基礎ゼミ I 問題11 2022年 6月27日
(1), (2), ...の小問は別の人が解いて発表しても構いませんが、(a), (b), ...の小問は同じ人が発表してください。
次ページにヒントを書きました。参照ください。
問11.1. 2< e <3を知っているとして、exにMaclaurinの定理を用いることにより、eが無理数であることを 示せ。
問11.2. lim
n→∞sin(2πn!e) = 0を示せ。
問11.3. [Cauchyの剰余項]教科書p.67 Taylorの定理と同じ条件のもと、点xと点aの間にある点cが存在して f(x) =
n−1
∑
k=0
f(k)(a)
k! (x−a)k+Rn(x), Rn(x) = f(n)(c)
(n−1)!(x−c)n−1(x−a) が成り立つことを示せ。
問11.4. [Newtonの一般化された二項定理]f(x) = (1 +x)α,α∈R,にMaclaurinの定理を適用し、
(1 +x)α= 1 +αx+α(α−1)
2! x2+· · ·+α(α−1)· · ·(α−n+ 2)
(n−1)! xn−1+Rn(x) =
n∑−1 k=0
(α k )
xk+Rn(x) を導け。ただし剰余項Rn(x)はCauchyの剰余項(cf.問11.3)で述べよ。
問11.5. (1 +x)α=
∑∞ k=0
(α k )
xk,|x|<1,が成り立つこと、すなわち、問11.4で求めたCauchyの剰余項Rn(x) に対して、lim
n→∞Rn(x) = 0, |x|<1,となることを示せ。
問11.6. f(x) =
e−1/x x >0
0 x≦0
とする。*1 x >0でf(n)(x) = pn−1(x)
x2n e−1x とn−1次の多項式pn−1(x) を用いて表せることを示せ。更に、これを用いて、f(n)(0) = 0および lim
x→+0f(n)(x) = 0を示せ。
問11.7. f(x) =x3−3にNewton法を適用し、√3
3の近似値を求める数列{xn}を導け。また、x1= 1として 数列{xn}を第4項まで具体的に計算せよ。
問11.8. Cauchyの平均値の定理を用いて、0< a < b <1のとき、p > q >0ならば bp−ap bq−aq <p
q を示せ。
問11.9. 次の極限値を求めよ。ただし、l’Hoptalの定理を用いるときは、不定形であることを明記せよ。(a >0 は定数。)
(1) (a) lim
x→0
( 1 tanx−1
x )
(b) lim
x→+0x−2e−1x (2) lim
x→∞
{ax−(logx)2}
(3) (a) lim
x→1xtanπ2x (b) lim
x→0(1 + sinx)cotx (4) lim
x→0
( 1 sin2x− 1
x2 )
(5) (a) lim
x→π/2−0
log(π
2 −x)
tanx (b) lim
x→∞xae−(logx)2 (6) lim
x→+0
(1 x
)sinx
(7) (a) lim
x→∞logxlog (
1 + 1 x
)
(b) lim
x→π/2
(
xtanx−π 2secx
)
(8) lim
x→∞
(π
2 −Tan−1x )1x
問 11.10. f(x) =x2, [0,1]をn等分する分割∆nに対し、微積の教科書p.253の[積分可能性]のs∆n,S∆nを 具体的に述べ、lim
n→∞s∆n, lim
n→∞S∆nを求め、
∫ 1 0
x2dxを計算せよ。
*1この問題の結果から、f(x) =e−
|x|1 は、帰納的にf(n)(0) = 0, (n= 0,1,2, . . .)とおくことにより、全ての階数の導関数が連続にな る。また、この関数のMaclaurin展開式は
∑∞ n=0
f(n)(0)
n! xn= 0 + 0·x+ 0·x2+· · ·= 0となり、原点以外では、元の関数と一致 しない。自然に現れる関数のMaclaurin級数は,通常は収束半径内ではもとの関数に一致するが、このようにそうではない関数も人工 的に作ることができる。なぜ、このようなことになるのかは、3年次で勉強する複素関数論(解析学I, II)で明らかになる。また、この 問題の形の関数を利用して,「1の分解」というものが作られ、幾何学(多様体論)をはじめ様々に応用される.
ヒント
問11.2 Maclaurinの定理よりe= 1 + 1 +1
2 +· · ·+ 1
n!+ 1
(n+ 1)!eθ (0< θ <1) となるので、
sin(2πn!e) = sin {
2π
∑n k=1
n!
k! + 2π eθ n+ 1
}
= sin 2πeθ n+ 1. ここで、n!
k! =n(n−1)· · ·(k+ 1)は自然数であることに注意。
問11.3 教科書p.68,ℓ.2でφ(t) =f(x)−
n∑−1 k=0
f(k)(t)
k! (x−t)k−K(x−t), Kはφ(a) = 0となるように定める、
とすると、p.68 の証明と同様に示せます。
問11.6 自然数kに対して lim
t→∞tke−t= 0がわかれば、 lim
h→+0
1
hke−1/h= 0が、特に、 lim
h→+0
pn−1(h)
h2n+1 e−1/h = 0が 従う。
[問11.9(2) の解答例です。(この問は発表できません。)]
問11.9 (2) 解答例: (l’Hopitalの定理の使い方の参考にしてください。)
xlim→∞{ax−(logx)2} = lim
x→∞ax {
1−(logx x1/2
)2}
で、lim
x→∞
logx x1/2 は
∞
∞ の不定形なのでl’Hopitalの定理 より
xlim→∞
(logx)′ (x1/2)′ = lim
x→∞
1 x 1
2x−1/2 = lim
x→∞
√2 x= 0.
よって、lim
x→∞{ax−(logx)2}= lim
x→∞ax {
1−(logx x1/2
)2}
=∞. //
追加の ヒントです。
問11.9 (1) (b)t= 1
xとおく。x→+0よりt→ ∞に注意。
(6), (8)は対数をとって考えよ。注意: cotx= 1
tanx, secx= 1
cosxです。