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世界で起きる水問題:解決法と一人が出来る小さなこと

<要約>2007年にはバングラデシュにおいて異例と言える2度の洪水が起こるなど、水に関し ても異常な事態が起きている。また、水の問題が紛争などの新たな問題を引き起こすこともある。

2007年の12月には大分でアジア太平洋水サミットが開催されるなど、水に関する危機感は募 っているといえるが、水サミットなど大きな力でしか解決できないこととは別に、一般市民一人一 人はキャンペーンや募金に参加したり、また温暖化対策のために節約したりするなど小さな努力の 積み重ねをする責任があるだろう。

<本文>水は良くも悪くも大きな力を持っている。いい面では生き物の命の源とも言える役割を担 っているし、悪い面では洪水などの災害をもたらす力を持っているといえる。日本のように雨が多 く、また多数のダムなど大雨にも対処できるようなシステムがある国に暮らしていると、命の源で ある水が不足して生命が脅かされることもあまりなく、洪水によって立ち直るのが不可能になり生 命が脅かされるようなこともない。しかしながら他の国に目を向けてみると、そのような状況が十 分に起こりえるし、実際に起こっていることがわかる。

  2007年の年末、朝日新聞の夕刊に4日間に渡って中山由美によって『水と生きる』というタ イトルで連載がなされていた。ガンジス川下流域に関する記事である。その連載によると、バング ラデシュは2007年、異例と言える年に二度の大洪水を経験した。80年生きてきた人さえ年に 二度の大洪水は記憶に無いらしい。そして、その人も季節がおかしくなってきたという感想をもっ ていたという(以上12月25日連載分)。子供たちが勢いよく飛び込む水、川や池や海は泥色に濁 っており、その水で食器を洗う人もいる。首都ダッカにある国際下痢症研究センターに併設されて いる病院においては、患者の6割が5歳未満であり、栄養不足の彼らは感染症の病魔に真っ先に侵 されることになる。また、二度にわたる洪水の犠牲者は約1000人であり、そのうちの9割が5 歳未満だったという。「いやというほど水があるのに、安全な水がない」と国際協力機構の亀井さん はつぶやいた(以上12月26日連載分)。11月半ばのサイクロンでは約900万人が被災したが、

各国の援助による海岸地域に出来た避難所の効果によって、規模では下回る30万〜50万人が亡 くなった1970年のサイクロンの時と比べ、死者数と行方不明者数は4000人ほどだったとい う。だが、防災教育によってもっと多くの命を救えたと京都大防災研究所の林さんはいう(以上1 2月27日連載分)。世界一の降雨記録を持っているインド北東のチェラプンジはその雨を観光に生 かそうとしている。豪雨と降らない時の差が目立ってきたが、そこに住む温暖化による異変を不安 に感じているというライアンさんは、解決策はわからないが自然と共に生きてきたこの地の暮らし を伝えることで何かを伝えることができれば・・・と願っていたという(以上12月28日連載分)。

  異例とも言える年に2度の洪水など、温暖化による異変ということがささやかれていたが、実際 に世界中でも干ばつや洪水、豪雨など水をめぐる様々な問題が起こっている。そしてそれは社会基 盤が脆弱な地ほど人々の生活を脅かしている。逆に考えると温暖化といえども日本に暮らしている 限りでは生活が脅かされることなど実感できないということもうなずける。去年11月に出た国連 開発計画(UNDP)の「人間開発報告書」は、予測される最悪のシナリオを描きつつ「気候変動

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との戦い」を提唱したが、それによるとサハラ以南のアフリカで干ばつ被害は2060年までに6 千万〜9千万ヘクタール増加し、水不足に苦しむ人は世界中で2080年までに18億人増加し、

気温の3〜4度上昇による水没で3億3千万人が住居を失って、さらにマラリア感染の危険にさら される人口が2億2千万〜4億人増加するという。(段落内、情報は、竹内幸史  松下佳世、神田明 美『(環境元年  第1部  エコ・ウオーズ:1)消えた緑、水、平和  奪い合い衝突』朝日新聞20 08年1月1日朝刊2面より)

以上のように、環境の変化が水を中心とした自然環境に大きく関わるといえるが、一方でサハラ 砂漠の東端にあるスーダンでは、環境の異変は史上最悪の人道危機の遠因にもなっていたという。

2003年、スーダンのダルフール地方でアラブ系と黒人農民の間で紛争が起きたが、その起源は この地を襲った気候変動に辿り着くという。その地方の環境問題を研究してきたアブドゥルジャバ ル・アブデラ助教授によると、60年代以降気温上昇と共に雨の減少が始まったという。年間15 0日以上あった雨季も50日ほどになった。それによりアラブ系遊牧民と黒人農民の生活圏が重な り、限られた水を奪い合うことになったのだ。これは水の問題そのものは昔から起きていたという 面では、もしかしたらCurrent issueとは言えないかもしれないが、潘基文・国連事務総長が昨年9 月の演説で「紛争が始まった原因の一つが干ばつに伴う水の獲得競争だ。水と天然資源の不足は今 も問題を悪化させている」と指摘したことから、水の重要性がわかるし、また今でも水は奪い合う 可能性があるので、過去の出来事だといって捨て去ることはできないだろう。つまり、気候変動に よって水そのものが直接人々を脅かすだけでなく、それによってまた新たな問題が出てくるという ことになる。このように水をめぐる問題は多岐にわたっていると言えるだろう。(段落内情報は、小 林舞子、大野良祐『(環境元年  第1部  エコ・ウオーズ:1)怒る天、人に牙  温暖化の脅威、急 加速』朝日新聞2008年1月1日朝刊1面より)

一方で、水に関する対策が行われていないかといえばそうでもなく、例えばアジアや太平洋の地 域における、2007年の12月に大分で行われたアジア・太平洋水サミットはその一例であると いえるだろう。2〜3年に一度開催されるというこの会議の目的は、地域の水問題を解決するため の具体的な政策について議論し、新たな活動方針・計画を発信することである(第1回アジア・太 平洋水サミット; 基本情報)。ちなみに、2004年の時点でアジア・太平洋地域で安全な水にアク セスできない人は7億人といわれ、基本的な衛生設備にアクセスできずにいる人は18億人と言わ れている。国連のミレニアム開発目標が達成できたとしてもそれぞれ6億人、15億人がアクセス できない状況である。また、水災害による死者数は80%以上がアジア・太平洋地域に集中してい るなどのデータもある(第1回アジア・太平洋水サミット; アジア・太平洋地域の水問題)。そして この会議の中では様々なテーマが出てきて、またそれらにあわせて様々な提言がなされた。

3つの優先テーマは、「水インフラと人材育成」、「水関連災害管理」そして「発展と生態系のため の水」である。一つ目の優先テーマに関しては発展途上国の水問題は管理可能であり、水と衛星を国、

地域、及び国際的レベルで最重要課題とするという前提の下、資金の調達や制度の改善などに関する 提言がなされている。二つ目の「水関連災害管理」に関しては水関連災害リスク削減を国家開発計画 に盛り込むこと、総合的水管理の重要性を認識し水関連災害のリスク削減のための総合的な構造的・

非構造的手段を強化すること、国家目標と地域目標を定めることなどが提言として挙げられている。

三つ目の「発展と生態系のための水」では、流域規模で健全な統治を実施すること、水資源管理が経 済、社会、環境に与える結果を改善する実践的な方法を採用することなどが提言としてなされていた。

各国の代表や水の専門家が集まってなされたこれらの提言を実行することによって解決や是正に向

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かうことも多いのではないかと考えられる。(段落内情報は水サミットホームページ内「アジア・太 平洋水フォーラムから第一回アジア・太平洋水サミットへの行動という使命」より)

では一人の人間としては何が出来るのだろうか。最初に紹介した連載記事の中に「いやというほ ど水があるのに、安全な水がない」とあったが、安全な水の確保のためには寄付など経済面での協 力が望ましいと考えられる。ボルヴィックはユニセフとの共同で「1ℓfor10ℓ」という、水を1ℓ 買うごとにアフリカに10ℓの安全な水を送るキャンペーンを行っていたが(ボルヴィックホームペ ージ)、そういったものに参加するなどは大切なことであろう。また、年に二度の洪水といったよう な異例な事態を止めるためには現在の地球上における様々な問題を引き起こす要因である温暖化に 対してなんらかの行動をしなければならないだろう。ひとりの人間が出来ることなど些細なことか もしれないが、それでもなるべく車に乗らないこと、エネルギーを節約し無駄遣いを避けることな ど、日ごろの小さなことの積み重ねが必要であると言えるだろう。一人の力は些細なもので、実際 にはほとんど意味を持たないかもしれないが、だからといって何もしなくてもいいという論理には 結びつかない。少なくとも現在の諸問題を引き起こしている文明の恩恵にあずかっている者の責任 として、自覚をもって行動することが不可欠である。

参考

小林舞子、大野良祐『(環境元年  第1部  エコ・ウオーズ:1)怒る天、人に牙  温暖化の脅威、

急加速』朝日新聞2008年1月1日朝刊1面

竹内幸史  松下佳世、神田明美『(環境元年  第1部  エコ・ウオーズ:1)消えた緑、水、平和  奪 い合い衝突』朝日新聞2008年1月1日朝刊2面

中山由美『水と生きる』朝日新聞夕刊連載2007年12月25日〜2007年12月28日分

第1回アジア・太平洋水サミット; アジア・太平洋地域の水問題2007年11月

<http://www.waterforum.jp/jpn/summit/issues/index.html>

第1回アジア・太平洋水サミット; 基本情報2007、11月

<http://www.waterforum.jp/jpn/summit/about/index.html>

水サミットホームページ内「アジア・太平洋水フォーラムから第一回アジア・太平洋水サミットへ の行動という使命」2008年1月

<http://www.apwf.org/archive/documents/summit/Policy_Brief_2007_jp_080124.pdf>

ボルヴィックホームページ  2007年

<http://www.volvic.co.jp/1Lfor10L/about/index.html>

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