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yubi ryoseirui no seishoku kodo ni kansuru kenkyu

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(2) 有尾両生類の生殖行動に関する研究. 豊田ふみよ.

(3) 有尾両生類の生殖行動に関する研究 1. 目次 第1章. 序論. 第2章. 求愛行動のホルモン調節. 2. 第1節. 雄の求愛行動の発現に及ぼすプロラクチンと雄性ホルモンの効果. 第2節. 雄の求愛行動の発現に対する内因性プロラクチンの関与. 19. 第3節. 雌の雄様行動の発現に及ぼすプロラクチンと雄性ホルモンの効果. 29. 第4節. 雄の求愛行動の発現に及ぼす後葉ホルモンの効果. 37. 第3章. フ. 性誘引物質の分泌 性誘引物質分泌の内分泌調節. 43. 第2節. 雌誘引物質の単離及び同定. 59. 第3節. 雄飼育水中における雌誘引物質”ソデフリン”の存在. 第4節. 腹腺中のソデフリンのラジオイムノアッセイ. 第5節. 後葉ホルモンによるソデフリンの放出調節. I フ. 第1節. I. ny. 第4章. 80. 性雄引物質に対する反応性. l. ny. つ` I. 0ノ. l. 引用文献 研究業績 履歴書. 4︰︶. まとめ. IJ. 第5章. 1. 性誘引物質に対する嗅電図応答. 1. 第3節. 以︶ 0. 性誘引物質に対する嗅覚感受性の行動学的証明 I. 第2節. 97 O. 性誘引物質に対する嗜好性のホルモン調節. I. 第1節. 134. 35 1. 謝辞. 1.

(4) I'■四■-. 第1章. 序論. 一般に、有尾両生類は繁殖期を迎えると、雄が雌に対し、特徴的な求愛行動 を示す。わが国の代表的な有尾両生類であるアカハライモリの求愛行動様式は以 下のようである。まず、雄は水中で他のイモリの存在に気付くと近づいて行って 鼻の先を相手の総排出口や類の周辺に鼻を触れさせて雌雄を識別する。雄は相手 が成熟した雌であることがわかると、前肢で相手を押さえるか、雌の前に逞ち、 雌の進路を阻む。次に、雄は自分の頚の側面を雌の鼻先に近づけて尾を付け根か ら折曲げてその先端部を左右に小刻みに震わせる(図1−1)。この行動の最中 に雄の総排出目から多数の毛様突起が出てくる。毛様突起は管状構造をしており、 腹部肛門腺に通じている。雌に応じる意思のあるときは雄の求愛を受けている間 に雌の総排出口が突出してくる。雌は鼻先で雄の類の部分を軽く小突いて応じる。 やがて雄は行動を中止して雌の先に立って、尾をくねらせながら前進する(図1 −2)。雌は雄のあとに追従するが、このとき、雌の鼻先が雄に接触しているこ とが重要である。接触していない場合は求愛行動を始めからやり直す。雌を伴っ た雄は立ち止まり、尾をあげ、精子塊を総排出目より放出する。雄はそのまま前 進し、雌も前進すると雌の総排出口に精子塊が付着し、総排出口の奥へと吸い入 れられてゆく。以Lがアカハライモリの求愛行動パターンであるが、有尾両生類 の求愛行動は種により異なり33)、ヨーロッパ産のTrjturus嘱では雄が雌の前の少 し離れた位置で尾を振る行動を行うし33)、またアメリカ産のTaficha凪15)や Notophth. 「amus嘱いでは雄が雌の背中に乗り、総排出口や類やあごを雌にこすり. つける。とくにNotophthalamus風の場合はこのときに尾を振るのがみられる。従 って日本産のアカハライモリは、アメリカ産とヨーロッパ産のイモリの中間の行 動様式を示しているといえるが、同じアカハライモリの問でも求愛行動の型に地 方差のあることが知られており、同種内でも異なる行動様式をとるものの間では 生殖は難しく性的隔離が成立する43)。. このような求愛行動の発現は内分泌的調. 2.

(5) 図エー1 篠は雌の進路を頭部でふさぎ、尾を折曲げ、その先を左右に小刻 みに震わせる。Mは雄、Fは雌。. 3.

(6) 図1−2 難が応じると、雄は雌の先に立って前進する。雄の尾は絶えず雌の鼻 先に接している。Mは雄、Fは雌。. 4.

(7) 一一・. ・d. −.-W.“-.・,・一一一一d. ・1………:..-.・‘:・1`SJS. j4:.'.・:. ‘・.・. y‘. ’d・I●ゝ..・■a』.I・. 節を受けている。雄性ホルモンがこの行動の発現に関りすることは、去勢により 求愛行動がみられなくなること、またそのような去勢雄に雄性ホルモンを投与す ると再び求愛行動が発現することなどから考えられてきた2ヽに76パ8几それに 加え、他のホルモンの関けも指摘されている。アカハライモリでは下垂体を除去 された雄は求愛行動を示さなくなる、これにゴナドトロピンを投リすると行動を 示すようになるが、さらにプロラクチンを投与するとさかんに求愛行動を行うよ うになることが報告されている52)。またTaricha. granulosaでは後葉ホルモンの一. つであるアルギニンバソトシンも求愛行動発現に関与することが報告された77、8 ダ1)o 本研究ではまず、アカハライモリの求愛行動の発現機序を探る目的で、どの ようなホルモンが行動の発現に関与しているのかを調べた。その結果として、雄 性ホルモン、プロラクチンさらにアルギニンバソトシンが関与することを確かめ た。特にプロラクチンに関しては内因性のプロラクチンが行動発現に直接関わっ ていることを示唆する結果を得た。また、通常、雌では雄にみられるような求愛 行動は発現しない。このような行動【lの性的二型性が雄性ホルモン投5で容易に 変化しうるのか、またエストラジオールの存在は求愛行動発現にどう影響するか を卵巣除去雌を用いて調べた。 次に、有尾両生類の生殖行動の際に重要な役割を担なうとされている化学物 質(性フェロモン)の存在を証明すべく研究を行った。一般に動物の繁殖行動の 際のコミュニケーションに性フェロモンを用いる場合があることは多くの種で知 られている。特に昆虫などでは性フェロモンに関して多くの研究が行われ、その 単離および構造の決定がなされた例もボンビコールを始め数多くある91719)。 一方、脊椎動物での性フェロモンの研究は現象的なものにとどまっている場合が 多く、化学構造の決定まで進んでいる例は少ない2. 2・に58几両生類では特に数. 種の有尾両生類で性フェロモンの存在が指摘されてきた1617141316)。しか しながらヽ性フェロモンの同定まで至っている例はほとんどなく、わずかにヨー ロッパ産のクシイモリ(TrjtunJs. crjstatus)で、プロゲステロンあるいはプロゲステ. 5.

(8) ロンと糖タンパク質の複合体が雌誘引効果をもつという報告があるのみであるハ 5)。しかも、プロゲステロンが種特異的誘引効果をもつかどうかについては疑問 視されている。アカハライモリでは、求愛行動の途中で、雄肛門腺からの分泌物 を、尾を振ることによって生ずる水流に乗せて雌に追っていると考えられてきた oo7白o8.. 129<本研究では、プロラクチンと生殖腺刺激ホルモンの投与により. 性的に発達した雌雄のイモリの飼育水には異性を誘引する物質が分泌されている ことをつきとめた。この場合、生殖腺刺激ホルモンは生殖腺に作用して性ステロ イドを介して飼育水中に異性誘引活性を高めることを確かめている。プロラクチ ンと性ステロイドは求愛行動の発現のみならず、雄の腹部肛門腺や雌の輸卵管の 発達を促進させることがわかっているo)o)。本研究では肛門腺や輸卵管を除去 すると、飼育水の異性誘引効果が減少、消失することから性誘引物質は肛門腺や 輸卵管より分泌されると考えられた。そこで、これらの器官抽出物から、性誘引 物質の単離、同定を行うことを試みた。その結果、雄肛門腺由来の雌誘引物質は アミノ酸10残基からなるペプチドであることを明らかにした。 本研究の目的はアカハライモリの求愛行動の発現の内分泌的調節の解明、性 誘引物質の犀離・同定、その物質分泌の内分泌的調節の解明、性誘引物質に対す るイモリの反応性(嗜好性)の内分泌的調節の解明、その嗜好性に関係する感覚 系の解明など、有尾両生類に関して様々な角度からそのメカニズムを解明する点 にある。 第2章は求愛行動の発現に関する内分泌的調節について、第3章では性誘引 物質の単離・同定および合成・分泌の内分泌的調節について述べる。第4章では、 性誘引物質に対する反応性の内分泌的調節と、その反応性に嗅覚が関与すること を述べる。第5章でこれらの結果をまとめ、今後の研究について展望する。. 6.

(9) 第2章. 求愛行動のホルモン調節. 第1節. 雄の求愛行動の発現に及ばすプロラクチンと徐けホルモンの効果. 序 有尾両生類は水中で一連の生殖行動、すなわち、雄の求愛行動や雌の産卵行 動を行う1 o7ヽ1o8)。プロラクチン(PRL)はこの生殖行動に重要な役割をもつと 推定されてきた。プロラクチンは、生殖行動の行われる水中への移動を誘起すレ 2へ浸透圧調節のため皮膚において形態的、機能的変化を誘起する8ヽ56ヽ57)さ らにプロラクチンは雄イモリにおいて尾113ヽ1 3 3)や肛門腺の発達49ヽ92)を、ま た雌においては、輸卵管の発達5o)を引き起こす。これらの器官は生殖において、 重要な役割を示す。すなわち、雄の尾は、求愛行動の問に水流を起こして性フェ ロモンを雌の鼻先へ送るのに用いられ、また雄の肛門腺は性フェロモンや精子塊 生成に必要な物質を分泌する。また雌の輸卵管は卵を包むジェリー物質を分泌す る。これらのプロラクチンの効果は性ステロイドと共に与えられたとき発現する ことが多い。プロラクチンが性行動の誘発に関与することはアカハライモリ (C叩叩s万. 「・aカ辞弛め52)やクシイモリ(乃仙fz/s. ・弛心杓64)で示唆されてき. た。雄アカハライモリは、他の数種の有尾類と同様、求愛行動の初期段階におい て雌の前で尾を振るl o 8129)。本節では雄アカハライモリの尾を振る行動の誘発 にプロラクチンと雄性ホルモンが関与するのかどうかを調べた結果について述べ る。. 材料と方法 動物 成体のアカハライモリ(C叩叩sp叩加μsm)の雌雄を実験室内で飼育した。 実験室内の条件下で少なくとも2週間、雄が尾を振る行動を示さないことを確か めてから実験を開始した。. 7.

(10) フレぷ. '゛゜・7.1゛ ̄77「:::-I.・・.l・・.−一‐冒 .・:…………=……:.‘'・い=…………gg.i °………:……………り=y・:………゜;'゜:・・. 外科的手術 去勢および下車体除去手術は0.1%メタアミノ安息香酸エチルメタンスル ホン酸塩(MS 222, Sigma)による麻酔下で行った。去勢は開腹手術により行われ た。脳下垂体の除去は脳ド車体領城下の蝶形骨を切開してから取り除かれた。. ホルモン ウシプロラクチン(Bovinc. PRL、 30国際単位/mg)とヒト胎盤性生殖腺刺激ホ. ルモン(HCG、4000国際単位/mg)は帝国臓器(株)から購入した。ヒツジプロラ クチン(OvinePRL、31国際単位/mg)、テストステロンプロピオネート(TP)、 エストラジオール(E2)、デヒドロテストステロン(DHT)はSigma社の製品で ある。両生類プロラクチンはYamamoto. and. Kikuyamaの方法1. 3 8)によりウシガ. エルから精製された。カエルの黄体形成ホルモン(LH)やカエルろ胞刺激ホルモ ン(FSH)34)は群馬大学生体調節研究所より供給された。. ホルモン処理 ウシプロラクチン、ヒト胎盤性生殖腺刺激ホルモン、カエル黄体形成ホルモ ン、カエルろ胞刺激ホルモンなどの脳下垂体ホルモンはNaC1溶池中に溶かされた。 テストステロンプロピオネート、エストラジオール、デヒドロテストステロンな どのステロイドホルモンについては最少量のエタノールに溶かした後、0.6%NaC1 で希釈した。それぞれのホルモン溶液0.05mlを15日問、毎朝8時に腹腔内注射 した。. 行動テスト ホルモン投与を行ってから10時間後、雄イモリとPRLおよびHCGの投与を 受けた雌イモリを一匹ずつ水で満たされたガラス容器(直径20cm、水深3cm)の 中に置き、15日間、一日一回、1時間、雄の示す求愛行動(雌の前で尾を振る. 8.

(11) 〃 ̄`・. 一. ぐ ’ .. ・. 一 万. ’’. 一一一. 行動)の発現率と頻度を調べた。発現率は15田月中、最初の5目問(Days. 1−. 5)、第2の5日間(Days 6 − 1 0)、最後の5田司(Days 1 1 − 1 5)に求愛 行動を示した動物の割合を百分率で表わしたものである。頻度は、各テスト期問 において、観察された求愛行動回数のテスト動物1個体あたりの平均値(土標準 誤差)で表わした。. 統計学的有意差検定 求愛行動の発現率の統計学的有意差検定にはFishcrの正確確率検定法111). を. 用いた。また、行動の頻度の有意差検定にはDunnの多重比較法23)かMann-Whitncy U-test111)を用いた。各5日間における処理打開で発現率および平均頻度の統計 学的比較を行った。. 結果. 1.ゴナドトロピンとプロラクチンによる正常雄の求愛行動の誘導 正常雄には1国際単位ウシプロラクチン、25単位ヒト胎磐性ゴナドトロピ ン、プロラクチンおよびゴナドトロピンを腹腔内注射した。対照群には生理食塩 水(0.6%NaC1)を腹腔内注射した。図2−1に示したように、雄の尾を振る行動 はプロラクチンおよびゴナドトロピン投与群で最も顕著に誘発された。この投与 群における発現率は各実験期間を通じて生理食塩水を投与された対照群の発現率 よりも有意に高く、また最後の実験期間(11−15目目)においてプロラクチ ン単独、あるいはゴナドトロピン単独投与群に比べて有意に高かった。プロラク チンおよびゴナドトロピンを投リされた群では求愛行動の頻度が3つの実験期間 を通じて対照群の頻度よりも高く、また、第2および第3実験期間でプロラクチ ン単独あるいはゴナドトロピン単独投与群に比べて高かった。プロラクチン肌独. 9.

(12) -一一. □saline. E圖HCG. [コPRL. S∃PRL+HCG. b. I00. b. ec)uep!c)u!. 50. ∼. 0 1−5. 6−10. 11−15. 50. 40. 々︶c①コF⋮こL. 30. 20. 10. 0 1−5. 6−10. Test. 図2−1. 11−15. days. 雄求愛行動の発現率と頻度に及ぼすウシプロラクチンと/あるいはヒ. ト胎盤性ゴナドトロピンの効果。正常な雄は生理食塩水、ウシプロラクチン、ヒ ト胎盤性ゴナドトロピン、ウシプロラクチンおよびヒト胎盤性ゴナドトロピンを 15日間毎日注射された(各グループ8−10匹)。(A)各5日間に尾を振る 行動を行った雄の割合、(B)各5日間に動物1匹あたりに観察された尾を振る 行動の平均回数(士標準誤差)。棒グラフの上のアルファペットが同じ場介は仔 いに統計的に有意な差がないことを示す(A、Fisherの正確確率検定法、 B、Dunnの多重比較法)。. 10.

(13) 〃・. あるいはゴナドトロピン胆独投与群は第一の実験期間を除いて対照群での求愛行 動の頻度と異ならなかった。 ウシプロラクチンの代わりにヒツジプロラクチンを川いた場合で払同様の 結果が得られた。すなわち、ヒツジプロラクチンとヒト胎盤性ゴナドトロピンの 組み合わせは雄求愛行動と頻度の両方を高めた。 両生類由来のプロラクチンとゴナドトロピンの組み合わせも同様に有効かど うかを確かめるために、正常雄イモリにカエルプロラクチン(1oμg)、カエル 黄体形成ホルモン(1.5μg)とカエルろ胞刺激ホルモン(1.5μg)を毎日腹腔内 注射した。対照群は生理食塩水を注射した。図2−2に示したように、ウシガエ ルプロラクチンとウシガエルゴナドトロピンは雄求愛行動の発現率と頻度を顕著 に高めた。. 2.脳下垂体除去雄イモリの求愛行動の誘導 脳下車体除去イモリにおいて、ウシプロラクチン単独投与、ヒトゴナドトロ ピン胆独投与、ウシプロラクチンおよびヒトゴナドトロピン投与の効果を調べた。 この場合のホルモン投与は脳下垂体除去手術後2週間で開始した。対照群には生 理食塩水を投与した。図2−3に示したように、プロラクチンおよびゴナドトロ ピンの組み合わせは脳下垂体除去雄においても求愛行動の発現率と頻度の両方を 高める効果があった。しかしながら、プロラクチンあるいはゴナドトロピンをそ れぞれ単独投与された脳下垂体除去雄では、求愛行動の発現率が同様の処理をう けた正常雄に比べて低くなる傾向が見られた。. 3.去勢雄イモリの求愛行動のホルモンによる誘導 去勢雄イモリは毎日ウシプロラクチン(1国際単位)、テストステロンプロ ピオネート(5μg)、ウシプロラクチンおよびテストステロンプロピオネート投 与を去勢手術後2週間で開始した。図2−4に示したようにプロラクチンとテス トステロンプロピオネートの組み合わせ、あるいはテストステロンプロピオネー. I I.

(14) 〃-LW・■・. ︱ 一 一. □]sijne SZjPRL+LH+FSH. b. IOO. のハ︶c涸︶石c一. ∼. 1−5. 6. 10. 11−15. 20. 1. ADuenDeJj. 1. 5. 6−10. Test. 図2−2. 1 1 − 1 5. days. 雄求愛行動の発現率と頻度に及ぼすウシガエルプロラクチンとウシガ. エルゴナドトロピン(黄体形成ホルモンとろ胞刺激ホルモン)の効果。正常雄は ウシガエルプ・ラクチンとウシガエルゴナドトロピン(=黄体形成ホルモン(L H)とろ胞刺激ホルモン(FSH))あるいは生理食塩水を15日間毎日注射さ れた(各グループ8匹)。(A)各5日間に尾を振る行動を行った雄の割合、(B) 各5日間に動物1匹あたりに観察された尾を振る行動の平均回数(土標準誤差)。 棒グラフの上のアルファベットが同じ場合は互いに統計的に有意な差がないこと を示す(A、Fisherの正確確率検定法、B、Mann−Whitney テスト)。. U. 9心 I.

(15) □saline. 回国HCG. E]PRL. ほIPRL4・HCG. 10. 0 5. ωOCQ刀石石∼. -. 1. 6. 5. 10. 11−. 15. 11. 15. 2. ADUenDeJj 1. 5. 6−10. Test. 図2−3. days. 脳ド垂体除去イモリにおける求愛行動の発税率と頻度に及ぼすウシプ. ロラクチンと/あるいはヒト胎盤性ゴナドトロピンの効果。脳下垂体を除去され た雄イモリは生理食塩水、ウシプロラクチン、ヒト胎盤性ゴナドトロピン、ウシ プロラクチンおよびヒト胎盤性ゴナドトロピンを15日間毎日注射された(各グ ループ10匹)。(A)各5日間に尾を振る行動を行った動物の割合、(B)各 5日間に動物1匹あたりに観察された尾を振る行動の平均回数(土標準誤差)。 棒グラフの上のアルファペットが同じ場合は互いに統計的に有意な差がないこと を示す(A、Fisherの疋確確率検定法、B、Dunnの多重比較法)。. Qり. I.

(16) □sa胎e. □TP. oPRL. 回PRL+TP. aPRL+HCG. b. I00 b. ○. 宍︰︶cQEoc. a. ∼. 0 1. 5. 6−IO. 11−15. 20. 5 0. AQUenDeJj. 5. O 1−5. 6−IO. Test. 図2−4. 1 1 − 1 5. days. 去勢雄における求愛行動の発現率と頻度に及ぼすウシプロラクチンと. /あるいはテストステロンプロピオネート、ウシプロラクチンおよびヒト胎盤性 ゴナドトロピンの効果。去勢雄は生理食塩水、ウシプロラクチン、テストステロ ンプロピオネート、ウシプロラクチンおよびテストステロンプロピオネート、ウ シプロラクチンおよびヒト胎盤性ゴナドトロピンを15日間毎日注射された(各 グループ8匹)。(A)各5日間に尾を振る行動を行った動物の割合、(B)各 5日間に動物1匹あたりに観察された尾を振る行動の平均回数(土標準誤差)。 棒グラフの│ュのアルファペットが同じ場合は互いに統計的に有意な差がないこと を示す(A、Fisherの正確確率検定法、B、Dunnの多重比較法)。. 14.

(17) トを単独投与すると雄求愛行動の発現率と頻度の内方が増加したが、ウシブ9ラ クチンおよびゴナドトロピンの組み合わせでは増加しなかったご一一方、プロラク チン単独投与は3つの実験期間のいずれにおいても求愛行動の発現率と頻度を増 加させる効果を殆ど持だなかった。次に、生殖腺ホルモンであるテストステロン プロピオネート、デヒドロテストステロンおよびエストラジオールの、プロラク チン処理された去勢雄に対する求愛行動の誘導効果を調べた結果、図2−5に示 したように、テストステロンプロピオネートとデヒドロテストステロンは両者共 に求愛行動の発現率および頻度を増加させる効果があった。それとは対照的に、 エストラジオールはそのような効果を持だなかった。. 考察 両生類の求愛行動の発現の調節に雄性ホルモンが関与していることはこれま でもいくつかの報告がある2)6ク8.. 83几すなわち、両生類の性行動は去勢手術. により消失するが、これに雄性ホルモンを投与すると発現するというものである。 しかしながら、これらの報告と矛盾する結果も報告されている。すなわち、雄性 ホルモンが性行動を誘発しなかったり62. 82)8)、あるいは、性行動の発現と雄 性ホルモンの血中濃度の間に相関性がないとされた8113o。このような矛盾は アルギニンバソトシン79)や生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンペ8o)や副腎皮質 ホルモン様ペプチド75)などの他の調節因子が性的活性化に関与する事によるの かもしれない。有尾類では性行動の発現にプロラクチンが関与すると考えられて きた。Kikuyama ら52)によると、生殖腺刺激ホルモンを投与された状態の脳下垂 体除去雄イモリにプロラクチンを投与すると求愛行動の頻度が高まった。 Malacameら64)はクシイモリTr面rus crjstatusの求愛行動に費やす時間は脳下垂体 除去により急速に減少するが、プロラクチンの投与により、回復すると報告した。 本研究の結果は雄性ホルモンとプロラクチンがアカハライモリの雄の求愛行動の 発現のための重要な内分泌的要因であることを示している。. にり I.

(18) −■■’・-・-’. I 甦 T. −一一 ・乙j-− I●●・'・ふー・・-・・I・゜●."・・●-i. 閤. [コPRL. [∃PRL+DHT. EⅢIPRL+TP. 匝IPRL+E2. b. ♭. b. b. 100. QQに忽︶7︶C一. 50. ∼. 0 1−5. 6−IO. 11−15. 6−IO. 11−15. 2. ADuenDaJj 1. 5. Test. 図2−5. days. プrコラクチン処理された去勢雄における求愛行動の発現率と頻度に及. ぼすテストステロンプロピオネート、デヒドロテストステロン、あるいはエスト ラジオールの効果。去勢雄はウシプロラクチン、ウシプロラクチンおよびテスト ステロンプロピオネート、ウシプロラクチンおよびデヒドロテストステロン、ウ シプロラクチンおよびエストラジオールを15日間毎日注射された(各グループ フ匹)。(A)各5日間に尾を振る行動を行った動物の割合、(B)各5日間に 動物1匹あたりに観察された尾を振る行動の平均回数(土標準誤差)。棒グラフ の上のアルファベットが同じ場合は互いに統計的に有意な差がないことを示す (A、Fisherの正確確率検定法、B、Dunnの多重比較法)。. ρり. 1.

(19) Zeraniら1 4 1)は雄イモリ(Triturus carnifbx)のエストラジオールの血中濃度が 求愛行動の開始時に最高値に達し、脳の芳香化酵素の活性も上がることを示した。 このことから、彼等はテストステロンから転換されたエストラジオールが T.camifexの雄の求愛行動を引き起こすのに重要な要因であると主張した。しかし ながら、本研究では、テストステロンとデヒドロテストステロンはPRL投与をう けている雄イモリに対して求愛行動を誘導する効果を持つが、エストラジオール はそのような効果を持たなかった。したがって、テストステロンの雄求愛行動誘 導効果は芳香化を介して出現するのではないことを示している。このことは、 xenopus jacvjsやTr面rus. 殱tatu以こおいてデヒドロテストステロンは雄の求愛行動. を引き起こすがエストラジオールはそのような効果を持だないとする報告2)6) と一致する。. 去勢雄イモリにおいてテストステロンはプロラクチンと併せて投与されると 顕著に求愛行動を引き起こすが、テストステロンの代わりにゴナドトロピンを用 いられた場合にはそのような効果は見られなかった。このことは、ゴナドトロピ ンは精巣に作用して雄性ホルモンを分泌させることにより間接的に、雄の求愛行 動を発現させることを示している。正常雄において、ゴナドトロピンあるいはプ ロラクチンの単独投与が雄の求愛行動を発現させる効果をもつことがその発現率 の上昇からわかるが、脳下垂体除去雄ではプロラクチンあるいはゴナドトロピン 単独投与ではそれほど顕著な効果は見られなかった。このことは、正常イモリに おいては、内因性のプロラクチンと雄性ホルモンがある程度まで、求愛行動の発 現に寄与することを示唆している。去勢イモリではテストステロン単独投与は求 愛行動発現に効果的であった。この場合、内囚性プロラクチンの関与も考えられ る。 プロラクチンとゴナドトロピンの同時投与は、投与開始後6目目以後求愛行 動の頻度を高めた。このように求愛行動の発現までに時間を要することは、プロ ラクチンが水中生活に必要な器官、あるいはまた、求愛行動すなわち尾を振る行 動に関する神経機構に働くことことを強く示唆している。また、カエルにおいて. 7 1.

(20) テストステロンを取り込む細胞が脳に存在すること45)やさらにまた、カエルの祖 素前野にテストステロンのペレットを移植するとmating ca11やdasPingが誘発され る135). ことから雄性ホルモンが中枢に作用して両生類の性行動を引き起こすこと. が推定される。クシイモリ(77ぬ71バ. ・弛心s)では祖宗前野を破壊すると求愛行動が. 行われなくなることから求愛行動を調節する部位は福栄前野にあると考えられた 61)。アカハライモリでは脳下垂体除去イモリにプロラクチンとテストステロンを 同時に投リすると、尾の動きを調節するマウスナー神経細胞の核が大きくなるこ とが報告されている119). が、プロラクチンが性行動の誘起に関する中枢神経系に. 直接作用するという証拠は得られていない。. 只︶ 1.

(21) 第2節. 雄の求愛行動に対する内因性プロラクチンの関与. 序. 有尾類ではプロラクチンは生殖に重要な働きを持つことを不す研究が行われ てきたことはすでに第1節で述べた。これらの結果の殆どが哺乳類のプロラクチ ンやプロラクチンの放出を抑制するエルゴ誘導体を動物に授けすることにより得 られた。 繁殖期になると、アカハライモリ(Cynops は雌の前で特徴的な求愛行動を行う1. pyrrhogastcr)は水に移勤し、雄. 2 9)。すなわち、雄は雌の的に立ちはだかっ. て進路を阻み、雌の鼻先に向かって尾を激しく打ち振るわせる。これらの現象に 内因性のプロラクチンが関与することを確かめるために、野外で求愛行動を行な っている雄を実験室に持ち帰り、これにアカハライモリのプロラクチンに対する 抗体を投与し、求愛行動の発現や水中生活への嗜好性に与える影響を調べた。. 材料と方法 動物 成体のアカハライモリ(Cynops て5月に捕獲した。体重は7−9. pyjT11ogast. 氈A)の雌雄を奈良県橿原市郊外におレ. g。 それらを実験室内で飼育し、毎日、イトミ. ミズを餌として与えた。実験はイモリを捕獲した翌日から開始した。. 抗体 高度に精製されたイモリプロラクチンに対する抗体はウサギ血清から得られ た. 72). 。抗体1μ1は6ngのプロラクチンに結合することがすでに確かめられてい. る71)。. ハリ ー.

(22) 抗体およびプロラクチン処理 イモリを野外より実験室に移した歌口、52匹の雄を2つのグループに分け た。26匹の雄に20μ1の抗イモリプロラクチン血清を3[川にわたって隔日腹腔 内注射した。残りの26匹の雄には20μ1の正常ウサギ血清を同様の方法で注射 した。抗血清あるいは正常血清の最後の注射から4日後、それぞれのグループを さらに2つに分けた。抗血清を注射されていた13匹の雄と正常血清を注射され ていた13匹の雄には、2oμ1生理食塩水に溶解された6oμgのヒツジプロラク チン(Sigma Chemica1Co・)を6日間にわたり毎日腹腔内注射した。残りの雄には生 理食塩水を同様の方法で腹腔内注射した。注射は午後9時に開始した。. 行動テスト 抗プロラクチン血清あるいは正常血清の注射の直前と実験開始1、3、5、7日後 に求愛行動テストを行なった。また、血清注射終了後、プロラクチンあるいは生 理食塩水注射を開始してからも毎日行動テストを行なった。行動テストは第一節 で述べたような方法1 2 5)で午後5時に開始した。すなわち、直経20cmのガラス 容器に高さ3cmまで水を入れ、この中に雄イモリを1匹ずつ置き、次に雌を1匹 ずつ入れる。この雌を吐的に発達した状態に保つために1単位のヒツジプロラク チンと25単位のヒト胎盤性ゴナドトロピン(HCG:. Teikoku Hormone Mfg Co・). を毎日腹腔内注射した。雄の求愛行動すなわち、尾を振る行動の発現率と頻度を 1目1時間測定した。発現率はこの行動を行なっている雄の割合で頻度は雄1匹 あたりの平均行動回数(土標準誤差)で表わした。. 陸上生活に対する嗜好性の判定 行動テスト時間以外は各グループの動物を容器(19×32cm)に入れた。この容 器に10°の傾斜を付けることにより、容器の底の約半分が水で覆われた状態にした。 午前8時、容器の陸上誠にいる動物数を数え、グループ毎の百分率で表わした。. 20.

(23) 統計処理 求愛行動の発現率と陰ト生活に対する嗜好性の統計学的解析はFishcr正確確 率検定法を用いて行なった。行動の頻度の統計学的解析は……元・配涵 引き続きWelchのテストあるいはTukeyのテストを用いて行なった。比較は対照 群と実験群の間、および、実験の初日と実験期間中の間で行なった。. 結果 1.抗血清処理の効果 図2−6に示したように、最初の抗府L清注射の翌日から求愛行動の発現率と 頻度は顕著に減少し、7日後にはどの雄も尾を振らなくなった。一方、正常血清 投り群では最初の5日間、求愛行動の発現率と頻度は投与初日と有意な差がみら れなかった。しかし、7日後には求愛行動の発現率、頻度共に有意に低下した。 抗血清投り群と正常血清投与群を比較すると、実験の開始後1−7日の間、求愛 行動の発現率と頻度のいずれにおいても有意な差がみられた。 図2−7に示したように、抗血清処理動物は実験開始初日には殆どが水中に いたが、その後、陸上生活を好むようになった。実験の開始から3日目には80% 以上の雄が飼育容器の陸上域にとどまるようになった。正常血清投与群では3040%の雄が実験を通じてずっと陸上域にとどまった。. 2.抗血清投与の停止とプiコラクチン投与の効果 プロラクチンの投リにより、抗血清あるいは正常血清を投与されていたイモ リの求愛行動の発現が回復するかどうか、また、生息誠に変化が見られるかどう かを調べるために、各グループの動物をさらに2つのグループに分け、プロラク チンか生理食塩水を投与した。投与開始後6目目、プロラクチン処理群は以前に 抗血清を処理されていた場合も正常血清を処理されていた場合も、投与の初日に 比べ、求愛行動の発現が有意に高まった(図2−8)。正常血清を投与された後に. I. O乙.

(24) ←. 3 々︶c①コ″︶○. ︵巡回⊂名石⊂一. A. ←. ←. ←. ←. ←. 100. 2. 1. LL. 1. 0 1. 0. 0. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. Days. 図2−6. 性的に成然したイモリの求愛行動の(A)発現率と(B)頻度に及ぼ. す抗プロラクチン血清の効果。発現率は行動を行った動物の割合を示し,頻度は テスト動物1匹あたりの行動回数の平均値で表わした。抗プロラクチン血清(■) あるいは正常血清(□)を矢印で示した目に雄イモリに注射した(各グループ2 6匹)。垂直の棒は標準誤差を示す。*はO日目の値と5%の危険率で有意ズが あることを示す(A,Fisherの正確確率検定法,B,Tukeyのテスト几 #は正常血清を注射されたイモリの値と5%の危険率で有意差かおることを示す (A,Fisherの正確確率検定法,B,Welchのテスト)。. ○一. ︷2.

(25) ←. ←. ← 100. `W/. 一泡﹂↑のQ﹂﹂Q﹂ ‘ 0 1. 0. 2. 3. 4. 5. 6. 7. Days. 図2−フ イモリの睦上嗜奸匪に及ぼす抗プロラクチン血清の効果。抗プロラク チン血清(■)あるいは正常血清(□)を矢印で示した目に雄イモリに注射した (各グループ26匹)。午前8時、飼育容器の乾燥域にいる動物の数を数えた。 *はO日目の値と5%の危険率で有意差かおることを示す(FisherのI目次 確率検定法)。#は正常mL清を注射されたイモリの値と5%の危険率で有意差が あることを示す(Fisherの正確確率検定法)。. 自認. Qり.

(26) J. 几子∩. 1. 00. 3. 井*. /Q)uenb. 心. 50. 1. 09﹂一個︶c一. `W/. (1) LL. 0. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 0. 6. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. Days. 図2−8. 抗プロラクチン血清あるいは正常血清注射を受けたイモリの求愛行動. の発現率と頻度のプロラクチン投与による回復。発現率は行動を行った動物の割 合を示し、頻度はテスト動物1匹あたりの行動回数の平均値で表わした。抗プ9 ラクチン血清あるいは正常1飢清の最後の注射から4日後にプロラクチンの注射を 開始した。●は正常血清前処理の後にプ。ラクチン処理された群、○は正常fflL清 前処理の後に生理食塩水処理された群、▲は抗プロラクチン血清前処理の後にプ ロラクチン処理された群、△は抗プロラクチン血清前処理の後に生理食塩水処理 された群の結果を示す(各群13匹)。Bの垂直の棒は平均値の標準誤差を示す。 *はO日目の値と5%の危険率で有意差があることを示す(A、Fisherの 正確確率検定法、B、Tukeyのテスト)。#は正常血清前処理されたイモリ の値と5%の危険率で有意差があることを示す(A、Fisherのj ̄│ミ確確率検 定法、B、Tukeyのテスト)。. 24.

(27) 100. ら ぷ. ○. 50. 井. 0. le!」a 1」 .」 s91. 心. 1−. 0. 2. 3. 4. 5. 6. Days. 図2−9. 抗プロラクチン血清あるいは正常副寺で前処理されたイモリの睦レ嗜. 好性に及ぼすプロラクチンの効果。抗プロラクチン血清あるいは疋常血清の以後 の注射から4日後にプリラクチンの注射を開始した。●は正常血清前処理の後に プロラクチン処理された群、○は正常血清前処理の後に生理食塩水処理された群、 ▲は抗プロラクチンI厨青前処理の後にプロラクチン処理された群、△は抗プロラ クチン血清前処理の後に生理食塩水処理された群の結果を示す(各群13匹)。 Bの垂直の棒は平均値の標準誤差を示す。*はO日目の値と5%の危険率でイJ言 差かおることを示す(Fi. sherの正確確率検定法)。#は正常lfIL清前但州さ. れたイモリの値と5%の危険率で有意差かおることを示す(Fisherの正確 確率検定法)。. 25.

(28) プロラクチンを投与された群では、求愛行動の発現率と頻度は生理食塩水処理グ ループと比較して、有意に増加した。プロラクチンは、抗雅浩前処理群の生息域 の選択にも影響を及ぼした。最後の3日間の飼育容器陸11域にとどまる動物の割 合は、プロラクチン投与開始日のそれに比べて有意に低下した。また、プロラク チン処理の最後の2目問、陸上域にいる動物の割合は生理食塩水処理群に比べて 有意に低かった。正常[飢浩前処理群では、プロラクチンは生息域嗜好性に有意な 変化をもたらさなかった(図2−9)。. 考察 アカハライモリの雄において、抗イモリプロラクチン血清が求愛行動の発現 を顕著に低下させ、陸上の生息誠に対する嗜好性を高めた。おそらくこれは、血 しょう中の内因性プロラクチンが免疫中和されたためと推定される。Matsudaら6 9)は以前、アカハライモリで本研究で用いられたのと同じ抗プロラクチン血清が、 副甲状腺除去によって低下した血中カルシウム濃度のプロラクチン依存的な回復 を阻止することを確かめた。Malacarneら64)はクシイモリ(Trjturus. cristatus)の求愛. 行動の発現に内因性プロラクチンが関与するという間接的な証拠を得ている。ブ ロモクリプティンを投与すると求愛行動の発現が抑制されたのである。おそらく これは、哺乳類13)での場合と同様、プロラクチンの放出が阻止されたためと推定 される。Matsudaら71)はその後、エルゴ誘導体が免疫反応性のある血中プロラク チンの濃度を低 ̄ドさせることを確認している。 第一節で述べたように、性的に不活性あるいは脳下垂体除去されたアカハラ イモリの雄に、哺乳類あるいは両生類のプロラクチンをゴナドトロピン(ヒト胎 盤性生殖腺刺激ホルモン、あるいは黄体形成ホルモンおよびろ胞刺激ホルモン、 GTH)と一緒に投与すると、生理食塩水やプロラクチン単独あるいはゴナドト ロピン単独投与された場合に比べて顕著に求愛行動が誘発されてくる1 プロラクチンと雄性ホルモン(テストステロンあるいはデヒドロテストステロ ン)の組み合わせが去勢イモリの求愛行動の発現を誘導することも明らかになっ. 26. 2 5几また、.

(29) ている1呂)。これらの結果は明らかに雄性ホルモンが求愛行動の発現に必要であ ることを示している。 Triturus crjstatusでは、脳下垂体除去雄に脳ド車体の異所自己移植を行うと、 眼中プロラクチン濃度が殆ど正常なレベルに維持される67)が、精巣の退縮状態か ら判断すると正常レペル程にはゴナドトロピンが放出されていないかもしれない 64几このことはまた、雄性ホルモンがイモリにおいて求愛行動を引き起こすのに 重要なホルモンであるという考えを支持する。第一節で述べたように、性的に発 達していない雄のアカハライモリを用いた場合、プロラクチンとゴナドトロピン あるいはプロラクチンと雄性ホルモンの投与により最大の求愛行動の発現率と頻 度を得るには6−10日必要である1. 2 5)。このように遅延時間が存在することか. ら、プロラクチンが水中生活に必要な器官やあるいは足を振るのに必要な神経シ ステムに作用するのではないかと考えられる。事実、プロラクチンは有足頚にお いて浸透圧調節のための皮膚の形態的および機能的変化を引き起こす8・. 17. 55. 5. 7)。プロラクチンとゴナドトロピンの組み合わせは尾の動きに関与するMauthner ncuron. 29)の大きさを顕著に増加させる73)。しかしながら、本研究で明らかにな. ったように、抗プロラクチン血清の注射後24時間以内に求愛行動の発現率と頻 度の両方が顕著に低下することから、プロラクチンは器官を発達させるだけでな く. 求愛行動に関係する神経系を直接刺激する効果をもつのかもしれない。 xcnopusにおいてテストステロンを取り込む細胞が脳に存在することがオー トラジオグラフィーにより明らかにされて以来、両生類において雄性ホルモンが 中枢に働いて性行動を誘発すると推定されてきた45)。また、クシイモリ Triturus.ms. ・ljsでは求愛行動をコントロールする中枢は模索前野にあると推定さ. れた。この部位を破壊すると性行動が阻止されたためである61几Muccioliら89) によると、xcnoPusの脳におけるプロラクチンの結合部位は模床下部と脈絡叢にあ る。彼らは、脈絡叢でのプロラクチンの結合は血液一脳脊髄液関門を横切ってき たホルモンを転送する役割をもつと推定した。有足頚の脳におけるプロラクチン の結合部位に関する情報は殆どないが、プロラクチンが脈絡叢を通過して脳内に. 27.

(30) 入り込み、後味ド部に作刑して性行動を誘発する可能性は十分にある。 本研究は、動物を実験宰に移すと正常血清を投リしても、求愛行動は徐々に 減少する. W` 心. とを明らかにした。血中プロラクチンおよび/あるいは雄性ホルモン. レベルが減少しだのかもしれない。実際、プロラクチンを注射すると、ある程度 求愛行動の回復が見られた。. Singhas and Dent. 3)は実験室において雄のブチイモ. リの尾の帽が減少することを示した。尾の発達はプロラクチンに依存している。 た ま. プロラクチン以外の内分泌的因子が関守している可能性もある。ウシガエ ルでは、捕獲されてからゴナドトロピンと性ステロイドの濃度加減少し、コルチ. コステロンの濃度が急速に増加したという報告がある54)。サメハダイモリ(゛nlrjcha. granujosめでは、雄性ホルモンとアルギニンバソトシンの相互作用によって抱接行 動か引き起こされる84)が、この行動は、神経細胞膜に存在するリセプターに チコステロンが作用することにより抑制される95. コル. 06) ○. 有尾類では、プロラクチンが水への移動を誘起するとされている。この現象 は最初ブチイモリにおいて、Rcineke の有足頚でも確かめられている2516. and Chadwick l o 4)により発見され、他の数種 1 3. 0. 1 34几本研究では抗プロラクチン血. 清を水中生活をしているイモリに投与すると、明らかに陸上を好むようになった。 これは内囚性のプロラクチンがこの現象に関与することを示す最初の証拠である。 本研究ではまた、血清の注射を終了した後にプrコラクチンを与えても、全て のイモリが水中を好むようになるとは限らなかった。有尾類では甲状腺ホルモン が陸上生活を好むようにさせていると報告されている2617)。しかしながら、実 験室の状態や動物の扱いが甲状腺ホルモンの分泌を低下させるかどうかは不明で ある。. 28.

(31) ■・■●・I.・.;71. ̄・・一一一一tj・ ”・.id・ ・..・.I. .・ ・,`:.・・・;・.・.-.・・・.・・. ・I.・,’1・.・..‘・一一・,1.j・I.・.. .lj_i. 第3節. lla・=・・・. 雌の雄様求愛行動の発現に及ぼすプロラクチンと雄性ホルモンの効果. J予 繁殖期に雄のアカハライモリは他種の有尾類と同様、雌の前で尾を振るとい う求愛行動を示す1o8)。この尾を振る行動は通常、雌では観察されない。雄性ホ ルモンは両生類において雄に典型的な生殖行動を誘発するとされてきた21816・ 76)。第1節および第2節で述べたように、アカハライモリの尾を振る行動の発現 には雄性ホルモンとプロラクチンが関与することがわかった125几 雌においても、雄性ホルモンが雄の生殖行動を誘導できることは両生類の数 少ない種で確かめられている。卵巣除去された雌のxcnopus. laevisでは、テストス. テロンとテストステロンプロピオネートのペレットが雄の性行動である抱擁行動 を行わせたo)。成熟した雌のT訂icha. granujosaにアルギニンバソトシンを注射す. ると産卵行動および産卵を行う83)が、このアルギニンバソトシンに対する行動的 反応は性ステロイドホルモンによると考えられる。すなわち、雄性ホルモンを移 植された卵巣除去難にアルギニンバソトシンを注射すると、雄様の抱擁行動が発 現した。本節では、アカハライモリの雌において、プiコラクチンや雄性ホルモン が雄様の、尾を振る行動を誘発するかどうか確かめた研究結果について述べる。. 材料と方法 動物 アカハライモリの雌雄を、春遅くから初夏にかけて動物販売業者より購入し た。その後実験室で飼育し、エサとして乾燥イトミミズを与えた。実験室の条件 下で少なくとも、2週間、イモリが尾を振らないことを確認してから実験を開始 した。卵巣除去手術は0.1%メタアミノ安息香酸エチルメタンスルホン酸塩 (MS222、三共)麻酔ドで行い、7日後にホルモン投与を開始した。. 29.

(32) ホルモン処理 ウシプロラクチンとヒト胎教性ゴナドトロビンは帝国臓器(株)のもの、テ ストステロンプロビオネートとエストラジオールはsigma社の製品である。プロ ラクチンは0.6%食塩水に溶かした。ステロイドホルモンは最少量のエタノールに 溶かした後、O.6%食塩水で希釈した。各O.o5mlの注射液を10日間毎日午後8時に 腹腔内投与した。プロラクチン、ゴナドトロピン、ステロイドホルモンの毎日の 投与量はそれぞれ1単位、25胆位、5μgであった。. 行動テスト 行動テストは第1節で述べた方法1. 2 5)と基本的には同じである。ホルモン処. 理後10時間たった時、それぞれの雌を3cmの高さまで水を入れたガラス容器(直 径20cm)に1匹ずつ入れた。これに、実験を通じて性的に発達した状態に保つた めにプロラクチンとゴナドトロピン処理した雄あるいは雌を1匹ずつ入れてペア にした。求愛行動、すなわち、相手の前で尾を振る行動の発現率と頻度を実験期 間を通じて1日1時間測定した。発炭車は、最初と第2の各5日間の間に求愛行 動を行った動物の割合である。頻度は各テスト期間中、イモリ1匹あたりに観察 された求愛行動回数の平均値(土標準誤差)である。. 統計処理 発現率の統計処理には、Fisherの正確確率検定法を用い、頻度の場合は Kruska1-Wallis一 一元配置分散分析法およびDunnの多重比較法かMann-Whitney. U-テ. ストを用いた。統計的な比較は各5目間中の各ホルモン処理開で行った。. 結果 正常な雌では尾を振る行動は実験を通じて観察されなかった。卵巣除去する と、少数の雌(最初と第2のテスト期間にそれぞれ、8匹中1匹と3匹)で尾を. 30.

(33) ● ̄ ̄'. ・.:.”.`・・、...’. 二.. 振る行動が観察されたが、その頻度は低かった。エストラジオール処理された卵 巣除去雌は、最初のテスト期間中は星を振る行動を示さなかったが、第2のテス ト期間中に1匹だけが尾を振った。プロラクチン処理、テストステロンプロピオ ネート処理、プロラクチンおよびテストステロンプロピオネート処理された卵巣 除去雌は、いずれのテスト期間中でも、尾を振る行動を示したが、生理食塩水処 理科と比較して発税率に統計的有意差がみられなかった。尾を振る行動の頻度は、 第2のテスト期間中、プロラクチンおよびテストステロンプロピオネート処理群 で顕著に増加したが、他の処理科では低い状態を保った(図2−10)。行動の 相手の性が雌の尾を振る行動の発現に影響するかどうかを確かめるために、プロ ラクチンおよびテストステロンプロピオネート処理された卵巣除去雌をプロラク チンおよびゴナドトロピン処理された雄あるいは同ホルモン処理雌と一緒にガラ ス容器に入れた。その結果、雌の尾を振る行動の発現率と頻度は相手の性によっ て差がみられなかった(図2−11)。なお、この実験で用いられた分析の精度 では、ホルモン処理された卵巣除去雌で誘導された尾を振る行動は雄で観察され る行動と区別はつかなかった。すなわち、図2−12に示したように、雌は自分 の頚を相手の鼻先にあてて相手の前進を阻み、尾を曲げて相手の鼻先の方向に尾 の先を向けて尾の先端半分を激しく打ち振るわせた。. 考察 雄性ホルモンとプロラクチンの組み合わせが去勢雄で尾を振る行動を誘発す ることを第1節で述べた1 2 5几本節では、証悟の雌イモリでは通常決して観察さ れない尾を振る行動が、卵巣除去雌では少数ではあるが出現した。このことは卵 巣は尾を振る行動を抑制する物質を分泌することを示唆する。エストラジオール を注射された卵巣除去雌においては第2のテスト期間中の1個体の例外を除いて 尾を振る行動が発現しなかった。 雄性ホルモンは中枢に作用して両生類の性行動を引き起こすと考えられてい るが、それはテストステロンを取り込む細胞が脳に存在することを示唆したオー. I. Qリ.

(34) lntact :. ㎜saline. ovx. □saljne. :. [二]PRL. 圖. ・E2[こ]TP. 圖PRL.トTP 1. 00. QQ⊂の涵OC11∼ 1. 1. 0 7. 6. -5. aU. 5 4 q︶ ︵︰/︶ 1. AouenDeJj. 0 1 -5. Test 図2−10. days. 卵巣除去難における雄様求愛行動の発現率と頻度に及ぼすプロラク. チンと/あるいは性ステロイドの効果。卵巣除去雌は生理食塩水、ウシプロラク チン、エストラジオール、テストステロンプロピオネート、ウシプロラクチンお よびテストステロンプロピオネートを10日間毎日注射された(各グループ8 匹)。正常な雌は10日間毎日生理食塩水を注射された(8匹)。(A)各5目 間に星を振る行動を行った動物の割合、(B)各5日間に動物1匹あたりに観察 された尾を振る行動の平均回数(土標準誤差)。棒グラフの土のアルファベット が同じ場合は互いに統計的に有意な差がないことを示す(A、Fisherのll{ 確確率検定法、B、Dunnの多重比較法}。. 32.

(35) 回圖×♂. □ 7 6. 1. q︶ ︵︰/︶. 池︶[]①コー︺①JL. R︶ 4. eDuep!ou!%︶. 1. 1. 1. 1. 5. 5. 6-10. Test days 図2−11. 卵巣除去雌の雄様求愛行動に及ぼす相手の性の影響。卵巣除去雌は. ウシプロラクチンおよびテストステロンプロピオネートを10日間毎日注射され た(各グループ8あるいは9匹)。各卵巣除去雌を、ウシプロラクチンおよびヒ ト胎盤性ゴナドトロピン処理をうけた雄(8匹)あるいはウシプロラクチンおよ びヒト胎盤性ゴナドトロピン処理をうけた雌(9匹)の1匹ずつと一緒にしてが ラス容器に入れた。(A)各5「1間に星を振る行動を行った動物の割合、(B) 各5日間に動物1匹あたりに観察された尾を振る行動の平均回数(土標準誤差几 2つのグループの問には5%の危険率で統計的に有意な差がなかった(A、Fi sherの函確確率検定法、B、Mann−Whitney. 33. Uテスト)。.

(36) 図2−12 プロラクチンおよびテストステロンプロピオネートを投リされた卵 巣除去雌の雄様求愛行動。Fは雌、Mは雄。. 34.

(37) トラジオグラフィーによる研究結果に基づいているo)7几テストステロンを取 り込む細胞は、他の脊椎動物では性行動の調節に関りするとされている。カェル Rana. plpjensの去勢雄の視学前野核にテストステロンを移植すると求愛行動が誘. 発されたという事実1. 3 5)はこの考えを支持するものである。xcnoPus. lacvisではテ. ストステロンを取り込む細胞の分布は雌雄の脳で同じであるが、ェストラジオー ルを取り込む細胞の分布とは異なっていた4518几すなわち、テストステロンを 取り込む細胞は前視学前野、視床下卵膜側漏斗核、延髄の背側披蓋卵、脳神経(9-10 番の運動神経)に見られた。ェストラジオールを取り込む細胞は終脳の膜側条、 外側膜個中隔と物部扁桃体そして前祝学前野と膜側漏斗核、膜個視床ド卵、中脳 の半輪隆起に見られた。このように、. xenopus. lacvisの脳中においてテストステ. ロンとェストラジオールの存在部位が異なることが原因で、同種の雌雄において テストステロンは抱接行動を誘起するがェストラジオールはそのような作用を持 だない46)という違いが生じるのかもしれない。 Trirurus. cristatusでは、視学前野が求愛行動調節中枢であると推定されている。. なぜなら、この部位を破壊すると性行動か阻止されたからである61≒一方、延髄 にある1対のMauthncr. neurons. は無足両生類の幼生と同様、有足両生類の足の動き. においても重要な役割をもつと考えられている1. 1 7)。これらのニューロンは雄性. ホルモンとプロラクチンにより発達する73ヽ白9)。脳下垂体除去雄にテストステ ロンのペレットを移植したり、プロラクチンを注射するとMauthner. ce11の核は有. 意に大きくなる119)。 他の脊椎動物の雌でも雄性ホルモン処理すると、雄様行動が誘発されること が知られているが、外因性の雄性ホルモンが雄様の行動を引き起こしやすいかど うかは種により異なる47)。このことは、雄の行動発現に関与する神経システムが 性分化の過程の問に完全に変わってしまうわけではないことを示唆している。 プロラクチンは有足頚の生殖において重要な役割を果たしていると推定され てきた52)。プロラクチンは求愛行動の誘発に関与する5214ヽ1 ンは水への移動も誘導する12)。水中では雄による求愛行動と雌による産卵がおこ. 35. 2 5)。プロラクチ.

(38) 的. 変化を引き起こす8J7≒さらに、プロラクチンおよび雄性ホルモンは尾びれ. ヒ巳. なわれる。また、プロラクチンは浸透圧調節のための皮膚の形態的および機fil. 50. 113ヽ133)や肝門腺49)のような末梢器官の発達も促進する。これらの器官は雄の 有足頚の一連の生殖行動において重要であると思われる。求愛行動中、よく発達 した尾びれは肛門腺由来のフエロモン51)を雌の方へ運ぶため水流を効果的に起 こすことができる。雌雄のイモリでは、脳下垂体と生殖腺を除去されると尾ひれ の幅が減少する5oヽ52几これらの動物にプロラクチンを与えると尾ひれの幅は増 加するが、この増加はエストラジオールによって抑制される。 本研究では、卵巣除去雌にプロラクチンとテストステロンプロピオネートを 組み合わせて投与すると、第2の実験期間中(処理6−10目目)において雄様 の尾を振る行動の頻度が顕著に増加した。このように行動反応が遅れて発現して こ る く. とは、これらのホルモンが尾を振る行動の発現に必要な末梢および中枢器. 官を発達させる効果をもつことを示唆する。. 36.

(39) 第4節. 後葉ホルモンによる雄求愛行動の発現調節. J予 アルギニンバソトシン(AVT)は哺乳類以外の脊椎動物のド車体後葉ペプ チドであり、魚類や鳥類で生殖行動の発現に関与することが知られてきた4. 8、 1 0 2、. 137)。両生類においても、AVTを腹腔内股旨されると、Taricha. granUI()saでは雄. 性ホルモン存在下で求愛行動の発税率が高まり84白42)、Rana. plplcnsではrclease. ca11が抑制される19、20). callの抑制はAVT. ことが報告されている。このreleasc. が腹部への水の取り込みを促し、その結果生じる現象とされている19)。Tarjcha 召7凹沁gでは、AVTを腹腔内投与するよりも、脳内に注入する方が、高率、高 頻度に求愛行動が誘発された79)。また、AVPのアンダゴニストやAVTの抗血 清を脳内に注入すると求愛行動の発現が抑制されることから、AVTが内因性に 求愛行動の発現を調節していることが示されている。また、エストラジオールや デヒドロテストステロンを脳内に移植しておくと、AVTの求愛行動を発現させ る作用が持続することも報告されている79)。これらの報告はAVTが性ステロイ ドと同様、直接生殖行動発現に関与することを示唆している。 本節では、アカハライモリの求愛行動の発現と、その後に起こる精子塊の放 出にAVTが関りすることについて述べる。. 材料と方法 動物 アカハライモリは動物販売業者より購入した。実験室で飼育し、毎日、乾燥 イトミミズを餌として与えた。雄の去勢手術はMS222による麻酔ドで行った。. ホルモン処理 アルギニンバソトシン(AVT,Bachem),メソトシン(MT,Bachem), ヒツジプロラクチン(Ovine PRL, Sigma),ヒト胎盤性ゴナドトロピン(HCG,帝. 37.

(40) 国臓器)はNaC1溶液に溶かした。テストステロンプロピオネート(TP、Sigma) は最少量のエタノールに溶かした後に生理食塩水で希釈した。以上のホルモン溶 液(全0.05mOを腹腔内投与した。プロラクチン、ゴナドトロピン、テストステ ロンの1回投与それぞれ1単位と25単位、1oμgであった。アルギニンバソトシ ンの1回投与量は5μgあるいは、5oμgであった。. 行動テスト 本章第1節で述べた方法と同様である。ホルモン投与を行った後、雌雄のイ モリを各一匹ずつ水で満たされたガラス容器(直径20cm、水深3cm)の中に置き、 1時間、雄の示す求愛行動(雌の前で尾を振る行動)発現率と頻度を調べた。発現 率は求愛行動を示した動物の割合を百分率で表わしたもの、頻度は、観察された 求愛行動回数の一匹あたりの平均値(士標準誤差)である。. 統計学的有意差検定 求愛行動の発現率の統計学的有意差検定にはFisherの正確確率検定法を用い た。また、行動の平均頻度の有意差検定にはDunnの多重比較法を用いた。. 結果 正常雄イモリに虚勢手術を行い、1ヶ月後テストステロン(1oμg)あるい は生理食塩水を2週間にわたり隔日投与した。その後各処理をさらに2群に分け、 それぞれアルギニンバソトシン(50μg)あるいは生理食塩水を投与した。その 3時間後から1時間にわたり、各科の雄プロラクチンおよびゴナドトロピン投与 雌とペアにして、雄の求愛行動の回数を数えた。その結果を図2−1 3に示した。 求愛行動を示す去勢雄の割合はテストステロンの投与により増加しさらにAVT 合わせて投与すると有意に発現率は高まった。一方、AVT単独処理では求愛行 動は発現しなかった。求愛行動の発現頻度についてもテストステロン単独処理で は求愛行動の平均頻度は低く、コントロールの生理食塩水と有意な差が見られな. 38.

(41) □saline+saline. 1. Dsaline士AVT. E]TP+saline. 匝§ITP士AVT. 00. 50. aouep!ou!. 7 6 LrMMUN. AouanDeJzl. 1. Treatment. 図2−13. 去勢雄における求愛行動の発現率と頻度に及ぼすアルギニンバソト. シンと/あるいはテストステロンプロピオネートの効果。去勢雄は生理的食塩水 (38個体)、あるいはテストステロンプロピオネート10μg(38個体)を 2週間にわたり隔日投与された。処理15目口に生理食塩水処理群、テストステ ロンプロピオネート処理群のうちのそれぞれ20個体には生理食塩水が、残り1 8個体にはアルギニンバソトシン5μgが投与された。3時間後にプロラクチン およびゴナドトロピン処理雌とペアにして1時間求愛行動を観察した。(土)尾 を振る行動を行った動物の割合、(下)雄1匹あたりに観察された星を振る行動 の平均回数(土標準誤差)。棒グラフの上のアルファペットが同じ場合は互いに 統計的有意差がないことを示す(上、Fisherの正確確率検定法;下、Du nnの多重比較法)。. 39.

(42) かったが、AVTを合わせて投与すると平均頻度が有意に高まった。また、通常 の繁殖行動では求愛行動の後におニる精子塊の放出にアルギニンバソトンが関リ。 しているかどうかを調べた。図2−14に精 ̄r一塊の全体像と光才穎微鏡像を示した。 正常雄イモリにアルギニンバソトシン(5μg)、メソトシン(5μg)と生理食 塩水と1日1回、2日間にわたって投与した。その結果生理食塩水処理群では精 子塊の放出が見られなかった。図2−15に示したように両生類のもう一つの後葉 ホルモンとして知られているメソトシンも、精子塊の放出を促進させる傾向があ ったが、コントロールとしての生理食塩水投与群とは有意な差が見られなかった。 一方アルギニンバソトシン投与群では放出される精子塊数が生理食塩水処理群や、 メソトシン処理群に比べ有意に高いことがわかった。. 考察 本研究においてアカハライモリにおいてアルギニンバソトシンが求愛行動の 発現に関与している口」‘能性が示唆された。また、精子塊の放出にもこのホルモン が関与することが新たに明らかとなった。アルギニンバソトシンが難の産卵を誘 起することは種々の下等脊椎動物で報告されている19、20、32、38、42、59、. 83)o. このように、後葉ホルモンは求愛行動のみならず、配偶子や受精卵を移動させる 生殖管の収縮など様々な生殖現象に関与している可能性が考えられる。有尾両生 類であるTaricha. granuj()saでは内因性の後葉ホルモンによって求愛行動の発現が. 調節されているという報告かおる79)が、アカハライモリの求愛行動の発現および 精子塊放出もまた同様であるかどうかを確かめる必要かおる。また、Taricha μ皿・j心aではアルギニンバソトシンが脳に直接作用して求愛行動を発現させてお り、ステロイドの脳内への取り込みを促進させることにより発現調節を行ってい るのではないと結論されている79ヽ85)が、求愛行動以外の生殖現象の調節にはど のように作用するのか、アルギニンバソトシンの作用機序を明らかにする必要か おる。. 40.

(43) 図2. 14. 放出された精子塊。. A. 全体像。50倍。. B. 光学顕微鏡像。スケールバーは100μm。. I 4.

(44) 6. 5. 4. 3. 2. 1. Q﹂o£aoiE﹂Qaの`o﹂equJnZ. 7. MT. saline. AVT. Treatment 図2−15. 祐子塊放出における後葉ホルモンの効果。絃歌期の雄は生理食塩水、. メソトシン(5μg)、アルギニンバソトシン(5μg)を1日1回、2[目副こわ たり投与された(各処理群8個体)。棒グラフは1個体あたりに放出されたず均 格子塊数(土標準誤差)を示している。棒グラフの上のアルファペットが│川に鳩 合は互いに統計的に有意な差がないことを示す(Tu t)。. 42. rkey’s. t−t. es.

(45) 第3章. 性誘引物質の分泌. 第1節. 性誘引物質分泌の内分泌調節. 侈 化学的な物質による情報交換は有尾両生類の生殖行動において主要な役割を 果たしている39ヽoコo8几特に、数種の有星両生類では性フェロモンの存在が 催かめられている。すなわち、繁殖期においてアメリカイモリであるTaricha rivularisの雄は雌の分泌物を浸み込ませたスポンジに、川の流れに逆らって引きよ せられる1 3 2)し、雄のブチイモリNotophth山mus. virjdcsccnsはY迷路において雌. のにおいに有意にひかれる16≒また、3種類のヨーロッパイモリ(Trjturus crjstatus、T.ajpestrjs、T.jtaljcus)では雌雄ともに、Y迷路において、求愛行動を行って いる雌雄がいる方にひかれる5ヽ66几. しかしながら、性フェロモンの分泌やそれ. に対する動物の反応を引き起こす内分泌的要因についてはこれまで報告がない。 一方、両生類の一連の生殖行動にプロラクチン(PRL)と性ステロイドが重要 な役割を果たすことが知られている21214ヽ78)。そこで本節では、プロラクチ ンと性ステロイドがイモリの、異性に対する誘引作用に関与するのかどうか、ま たプロラクチンと性ステロイドに反応して発達する雄の腹腺49、92). と雌の輸卵管. 5o)が性誘引物質の分泌に関与するのかどうかを調べた結果について述べる。. 材料と方法 動物 アカハライモリの雌雄を動物販売業者より購入した。実験室で飼育し、エサ として乾燥イトミミズを与えた。. 手術 雌の卵巣除去および輸卵管除去手術、雄の去勢および腹腺除去は実験開始の 2週間前に0.1%メタアミノ安息香酸エチルメタンスルホン酸塩(MS222、三共)麻. 43.

(46) 酔下で行った。また、雌雄各数匹については開腹手術のみを同麻酔ドで行い、こ れを対照動物とした。. ホルモン ウシプロラクチン(Bovine PRL、30国際単位/mg)とヒト胎盤性生殖腺刺激ホ ルモン(HCG、4000国際単位/mg)は帝国臓器(株)から購入した。ヒツジプロラ クチン(Ovine PRL、31 国際単位/mg)、テストステロンプロピオネート(TP)、エスト ラジオール(E2)はSigma社の製品である。. ホルモン処理 脳ド垂体ホルモンは0.6%食塩水に溶かした。ステロイドホルモンは最少量の エタノールに溶かした後、0.6%食塩水で希釈した。去勢および開腹手術のみを受け た雄には生理食塩水、1国際単位PRLおよび25国際単位HCGの組み合わせか あるいは、1国際肌位PRLおよび5μgTPの組み合わせを注射した。卵巣除去お よび開腹手術のみを受けた雌には生理食塩水、1国際単位PRLおよび25国際単 位HCGの組み合わせかあるいは、1国際単位PRLおよび5μgE2の組み合わせ を注射した。直線除去雄、輸卵管除去雌および開腹手術のみを受けた雌雄には生 理食塩水、1国際単位PRLおよび25国際単位HCGの組み合わせを注射した。以 上の動物は、飼育水を採取する目的で用いた。雌雄の無傷のイモリに1国際単位 PRLおよび25国際単位HCGの組み合わせを注射し、テスト動物とした。それ ぞれのホルモンは0.05mlの溶液にして特に断わらない限り、15日間毎日午前8時 に腹腔内投与した。各グループフー10匹ずつを1匹あたり500. 「の水を入れた別々. の容器にて飼育した。. テスト物質 テスト動物以外の各グループの飼育水はホルモン投与の前日に隔日更新され、 使用されるまで-40°Cにて保存した。テスト動物と、テストする飼育水を供給する. 44.

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