層が厚くなるために接 着層に空隙やクラックなどの欠点が生じ、接着性 能が低下する5)。したがって、防腐剤の加圧注入 によって表面粗さが増大したことが、防腐処理材 の接着性能の低下を引き起こした一因であると 考えられる。表面を切削すると接着性能が向上し たのは、凹凸が軽減されたためであると考えられ

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

0mm 0.5mm 1mm 無処理材

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

AAC処理材

(切削深さ)

 (MPa)  

図1 表面の切削深さを変えたAAC処理材のせん断接着強さと 木部破断率

凡例:    :せん断接着強さ,    :木部破断率     構造用集成材のJASの基準値

 :せん断接着強さ(7.06MPa),  :木部破断率(65%)

無処理

AAC処理

ACQ処理

CuAz処理 : 0.2 mm

: 2.5 mm

図2 防腐処理されたカラマツ材の表面の様子

(2)

る。

防腐処理による表面のぬれ性の変化は接着性 能に影響することから、防腐処理材のぬれ性を調 べた。その結果、防腐処理によってぬれ性は低下 しなかったことから、接着性能を低下させる原因 ではないことがわかった1

4. 防腐剤が接着剤の硬化に及ぼす影響1-4 防腐処理された木材の表面には多量の防腐剤 が付着しているため、接着の際、防腐剤が接着剤 中に混入し、硬化反応を阻害する可能性が考えら れる。そこで、防腐剤が接着剤の硬化に及ぼす影 響を検討するために、RF、PRF、API に防腐剤 を添加して硬化させた樹脂の架橋構造を調べた。

RFにACQ、CuAzを添加すると、架橋構造の 生成が阻害されることが示された。他方、AAC はRFの硬化に影響ないことが示された。ACQ、

CuAzはいずれも銅を含むことから、銅がRFの 硬化に及ぼす影響を検討した。その結果、銅の添 加量を増大するに従い、RF の架橋結合を形成す るメチレン基は減少し(図3)、架橋密度は低下す ることが示された2。従って、RF は、銅によっ て架橋結合の形成が阻害されると考えられた。

PRFでは、防腐剤による硬化阻害は認められな かった1

APIは、ACQ、CuAz、AACが混入することに よって架橋構造の形成が阻害されることが示さ れた。ACQ、CuAz については、薬剤中に含まれ る銅が API の硬化阻害に関与していることが示 唆された3

以上の結果から、ACQ、CuAzはRF、APIの 硬化を阻害し、AACはAPIの硬化を阻害するこ

とが分かった。そこで、ACQ、CuAz、AACを注 入した木材をRF、PRF、APIで接着し、接着性 能試験に供した。このとき、防腐処理後の表面に 生じた凹凸を除くために、接着面をプレーナーで 1mm 切削したが、切削後の表面に防腐剤は残存 していた。接着性能試験の結果、いずれの薬剤で 防腐処理した木材も無処理材と同等の接着性能 を示した4。その理由は、木材表面の防腐剤が接 着剤中にほとんど溶出しなかったために接着剤 の硬化が阻害されなかった、あるいは硬化阻害さ れていたが測定したせん断接着強さには影響し なかったなどいくつか考えられるが、定かではな い。いずれにしても、防腐剤表面に付着した薬剤 成分は接着性能を低下させないと言える。

5. おわりに

本研究から、防腐処理された木材の接着性能は 無処理材と比べて低いことが示された。防腐剤成 分である銅はRF、APIの硬化を阻害することが 示されたが、このことが防腐処理材の接着性能を 低下させる原因ではなかった。むしろ防腐処理に よる表面粗さが増大したことが、接着性能を著し く低下させる原因であった。

最近、ACQ 処理ラミナを接着した集成材は屋 外暴露によって接着性能が顕著に低下すること が報告された6が、原因は不明である。集成材の 耐久性向上を図るためには、この原因を明らかに する必要がある。その際に、本稿が一助になれば 幸いである。

文献

1) 宮﨑淳子, 中野隆人, 平林靖, 岸野正典: 木材学 会誌 45(1), 34-41, 1999.

2) 宮﨑淳子, 中野隆人: 木材学会誌 48(3), 178-183, 2002.

3) 宮﨑淳子, 中野隆人: 木材学会誌 48(3), 184-190, 2002.

4) 宮﨑淳子, 中野隆人: 木材学会誌 49(3), 212-219, 2003.

5) Murmanis, L., River, B. H., Stewert, H.: Wood

& Fiber Sci. 15(2), 102-115, 1983.

6) 宮崎祐子, 和田博, 満名香織: 奈良県森林技術 センター研究報告 34, 103-109, 2005.

図3 硫酸銅を添加したRFのIR分光分析の結果 0

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

0 0.1 0.2 銅 濃度 (mmol/g)

0.3

1475cm-1 メチレン基

(架橋結合)

825cm-1

CH2 CH2 OH

OH CH2OH OH

CH2 CH2 OH

OH CH2OH OH

825cm-1

CH2 CH2 OH

OH CH2OH OH

CH2 CH2 OH

OH CH2OH OH

CH2 CH2 OH

OH CH2OH OH

CH2 CH2 OH

OH CH2OH OH

980cm-1

OH OH CH2

OH CH2OH H2C OH OH CH2

OH CH2OH H2C

980cm-1

OH OH CH2

OH CH2OH H2C OH OH CH2

OH CH2OH H2C OH OH CH2

OH CH2OH H2C OH OH CH2

OH CH2OH H2C

 /D1605

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