理 科
1 学 習 指 導 と 評 価 の 改 善 ・ 充 実
本 道 に お い て は 、 国 の ス ー パ ー サ イ エ ン ス ハ イ ス ク ー ル 及 び サ イ エ ン ス ・ パ ー ト ナ ー シ ッ プ ・ プ ロ グ ラ ム 事 業 並 び に 「 夢 と 活 力 あ ふ れ る 高 校 づ く り 推 進 事 業 」 に お け る 北 海 道 サ イ エ ン ス ハ イ ス ク ー ル な ど の 事 業 を 通 し て 、 理 科 教 育 の 充 実 ・ 発 展 を 図 っ て き た と こ ろ で あ る が 、 近 年 の 国 際 学 力 調 査 ( P I S A 、 T I M S S ) 及 び 国 の 「 平 成 14年 度 高 等 学 校 教 育 課 程 実 施 状 況 調 査 」 の 結 果 か ら 、 理 科 教 育 に か か わ る い く つ か の 課 題 が 明 ら か に な っ て き た 。
そ の た め 、 本 手 引 に お い て は 、 こ れ ら の 調 査 で 明 ら か に な っ た 課 題 を 示 す と と も に 、 課 題 を 踏 ま え た 指 導 方 法 の 工 夫 ・ 改 善 の 方 策 に つ い て 説 明 す る 。
(1) 国 際 学 力 調 査 結 果 に 見 ら れ る 課 題
ア P I S A 2 0 0 3 ( 科 学 的 リ テ ラ シ ー )
高 校 1 年 生 を 対 象 と し た P I S A の 調 査 結 果 に 見 ら れ る 主 な 課 題 を 次 に 示 す 。 (ア) 科 学 的 に 解 釈 す る 力 と 表 現 す る 力 の 低 下
具 体 的 な 問 題 は 公 表 さ れ て い な い が 、 科 学 的 証 拠 と 科 学 的 結 論 を 解 釈 す る 力 が 必 要 な 問 題 や 論 述 式 の 問 題 で は 、 前 回 調 査 ( 2000年 ) と 比 較 し て 顕 著 な 低 下 傾 向 が 見 ら れ 「 科 学 的 に 解 釈 す る 力 」 や 「 表 現 す る 力 」 の 低 下 が 指 摘 さ れ て い る 。、
(イ) 日 常 生 活 に 見 ら れ る 自 然 事 象 と 理 科 の 学 習 内 容 の 関 連 を 図 っ た 指 導 の 充 実
季 節 の 変 化 と 1 日 の 昼 間 の 長 さ と の 関 係 を 地 軸 の 傾 き か ら 考 え さ せ る 問 題 で は 、 昼 間 の 長 さ が 季 節 で 異 な る こ と を 日 常 生 活 で 認 識 し て い る が 、 科 学 的 な 理 解 に ま で
。 、
は 至 っ て い な い こ と が 明 ら か に な っ た こ の よ う な 日 常 生 活 に 見 ら れ る 自 然 事 象 を 理 科 の 学 習 内 容 と 関 連 付 け る 指 導 の 充 実 が 求 め ら れ て い る 。
イ T I M S S 2 0 0 3 ( 理 科 )
小 学 校 4 年 生 と 中 学 校 2 年 生 を 対 象 と し た T I M S S の 調 査 結 果 に 見 ら れ る 主 な 課 題 を 次 に 示 す 。
(ア) 科 学 的 な 思 考 力 ・ 判 断 力 の 不 足
中 学 校 理 科 の 金 星 の 表 面 温 度 の 方 が 水 星 よ り 高 い 理 由 を 問 う 問 題 で は 、 与 え ら れ た デ ー タ を も と に 、 そ の 中 か ら 必 要 な 情 報 を 読 み 取 り 、 科 学 的 に 判 断 す る 力 が 十 分 で な い こ と が 指 摘 さ れ て い る 。
(イ) 理 科 の 学 習 と 日 常 生 活 を 関 連 さ せ た 指 導 や 日 常 の 自 然 体 験 の 充 実
生 徒 が 学 校 で 学 ん だ り 、 日 常 生 活 の 中 で 獲 得 し た 学 習 経 験 の 有 無 が 問 題 の 正 答 率 に 大 き く 影 響 す る こ と が 、 調 査 の 解 答 状 況 か ら 明 ら か に な っ た 。 理 科 の 学 習 と 日 常 生 活 と の 関 連 を 明 確 に し た 指 導 や 、 野 外 観 察 な ど の 自 然 体 験 を 一 層 充 実 さ せ る こ と が 求 め ら れ て い る 。
こ の よ う に 、 2 つ の 国 際 学 力 調 査 の 結 果 か ら は 「 科 学 的 に 解 釈 す る 力 の 育 成、 」、「 理 科 の 学 習 と 日 常 生 活 を 関 連 さ せ た 指 導 及 び 日 常 生 活 に お け る 自 然 体 験 の 充 実 」 が 、 主 な 課 題 と し て 挙 げ ら れ て い る 。
(2) 「 平 成 14年 度 高 等 学 校 教 育 課 程 実 施 状 況 調 査 」 結 果 に 見 ら れ る 課 題
( 、 、 、 ) 、
本 調 査 の 理 科 物 理 Ⅰ B 化 学 Ⅰ B 生 物 Ⅰ B 地 学 Ⅰ B の ペ ー パ ー テ ス ト か ら は 次 の よ う な 課 題 が 明 ら か に な っ た 。 こ こ で は 、 そ の 課 題 と 該 当 す る 問 題 ( 該 当 の 小 問 の み ) を 紹 介 す る 。
ア 基 本 的 な 概 念 や 原 理 ・ 法 則 に 関 す る 知 識 ・ 理 解 が 十 分 で は な い
[ 生 物 Ⅰ B ]
○ 出 題 の ね ら い : 体 細 胞 分 裂 に つ い て 、 分 裂 期 の 特 徴 を 理 解 し て い る
○ 通 過 率 : 35.5% ( 設 定 通 過 率 65% )
観 察 し た 細 胞 の 中 に は 、 右 の よ う な 分 裂 像 が あ っ た 。 こ の 分 裂 像 は 、 分 裂 期 の う ち 何 期 と 呼 ば れ る 状 態 か 。 次 の ① 〜 ④ の う ち か ら 一 つ 選 び 番 号 で 答 え な さ い 。
① 前 期 ② 中 期 ③ 後 期 ④ 終 期
イ 自 然 事 象 を 数 量 等 を 用 い て 正 し く 表 現 し た り 、 図 や グ ラ フ 等 か ら 読 み 取 っ た り す る こ と が 十 分 で は な い
[ 地 学 Ⅰ B ]
○ 出 題 の ね ら い : 不 整 合 の 根 拠 を 露 頭 の ス ケ ッ チ 、 観 察 記 録 か ら 述 べ る こ と が で き る
○ 通 過 率 : 20.6% ( 設 定 通 過 率 60% )
京 子 さ ん は 、 学 校 の 近 く に あ る 、 道 路 に 面 し て 東 西 方 向 に 広 が る 崖 に 見 え る 地 層 に つ
きょうこ が け
い て 調 べ る こ と に し た 。 そ の 崖 で は 断 層 の 両 側 で 凝 灰 岩 層 が 観 察 さ れ た 。
ま た 、 崖 の 上 部 に は 不 整 合 面 が 見 ら れ 、 そ の 面 よ り 上 の 地 層 を A の 地 層 、 下 の 地 層 を B 群 の 地 層 と 呼 ぶ こ と に し た 。 下 の 図 は 京 子 さ ん が 書 い た 崖 の ス ケ ッ チ と 地 層 観 察 の メ モ で あ る 。 こ れ ら を も と に 、 次 の (1)〜 (6)に 答 え な さ い 。
( 2 ) B 群 の 地 層 と A の 地 層 の 境 界 が 不 整 合 面 で あ る と 判 断 し た 根 拠 を 、 京 子 さ ん の ス ケ ッ チ と 地 層 観 察 の メ モ を も と に 、 簡 潔 に 書 き な さ い 。
ウ 基 本 的 な 事 項 は 身 に 付 い て い る も の の 、 科 学 的 な 思 考 に つ な が っ て い な い
[ 物 理 Ⅰ B ]
○ 通 過 率 : 32.4% ( 設 定 通 過 率 55% ) 静 電 気 の 性 質 を 調 べ る た め に 、 は く 検 電 器 を 使 っ て 次 の よ う な 実 験 を 行 っ た 。 最 初 、 は く 検 電 器 に 電 荷 は た ま っ て お ら ず 、 は く は 閉 じ て い た 。 次 の 各 問 に 答 え な さ い 。
(2) 図 1 の 状 態 で 、 上 皿 A に 指 を 触 れ た と こ ろ 、 図 2 の よ う に は く は 閉 じ た 。
こ の 状 態 か ら 、 ま ず 指 を 離 し た 後 、 帯 電 棒 を 遠 ざ け た 。 こ の と き 、 上 皿
A と は く に 帯 電 し て い る 電 荷 と は く の 様 子 は ど う な る か 。 最 も 適 当 な 図 を 、 次 の ① 〜
④ の う ち か ら 一 つ 選 び 番 号 で 答 え な さ い 。
エ 記 述 式 や 計 算 を 伴 う 問 題 で 無 解 答 率 が 高 い
[ 化 学 Ⅰ B ]
○ 出 題 の ね ら い : 中 和 の 量 的 関 係 を 理 解 し 、 計 算 し て 求 め る こ と が で き る
○ 通 過 率 : 29.5% ( 設 定 通 過 率 50% )
○ 無 解 答 率 : 45.9%
酢 酸 水 溶 液 の 濃 度 を 知 る た め に 、 次 の よ う な 中 和 滴 定 を 行 っ た 。 こ れ に つ い て 、 (1)〜 (3)に 答 え な さ い 。
図 1 の よ う に ガ ラ ス 器 具 ( ア ) を 用 い て 、 酢 酸 水 溶 液 2 0 . 0
ã
を コ ニ カ ル ビ ー カ ー に 入 れ 、 指 示 薬 ( イ ) 溶 液 を 数 滴 加 え た 。 次 に 、 図 2 の よ う に 濃 度 0 . 2 0 0 m o l / ℓ の 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 を 、 ビ ュ レ ッ ト か ら コ ニ カ ル ビ ー カ ー に 滴 下 し て 、 溶 液 の 色 が 無 色 か ら 淡 赤 色 ( ピ ン ク 色 ) に 変 化 し たと き の 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 の 滴 下 量 を 求 め た 。 こ の 操 作 を 数 回 繰 り 返 し た と こ ろ 、 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム 水 溶 液 の 滴 下 量 の 平 均 値 は 10.0
ã
に な っ た 。、 [ ] 。
(2) こ の 実 験 よ り 酢 酸 水 溶 液 の モ ル 濃 度 mol/ℓ を 小 数 点 以 下 第 3 位 ま で 求 め な さ い た だ し 、 酸 と 塩 基 は 両 方 と も 1 価 な の で 次 の 式 が 成 り 立 つ 。
c v cʼv ʼ
1000 = 1000
酸 の 溶 液 の 濃度 [ mol/ℓ ] 塩 基の 溶液の 濃度 [mol/ℓ ]
c: c :ʼ
酸の溶液の体積[ ] 塩基の溶液の体積[ ]
v: ã v :ʼ ã
ー ー ー
図 2
① ②
+ +③
+ +④
ー ー+ + ー ー
A
帯電 体図1
ー ー ー
(3) 指 導 方 法 の 工 夫 ・ 改 善
国 際 学 力 調 査 ( P I S A 、 T I M S S ) 及 び 国 の 「 平 成 14年 度 高 等 学 校 教 育 課 程 実 施 状 況 調 査 」 で 明 ら か に な っ た 課 題 を 解 決 す る た め に は 、 次 の よ う な 指 導 方 法 の 工 夫 が 考 え ら れ る 。
ア 観 察 ・ 実 験 を 通 じ て 、 科 学 的 な 思 考 力 を 育 成 す る 指 導 の 工 夫
、 。
各 種 調 査 結 果 か ら 科 学 的 な 思 考 力 が 十 分 に 身 に 付 い て い な い 状 況 が 見 ら れ た そ の た め 、 目 的 意 識 を 持 っ た 観 察 、 実 験 を 実 施 し 、 科 学 的 な 思 考 力 を 育 成 す る 指 導 の 一 層 の 工 夫 が 必 要 で あ る 。
イ 既 習 内 容 や 他 教 科 及 び 日 常 生 活 と の 関 連 を 図 り 、 理 解 を 深 め る 指 導 の 工 夫 各 種 調 査 結 果 か ら 、 既 習 の 内 容 や 他 教 科 等 で 学 ん だ 内 容 を 活 用 し て 問 題 を 解 く こ と に 課 題 が 見 ら れ た 。 そ の た め 、 既 習 の 内 容 や 他 教 科 及 び 日 常 生 活 と の 関 連 を 意 識 し た 授 業 を 展 開 し 、 生 徒 の 理 解 を 深 め る 指 導 の 一 層 の 工 夫 が 必 要 で あ る 。
学 校 に お い て は 、 こ れ ら を 参 考 に 、 学 校 の 実 態 に 応 じ た 指 導 方 法 の 工 夫 ・ 改 善 を 一 層 図 る こ と が 大 切 で あ る 。 ま た 、 理 科 教 育 で は こ れ ま で も 、 探 究 す る 能 力 と 態 度 を 育 て る と と も に 、 問 題 解 決 能 力 を 養 う こ と が 求 め ら れ て い る こ と か ら 、 観 察 ・ 実 験 を 一 層 探 究 的 に 行 う よ う 指 導 の 工 夫 が 必 要 で あ る 。
2 「 確 か な 学 力 」 を 育 成 す る 取 組 の 改 善 ・ 充 実
〜 思 考 力 、 判 断 力 、 表 現 力 等 を 育 成 す る 取 組 〜
上 記 の 指 導 方 法 の 改 善 策 を 踏 ま え 「 ア、 観 察 ・ 実 験 を 通 じ て 、 科 学 的 な 思 考 力 を 育 成 す る 指 導 の 工 夫 」 及 び 「 イ 既 習 内 容 や 他 教 科 及 び 日 常 生 活 と の 関 連 を 図 り 、 理 解 を 深 め る 指 導 の 工 夫 」 を 図 る 具 体 的 な 指 導 方 法 及 び 評 価 方 法 の 例 を 、 そ れ ぞ れ 次 に 示 す 。
(1) 観 察 ・ 実 験 を 通 じ て 、 科 学 的 な 思 考 力 を 育 成 す る 指 導 の 工 夫 の 具 体 例 ア 実 験 の 概 要
(ア) 科 目 : 理 科 総 合 A
(イ) 単 元 : (2)「資源・エネルギーと人間生活」 イ いろいろなエネルギー (ア) 仕事と熱 (ウ) 実 験 の 内 容
振 り 子 の お も り を 持 ち 上 げ た 高 さ と 最 下 点 で の 速 さ と の 関 係 を 調 べ る 実 験 を 通 し
、 。
て お も り の 重 力 に よ る 位 置 エ ネ ル ギ ー と 運 動 エ ネ ル ギ ー の 関 係 に つ い て 考 察 す る (エ) 指 導 方 法 の 工 夫
○ 重 力 に よ る 位 置 エ ネ ル ギ ー と 運 動 エ ネ ル ギ ー と の 関 係 を 明 確 に 示 す こ と が で き る グ ラ フ に つ い て 考 察 さ せ る 。
○ 実 験 結 果 を 踏 ま え 、 よ り 誤 差 の 少 な い 実 験 方 法 に つ い て 考 察 さ せ 、 目 的 意 識 を 持 っ た 実 験 に 取 り 組 ま せ る 。
(オ) 評 価 方 法 の 工 夫
実 験 レ ポ ー ト を 用 い て 、 次 の 評 価 規 準 及 び 総 括 の 方 法 に よ り 評 価 を 行 う 。
[ 評 価 規 準 ]
○ グ ラ フ ( 縦 軸 ・ 横 軸 に 目 盛 を 付 け て い る も の ) に デ ー タ を 正 し く 記 入 す る と と も に 、 原 点 を 通 る 曲 線 で 結 び 、 速 さ と 高 さ の 関 係 を 示 す こ と が で き る 【 技。 能 ・ 表 現 ① 】
○ 作 成 し た グ ラ フ か ら 、 お も り を 持 ち 上 げ た 高 さ と 最 下 点 で の 速 さ の 関 係 に つ い て 考 察 で き る 【 思 考 ・ 判 断 ① 】。
○ 既 習 の 学 習 内 容 を 生 か し 、 お も り の 重 力 に よ る 位 置 エ ネ ル ギ ー と 運 動 エ ネ ル ギ ー を 求 め 、 そ の 関 係 を グ ラ フ ( 目 盛 を 付 け て い な い も の ) に 示 す こ と が で き る 【 思 考 ・ 判 断 ② 】。
○ 摩 擦 に よ る 影 響 を 少 な く す る 方 法 を 検 討 し 、 具 体 的 な 実 験 方 法 を 考 え る こ と が で き る 【 思 考 ・ 判 断 ③ 】。
○ お も り を 重 く し た り 、 記 録 タ イ マ ー に 替 え て 非 接 触 の 速 度 測 定 器 を 適 切 に 用
、 。【 】
い た り す る な ど し て 誤 差 の 少 な い 実 験 を 行 う こ と が で き る 技 能 ・ 表 現 ②
[ 評 価 の 総 括 の 方 法 ]
レ ポ ー ト 全 体 の 評 価 を 総 括 す る 際 は 、 科 学 的 な 思 考 力 の 育 成 に 重 点 を 置 い て 評 価 す る 観 点 か ら 【 思 考 ・ 判 断 ② 】 及 び 【 思 考 ・ 判 断 ③ 】 を 重 視 す る 。、
イ 実 験 レ ポ ー ト の 具 体 例 及 び そ の 評 価
探究活動 力学的エネルギーの保存
振り子のおもりを持ち上げた高さと最下点を通過する際の速さを測定 目 的
鉄製スタンド し、重力による位置エネルギーと運動エネルギーの関係について調べる。
1 振り子のおもりの質量が200(g)であることを確かめる。
方 法
2 1のおもりに記録タイマーのテープを貼り付ける。
(概略)
おもり 3 おもりが最下点にきたときの記録タイマーの打点の位置をテープ
記録タイマー に記す。
テープ 4 おもりを持ち上げ、最下点からの高さh(cm)を5.0(cm)にする。
5 記録タイマーのスイッチを入れて、おもりを静かに離す。
6 最下点付近の5打点の間隔L(cm)を測定する。
7 h(cm)を5.0(cm)ずつ高くし、2〜6を繰り返し行う。
1 おもりが最下点にあるときに、テープが水平になるようにする。
留意点
2 おもりを離すときに糸がたるまないようにする。
実験結果を下の表にまとめなさい。
結 果
最下点を示す印
×
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
5打点間隔L(cm)
ウ 指 導 と 評 価 の 一 体 化
こ の 実 験 を 行 っ て い る 間 、 生 徒 観 察 に よ る 評 価 も 行 い 、 そ の 評 価 結 果 を 直 ち に 指 導 に 生 か す こ と が 大 切 で あ る 。 例 え ば 「 考 察 3 」 に お い て 、 力 学 的 エ ネ ル ギ ー を 計 算、 す る こ と が で き な い な ど 、 基 礎 的 な 知 識 が 十 分 に 身 に 付 い て い な い 状 況 が 見 ら れ る 場 合 に は、レ ポ ー ト の 記 入 を「考 察 2」ま で に と ど め、既 習 内 容 の 復 習 を 行 っ た 後 に「考 察 3 」 以 降 に 取 り 組 ま せ る な ど 、 生 徒 の 学 習 の 習 熟 度 に 応 じ た 指 導 の 工 夫 を 行 う こ と
1 最下点でのおもりの速さを縦軸に、おもりの高 2 1で作成したグラフから、おもりを持ち上げ 考 察
さを横軸にとった次のグラフを完成させなさい。 た高さと最下点での速さはどのような関係であ ることがわかるか書きなさい。
【技能・表現①】
【思考・判断①】
3 持ち上げたおもりの重力による位置エネルギーと最下点での運動エネルギーの関係を、わかりやすく示す
【思考・判断②】
にはどのようなグラフを作成すればよいか考え、そのグラフを書きなさい。
4 計算結果において、最下点でのおもりの運動エネルギーは持ち上げたときの重力による位置エネルギーよ り小さくなる。実験の条件や操作等を参考にして、より誤差の少ない実験を行う方法を考え、書きなさい。
【思考・判断③】
なお、次の実験器具から必要なものを使用できるものとする。
〔500(g)のおもり、ゴム製のおもり、赤外線センサーによる非接触型速度測定器〕
5 4で考えた方法により実験を行い、先に行った実験に比べ誤差が少なくなるかどうかを確かめ、その結果
【技能・表現②】
を書きなさい。
【総合評価】
(例)総合評価Aとなる具体的な状況
Aが3個以上の場合とするが 【思考・判断】の、
②、③が共にAの場合は2個でも可とする。
(例)評価Bとなる具体的な状況
誤差の少ない実験を行うとともに、実験の結果 から誤差が減少したことを表現できている。
(例)評価Aとなる具体的な状況
座標軸、単位、目盛等を適切に記入し、原点を通る 直線で位置エネルギーと運動エネルギーがおおむね一 致することを明らかにしている。
( 例) 評価 Aと なる 具体的な状況 グ ラ フ が 2 次 曲 線 に な る こ と を 理 解 し 、 誤 差 も 踏 ま え た 適 切 な 曲 線を描くことができる。
(例)評価Bとなる具体的な状況 おもりを持ち上げた高さが大きいほ ど、最下点でのおもりの速さが大きく なっていることを理解し、表現できて いる。
︵例
︶ 評価 Aと なる 具 体 的 な 状 況 実験の条
件や 操作を踏ま
え
︑ 誤 差を生じた原
因 を 的確に把
握 し
︑ 誤差を少なく
する 適切 な方 法を 考 察し︑表現で
き て い る︒
(2) 既 習 内 容 や 他 教 科 及 び 日 常 生 活 と の 関 連 を 図 り 、 理 解 を 深 め る 指 導 の 工 夫 の 具 体 例
〜 コ ン セ プ ト マ ッ プ の 作 成 を 通 し て 理 解 を 深 め る 指 導 の 工 夫 〜
単 元 に 関 連 す る 特 有 の 言 葉 ( 概 念 ラ ベ ル : 以 下 「 ラ ベ ル 」 と い う ) を 、 そ れ ら の「 」 関 係 を 表 す 言 葉 で つ な ぎ 、 図 式 で 視 覚 的 に 表 し た も の を 「 コ ン セ プ ト マ ッ プ 」 と 呼 ん で い る 。
授 業 で は 、 あ ら か じ め 用 意 し た 複 数 の ラ ベ ル を 生 徒 に 提 示 し 、 生 徒 が ラ ベ ル 間 に 関 係 が あ る と 考 え た 場 合 、 そ れ ら の ラ ベ ル を 線 で つ な ぎ 、 そ の 線 の 横 に 関 係 を 示 す 言 葉 を 記 入 す る 。 こ の よ う な コ ン セ プ ト マ ッ プ は 、 生 徒 の 学 習 方 法 と し て 活 用 で き る と と も に 、 単 元 に つ い て の 生 徒 の 知 識 や 理 解 な ど を 把 握 す る こ と が で き る た め 、 評 価 方 法 と し て も 活 用 す る こ と が で き る 。
こ こ で は 、 既 習 事 項 に つ い て 、 他 教 科 と の 関 連 や 日 常 生 活 と か か わ り の 深 い 内 容 を 授 業 で 取 り 扱 っ た 後 に 、 生 徒 の 理 解 を 深 め る た め 、 コ ン セ プ ト マ ッ プ を 作 成 さ せ る 指 導 方 法 の 具 体 例 を 示 す 。
ア 授 業 の 概 要
(ア) 科 目 : 理 科 総 合 B
( イ ) 単 元 : (3) 「 多 様 な 生 物 と 自 然 の つ り 合 い 」 ア 地 表 の 姿 と 大 気 (ア) 多 様 な 景 観 (ウ) 授 業 の ね ら い
火 山 噴 火 と 火 山 災 害 と の 関 連 に つ い て 学 習 し た 内 容 を 、 コ ン セ プ ト マ ッ プ に ま と め さ せ る こ と に よ り 、 火 山 噴 火 に つ い て の 理 解 を 深 め る 。
(エ) 指 導 方 法 の 工 夫
○ 火 山 噴 火 の 様 々 な 現 象 と 火 山 災 害 に つ い て の コ ン セ プ ト マ ッ プ の 作 成 を 通 し て 、 そ れ ぞ れ の ラ ベ ル の 関 連 を 考 察 さ せ る 。
○ 火 山 噴 火 と 火 山 災 害 と の 関 連 を よ り 詳 し く 示 す た め に 、 生 徒 自 ら ラ ベ ル を 考 え て 付 け 加 え 、 火 山 噴 火 と 火 山 災 害 の 関 連 を 表 現 さ せ る 。
(オ) 評 価 方 法 の 工 夫
コ ン セ プ ト マ ッ プ を 用 い て 、 次 の 評 価 規 準 及 び 総 括 の 方 法 に よ り 評 価 を 行 う 。
[ 評 価 規 準 ]
○ 用 意 し た ラ ベ ル を す べ て 使 う と と も に、適 切 な ラ ベ ル を 付 け 加 え て い る。【知 識 ・ 理 解 ① 】
○ 付 け 加 え た ラ ベ ル に 火 山 災 害 に 関 連 す る 言 葉 が 含 ま れ て い る 【 知 識 ・ 理 解。
② 】
○ ラ ベ ル 間 の つ な が り が 適 切 で あ る 【 思 考 ・ 判 断 】。
○ ラ ベ ル 間 の つ な が り を 示 す つ な ぎ 言 葉 が 、 適 切 に 表 現 さ れ て い る 【 技 能 ・。 表 現 】
[ 評 価 の 総 括 の 方 法 ]
コ ン セ プ ト マ ッ プ 全 体 の 評 価 を 総 括 す る 際 は 、 理 解 を 深 め る こ と に 重 点 を 置 い て 評 価 す る 観 点 か ら 【 知 識 ・ 理 解 ① 】 及 び 【 知 識 ・ 理 解 ② 】 を 重 視 す る 。
イ コ ン セ プ ト マ ッ プ の 具 体 例 及 び そ の 評 価
火 山 噴 火 と 火 山 災 害 に つ い て の コ ン セ プ ト マ ッ プ
1 次 の 言 葉 に つ い て 、 関 係 の あ る 言 葉 と 言 葉 を 線 で つ な い で く だ さ い 。 2 つ な い だ 線 の 横 に 、 関 係 を 示 す 言 葉 や 文 章 を 記 入 し て く だ さ い 。
3 付 け 加 え た い 言 葉 を 自 由 に 書 き 加 え て く だ さ い ( 日 常 生 活 や 他 教 科 に 関 連 す る 語 な ど 。)
ウ 指 導 と 評 価 の 一 体 化
、 、
生 徒 が 作 成 し た コ ン セ プ ト マ ッ プ か ら は 生 徒 が 学 習 内 容 を ど の よ う に し て ま と め 理 解 し た か を 把 握 す る こ と が で き る 。 そ の た め 、 こ の コ ン セ プ ト マ ッ プ の 評 価 を 様 々 な 指 導 に 生 か す こ と が 大 切 で あ る 。 例 え ば 、 必 要 な ラ ベ ル が 付 け 加 え ら れ て い な い 場 合 に は 、 そ の 言 葉 に つ い て 復 習 を 行 い 、 コ ン セ プ ト マ ッ プ を 書 き 直 さ せ る な ど の 指 導 の 工 夫 が 考 え ら れ る 。
ま た 、 生 徒 の コ ン セ プ ト マ ッ プ を 評 価 す る 際 は 、 教 師 が あ ら か じ め 作 成 し た コ ン セ プ ト マ ッ プ と 比 較 し て 、 指 導 方 法 が 適 切 で あ っ た か な ど の 授 業 評 価 を 行 う こ と も 重 要 で あ る 。
溶 岩 火 砕 流 玄 武 岩 質 流 紋 岩 質 火 山 噴 火 火 山 灰 避 難 溶岩ドーム
【知識・理解①】
(例)評価Aとなる具体的な状況 用意したラベルをすべて使うと ともに、ラベルを4つ以上付け加 え、それらが他のラベルとつなが れている。
【知識・理解②】
(例)評価Bとなる具体的な状況 付け加えたラベルに火山災害に 関連する言葉が1つまたは2つ含 まれ、それらが他のラベルとつな がれている。
【思考・判断】
(例)評価Aとなる具体的な状況 ラベル間のつながりが適切であ り、用意したラベルが他のラベル と平均2つ以上つながれている。
【技能・表現】
(例)評価Bとなる具体的な状況 火山噴火と火山災害の関連がわ かるように、ラベル間の言葉が5
〜8つ適切に表現されている。
【総合評価】
(例)総合評価Bとなる具体的な状況
[知識・理解]①、②がAB、またはBB、
ACの場合で、[思考・判断]と[技能・表 現]がAA、AB、BB、BCの場合にBと 評価する。