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黒 沢 高 秀 

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福島大学地域創造

第30巻 第2号 99〜109ページ 2019年2月

Journal of Center for Regional Affairs, Fukushima University 30 (2):99-109, Feb 2019

摘   要

 2011年の東日本大震災前に福島県相馬市の松川浦に 隣接した通称野崎湿地にあったヒヌマイトトンボ生息 地で植生調査を行った。調査の結果生息地の植生はヨ シ群落,ヨシ−ウキヤガラ群落,ウキヤガラ群落,フ トイ群落に区分された。ウキヤガラ群落とフトイ群落 では優占種の被度が高かったが,ウキヤガラ−ヨシ群 落は対照的に優占種の被度も,全体の植被率も低かっ た。ヨシ群落はヨシが密な群落から疎らな群落まで 様々であった。日本でこれまで知られていたヒヌマイ トトンボの生息地の多くは汽水に成立した密なヨシ原 であったため,生息地はそのような環境に限られると の考えもある。しかし,野崎湿地のヒヌマイトトンボ 生息地にウキヤガラ群落やフトイ群落が含まれていた ことから,日本でもこれまで考えられていたよりも多 様な汽水植生に生息している可能性がある。日本での 生息地は今のところ,汽水域で,かつ密なヨシ原か,

それが近くにある場所に限られている。野崎湿地のヒ ヌマイトトンボ生息地は震災により失われたが,その ことも含めた震災後の状況についても記した。

は じ め に

 2011年3月11日に起きた東日本大震災の津波や地盤 降下により,特に岩手県から福島県にかけての海岸の 環境が大きく変化し,そこに生息・生育している動植 物に大きな影響を与えた(永幡 2012,日本生態学会 東北地区会 2016,Urabe and Nakashizuka 2016)。極 めて希少な動植物の中には,ヒメキンポウゲやクゲヌ マランのようにこれらの地域で絶滅した種類や,ジョ ウロウスゲなど大半の生息地・生育地が失われた種類,

オオモノサシトンボなどかろうじて生息地・生育地が 残されたものの個体数が大幅に減少して存続が危ぶ まれている種類も見られた(牧野 2011,永幡 2012,

Kurosawa 2016)。そのような動植物の中で,ヒヌマ イトトンボは希少性や特異な生態,保全上の重要性な

東日本大震災前にヒヌマイトトンボが生息していた 福島県相馬市松川浦通称野崎湿地の植生

福島大学共生システム理工学類  

黒 沢 高 秀 

ふくしま虫の会  

三田村 敏 正 

ふくしま虫の会  

高 橋 昭 二 

農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター  

村 上 敏 文 

(現所属:東京農業大学)

Vegetation of habitat of Mortonagrion hirosei(Odonata: Coenagrionidae)

in Matsukawaura, Fukushima, Japan before the Great East Japan Earthquake and Tsunami of 2011

KUROSAWA Takahide, MITAMURA Toshimasa, TAKAHASHI Shoji, MURAKAMI Toshifumi

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どから震災後の生息地の状況の確認や,消滅した生息 地での探索が最も精力的におこなわれた種類の生物の 1つと思われる。

 ヒヌマイトトンボは日本,中国(香港),台湾,韓 国の海岸部に生息する,トンボ目イトトンボ科の小 型のイトトンボである(Stanton and Allcock 2011)。

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは準絶 滅危惧Near Threatened に選定されている(Wilson  and Reels 2011)。日本では生息条件が限られ,河川 改修や護岸整備,沿岸域の開発,自然災害による生息 地の消失や改変により存続が脅かされているため(環 境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 2015),

環境省レッドリスト2018では絶滅危惧IB類に指定さ れ て い る(https://www.env.go.jp/nature/kisho/

hozen/redlist/index.html,2018年12月29日確認)。

 ヒヌマイトトンボは,海岸沿いの海水の影響を受 ける密生したヨシ原に生息するという,トンボ目と しては特異な生態を持っているとされている(渡辺  2007,環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進

室 2015)。アオモンイトトンボ,アジアイトトンボな

どの他のイトトンボの成虫は,ヒヌマイトトンボの成 虫を食べる捕食者であることが知られている(広瀬・

小菅 1973,二宗 1997,福島虫の会ヒヌマイトトンボ

調査プロジェクト班 2005)。そのため,ヒヌマイトト ンボはアジアイトトンボなど多くのイトトンボの幼虫 であるヤゴが生育できない捕食者の少ない5〜10‰

(パーミル,パーセントの10分の1)程度の汽水に生 育する(岩田・渡辺 2004)。また,そのような汽水で も生きられるアオモンイトトンボを含む,多くのトン ボ類は活発に直線的に飛翔するため,密なヨシの中で は自由に移動できない。ヒヌマイトトンボは,普段静 止し,ときおり飛翔するという行動様式であるため,

密なヨシの中でも自由に移動可能である(Watanabe  and Mimura 2004)。そのため,捕食者の少ない相 対照度が20%以下の密なヨシ原に生育するとされる

(Watanabe and Mimura 2004)。このように,ヒヌマ イトトンボが生育できる環境は,捕食者の少ない10‰

程度の汽水で,かつ相対照度20%以下の密なヨシ原 に限られるとされる(松浦・渡辺 2004,Watanabe  and Mimura 2004)。これらの詳細な研究は三重県宮 川河口域の一箇所で行われたものであるが,千葉県お よび茨城県の利根川(宮下 1999,2000,宮下・染谷  2002,大石・天野 2012),東京都江戸川・荒川・中川(宮

下 1999),福島県鶴江川(宮下ほか 2006)などで行

われた生息地の植生や塩分濃度などの調査でも同様な

結果が得られており,ヒヌマイトトンボの生息地は汽 水域に成立した密なヨシ原に限られることが広く受け 入れられている(例えば環境省自然環境局野生生物課 希少種保全推進室 2015)。また,後述するような各地 でおこなわれている生息地の保全やミチゲーションな ども,このような知識を前提としている(田畑 2000,

山根ほか 2004,松浦・渡辺 2004, 2006,渡辺 2007,

Watanabe et al. 2008 ,Iwata and Watanabe 2009,  Morimoto et al. 2010,宇多ほか 2010,寺本 2015)。

ただし,香港ではヨシ原以外にも,マングローブ林や ミミモチシダやカヤツリグサ属植物が優占する汽水 湿地にも生育し,捕食者であるトンボ類としばしば 同所に生息することが報告されている(Stanton and  Allcock 2011)。日本でも,茨城県涸沼の生息地の一 部はガマ,ホタルイ,サンカクイ,フトイ,イグサが 密生した湿地であることを示唆する記述があり(広 瀬・小菅 1973),本研究の調査地である野崎湿地を含 む福島県相馬市松川浦の生息地の中には密度の低いヨ シ原,ヨシ原に囲まれた開放水面とその周辺のフトイ とウキヤガラが混ざる景観,松林の中の密なヨシ原な ども含まれるとされている(福島虫の会ヒヌマイトト ンボ調査プロジェクト班 2005,高橋ほか 2009,高橋・

高橋 2011,三田村ほか 2012)。しかし,このような 環境に関しては,福島虫の会ヒヌマイトトンボ調査プ ロジェクト班(2005)でヨシやフトイなどの茎の密度 が計測され,相観にもとづく植生断面図が描かれてい るものの,植生学的な調査は行われておらず,生息環 境の植生の情報は限られていた。

 ヒヌマイトトンボは保全上重要な生物と認識されて おり,各地で様々な保全に関わる活動が行われている。

三重県宮川河口域では,下水処理場予定地にヒヌマイ トトンボの生息が確認されたことから,隣接地にヨシ 原を移植して生息地を創出するミチゲーションがおこ なわれた。また,それを成功させるために先述したヒ ヌマイトトンボの詳細な生態学的調査やモニタリング がおこなわれ(岩田・渡辺 2004,松浦・渡辺 2004,  2006, Watanabe and Mimura 2004,渡辺 2007),観 察会や講演会などの普及活動も活発に実施されて い る(http://www.japanriver.or.jp/taisyo/oubo̲

jyusyou/jyusyou̲katudou/no9/no9̲pdf/shizenshi.

pdf)。茨城県利根川や涸沼でも生息地である汽水の ヨシ湿地の創出がおこなわれている(山根ほか 2004,

宇多ほか 2010)。福島県相馬市松川浦でも地元の環境 NPO であるはぜっ子倶楽部を事務局とする野崎湿地 検討委員会が,2008年よりヒヌマイトトンボの生息地

(3)

の調査,観察会・報告会・講演会の実施,報告書の作 成などの保全活動を行っていた(野崎湿地検討委員会  2011,三田村ほか 2012)。

 松川浦では,2011年の東日本大震災前に5ヶ所(う ち1ヶ所は埋め立てにより当時既に消失していた)の 生息地が知られていた(三田村・横井 1986,三田村 ほか 2005,2012,高橋ほか 2009,高橋 2010)。その うちの最も生息範囲が広く,最も個体数が多い生息地 は,はぜっ子倶楽部関係者らにより通称「野崎湿地」

と呼ばれていた。野崎湿地は松川浦の北西部の奥に接 した約2ha の低湿地で,松川浦と幅の狭い土手で区 切られていた(図1a)。土手の北東端付近の手動の 小水門を,湿地内の水の排出のために干潮時に開け,

上げ潮時に閉じることによって湿地内の汽水の塩分が 低く抑えられていた(鈴木 2011,三田村ほか 2012)。

 野崎湿地では三田村ほか(2005)がヒヌマイトトン ボの生息を初めて確認した。2005年に福島虫の会ヒヌ マイトトンボ調査プロジェクト班(2005)がヒヌマイ トトンボのセンサス調査を行うと共に生息地のヨシや フトイなどの密度を計測し,植生断面図を描いた上で,

ヨシの密な群落以外にフトイやガマ属などが優占する 汽水の草地にもヒヌマイトトンボが生育することを指 摘した。その後,東日本大震災前の2009年にヒヌマイ トトンボの生息調査(三田村ほか 2011)と共に生息 地の植生調査が行われた。この生息地は震災で失われ てしまったが,そこで得られた結果は,密なヨシの群 落以外の生息地の植生に関する貴重な記録であるた め,本論文としてまとめておくことにした。なお,本 論文は関係者向けに作成された報告書(野崎湿地検討

委員会 2011)の1つの章(黒沢・村上 2011)の内容

を加筆・修正して作成されたものである。

調 査 方 法

 調査地である通称野崎湿地は福島県相馬市尾浜札ノ 沢の,北緯37度49分13〜20秒,東経140度56分50秒〜

57分2秒,標高ほぼ0mに位置している。野崎湿地の 南部の松川浦に面した部分以外は,元は水田で,畦に よって区画が分かれていた。野崎湿地でも特にヒヌマ イトトンボが多く見られた隣接する4区画(全体でほ ぼ50×90m)内に,湿地の縁である落葉樹林の林縁を 基点として2本のセンサスルートを設けた(三田村ほ

か 2011)。このセンサスのルートに沿って,6〜14m

間隔で2×2mの調査区(コドラート)を設置し(図 2a),2009年8月11日に群落高,全体の植被率およ

び生育する植物の種類ごとの被度を記録した。調査結 果および相観から植物群落を区分し,各群落の特徴を 記録した。各調査区に関して,種類ごとの被度を用い て Shannon の多様度指数H’,Simpson の多様度指数 1/D,Shannonの均等度指数,Simpsonの均等度指数 を算出した。その際,草本層1と2の両方に出現する 種は,両層の被度の和を用い,被度1%未満は0.5%

として計算した。

 簡易空撮気球(村上ほか 2008)を用いて2009年7 月12日に上空から撮影を行い,撮影された空中写真と 現地踏査の結果から,調査で区分した植物群落の分布 図を作成した。撮影方法の詳細については村上(2011)

を参照のこと。作成した分布図から,画像処理ソフト ウェア(ImageJ, National Institutes of Health)を用 いて各群落の面積を算出した。

結   果

1.確認された植物群落の概要

 調査地は,ヨシ,ウキヤガラ,フトイが顕著な 湿地の草地で,所々に開放水面が見られた(図2 b)。各調査区の素表を表1に,それをもとに作成 した常在度表を表2に示す。ヨシなどの大型の草本 とオオクグ,ウキヤガラ,フトイなどの中〜小型の 草本の高さの差が顕著であったため,素表では草本 層を2層に区分している。調査区ではヨシ,アイア シ,オオクグ,ウキヤガラ,フトイの5種の維管束 植物しか確認できなかった。また,それぞれの調査 区内も特定の種類が優占しており,構成種数は1〜 3と少なかった。そのため,種多様性の指標である Shannon の多様度指数は0〜0.736,Simpson の多 様度指数は1〜1.991と低かった。

 調査区は,ヨシ群落,ウキヤガラ−ヨシ群落,ウ キヤガラ群落,フトイ群落の4つの群落に区分され た(表1,2)。この他,植物の生育が見られない開 放水面も確認された。

 ヨシ群落は1.7〜3mのヨシが草本層1で優占し ていたが,その被度は10〜90%と幅があり,場所に よりアイアシ,ウキヤガラ,オオクグが随伴してい た(図2c)。高さ1m以下の草本層2でオオクグ が密(被度70〜80%)に生える場所と,貧弱でほと んど植物が見られない場所があり,前者は落葉樹 林と接する湿地の縁に集中していた。平均出現種 数は2.3で,ヨシ以外の植物が生育していない調査 区もあった。Shannonの多様度指数の平均は0.317,

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図1.東日本大震災前後の福島県相馬市松川浦に面した野崎湿地の様子.

衛星写真は Google Earth のもの(a,震災前の2010年9月21日;b,震災直 後の2011年4月6日;c,2015年11月12日)を使用した.

2010

2011

2015

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図2.福島県相馬市松川浦に面した野崎湿地の調査場所と植生.

a:ヒヌマイトトンボのセンサスルートと調査区(コドラート).数字は基点からの距離(m)を示す.

b:ヒヌマイトトンボ生息地の植生の様子.c:ヨシ群落.d:ウキヤガラ群落.e:フトイ群落.

f:植生図.空中写真および写真は2009年7月12日撮影.

(6)

Simpson の多様度指数の平均は1.332と低かった。

均等度はオオクグが随伴する場合に高く(Shannon の均等度指数0.347〜0.997,Simpsonの均等度指数 0.42〜0.995),随伴しない場合はウキヤガラ群落 やフトイ群落と同程度に低かった(Shannonの均等 度指数0.08〜0.297,Simpson の均等度指数0.51〜

0.555,いずれもヨシ1種しかない調査区を除く)。

 ウキヤガラ−ヨシ群落は,生育しているヨシの高 さが1.2m程度以下で,被度も1%程度以下,それ と共に生育しているウキヤガラも被度1%程度以下 の貧弱な植生であった。この群落ではその年のヨシ より大きな前年以前のヨシの桿が残っているのが確 認された。出現種数は2で,Shannonの多様度指数 は0.637,Simpsonの多様度指数は1.8,Shannonの  表1. 福島県相馬市松川浦に面した通称野崎湿地におけるヒヌマイトトンボのセンサスルートに設置した 

調査区の植生素表.調査日は東日本大震災前の2009年8月11日.植被率および被度は%で示されてい る.+ は1%未満を示す.調査区の位置は図2a参照.

調査区番号 A1 A2 A3 A4 A5 B1 B2 B3 B4 B5 B6 B7 B8 B9 B10 B11 B12 B13

基点からの位置 10m 20m 33m 45m 57m 0m 8m 12m 20m 32m 38m 43m 50m 55m 68m 76m 90m 100m

群落名 ヨシ群落 フトイ

群落 ウキヤガラ群落 ヨシ群落 フトイ

群落 ウキヤガラ群落 フトイ群落 ヨシ

群落 ウキヤガラ

‑ヨシ群落 ヨシ 群落

群落高 2m 2.3m 1m 1m 1m 2m 2m 1.7m 0.7m 1m 1.5m 1.5m 1.2m 1.2m 1.5m 2.3m 1.2m 3m

最大の植物 ヨシ ヨシ ヨシ ウキヤガラ ウキヤガラ ヨシ ヨシ ヨシ フトイ,

ヨシ ウキヤガラ ヨシ ヨシ ヨシ ヨシ ヨシ ヨシ ヨシ ヨシ

草本層1 02m 12.3m 0.52m 0.52m 02m 02.3m 03m

草本層2 01m 01m 01m 01m 00.5m 00.5m 00.7m 01m 01.5m 01.5m 01.2m 01.2m 01.5m 01.2m

草本層1植被率(%) 50 60 10 40 30 95 95

ヨシ Phragmites australis 50 60 10 40 30 90 90

アイアシ Phacelurus latifolius 5 5

オオクグ Carex rugulosa +

草本層2植被率(%) 70 80 80 80 80 80 90 90 80 90 90 90 90 1

オオクグ Carex rugulosa 70 80 80

ウキヤガラ Bolboschoenus fluviatilis + 80 75 + 1 80 60 1

フトイ Schoenoplectus tabernaemontani 80 + 5 90 10 10 80 85 90 80

ヨシ Phragmites australis 1 1 + + + 10 10 5 1 10 +

構成種数 S 2 2 3 3 3 2 2 1 2 2 3 2 2 2 2 2 2 2

Shannonの多様性指数 H 0.056 0.691 0.103 0.075 0.27 0.381 0.679 0 0.034 0.349 0.736 0.349 0.215 0.06 0.349 0.206 0.637 0.206 Simpsonの多様性指数 1/D 1.02 1.991 1.038 1.025 1.147 1.26 1.83 1 1.011 1.246 1.684 1.246 1.117 1.022 1.246 1.111 1.8 1.111 Shannonの均等度指数 0.08 0.997 0.094 0.068 0.246 0.347 0.618 0.049 0.503 0.67 0.503 0.31 0.087 0.503 0.297 0.918 0.297 Simpsonの均等度指数 0.51 0.995 0.346 0.342 0.382 0.42 0.61 1 0.506 0.623 0.561 0.623 0.559 0.511 0.623 0.555 0.9 0.555

 表2. 福島県相馬市松川浦に面した通称野崎湿地におけるヒヌマイトトンボのセンサスルートに設置した調 査区の種組成と種類ごとの常在度級および優占度.調査日は東日本大震災前の2009年8月11日.常在 度級はⅠが20%以下,Ⅱが40%以下,Ⅲが60%以下,Ⅳが80%以下,Ⅴが80%より大きい場合で,5 調査区以下の群落は出現調査区数を記した.カッコ内の優占度は被度階級で + が被度1%以下,1が 10%以下,2が25%以下,3が50%以下,4が75%以下,5が75%より大きい場合を示す.

群落区分 ヨシ群落 ウキヤガラ‑ヨシ群落 ウキヤガラ群落 フトイ群落

調査区数 7 1 4 6

平均植生高 2.2m 1.2m 1.1m 1.2m

草本層平均植被率 54.3% 0.5% 0% 0%

草本層平均植被率 76.7% 1% 82.5% 88.3%

出現種数 Sの平均 2.3 2 2.8 2.2

Shannonの多様度指数 H’の平均 0.317 0.637 0.357 0.185 Simpsonの多様度指数 1/Dの平均 1.332 1.8 1.276 1.113 Shannonの均等度指数の平均 0.918 0.372 0.258 Simpsonの均等度指数の平均 0.664 0.9 0.477 0.528 群落識別種

ヨシ Ⅴ(15 1(+) 3(+‑1 Ⅴ(+‑1 Phragmites australis

ウキヤガラ Ⅱ(+) 1(+) 434 Ⅰ(+) Bolboschoenus fluviatilis

フトイ 4(+‑1 Ⅴ(45 Schoenoplectus tabernaemontani

随伴種

アイアシ Ⅱ(1) Phacelurus latifolius

オオクグ Ⅲ(+‑5) Carex rugulosa

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均等度指数は0.918,Simpsonの均等度指数は0.9と 多様度指数も均等度指数も他の群落より高かった が,これは被度の高い植物がなく,構成する2種の 被度に大きな差がなかったことによる。

 ウキヤガラ群落では1.0m程度以下のウキヤガラ が草本層2で被度が60〜80%と優占し,場所によっ てはフトイやヨシが多少混ざることがあった(図2 d)。平均出現種数は2.8で,他の群落より少し高 めであるが,Shannonの多様度指数の平均は0.357,

Simpson の多様度指数の平均は1.276とヨシ群落と 同程度であった。Shannon の均等度指数の平均は 0.372,Simpsonの均等度指数の平均は0.477であっ た。

 フトイ群落では1m程度以下のフトイが草本層2 で被度が80〜90%と優占し,1.5m以下の小型のヨ シがまばらに混ざって生えていることが多かった

(図2e)。平均出現種数は2.2で,Shannon の多様 度指数の平均値は0.185,Simpson の多様度指数の 平均値は1.113と他の群落よりも低かった。これは,

ほとんどの調査区でヨシとフトイの2種しか生育し ておらず,フトイの被度が高い一方で,ヨシの被度 が低いことによる。Shannonの均等度指数の平均は 0.258,Simpsonの均等度指数の平均は0.528であっ た。

 開放水面は植物の生育の見られない場所で,この 近くでは卵の腐った匂いが感じられた。

2.植物群落の分布

 空中写真では,ヨシ群落は比較的明るい緑色に 写っており,フトイ群落はヨシ群落よりくすんだ緑 色に,ウキヤガラ群落はヨシ群落よりも黄色がかっ た緑色に,ウキヤガラ−ヨシ群落はヨシの枯れた桿 により灰白色がかった褐色に写っていた(図2a)。

そのため,ヨシ群落,フトイ群落,ウキヤガラ群落 は,多くの部分で空中写真のみから互いに識別可能 であった。現地踏査も行った上で作成した植生図を 図2fに示す。調査範囲内で最も大きな面積を占め るのがヨシ群落で,面積は2,175㎡であった。ウキ ヤガラ−ヨシ群落は124㎡であった。フトイ群落は 569㎡で,ヨシ群落と開放水面の中間的な位置にあっ た。ウキヤガラ群落は292㎡で,この群落もヨシ群 落と開放水面の中間的な位置にあった。開放水面は 102㎡であった。

 開放水面は多くの場合フトイ群落内あるいはフト イ群落とウキヤガラ群落の間にあり,まれにフトイ

群落とヨシ群落の間に見られた。ウキヤガラ−ヨシ 群落はヨシ群落内またはヨシ群落とフトイ群落の間 に見られた。

考   察

1.野崎湿地のヒヌマイトトンボの生息場所の植生  野崎湿地でも特にヒヌマイトトンボが多く見られ た隣接する4区画の植生は,ヨシ群落,ウキヤガラ

−ヨシ群落,ウキヤガラ群落,フトイ群落の4つの 群落に区分された。均等度の高低はあるものの,い ずれの植生も構成種数が少ないことにより,種多様 性の低い群落であった。ウキヤガラ群落,フトイ群 落は優占種の被度が高かったが,ウキヤガラ−ヨシ 群落は対照的に優占種の被度も,全体の植被率も低 かった。ウキヤガラ−ヨシ群落にはその年のヨシよ り大きな前年以前のヨシの桿が残っているのが確認 されたことから,前年までヨシ群落であった場所が 何らかの原因でヨシが衰退し,植被率や群落高が減 少した状況であると考えられる。ヨシ群落はヨシが 密な群落から疎らな群落まで様々であった。

 調査区を含むルートから左右2mの範囲のセンサ ス調査により,いずれの群落からも,多い日で1m あたり0.3〜3匹のヒヌマイトトンボが確認されて いる(三田村ほか 2011)。交尾ペアはヨシ群落で多 い傾向があり,雄の単独個体はウキヤガラ群落やフ トイ群落で比較的多いことが観察されている。

2.ヒヌマイトトンボの生息環境

 三重県宮川河口の例では,ヒヌマイトトンボは 10‰程度の汽水で,かつ相対照度20%以下の密なヨ シ原に限って生息するとされていたが(松浦・渡辺  2004,Watanabe and Mimura 2004),上記のように,

野崎湿地では密なヨシ原ばかりではなく,ヨシをほ とんど含んでおらず,群落高も0.7〜1.5mの開放的 なフトイ群落やウキヤガラ群落にも多くのヒヌマイ トトンボが確認された。この結果は,ヨシ原に囲ま れた開放水面とその周辺のフトイ,ウキヤガラが混 ざる景観にヒヌマイトトンボが生息するという,野 崎湿地での先行する観察記録の記述(福島虫の会ヒ ヌマイトトンボ調査プロジェクト班 2005,高橋・

高橋 2011)とよく一致した。

 今回ヒヌマイトトンボが確認されたウキヤガラ−

ヨシ群落,ウキヤガラ群落,フトイ群落は植被率が

30〜60%の密なヨシ群落から遠くても15m程度であ

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る。そのため,ヨシ群落から短時間偶発的にこれ らの群落に飛来したと考えることも可能かもしれ ない。しかし,ヒヌマイトトンボの成虫は移動性 に乏しく,性別・生育段階別で最も移動性の高い 成熟雄でも一日平均3.3mしか移動しないとされる

(Watanabe and Mimura 2003, 2004)。野崎湿地で も一日あたりの移動距離が同様である場合,ウキヤ ガラ−ヨシ群落,ウキヤガラ群落,フトイ群落で確 認されたヒヌマイトトンボの一部は,少なくとも数 日間はヨシ群落外で生活していたことになる。ただ し,これまでのヒヌマイトトンボの移動性に関する 詳細な研究は,いずれも三重県宮川河口で行われた ものである。ヒヌマイトトンボの移動性を一般化す るためには,分布域内の広い範囲における多様な植 生で,生息するヒヌマイトトンボについて観察する 必要がある。そのため,野崎湿地のウキヤガラ−ヨ シ群落,ウキヤガラ群落,フトイ群落で確認された ヒヌマイトトンボは,知られているより移動性が高 い可能性と,密なヨシ以外の植生に長期間滞在して いる可能性が考えられ,いずれであるかは今のとこ ろ確定できない。しかし,2回のセンサス調査日の いずれでもウキヤガラ−ヨシ群落,ウキヤガラ群落,

フトイ群落でかなりの数のヒヌマイトトンボが確認 され(三田村ほか 2011),センサス調査日以外でも これらの群落でふつうに観察されたこと,羽化殻や 羽化直後の個体も確認されたことから,野崎湿地で はウキヤガラ−ヨシ群落,ウキヤガラ群落,フトイ 群落も幼虫や成虫の生育環境として利用されていた ものと考えられる。

 塩分濃度に関しては今回の調査地内では計測され ていないが,より松川浦に近い側の隣接地で20‰程 度であるため,野崎湿地のヒヌマイトトンボ生息地 も宮川河口の生息地とほぼ同様の値である可能性が 高いと思われる。

 日本でこれまで知られていたヒヌマイトトンボの 生息地の多くは汽水に成立した密なヨシ原であった ため,生息地はそのような環境に限られるとの考え もあった(環境省自然環境局野生生物課希少種保 全推進室 2015)。しかし,茨城県涸沼のガマ,ホタ ルイ,サンカクイ,フトイ,イグサが密生した湿 地(広瀬・小菅 1973),福島県相馬市松川浦の野崎 湿地以外の密度の低いヨシ原や,松林の中の密なヨ シ原でもヒヌマイトトンボの報告がある(高橋ほか  2009,福島虫の会ヒヌマイトトンボ調査プロジェク

ト班 2005,高橋・高橋 2011)。今回,野崎湿地の

ヒヌマイトトンボ生息地でフトイ群落やウキヤガラ 群落が含まれていたことから,日本でもこれまで考 えられていたよりも多様な汽水植生に生息している 可能性がある。香港ではマングローブ林や,汽水性 のシダやカヤツリグサ属植物が優占する湿地にもヒ ヌマイトトンボが生育していることが報告されてい る(Stanton and Allcock 2011)。日本での生息地は 今のところ,汽水域で,かつ密なヨシ原か,それが 近くにある場所に限られている。

3.東日本大震災後のヒヌマイトトンボの生息地の  状況

 最後に,東日本大震災以降の野崎湿地のヒヌマイ トトンボ生息地の状況について触れておきたい。松 川浦で震災直前にヒヌマイトトンボが確認されてい た4ヶ所は,2011年の東日本大震災の津波と地盤沈 下により植生が消失するなどして全て失われてし まった(三田村 2011,2016)。野崎湿地は,津波で 堤防が決壊したことにより松川浦の汽水が直接流れ 込み,地盤沈下もあって湿地植生のない水面が広 がる状態となった(三田村 2011,2016)(図1b)。

また津波で被災した大型の漁船が湿地を長らく占拠 し,その撤去のために土砂を投入して仮設路が作ら れ,(ヒヌマイトトンボの生息地であったため)作 業の後撤去されるなど,湿地は津波の後もしばらく 攪乱が続いた。2013年には調査した区画の北側に工 事用の仮設道路が作られ,2014年には仮設道路の北 側の湿地は埋め立てられた。2015年には野崎湿地の 西側から流入する水路が暗渠化され,野崎湿地の東 に2016年に作られた細田ポンプ場から排水されるよ うになり,湿地への真水の流入は東側にある大森山 からの雨水だけとなった。調査した区画の部分には 2018年現在も水面が広がり,以前畦だった場所など にヨシが生育する部分が小面積あるものの,ウキヤ ガラ,フトイの生育する植生はほとんど戻っていな い。調査した区画の西側も震災直後は植生がほとん ど失われたが,2012年以降,次第にヨシ群落が回復 してきている(図1c)。

 松川浦では,はぜっ子倶楽部の呼びかけで2011年 よりヒヌマイトトンボの探索が続けられている(三

田村 2011,2016)。野崎湿地を含む,震災前に生息

していた場所を中心に調査が行われてきたが,2018 年現在ヒヌマイトトンボの生息は確認されていな い。松川浦周辺では海岸防災林事業区域内に,震災 後にできた塩性湿地や干潟を保全する保護区が設け

(9)

られる,あるいは河口の広大な耕作放棄水田が公有 地化されて塩性湿地や干潟のまま残されるなど(渡 邉・黒沢 2015,齋藤ほか 2016,曲渕ほか 2017),

震災直前よりもむしろ広い面積の汽水のヨシ原が見 られるようになっている。ヒヌマイトトンボは目立 たない昆虫であるので,松川浦周辺のどこかで今も 生き残っており,いつか再び野崎湿地で観察できる 日が来ることを期待したい。

謝   辞

 本研究の野外調査は野崎湿地検討委員会の平成21

(2009)年度事業として行われた。委員会の事務局で ある,はぜっ子倶楽部の皆様には,調査の支援をして いただきました。また,はぜっ子倶楽部代表の新妻香 織氏には原稿を見ていただき,東日本大震災後の野 崎湿地の状況についてお教えいただきました。福島 大学共生システム理工学類の塘忠顕氏には文献の入 手でお世話になりました。これらの皆様にお礼を申 し上げます。本研究の一部は JSPS科研費(課題番号 16H03334,18H04146)の助成を受けて行われたもの である。

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