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PDF ブドウ「シャインマスカット」の高精度な全ゲノム解読に成功 〜さらにおいしくて作りやすいブドウの品種改良を加速〜

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ブドウ「シャインマスカット」の高精度な全ゲノム解読に成功

〜さらにおいしくて作りやすいブドウの品種改良を加速〜

8月19日(月)にBioRχivでオンライン発表

令和元年8月22日

公益財団法人 かずさDNA研究所 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)

(問い合わせ先)

<報道に関すること>

公益財団法人 かずさDNA研究所 広報・研究推進グループ TEL0438-52-3930 国立研究開発法人 農研機構 果樹茶業研究部門 果樹連携調整役 TEL029-838-6451

<研究に関すること>

公益財団法人 かずさDNA研究所

植物ゲノム・遺伝学研究室 室長 磯部 祥子(いそべ さちこ) TEL0438-52-3951 国立研究開発法人 農研機構 果樹茶業研究部門

ブドウ・カキ研究領域 主任研究員 東 暁史(あずま あきふみ) TEL0846-45-4740 同時発表:農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、文部科学省記者会、千葉県政記者会、

千葉民間放送テレビ記者クラブ、木更津記者クラブ、筑波研究学園都市記者会

 かずさDNA研究所と農研機構果樹茶業研究部門は共同で、ブドウ「シャインマスカット」

の全ゲノム解析を行い、ワイン用欧州ブドウとのゲノム構造を比較しました。

 「シャインマスカット」は農研機構が開発した黄緑色でマスカット香を有する良食味の生食 用欧米雑種ブドウです。これまで、ワイン用欧州ブドウではゲノム解読がされていましたが、

生食用欧米雑種ブドウでは全ゲノム配列が明らかになっていませんでした。

 「シャインマスカット」の全ゲノム配列が染色体レベルで明らかになったことで、生食用欧 米雑種ブドウの果実品質や病気に対する抵抗性など、より良い品種をつくるための重要な遺 伝子に関わる研究を一層進めることができます。

 今回、全ゲノムの99.4%にあたる490.1Mbの配列を解読しました。

 研究成果は、BioRχivにおいて8月19日(水)にオンライン公開されました。

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1. 背景

生食用ブドウ栽培において、高温多湿な日本の気候では、病害の多発や果実が割れてしまう 裂果が問題になります。そのため、わが国では欧州ブドウのおいしさと米国ブドウの耐病性や 裂果の少なさなどの栽培性の良さを兼ね備えた「生食用欧米雑種ブドウ」の育成を目標とした 品種改良が長年にわたり進められてきました。「シャインマスカット」は、このような育種目 標のもとで農研機構が開発し、2006年に品種登録された黄緑色でマスカット香を有する良食 味の品種です。種なしで皮ごと食べられる点などが消費者ニーズに合致し、栽培のしやすさや 日持ち性に優れる市場性の高さから、栽培面積、市場流通量を急速に伸ばし続け、2014年に はブドウ品種における栽培面積が第4位となっています。また、海外市場での評価も高く、輸 出量が近年急増しています。さらに最近では「シャインマスカット」を片親とした交配が農研 機構をはじめ、公立試験研究機関や民間のブドウ育種家らによって盛んに行われ、様々な新品 種が発表され始めています。

このように日本を代表する優良品種の一つとなった「シャインマスカット」の開発には、約 30年もの年月を要しました。今後、わが国のブドウ産業をさらに活性化させるためには、「シ ャインマスカット」に続く普及性の高い品種の迅速な開発を進める必要があります。しかし、

「ピノ・ノワール」をはじめとするワイン用欧州ブドウ品種の全ゲノム*1配列が2007年以降 にいくつか解読され、様々な重要形質に関わる遺伝子*2の解明などに利用されているのに対 し、「シャインマスカット」などの生食用欧米雑種ブドウの全ゲノム配列は未だに解明されて いないことから、わが国が独自に進めている生食用ブドウ育種を迅速化するにあたってのボ トルネックとなっています。

そこで本研究では、生食用欧米雑種ブドウのゲノム情報を用いた革新的な育種技術(スマー ト育種システム)の構築に向けて、「シャインマスカット」の詳細な全ゲノム配列の解読を行 いました。

2. 研究成果の概要と意義

①超並列シークエンシング技術と大型計算機を駆使し、「シャインマスカット」全ゲノムの

99.4%にあたる490.1 Mbの配列を解読しました。

②「シャインマスカット」は欧州ブドウと米国ブドウの長所を兼ね備えた欧米雑種ブドウです。

欧米雑種ブドウである「安芸津21号」を母親に、欧州ブドウである「白南」を父親として育 成されました。「シャインマスカット」全ゲノム配列の特性より、両親それぞれから異なるタ イプの遺伝子を受け継いでいることが示唆されました。

③「シャインマスカット」と欧州ブドウとの配列を比較したところ、生食用欧米雑種ブドウで ある「シャインマスカット」はワイン用欧州ブドウとは異なるゲノム構造をもっていること がわかりました。2つのゲノム構造の違いをさらに詳しく調べることで、「シャインマスカッ ト」の生食用としての優れた形質にかかわる遺伝子を明らかできることが期待されます。

④本研究により得られた情報は、Plant GARDENデータベース(https://plantgarden.jp)にて 公開するとともに、バイオ系のプレプリントサーバーbioRχiv(バイオアーカイブ)*3でオ ンライン公開いたします。

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3 3. 将来の波及効果

①「シャインマスカット」の全ゲノム解読に世界で初めて成功したことで、生食用欧米雑種ブ ドウの様々な重要形質に関わる遺伝子の解明に向けた研究を進めることができます。

②生食用欧米雑種ブドウでは、これまでゲノム情報を用いた育種選抜がほとんど実施されてい ませんでしたが、今回の研究で明らかにした「シャインマスカット」の全ゲノム配列情報と、

現在作成中の「シャインマスカット」を生み出した交配組合せ集団(安芸津21号×白南)の 連鎖地図を用いることで、生食用欧米雑種ブドウの有用形質を選抜するためのゲノム情報が 得やすくなり、生食用ブドウ育種の迅速化に寄与することが期待されます。

本研究の一部は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・

農業基盤技術」(管理法人:農研機構生研支援センター)によって実施されました。

論文タイトル:De novo whole-genome assembly in interspecific hybrid table grape, ‘Shine Muscat’.

著者:Kenta Shirasawa, Akifumi Azuma, Fumiya Taniguchi, Toshiya Yamamoto, Akihiko Sato, Hideki Hirakawa, Sachiko Isobe.

掲載誌:BioRχiv DOI:10.1101/730762

用語解説

*1 ゲノム:生物をその生物たらしめるのに必須な最小限の染色体のひとまとまり、または DNA 全体のことをいう。

*2 遺伝子:親から子へと遺伝する、あるいは細胞から細胞へと伝えられる形質を決定する因子 であり、生物の体を作り動かすのに必要なタンパク質などを作るための設計図のことで、その本 体はDNAである。

*3 bioRχiv(バイオアーカイブ):Rχivのχは、「カイ二乗検定」のχ(カイ)。査読のある科

学雑誌に投稿する前の論文(プレプリント)を公開することで、時間のかかる査読のプロセスを 経ずに研究情報を交換することができる。また、投稿時に文献番号が付与され、投稿日時も記録 されるため、研究成果の先取権が担保される。運営団体は米国のCold Spring Harbor Laboratory。

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4 参考となる図や写真

写真:ブドウ「シャインマスカット」果房

図1:「シャインマスカット」の推定ゲノムサイズ(492.95 Mb)に対する解読されたゲノム配列

の割合

490,143,216 bp

99.4%

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5

図2:「シャインマスカット」全ゲノム配列の特性により、両親それぞれから異なるタイプの遺伝

子を受け継いでいることが示唆された(17merによるkmer頻度分布解析)。

0 500000 1000000 1500000 2000000 2500000 3000000

1 9 17 25 33 41 49 57 65 73 81 89 97 105 113 121 129 137 145 153 161 169 177 185 193 201 209 217 225 233 241 249 257 265 273 281 289 297 305 313 321 329 337

出現したKmerの数

出現したKmerの数

両親間で異なるDNA配列を反映

両親間で同じDNA配列を反映

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図3:ワイン用欧州ブドウ「PN40024(「ピノ・ノワール」に由来する系統)」のゲノム配列(X12)

と「シャインマスカット」のゲノム配列の並びの比較。赤丸はゲノム構造が異なると推定された 領域。特に染色体6, 7, 8, 10, 12, 18, 19番で、「シャインマスカット」は「PN40024」に対し てゲノム配列が重複している領域があると考えられる。

ワイン用欧州ブドウのゲノム配列の並び

シャ イ ン マ スカ ット の ゲ ノム 配列の 並び

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